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2021.05.31

W杯出場と社長業を両立!?リノベる山下智弘社長のストイックな自己管理力【突撃!近大人社長】

Kindai Picks編集部

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OB・OG
リノベる
山下智弘
社長訪問
突撃近大人社長

「リノベる」は、2010年に近大OBの山下智弘社長が、「自分らしい暮らしを心から楽しむことのできる世の中をつくろう」という思いのもと創業した、住宅業界の”課題を価値に”を実践する企業。豊富なリノベーション実績があり、2020年度の年間施工数はワンストップ・リノベーション業界ナンバー1。業界内でも成長企業であることが伺えます。現役近大生で、建築学部建築学科3年生の髙橋結さんがリノベる本社を訪問し、山下社長からさまざまな話をお聞きしました。

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※この取材は2021年4月15日に、換気を十分した上で、撮影時以外はマスクを着用し、行いました。




リノベるは、2002年に大阪・南堀江で設立されたデザイン事務所「field」と、2004年設立の株式会社esを前身とし、2010年に創業。現在は東京・南青山の本社を中心に、全国にショールームを展開しています。

「自分らしい暮らしを心から楽しむことのできる世の中をつくろう」という思いのもと創業した、住宅業界の”課題を価値に”を実践する企業です。


リノベるが手がけたリノベーションの一例(東京・南青山のショールームより)。

数々のリノべーションを手がける企業だけに、東京・南青山の本社オフィスは、働く人が活気づくような気持ちのいい洗練された空間。フリースペースに通されると、さわやかに山下社長が現れました。



山下 智弘(やました ともひろ)
リノベる株式会社・代表取締役社長。1974年奈良県生まれ。1997年に近畿大学理工学部を卒業し、社会人ラグビーを経て専門商社からゼネコンへ出向。数々のマンション建設に従事する中で、建てては壊す「スクラップ&ビルド」を繰り返す日本の住宅に疑問を持つ。「自分らしい暮らしを心から楽しむことのできる世の中をつくろう」と独立を決意。2010年、中古住宅購入とリノベーションをワンストップで行うリノベる(株)を設立。同社代表取締役社長に就任。2020年4月、一般社団法人LIVING TECH協会 代表理事に就任。

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壊しては建てる「スクラップ&ビルド」の世界に疑問を持ち、28歳で独立



髙橋結

山下社長は28歳という若さで独立し、35歳のときにリノベるを設立しましたが、どんな背景がありましたか?





山下社長

それまでゼネコンで働いてきましたが、古くなったものを新しくして、そこから新たに人々の生活を創ることができる、すばらしい仕事だと信じていました。

ところがある日、「お父さんとの思い出の家を売りたくない」と立ち退きを拒否するおばあちゃんと出会いました。どうにか説得できたものの、新しいマンションの前でそのおばあちゃんに涙ながらに言われたのは、「私はあなたに人生を奪われた」という言葉だったんです。





髙橋結

それは忘れられないショックな出来事ですね……。そこからあえて中古住宅の販売やリノベーションにフォーカスするようになったのですか?







山下社長

その事件をきっかけに、スクラップ&ビルドの業界のあり方に疑問を持ち始めました。
海外に目を向けてみると、中古物件をとてもおしゃれに改装して素敵に暮らしていることを知り、それを日本でもできないかなと思い始めたのがきっかけです。
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髙橋結

たしかに海外の古くても雰囲気のある建物や街並みは素敵ですよね。日本では新築が喜ばれる傾向にあるように思います。





山下社長

実際に日本では、家を買う人の10人中8人が新築を、残りの2人が中古物件を選びます。現在は人口が減少し、2033年には3分の1は空き家の時代が来るといわれています。それならば中古住宅を有効利用できる世界を作りたいなと考えるようになりました。
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タイムマネジメント力を鍛えた学生時代



スムーズにコミュニケーションがとれる場をイメージして設計された、リノベる社内のオープンスペースにて。近大マスクをつけてインタビューさせていただきました。


髙橋結

山下社長が近畿大学を志望した理由はなんですか?





山下社長

実は親父が近大OBなんです。それと通っていた幼稚園が近大の近くにあって、とても身近な存在でした。小さい頃から大学生といえば近大生みたいなイメージがあったので、気づいたら入学していた感じですね(笑)。





髙橋結

地元なんですね。学生時代の思い出深いエピソードはありますか?





山下社長

学生時代はラグビーに明け暮れていました。今振り返ると、大学生活での時間の使い方が、とても特別な4年間だったなと思います。20歳になるとできることが増えるし、いろんな人を観察しながら、刺激を受けて、考えたり迷ったりしながら大人の階段を上るような期間でした。

それから近大生のたまり場のようになっていた大衆食堂「當里家(あたりや)」ではゼミの友達がアルバイトしていたので、たまに遊びに行ってましたね。当時、店にいたおっちゃんが強烈で、接客時の押し切る力というか、商売の原点のようなものを教えてもらった気がします(笑)。





髙橋結

山下社長の若かりし青年時代の姿が思い浮かびますね(笑)。実は卒業アルバムの写真を探してコピーしてきました。







山下社長

うわ、懐かしい(笑)。ゼミ仲間で今も会っている人はいないなぁ。





髙橋結

楽しかった思い出はありますか?






山下社長

当時は、「大学」「アルバイト」「ラグビー」の3つのバランスをいかに効率よくこなし、いかに時間を最大化できるか? が大きな課題でした。当時はラグビーに一番打ち込みたかったので、それ以外はアルバイトでお金を稼ぎ、遊ぶことに夢中でしたね(笑)。





髙橋結

どんなアルバイトをしていたのですか?





山下社長

朝日新聞の編集局での朝刊の編集補助のアルバイトです。まわりはマスコミ志望の学生が多く働いていましたが、僕はただ単に高い時給がもらえるからやっていました。そこには4年間いて、最終的にはアルバイトを束ねるリーダー的なポジションをやらせてもらうようになりました。これもすごく勉強になったし、今に生きています。







髙橋結

コロナ禍でもできることで、将来のために大学生が今やっておくべきことはありますか?





山下社長

学生時代はとにかく時間があることが一番の強み。旅行でも勉強でも、思いついたものは全部やればいいと思う。その中で優先順位を付けていくことになるけど、とにかく興味があるものを全部やること。高橋さんは今、やりたいことは何かありますか?





髙橋結

私はまだやりたいことが見つかっていないんです……!





山下社長

全然関係ないことでも、点と点が繋がっていくことがあるんです。一個の点をしっかりやると、点が大きくなって、将来それが繋がって線になることもあると思うんです。

逆に、一方の点を軽くやっていると、点にもなっていないからほかと繋がらなくなる。それだともったいないから、やるなら思いっきりやることが重要かなと、僕自身の経験を振り返ると思います。
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「腕立て10回」と言われたら、バレないように1回多くやる



リノベーションで使う素材に触れられる、新設予定のリノベる地下ギャラリーにて。


髙橋結

「失敗は失敗ではなく、タックルで一回倒されたのと同じだから、もう一回倒されないように考える」という山下社長としての考えをほかのインタビューで読みました。それはやはり、学生時代のラグビーを通じて得た考え方ですか?





山下社長

ラグビーをしていると、人間の底が見えてくるんです。タックルされて倒れたらしんどいし、少しだけ寝ていようかなと思うこともあります。そこですぐに立つ人と、そうでない人の差があって、仲間は気づきます。倒れないようにするのではなく、ドーンってコケても、すぐに立ち上がることが大事だと思っています。





髙橋結

失敗してもすぐに再挑戦できるかってことですね。





山下社長

それはビジネスでも同じで、うまくいくことばかりではありません。そんなときに、できないといって逃げるのか、すぐに立ち向かっていくのかが、絶対的な差になると思っています。僕らはベンチャー企業なので、100個挑戦すると、99個は失敗します。その中で戦い、一個一個の成功率を高めていくには、失敗してもすぐに打席に立つことが重要です。





髙橋結

学生時代に鍛えられたベースが、今も生きているんですね。





山下社長

人生は、人との競争ではなく、自分との競争だと思っています。学生時代はラグビーの練習で「腕立て10回」って先生に言われたら、バレないように1回多く腕立てしたり1周多く走ったりといったことはしていました。“努力している感”を見せるとカッコ悪いから。





髙橋結

見えない努力をされているのですね……!





山下社長

経営者としても、すばらしい経歴を持つ経営者がまわりにたくさんいる中で戦わなければなりません。そこは言い訳できないので、僕なりにすぐに立つとか、一手多く打つとか、そんなことはめちゃくちゃ意識していますね。





リノベるショールームにて。


髙橋結

これまでリーマンショックや東日本大震災、現在のパンデミックなど、さまざまな危機がありましたが、何か影響はありましたか?





山下社長

僕らはあまり景気の良し悪しは感じずにきた世代。もちろん、コロナや震災の影響は受けていますが、冷静に捉えながら、これまで業績を上げる努力を続けてきました。

昨年でいうと、4月の緊急事態宣言後に問い合わせや受注が減少するなど、影響がありました。でも、その後は早々に回復し、今期は昨年を超えるお申込みをいただいています。

リノベるでは、「悲観的に準備し、楽観的に対処する」ことをすごく大事にしています。緊急事態宣言のときも、今までは週に1回経営陣が集まる会議がありましたが、それとは別に、週に2回、経営陣が顔を合わせることで、素早く判断できる体制をとってきました。





「リノベる。東京 渋谷桜丘ショールーム」のリノベーション前(左)と後(右)の物件。


髙橋結

コロナの影響で家にいる時間が増えて、家で過ごすあり方が変わりつつある今、コロナ前と現在で、住まいの形に変化を感じていますか?





山下社長

僕自身や社員も含め、時間の使い方が圧倒的に変わってきたと思います。今までの日本人の一般的な生活スタイルは、朝は定時に出勤して、残業して、家に帰ったら疲れきって寝るだけの人も多かったでしょう。その境界線が曖昧になり、不可逆になったなとも感じています。

たとえば、明日コロナが終息したとしても、一度在宅勤務に慣れているので、アフターコロナでもおそらく多くの人の働き方はそんなに変わらないだろうと思います。だからこそ、住まいやオフィスのあり方を、あらためて設定し直す必要があると考えています。

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一度挫折したアスリートの道、40歳になってからW杯出場!



髙橋結

山下社長は一日をどのように過ごされていますか?





山下社長

基本的に、祝日などを除くとひと月28日と考えると、1か月は672時間。それを5対5に分けて、半分の336時間がプライベート。たとえば家族との時間やタッチラグビー、睡眠や食事の時間です。それ以外の時間は仕事で、月曜から金曜まで、朝の7時から8時に朝活をとり入れています。





髙橋結

それって土日も含めて1日12時間仕事をしているってことですか?




山下社長の1日(平日)のスケジュール


※通常時のスケジュールです
リーダーとしてコンディションを一定に保つため、終業後はルーティンとリズムを大切にしているという山下社長。就寝前に静かな時間をとることで、しっかりと睡眠をとり、翌朝ベストな状態で起床。コロナ禍において会食がない現在は、家族の時間を十分に取っているそうです。



山下社長

いいえ、土日は家族との時間やタッチラグビーなどに充てています。朝活はランダムで、今の自分に足りていないことをやるようにしています。タスクがスタックしていればそれを、体のメンテナンスが必要であればヨガをしたり、知識が必要な時は本を読んだり。そして8時から業務開始といった感じです。

今でも学生時代に鍛えたタイムマネジメント力は生きていて、週に何時間、家族の時間と仕事の時間をどんなバランスで分けるかは、かなりこだわってやっています。





髙橋結

リノベるには、ワークスペースのすぐ側にカフェスペースがあるんですね。働く人がホッとひと息つける場所があるのはいいですね。山下社長は普段、ランチはどうされていますか?





山下社長

忙しいときは、社内のカフェなどで5分くらいで済ませることも多いですね。それからあえて直属の部下ではない社員と「最近どうなの?」といった話をしながら、ランチミーティングをすることが、月に1回はありますよ。





取材時、山下社長のお心遣いで、リノベる社内のカフェスペースでランチをいただきました。いただいたのは、唐揚げなどの具材がぎっしり詰まったおむサンドのランチボックス。


髙橋結

山下社長は、プライベートでは社会人ラグビーをされているんですよね?





山下社長

人生で唯一途中で挫折したのがラグビーなんですが……40歳になったときにタッチラグビーに出会って、もう一回始めたんです。2019年にタッチラグビーの日本代表に選ばれて、ワールドカップの男子40歳以上チームで令和初の銅メダルを取りました。





髙橋結

すごい!!





2019年のタッチラグビーワールドカップマレーシア大会でフランス代表との3位決定戦で起死回生の同点トライを決めたのが山下社長。


山下社長

実は、2023年のワールドカップの代表選考が4月から始まっていたんですが、気合いを入れすぎて、チーム練習で骨折してしまいました(苦笑)。

社会人アスリートの場合、意識しないと、仕事の忙しさなど、言い訳がいくらでも出てきます。トレーニングをサボったり、お酒を飲みすぎたりしがちなので、あえて自分を限界まで追い込んでいます(笑)。







髙橋結

会社の経営をしながらストイックにタッチラグビーに打ち込んでいらっしゃるなんてすごいですね……!





山下社長

ストイックにやる理由は、僕がだらしないから。大学時代から、気を抜くと、急にバイトを休んだり、学校に行かず、家でボーッとしたり、パチンコに行ったり(笑)。その経験から、放っておくと、自分はだらけるんだと思いましたね。

だからあえて厳しいドSのパーソナルトレーナーについてもらい、絶対休ませてくれないような状況を作っているんです(笑)。





髙橋結

大学生活で得たものや、大学に行ってよかったなと思うことはありますか?





山下社長

ラグビーの仲間はもちろん、学生時代の友人など、人との繋がりが一番大きなものではないでしょうか。学生のときの繋がりで、リーダー会というのがあって、リーダーをやっていることもあって、その仲間とはしょっちゅう会っています。アース製薬の川端社長やノーリツ鋼機の西本会長など、先輩OBの方々にもかわいがっていただいています。

川端さんを始め、みなさんコロナ禍でも明るく前向きで、会社の業績も上げてらっしゃいます。それって近大OBっぽいなと感じています。

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近大OBが集まったイベントKINDAI サミットにて。左から、アース製薬 川端社長、リノベる 山下社長、シェアリングエネルギー 上村社長。


髙橋結

その近大スピリッツ、わかる気がします。最後に、現役近大生に向けて、就職活動や人生のアドバイスをお願いします。





山下社長

リノベるにも近大生が何人か応募してくれましたが、どこかおっかなびっくりで、おとなしい印象がありました。僕が卒業するとき、あるOBから、「優秀な人が世の中にいっぱいいる中で、普通にがんばってもえらくなれないよ。だったら勝負するしかないじゃん」と言われたことに納得しました。

就職の面接なんてたかが30分。その時間だけではお互い何も分かりません。だからこそ何も恐れず、思いっきり自分を出してベストを尽くしてしまえばいいと思います。





髙橋結

ありがとうございます! 勇気が湧いてきました!





対談を終えた高橋さんの感想は?


コロナの影響で「将来のために今すべきこと」が見えなくなっていましたが、山下社長に「やってみたいと思うことは全部やってみたらいいよ」というシンプルな言葉がとても心に残りました。

「興味のあることをいろいろやってみて、その中からふるいにかけていけばいい」という山下社長のお言葉通り、本当に自分がやりたいことを見つけ出し、追求できるように、今はたくさん興味があることに触れていきたいです。


取材協力:FINDERS
企画:人間編集部

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