2016.12.21
若手経営者に学ぶ、成功するリーダーの3つの共通点
- Kindai Picks編集部
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川端克宜(アース製薬)×山下智弘(リノベる)×上村一行(アイアンドシー・クルーズ)
大企業からベンチャーまで、経済界の最前線で活躍する3人に、リーダーのあるべき姿について聞いた。
<KINDAI studentサミット 第2部全体会「社会を変えるリーダーになるために」より>
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【スピーカー】
●川端克宜/アース製薬株式会社 代表取締役社長
1994年、近畿大学商経学部卒業。同年アース製薬株式会社に入社し、役員待遇大阪支店長、取締役ガーデニング戦略本部長を経て、2014年にはアース製薬株式会社代表取締役社長に。
アースノーマットやゴキブリホイホイなど、日本を代表する害虫駆除商品を扱う企業のトップに、42歳の若さで就任した。年々害虫の種類や数が変わる中で、どのような経営をしていくのか注目されている。
●山下智弘/リノベる株式会社 代表取締役
1997年、近畿大学理工学部卒業。2003年にデザイン事務所field、翌年には株式会社esを設立。2010年、中古住宅のリノベーションに特化した「リノベる株式会社」設立し、代表取締役に。
中古住宅の構造のみを残し、部屋をイチから設計する「リノベーション」のプラットフォームを運営。工務店や設計士、金融機関などのマッチングを行っている。日本全国に20店舗展開。
●上村一行/株式会社アイアンドシー・クルーズ 代表取締役
2002年、近畿大学法学部卒業。在学中に起業。新卒でデロイト・トーマツ・コンサルティング株式会社に入社。2005年、株式会社ジェイブレインに参画。2008年、株式会社アイアンドシー・クルーズを設立し、代表取締役に。
太陽光発電システムなどの新エネルギーを活用した「スマートライフ」を始めるためのプラットフォームを運営。インターネットメディアを通じて、ユーザーと企業の架け橋になるサービスを提案している。
●リーダーは"失敗しない"
──起業のきっかけを教えてください。
山下:実は今の会社を始める12年前に、大阪で一度起業しています。飲食店を20店舗くらいまで増やしてそれなりに上手くいっていたのですが、当時はお金儲けのことばかり考えていたので、それ以上先に進む意欲がなくなってしまったんですね。結局その事業は売却して、7年前に東京に来て今の会社を始めました。
上村:私は近大在学中に「お前パソコンも使えないのかよ」と馬鹿にされたのがきっかけで起業しました。「じゃあ作って売ろう、そしたら操作も覚えられるし」と思って。それで、家賃3万円くらいの部屋を借りて近大の仲間7人で会社を始めたんです。でも、一度きちんとビジネスの勉強をしようということで外資系のコンサル会社に入り、その後に今の会社を立ち上げました。
──リーダーになって良かったと思う瞬間は?
川端:社内で自分の意見を通しやすいというのはありますが、その意見が良いかどうかは、会社の成長や利益を見て後から評価されるものなんだと思います。あとは現実的な話をすると、社長になったことで給料が増えたというのはありますね。
山下:良い意味でも悪い意味でも、やったことが大きく跳ね返ってきますので、エキサイティングな生活を送れています。
上村:例えば「来年までに売上を100億にしたい」と言うと、それが言霊になって、手伝ってくれる色んな仲間の人が増えていくんですよね。こちらがかけた情熱の量だけ返ってくるので、生きてるっていう実感が持てます。それに、アクティブに動いていると同じような想いを持っている人と会う機会がすごく増えます。
──逆にリーダーになって失敗したなと思うことは?
川端:失敗は毎日しています。でも失敗をしても反省をして次に活かすのが大事。失敗したからといって暗くなってやめてしまうと、それで終わってしまうので。あとは会社という一つの企業を預かっていますから、もし私の代で潰れるようなことがあれば、それは大きな失敗になりますね。そうならないように、小さい失敗はたくさんすればいいかなと思っています。
山下:私もベンチャーやってると失敗ばかりですが、あまり失敗とは思っていませんね。あえて言うなら、原理原則のような自分自身に課していることがあるんですが破っちゃったことがあるんですね。例えば「自分からは人の縁を切らない」と決めているんですけど、どうしてもそうしなくてはならないこともあって。今思うと、もう少し別の方法もあったんじゃないかなとは思います。
上村:仲間とやっていると「嫌われたくない」という気持ちが働いて、調和を図ろうとしすぎて失敗してしまうこともありますし、一方で、トップダウンで強硬して何千万もの損失を出したことも。ただ、私も「失敗した」というよりは「良い経験をさせてもらっている」という感じですね。
●リーダーは"何度も言い続ける"
──みなさんが考える「リーダーに求められること」とは?
上村:スマートフォンやAIのようなテクノロジーの進化によって、一つひとつの事業は短命化している。そんな中で、新規事業をガンガンやっていって、世の中に新しい価値を生み出していくストーリーをしっかり話せること。もちろん、それを実現させるためには、仲間一人ひとりを成長させる、メンバーの新しいチャレンジに寄り添うといった姿勢も必要です。
山下:この1年で会社のメンバーが100人くらい増えました。一気に人が増えてくるとリーダーとしての僕の役割も変わってくるなと思っていて、今は同じことを言い続けるのが私の役割かなと。「日本の住まいを変えようよ!」ということを、表現や伝える手段を変えながら、何度も何度も言い続ける。これを面倒くさがらずにやるのが、今の私の仕事なんだと思います。
川端:私も賛成です。リーダーって、指示しただけで伝わったはずだと思いがちなんですけど、コミュニケーションはやはり受け手側の腹に落ちないと成立しないんです。そのためには、何度も何度も同じことを言う必要があります。あとは、一寸先の未来もわからない状況の中で、どこに投資するかを決められるか。アース製薬は、もしかしたら10年後か20年後、殺虫剤を売ってないかもしれません。そういったことも含めて、毎日いろんなことを考え、決めていかないといけないんです。
──近大在学中に、将来のビジョンを考えていましたか?
上村:当時はビジョンと言えるほどのことを考えていたわけではなく、何となくかっこいいと思われたいとか、人と同じことはしたくないとか、そんな感じでしたね。
山下:大学生の時はアルバイトとラグビーとコンパくらいしかなくて、もうちょっと勉強していたら起業する時のスタートダッシュも違っただろうなとは思います。あとは、人脈をもっと作っておけば良かったですね。
川端:私も学生時代は、パチンコしたり麻雀したりという感じでした(笑)。でも、負けず嫌いだったので、就職活動の時は「御社の商品は非常に便利で…」といったありきたりなことは言わず、「競合がいますがこのエリアは私が売ってきます」とアピールしていました。
●リーダーは"負けず嫌い"
──他のリーダーと差をつけるための戦略はありますか?
山下:私はありますね。常に他の人より一歩先に行こうと思っています。例えばみんなが腕立て伏せを10回やっていたら、自分は11回やります。バレないようにやるが大事です(笑)
川端:リーダーになっている人はみんな根本は一緒なんですよ。とにかく負けず嫌い。「みんなが10回やるところで自分だけは11回やる」というのは、あらゆる場面に当てはまると思うんです。
上村:そうですね、本当に負けず嫌いというのに尽きるんですよね。コンサル会社に就職した時、同期が60人くらいいましたが、自分より上位校の学生ばかり。でも、実力主義を謳ってる会社だったので、月曜から日曜まで服を持ってクライアントのところに泊まって、誰よりも働こう、誰よりも一番になってやろうと決めて行動していました。
──リーダーばかりになったら困ってしまうのでは?
川端:リーダーばかり集まった集団の中でも、その中でリーダーとフォロワーができます。企業でも、優秀な人ばかり集めても、その中でさらに優秀な人が出てきます。「人間力」という言葉になってしまうかもしれませんが、できる人はどういう立場であってもできるのだと思います。
──最後に、リーダーを目指す若者にメッセージをお願いします。
川端:近大には先輩も後輩もたくさんいます。もちろん同期も。そういった中で、今日この場で出会ったのも縁だと思いますので、お互いそれをまた活かしていきたいですね。
山下:普段、起業についての質問を受けることが多いのですが、基本的にはどんどんやった方がいいと思うんですよ。でも、「起業しようか迷ってるんです」と言っているうちはやめておいた方がいい。やりたくてやりたくて仕方ないというくらいじゃないと、たぶん続きませんから。あとは自分の中で撤退ラインは決めておいた方がいいですね。人に迷惑かけてまではやりたくないとか、親にお金を借りてまではやりたくないとか。撤退ラインは決めておかないと、ズルズルいってしまいます。逆に言うと、そこまでは何があってもやるということでもありますね。
上村:近大在学中に、友人7人で「会社ごっこ」を始めたのが最初のきっかけでしたが、今でもそのうちの5人は社長をやっています。何かやりたいことができた時に、周りに切磋琢磨している仲間がいると、「おれにもできるじゃん!」って思えるんです。リーダーは目線を高くして挑戦していくことが大事なので、ぜひそういう仲間を今のうちに作って欲しいなと思います。
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