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2018.05.22

アスリート×政治家×大学職員。働く女性の今と未来

Kindai Picks編集部

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OB・OG
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ビジネス
KINDAIサミット
キャリア
山口美咲

近年「女性活躍」が謳われているが、実際の職場環境はどのように変わってきているのだろうか。アスリート、政治家、大学職員、そして事業家。それぞれの環境で戦う女性たちの実態と苦悩とは?

<KINDAIサミット2017 第2部分科会A「人材の活躍強化〜女性が輝く日本!〜」より>

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スピーカー

山口美咲
株式会社星野リゾート
2012年、近畿大学法学部を卒業。水泳で北京オリンピック・リオオリンピック日本代表として出場。2009年国民大会では100m自由形の日本新記録樹立(当時)。引退後は株式会社星野リゾート星にてセカンドキャリアを歩む。


渡辺典子
広島県議会議員
2007年、近畿大学文芸学部を卒業。在学中にモデル活動を始め、2005年ミス近大グランプリ、ミスオブミスキャンパスクイーンコンテスト準グランプリに輝く。2013年、広島市安佐北区県議会議員補欠選挙にて初当選。現在は広島県女性議員クラブ会長などを務める。


加藤公代
学校法人近畿大学総務部広報室長
1993年、近畿大学文芸学部を卒業。同年より学校法人近畿大学に勤務。総務部、人事部、入学センターなどを経て、2013年から広報部。 2017年より総務部広報室長



モデレーター
秋山咲恵
株式会社サキコーポレーション 代表取締役社長
京都大学法学部を卒業。1994年、株式会社サキコーポレーションを創業。マシンビジョン技術を応用した産業用自動検査ロボットメーカーとして世界市場でブランドを確立。産業競争力会議民間議員、株式会社ローソン社外取締役などを歴任。


*肩書きはセッション開催当時のものです



近大の女子学生比率は6%から32%へ


秋山:昔は近畿大学はバンカラな男の学校というイメージがあったのですが、本当に様変わりしましたね。現在の近畿大学の女性比率は32%だそうで。


加藤:私は平成元年に新たに文芸学部ができた時の1期生なのですが、当時の女性比率はおよそ10%でしたね。その前の昭和の時代は6%だったと聞いています。卒業後はそのまま近大に就職しましたので、近大の女性の歴史はずっと見てきたことになります。


秋山:近大を卒業して近大に就職。本当に母校愛が強い方で、近大のOGパワー恐るべしといったところですね。現在は近大の広報室長をされているとのことですが、女子学生の比率を改善するために、どのようなことに取り組まれてきたのでしょうか?


加藤:例えばお手洗いをきれいにしてパウダールームを65箇所設置、そして女性専用の24時間の自習室を作るなど、とにかく女子学生が過ごしやすい環境づくりに力を入れています。ただし、広報をする上では、やたらと女子向けアピールをするのも気持ち悪いと思われてマイナスなので、男女問わず支持されるようなことをするのが大切だと考えています。


秋山:渡辺さんは広島県議会議員でいらっしゃいますが、政治家は特に女性が少ない職場ですよね。


渡辺:仰る通りで、広島県議会には64人の議員がいますが、女性は私を含めて4人のみ。出産を経験した議員は私がはじめてです。政治の世界では、呼び出されたらすぐに行くのが当たり前、先輩の言葉には「はい」と言うのが当たり前。飲み会の席で「政治の交渉は男がするもの」という発言が出たこともあります。ですので、出産や子育てをしている人に配慮があるとは言い難い職場ですね。そんな中、私自身がパイオニアにならなければと思っているところです。



広島県議会議員 渡辺典子氏


秋山:女性議員を増やすにはどうしたらいいと思いますか。


渡辺:私の場合、夜の飲み会は「子供がいますので」と言って欠席することもあります。職場の男性に合わせるのではなく、私には子供がいるのでむしろ私に合わせてくださいというスタンスで。そうしないと、女性議員は増えていかないと思います。


秋山:加藤さんと山口さんの職場はいかがでしょうか?


加藤:近畿大学は、学生は男性が多いのですが、職場である広報室は女性職員が多いですね。関西で仕事関係のパーティなどに参加すると、企業のお偉いさんは男の人ばかりです。そういう時に、女性が少なくて寂しいなと思うことはあります。あとは危機管理の対応や苦情の電話で、私が上司として出ると「え?」という反応をされることはあります。


山口:私が働いている星野リゾートは、男女比が半々ぐらいですね。女性も意見が言いやすい雰囲気があって、それはやっぱり男性の気遣いがあるからなんですね。私はアスリートでしたので体力はある方ですが、一般の女性は結構体調を崩しやすい方が多い。そういった女性に対するケアや普段の気遣いは必要だと感じています。




ロールモデルを探さず、飛び込んでみる


秋山:山口さんは元オリンピック選手で、引退後のセカンドキャリアとして星野リゾートを選ばれたそうですね。やはりアスリートのセカンドキャリアは厳しい状況なのでしょうか。


山口:アスリートの先輩方を見ていても、自分のことを考えても、とても厳しい状況だと言えます。大学を卒業して22歳で就職をする人がほとんどですが、私たちはそこからまたスポーツのみを追求する人生が続きます。そして引退してどこかの企業に入りたいと思った時には、同期と比べて既に5〜6年の遅れが生じているんです。その差はかなり大きい。

星野リゾートの場合、私の同級生に当たる人たちは会社を回すリーダー的なポジションにいますが、私は新入社員と同じ状況。アスリートってスポーツで相当頑張ってきた経験があるので、プライドも高くなっていて、なかなかセカンドキャリアの現実を受け入れられない人もいるんです。また、引退後に専業主婦になる人も多い。でも私は、水泳というひとつのことを極めていった経験を活かして、他の分野でも自分がやりたいことを見つけたいと思いました。



株式会社星野リゾート 山口美咲氏


秋山:当時、ロールモデルとなる人はいましたか?


山口:あまりそういったことは意識していなくて、水泳を引退することを決めた時に「次はどこにゴールを持っていこうか」「どんな人生を歩んでいけば笑って死ねるかな」と素直に考えていました。


秋山:渡辺さんは、女性議員のロールモデルはいましたか?


渡辺:私も、ロールモデルはいませんでした。特に女性の議員はすごく少ないですし。今まさに自分が手探りでやっているという状況です。それに「やっていみたい!」という気持ちだけで飛び込んだほうが上手くいくこともたくさんあると思いますので、「今だ!」と思った時に流れに乗ることの方が大事かもしれませんね。



女性の活躍が、日本を救う


秋山:日本では、働きながら結婚して家庭を持つことに対して、ネガティブなイメージを持つ女性が増えているようです。


加藤:たしかに私の同級生も、バリバリ働いている人はほとんどいないですね。専業主婦やパート主婦が多い。今の大学生はそういう上の人たちを見ているので、結婚して子育てしながらうまく働いていくイメージがわかないのだと思います。


秋山:大学に入る時は「こういうことをしたい!」と熱い志を持っていたのに、卒業する頃には「働くのは面倒なのでもう専業主婦でいいや」と思ってしまう人もいるみたいですね。


加藤:「働こう」という気持ちについては、例えば在学中の研究で小さくてもいいので成果を出すと、社会に貢献できている実感を持てるようになるのではないでしょうか。成功体験を積み重ねていくのが大事だと思います。


秋山:家庭を作るということについては、男性にも関係してくる話ですよね。男の人が仕事で毎日ヘトヘトになっているような状況だから、家のことは全部奥さんに任せてしまう。すると女性も家事で手いっぱいになり、働きづらい。


渡辺:最近「働き方改革」ということが盛んに言われています。生産年齢人口が減るのはもうわかりきっていることですので、まずは女性が社会に出やすい世の中を作ることが大切ですね。あとは日本の「残業している人が偉い」みたいな風潮をなくしていかなければなりません。


秋山:渡辺さんは、どのような働き方をされていますか。


渡辺:実は議員というのは自分が社長のようなもので「この仕事はやる」「この仕事はやらない」「この日は休む」といったことを自己責任で決められます。1日のスケジュールを全部自分で決めることができるんです。そういう意味では、実は女性にとってすごく働きやすい仕事なのかもしれません。先ほど申し上げた通り、もともと男性社会なので戦う必要はあるのですが。


秋山:男女雇用機会均等法ができた頃は、男女平等という倫理観の改革が行われましたが、今はむしろ人口も減っていく中で「経済政策として」従来のやり方を変えていく必要に迫られている。女性活躍というダイバーシティをイノベーションに繋げていくことが大切なのだと思います。


加藤:近大の学生と話をしていると、「お父さんも近大です」という話はよく聞きますが、「お母さんも近大」というのはほとんど聞いたことないんですよね。やっぱりその世代で活躍している女性は、まだまだ少ないのかもしれません。最初にお話しました通り今はキャンパス内の環境も整っていますので、近大卒の女性がもっと活躍できるよう大学側としてもサポートしてきたいなと考えています。



近畿大学 総務部広報室長 加藤公代


秋山:これまでも女性は常に逆境の社会でしたが、自分の志を持って日々の努力を積み重ねることで、10年後に何かが変わってくるということもあります。ぜひみなさんも、今自分がコミットされていることで何かしら変えていけることから変えてみてはいかがでしょうか。

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