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雑学・コラム

2020.12.10

"同性婚"は本当に必要? LGBTQの「人権」と「結婚制度」の問題を当事者×研究者で徹底討論

Kindai Picks編集部

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学生ライター
LGBT
人権問題研究所
人権
結婚

「LGBTQ」という言葉を聞く機会が増え、セクシャルマイノリティに対する認知の高まりを感じつつある日本ですが、人権侵害や差別問題は後を経ちません。現在、同性婚や同性パートナーシップなどの同性カップルの権利保障制度がある国は多くありますが、日本にはどのような現状があるのでしょうか。当事者の方から見える日本の姿を想いのままに話していただきました。



こんにちは。近畿大学総合社会学部環境・まちづくり系専攻3年生の深井寧々です。

私は株式会社マイユニというところで、アライ(LGBTQ当事者のサポートとなる存在)として啓発活動を行っています。

LGBTQの「人権」をめぐって現在の日本では様々な問題が浮き彫りとなっています。
中でも「同性婚」についてのニュースが多く報じられるようになり、考えさせられるきっかけとなった方もいるのではないでしょうか。

現在の日本では「同性婚」は認められておらず、「パートナーシップ制度」という同性カップル2人の関係が婚姻と同等のものであることを証明できる制度があります。しかし、この制度は自治体によって利用できないところがあったり、法的な効力がないことから遺産や相続に関する問題は解決できていません。

また社会では、少子化とセクシャルマイノリティーをつなげた差別的な発言が生まれることもあり、大きく議論される場面が増えたと感じています。

そこで近大生のLGBTQ当事者が、人権問題研究所の先生と一緒に「結婚」や「人権」をテーマに、LGBTQにまつわる人権問題や差別問題を議論します。また、実際にパートナーシップ制度を利用されている方も交えてお話を伺います。


「多様性」という言葉だけが一人歩きしている現状



左上から、近大生のLGBTQ当事者の江藤さん、濱本さん、杉さん。左下はパートナーシップ制度を利用している阪部さんと森口さん、右下は人権問題研究所の熊本先生。

ーーまずは、みなさんの自己紹介をお願いします。

江藤さん:理工学部生命科学科2年生の江藤天音(えとうたかと)です。本名は「あまね」というのですが現在は「たかと」という名前で生活しています。僕は心は男性で身体が女性のトランスジェンダーで、現在は4年ほど付き合っている彼女がいます。LGBTQの啓発活動を行なっている株式会社マイユニの代表取締役も務めています。

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濱本さん:経営学部経営学科1年生の濱本智義(はまもとともよし)です。同じく株式会社マイユニで共同代表として活動しています。セクシャリティはバイセクシャルまたはゲイです。恋愛感情は両性に対して湧きますが、性的感情は男性のみにしか湧きません。ちなみに最近初めて同性のパートナーができました。

杉さん:建築学部建築学科2年生の杉雄大(すぎゆうだい)です。現在は株式会社マイユニでインターンとして啓発活動を行なっています。セクシャリティはゲイ寄りのバイセクシャルで、濱本さんと同じように性的感情は男性のみにしか湧きません。僕も彼氏がいます。

阪部さん:Tsunagaryオフィス合同会社を運営している阪部すみと(さかべすみと)です。LGBTQフレンドリーなコミュニティであるTsunagary Cafe(つながりカフェ)を大阪や京都で運営してます。

森口さん:同じくTsunagary Cafeの運営を行なっている森口玄貴(もりぐちげんき)です。阪部と僕は「大阪市パートナーシップ宣誓書受領証」を交付してもらっているパートナーです。

ーー自分のセクシャリティを自認したのはいつ頃ですか? また、家族や周りの友達にカミングアウトしていますか?

江藤さん:七五三でお化粧をされるのが嫌だったり……幼少期から自分のセクシャリティに対して違和感を感じていましたが、はっきりと自認したのは高校3年生の時です。現在のパートナーとお付き合いをしたことをきっかけに「自分は男性として女性が好きなんだ」という確信に変わりました。現在は家族や友人にカミングアウトをしてオープンに過ごしていますが、パートナーの両親へはまだ打ち明けられず「仲のいい友達」という認識になっているので、この先について悩んでいます。


中学生時代の江藤さん。女性は男性と付き合うのが「普通」だと思い込んでいたため、男性とお付き合いしてみたが違和感や嫌悪感を感じたという。

濱本さん:僕が男性を好きだと自認したのは、中学生の頃です。高校生になってから友人に初めてのカミングアウトをして、大学生になってから徐々にオープンになっていきました。でも、家族にはまだ隠したままで……。「孫の顔が見たい」という話をされることも多く、願いを叶えてあげられない……と辛くなることもあります。

杉さん:僕は小学校に入学する前から男性を好きなことが当たり前でした。ジャニーズの男性アイドルに夢中で、それを見ていた両親はなんとなく気付いていたそうです。ただ、自分の中でそれがどういうことなのかはっきりと自認したのは中学2年生の時です。今はパートナーのことも両親に話して、特に母とは親であり友人のようないい関係で恋愛話をしたりしています。


嵐の二宮くんやHey!Say!JUMPの山田くんが大好きだったという杉さん。

阪部さん:僕がセクシャリティを自認したのは26歳の頃なので、みなさんに比べるとかなり遅かったんですよね。当時はLGBTQに関する情報がたくさんあったわけではなかったので深く考える機会もなく……。両親へは2年ほど前にカミングアウトしましたが、森口のことも初めから「恋人」として紹介したわけではありません。15年前から2人暮らしをしていたのですが、最初は「友人」として紹介していました。現在は全てオープンにして僕の両親も一緒に4人で暮らしています。

ーー日常の中で理解が進んでいないと実感することはありますか? また、差別やハラスメントを受けたことはありますか?

阪部さん:理解が進んでないと感じる場面は多々ありましたね。セクシャリティをオープンにしていなかった頃は、恋愛話の場面になると、悪気なく投げかけられる言葉で傷付いたり、嘘をついたり誤魔化すことへの罪悪感を感じていました。

江藤さん:恋愛話では困惑してしまう場面が多いですよね。中でも一番困惑してしまうのは「どうやって性行為をしているの?」というような深掘りした話です。恐らく興味本位で質問しているのだとは思いますが、これはハラスメントに当たると思います。

杉さん:あるあるですね。

濱本さん:周りで「同性愛」をネタに会話が繰り広げられることもあるので、そういうときに疎外感を感じます。ただ、必ずしも「ハラスメントを行うのは非当事者の方だけ」とは思っていません。ゲイだからと男らしさを求められるなど、LGBTQ当事者内でのハラスメントがあるとも感じています。そして、非当事者の方に対して僕らが「あの人はきっと偏見を持っている」と偏見を持ってしまっているところもあると思います。

江藤さん:確かに、ハラスメントは当事者内でもあることですね。社会的には、アルバイトの面接や就職活動の時に、必ず「性別」を記入しなければならない点や、制服が男女で完全に区別されている点は、LGBTQに関わらず、ジェンダー平等の視点からも理解が進んでいないな……と感じますね。「多様性」という言葉だけが一人歩きしている感覚があります。


なぜ「同性婚」が認められないのか?




ーー今回は、問題になっている「同性婚」をテーマに討論したいのですが、みなさんは「結婚」に対する憧れはありますか?

江藤さん:あります! 20代の間に結婚をして、友人に祝われながら結婚式を挙げたいです!

杉さん:僕も憧れがあります。これまでお世話になった人を全員結婚式に呼んで、感謝や幸せになる覚悟を伝えたいです。

濱本さん:僕も結婚はしたいですが、結婚式をするイメージは湧かないですね。お互いが支え合いながら歩む決意ができたときに結婚できればいいと思っています。


濱本さんとパートナー。京都の伏見稲荷大社でデートした時の写真。

ーーみなさんにとって「結婚」とは何ですか? 制度として必要だと考えているのか、感情的な部分が強いのか……。

江藤さん:僕の中では、利用したい「制度」という意味合いが強いです。法的な婚姻関係は、扶養控除や家族割引などを利用できる有益なものであると感じているので、同性同士だと利用できないことに疑問を感じています。

阪部さん:僕も「制度」としてのイメージが強くて、結婚は「パートナー同士が一緒に支え合って生きていくにあたっての意思確認」のようなものであり、付随的に法的な保護などを得られると考えています。同性婚に関しては、本人の自由意志で「する・しない」の選択ができない点が問題点だと思うんです。

森口さん:僕は「つながり」の面を大切にしているイメージですかね。必ずしも結婚しなければいけないというわけではないので、パートナーとのつながりが深くなる、つながりを意識できるツールのひとつかな。

杉さん:僕は「感情」と「制度」の両方を兼ね備えているものだと考えています。相手との強い絆を絶やさない契約であり、なおかつ法的に保証されている安心感もある。どれだけ距離が離れていても、世界に一人だけのパートナーであると証明できるものでもあると考えているので、僕は必ずしもパートナーと一緒に住む必要はないと思っています。

濱本さん:僕も、前までは結婚に対して前向きなイメージがありました。しかし、最近は制度としての結婚は社会が決めた生産性の面が強いと感じていて、制度的な結婚に対して疑問を感じています。



ーー「パートナーシップ制度」と「結婚」ではやはり大きく違いがあるのでしょうか?

阪部さん:日本の「パートナーシップ制度」は法律的な根拠がないので、証明書の強制力がありません。パートナーに子どもがいたとしても親権者になれない。相手が亡くなったときに財産を相続できない。不貞行為や離婚に対する慰謝料なども、結局相手次第なのです。そのように考えると、パートナーシップ制度は、国が法律改正をして「同性婚」を認める……もしくは「法律で守られたパートナーシップ制度」ができるまでの過渡期を補完するものだと考えています。

森口さん:一部の病院では、手術の同意や集中治療室での面会といったことが可能になりますが、日常生活でそのような場面に遭遇する機会は少ないので、現状では2人の気持ちを確認するだけのものという印象です。


実際に阪部さんと森口さんに交付された「大阪市パートナーシップ宣誓書受領証」。


同性婚を認めると少子化に拍車がかかる?


ーー「同性婚」に賛成する人が増えている中、なぜ反対する人もいるのだと思いますか? ある政治家の「同性婚を認めると少子化に拍車がかかる」といった発言も話題になりましたが……。

江藤さん:海外のデータを見ていただくと、同性婚によって少子化が加速するという事実はないことが分かりますし、人々の人生の選択肢が増えるだけです。このような発言は自分と違う生き方をしている人を認めたくないという感情から出た言葉なのではないかと感じています。

合計特殊出生率の推移


1989年に世界で初めてパートナーシップ制度が導入され、2012年に同性婚が認められたデンマークや、2001年に世界で初めて正式な同性婚が認められたオランダ、他にも同性婚が認められているベルギー(2003年合法化)、スペイン(2005年合法化)、カナダ(2003年オンタリオ州・BC州で合法化/2005年全土で合法化)の推移を見ても、同性婚によって出生率が下がるという傾向は見られない(出典:World Bank Data)。また、2019年の日本の出生数は過去最少の86万5,239人(合計特殊出生率は1.36)、死亡数は戦後最多となる138万1,093人となっている(出典:厚生労働省令和 元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況)。
※合計特殊出生率:一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示した人口統計上の指標

杉さん:現代は経済的な不安や晩婚化、出産に対する価値観の変化など様々な理由で少子化が進んでおり、その矛先が同性婚に対して向けられていることには疑問を感じますね。

阪部さん:みなさんがいってくださっているように、少子化の原因や対策は他にもあるはずです。例えば女性が働きやすい環境を整えたり、保育を充実させるために給与面の保障を行ったり。少子化対策のための行動を棚に上げて、LGBTQや同性婚に対する感情的な嫌悪感を表現するのに、少子化を1つの口実に利用しているんじゃないか……という印象です。

濱本さん:ただ、実際に同性パートナー間だけで子どもは産めないので「生産性」といわれてしまうと「図星だな」と思う部分もあって、傷付いてしまいます……。

杉さん:例え子どもを産むことができなくても、「里親」として子どもの受け皿になることは可能なので、そういった形で僕らが少子化対策に貢献することもできるんじゃないかと思うんですけどね。

江藤さん:デンマークやスウェーデンでは、同性婚が認められてから同性愛者の自死率が減少したという研究結果も出ています。


「婚姻制度」そのものが時代遅れである




ここからは、人権問題研究所の熊本理抄(くまもと りさ)教授を交えて、「人権」という視点から、「同性婚」やLGBTQに対する差別問題を紐解いていきたいと思います。

熊本 理抄(くまもと りさ)

人権問題研究所 教授
専門:マイノリティ女性、インターセクショナリティ、複合差別
マイノリティ女性の人権課題と社会運動について研究しています。特に、被差別部落の女性が被る差別と部落解放運動についてです。人権・福祉のまちづくりのとりくみにも関わっています。


ーー熊本先生の研究分野の「人権」という視点から考えると、今回の問題についてどう思われますか?

熊本先生:どのような形で誰と暮らそうが、子どもがいようがいなかろうが「私は私である」という「個」の人権が保障されながら生きてゆくことを前提にできないのか……と感じています。もちろん、選択肢がある人とない人がいるという不平等を是正すべきだと思いますが、現代の社会は多くの人が「常識」だと思っている「普通」を常に意識し、乗っかっていかないと権利が得られない仕組みになっているんです。つまり、多様な人間を排除する社会の側を問うのではなく、マイノリティがマジョリティに合わせる努力をしないと権利は保障しないよ……という流れになっている。私は、同性婚の問題だけでなく、そもそも「結婚する人」「結婚しない人」の権利も対等であるべきだと考えており、「婚姻制度」そのものの是非について考える機会にできないかと思っています。この件に関してみなさんはどう考えられますか。

阪部さん:確かに、福祉先進国といわれるデンマークやフィンランドなど北欧の国では、社会制度が個人に委ねられて設計されている部分があるので、「婚姻制度を無くす」というのも将来的に目指すべきところなのかもしれません。ただ、現在は同性婚が実現していないので、同性婚の実現を過渡期のステップとして、最終的に婚姻制度を必要としない社会を目指すべきなのではないでしょうか。

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杉さん:僕も婚姻制度の廃止について考えるのは少し早いのかなと感じていますね。僕たちは婚姻制度が認められていない社会の中で生きているので、本当にこの制度が必要なのかについてイメージが浮かばず……考えることが難しいです。あらゆる人が結婚できるという権利を得てからではないと、その話し合いはできないのではないかと思います。



ーー「夫婦別姓」の問題も話題になっていますが、「婚姻制度」そのものに問題があるのでしょうか? そもそも「人権」とは何なんでしょうか?

熊本先生:「人権」とは「人間が人間として存在するために譲ることのできない諸権利」といわれてますが、それを得るための「制度」には副作用があり、制度があるからこそ排除されてしまう人々が生まれると考えています。「婚姻制度」があるからこそ「結婚」に縛られて生きづらさを感じている人もいる。マイノリティの運動や人権運動は、様々な生き方・あり方を認め合えるようにこの制度の持つ副作用について考え、まさに「人間」誰しもの尊厳を守るために制度を変えてきたし変えようとしてきました。例えば、同性婚が制度として認められた場合、性的マイノリティの中で「新たな分断」や「排除される人」が生まれる可能性はないのでしょうか。

阪部さん:なるほど。熊本先生が仰る通り「新たな分断」が生まれる可能性はあるかもしれませんね。そもそも「なぜ結婚したいのか?」と考えると、制度があるからこそ「結婚することが一般的」「結婚することが幸せ」と思い込んでいるところがあるかもしれません……。

濱本さん:確かに、権利を得るために自分のセクシャリティをマジョリティ側の制度に合わせる……という方向に進んでいるなと改めて感じました。でも、同性婚が認められることによって、LGBTQの認知は広がると思うので、平等の権利を求め、差別をなくす手段のひとつとして重要なことだと思っています。ただ、新たな分断を生まないように、本質的な部分を見失わないようにしなければなりませんね。

杉さん「同性婚」という名前がついているからこそ特別視してしまうのではないかと思います。あらゆる人に結婚できる権利が与えられたと考えれば、同性同士というところに注目する必要はないのかもしれません。結婚は「個」と「個」がつながるための手段であると考え、制度をなくすのではなく、全ての選択肢を用意した上で個人が制度を使うのかどうかを判断する……というのが目指すべき社会なのではないでしょうか。

濱本さん:そうですよね。僕たちは「特別」を求めているわけではなく「平等」を求めているということを知ってもらえたら嬉しいです。自分たちのためだけでなく、子どもたちや次の世代のためにも。


幸せとは? 家族とは?




ーーみなさんにとって「家族」とは何ですか?

濱本さん:僕はお互いを誰よりも分かり合える存在だと思います。

杉さん:なるほど、やはり「信頼」というところが大切になってきますよね。僕も心で強くつながっている信頼し合える存在が「家族」であると思います。なので、血縁関係があるとかないといった話は関係ないと思います。

江藤さん:この人を守りたい、幸せにしたい、何があっても一緒にいたいという信頼関係と愛がある存在だと思います。また、現代はLGBTQカップルや母子家庭、父子家庭など様々な家族の形があるので、どのような形の家族も認められるような社会になったらいいなと思います。

阪部さん:個人的には、パートナーと仲良く、穏やかに暮らして行けたら幸せだと思っていますが、僕たちは最近、自分たちの老後とか「親の介護をどうするか?」という現実的なことで悩んでいます。そのへんは男女の夫婦と変わらないかもしれないですね。


「一人ひとりの“当たり前”を自由に生きられるよう、みんなで社会を変えていきたい」と語る杉さん。

ーーみなさんが思い描く「幸せな未来」を教えてください。

杉さん:一人ひとりが好きなようにありのままで生きることができる、そんな未来になって欲しいです。

濱本さん:僕は様々なセクシャリティが当たり前の存在として認知され、多様性が尊重される未来を思い描いています。

江藤さん:いつの日か同性愛、異性愛、無性愛などのカテゴライズされる壁を無くし、ひとつの「個性」として、「人間」として尊重される社会を実現したいです。そしてLGBTQだけでなく、全てのマイノリティーが個性として尊重される、誰もがありのままで輝ける社会を望みます。

阪部さん:みなさんがいう通り、多様性が認められる社会は、誰もが幸せに生きられる社会だと思います。


「誰一人取り残さない」を実現できるのか




ーー最後に先生から、感想を聞かせていただけますか?

熊本先生:国連がSDGsで「誰一人取り残さない」といっているように、私はマイノリティが声を上げることで獲得し発展してきた「人権」のプロセスに関心があるのですが、今回の話を聞いて、様々なマイノリティがつながる可能性を感じました。部落問題では、結婚差別が今も深刻で、結婚の自由を求める取り組みが続いています。その流れと同性婚を求める人たちがつながり、誰もが「自分が望む結婚を選択できるようにする」という点でマイノリティがつながっていくことができるかもしれません。そして、結婚を望まない人、Xジェンダー(既存の男女の枠組みにあてはまらない)やAセクシャル(他者に対し恋愛・性愛の関わりを持たない)の人もいます。そうした人が「差別もなくなり制度も整ったのに結婚しないの?」という抑圧にさらされないためにはどうしたらよいか?ということも、一方で考えたいです。

制度を活用することで法的な保護を受けられるという現状については、制度から常に排除されている人々のことをどのように考えるかといった点が大切だと改めて思いました。一部の人や多くの人が当たり前に利用している制度を「利用できない人」がいるのは不当なので、誰もが利用できるようにすべき、ということと、その制度自体が想定しているものがすでに排除的であることの、両方を考えないといけません。国が「誰一人取り残さない」ために、さまざまな制度を見直し、変えていくことは、もちろん重要です。と同時に、国が「認める」マイノリティとそうでないマイノリティ……というような線引きが生まれてしまうことを懸念します。制度や法が想定しようがしまいが、すでに生きている人がいる、その人の人権は認められるのが当然である、ということは忘れてはならないと思います。

また、みなさんが自分のセクシャリティについて語れる言葉を持っていることに時代の変化を感じました。同時に「私は私である」という「個」のあり方と、カテゴライズされてゆくことのモヤモヤも感じたので、これから向き合ってゆくべきところなのだと思います。

セクシャリティに関する話は私的な領域だと考えられているので、同性婚が「制度」として公的な領域に入ってくることで、「国家」や「家族」という制度や社会的枠組みも問われることになり、そのパニックや不安が、議論を呼んでいる政治家の発言などに現れているのだと考えます。憲法24条が「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」と規定する「個」の人権と、性的マイノリティの存在が無視されている現状についても、様々なマイノリティと一緒に考える機会にしたいです。

全ての人に結婚するか、しないかという選択肢が与えられているだけではなく、選択肢が公平かどうかについて考え、どのような選択をした人であっても権利が平等である社会であれば嬉しいなと感じます。


最後に


「いつか大好きな人と結婚したい」というシンプルな願い。その権利と未来を得るために、全力で今の社会と向き合っている人々がいることを、今回改めて感じました。

そして、婚姻制度という「制度」があるからこそ、排除されてしまう人がいるということも……。

長い時間をかけて社会の中で築かれてきた「普通」を覆すことはとても難しく、時間のかかることかも知れません。しかし、一人ひとりの個性を尊重し多様性を認め合うことで少しずつ社会は変化してゆくのではないかと思います。

今回ここで議論された「結婚」や「家族」や「権利」について、みなさんも改めて考えてみてください。あなたにとって「幸せ」とは何でしょうか?


この記事を書いた人

深井寧々(ふかい ねね)

近畿大学 総合社会学部 環境・まちづくり系専攻3年
株式会社マイユニで誰しもがありのままで過ごせる社会を目指し啓発活動を行なっている。
テーマパークが大好きな元気いっぱい騒音機。


企画・編集:人間編集部

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