2024.03.28
道に迷わない対策はある? 方向音痴になる原因や特徴、治し方を実際に検証してみた!
- Kindai Picks編集部
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突然ですが、あなたは「方向音痴」ですか? 大学生になり友人が増えるにつれて「意外と方向音痴の人が多い!?」と感じる機会も多くなりました。私自身は違うものの、妹は18年通っているショッピングセンターで今でも迷うほど方向音痴! 私より記憶力があるのになぜ?そこで今回は方向音痴の人が道に迷う理由と改善方法を方向音痴の人に試してもらいながら調査してみました!
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初めまして! 近畿大学広報室でインターンシップをしている、国際学部 国際学科3年生の佐々木英美(ささき えいみ)です。
私の特技は「一度通った道を忘れないこと」です! 小さい頃から基本的に道に迷ったことはありません。慣れない観光地でも、地図を見ずに出発地点に戻ることができます。
だからスマホの充電がなくなって、地図アプリが見れなくなってもへっちゃらなんです!
一方、現在高校生の妹は方向音痴です!
本の暗唱が得意なほど記憶力が抜群なのに、なぜかよく道に迷います。
例えば、生まれて間もない頃から18年通っている最寄りのショッピングセンターで「どこにどんなお店があるかわかる?」と聞いたところ「わからない」と。慣れ親しんだはずのショッピングセンターでまだ迷子になる可能性があるってこと!?
ギャップが可愛いと思う一方、お姉ちゃんは心配でたまりません。
そんな妹が少しでも方向音痴から脱却できるよう(私が妹離れできるよう?)、今回は改善方法を調査しようと思います!
そもそも、なぜ道に迷うんだろう。方向音痴の人の考えていること、迷う理由を知りたい!
そこでまずは方向音痴の人の気持ちを探ることにしました。
方向音痴の人は歩いているとき何を考えているの? 調査してみた!
まず私の友人で、方向音痴な18〜23歳の学生8名に聞き取り調査をしました。目的は方向音痴の人の「迷う理由」や「目的地まで歩くときの意識の向き方」を知ること。
私は普段、方角や周囲の景色で道順を覚えており、「方向音痴の人は方角や景色・目印を把握していないのかな?」と疑問に感じています。また迷う時間やエピソードから「初めての道で迷う人」または「一度通った道でも迷う人」など、方向音痴の定義を決めることも目的です。
質問一覧
・道を歩くとき、景色や目印を覚えますか? またその理由を教えてください。
・道を歩くとき、東西南北を意識しますか? またその理由を教えてください。
・自分自身、迷う原因はなんだと思いますか?
・自分で実践している道に迷わないための対策はありますか?
・「過去最も道に迷った」ときのエピソードがあれば教えてください。
まず迷う時間は5〜10分という人、10〜30分という人が3人ずつ。30分以上迷う人も2人いました。
そこから「道を歩くとき、景色や目印を覚えますか?」と聞くと「いいえ」と回答する人が7人。
東西南北にいたっては全員が「意識していない」と回答しました。
回答者に自分なりの迷う原因を聞いてみたところ……
- 視野が狭く、周囲の景色を見れていない
- 建物がすべて同じに見える
- Googleマップを見ながら歩いているので景色まで見る余裕がない
など、景色や目印を覚えていないというより、覚えられないという感覚なのかも。だからこそ「地図アプリは絶対に使って現在地を常に把握する」など試行錯誤している意見もありました。
「大阪の自宅から自転車で1時間ほどの場所に向かったら行きは予定通り到着したが、帰りは3時間ほど迷い、気がつけば京都にいた」という強烈なエピソードも。
妹にも同じ聞き取り調査をすると、「どの建物も似すぎて違いがわからない」「特に行きと帰り道で景色が変わるから、余計に混乱する」「そもそも目的地しか見ていない」と同じような回答でした。
この結果を見て、方向音痴は「一度通った道でも迷ってしまう人」で「地図または目的地だけに集中しすぎている」「景色を覚えていない」ことが迷う原因だと感じました。
- 建物や景色を覚えられない
- 行きと帰りで見える景色が変わると混乱する
- そもそも周りの景色を見ていない
ということは、目印や方向がわかりやすくなれば、迷いにくくなるんじゃない?
想像してみたけれど、合っているのかわからない。なぜならば私は方向音痴ではないから……。
そこで近畿大学 生物理工学部 人間環境デザイン工学科で安全心理学の研究を行う、島崎敢(しまざき かん)先生にお話を伺うことにしました!
どうして人は道に迷うの? どう改善したらいい? 専門家に聞いてみた!
島崎 敢(しまざき かん)
近畿大学 生物理工学部 人間環境デザイン工学科 准教授
専門:安全心理学
事故防止や防災など安全に関係する人間の行動と、その背後にある心の仕組みについて研究し、安全な行動を取ってもらうために有効な情報伝達や安全教育にも取り組んでいる。
教員情報詳細
でも、行きに見た景色を反対から捉えることが苦手な人にとって、ランドマークを覚えるのは苦痛でしょうか? 目印を覚えても、帰り道には行きに見た景色の反対側から目印を探す訳だし……。
方向音痴にきく改善方法はどれ?
島崎先生への取材をもとに、さっそく方向音痴の改善実験をやってみます!聞き取り調査や取材から方向音痴になる理由は
- 目印を覚えていない
- 行きと帰りで景色の見え方が変わるから混乱する
- 方角を把握していないから迷ったときの軌道修正が難しい
と想像し、原因に合った改善方法を試してもらいます。特に妹は「帰り道は景色が変わるから混乱する」心的回転が苦手なタイプだと思うので、それに合う方法を見つけたい……!
実験内容
今回は改善方法として3つをピックアップ。方向音痴という近畿大学の学生3人に協力してもらい、個人の迷う理由に合う方法を1つずつ割り当てました。実験では、ルート1とルート2という道を1回ずつ往復してもらいます。
ルート1は次の通り。
ルート1では被験者がどのように、どの程度道に迷うかを調べます。まず地点A(近畿大学 西門)から地点B(弥生公園)まで私が案内しながら一緒に歩き、次は地点BからAまで、協力者の記憶を頼りに出発地まで戻ってもらいます。
ルート2はこちら。
ルート2では方向音痴の改善方法が有効であるかを調べます。出発前に改善方法を教え、地点A(近鉄長瀬駅)から地点B(デイリーヤマザキ 東大阪柏田店)まで改善方法を使いながら道を覚えます。帰り道は自力で、改善方法を実行しながら地点Bから地点Aまで戻ってもらいます。
ルールとして「本来のルートからずれて3分経ったら私が声をかけ、もとの道に戻す」とします。
いざ実験開始!5時間で3万5,000歩を歩いた結果は……?
3人の実験を通して、どの方法が最も効果的か調べます!実験1 道を曲がったら振り返る
Bさん:近畿大学 情報学部 情報学科2年生。大阪梅田にあるHEP FIVEが集合場所だったとき、駅から出るだけでまず20分迷い、駅から出てHEP FIVEにたどり着くまでさらに20分ほど迷ったことがある
〜地点A(近畿大学 西門)を出てから10分後〜
ルート1の地点B「弥生公園」に到着!
最初は順調でしたが、途中「あれ? この道通ったような、通っていないような……」と混乱
〜ルート1の地点A(近畿大学 西門)に到着〜
次は近鉄長瀬駅から。「簡単じゃないですか! 行きましょう!」とやる気満々
「帰り道はこのような景色なんですね」と、さっそく振り返って確認
〜10分後、ルート2の地点B(デイリーヤマザキ 東大阪柏田店)に到着〜
最初は不安そうにしつつも「この景色見た! ここは右にいくはず」とすぐに理解
〜10分後、ルート2の地点A(近鉄長瀬駅)に到着!〜
Bさんは無事にスタート地点に帰ることができました。
実験2 コンパスを持ち、方角を意識する
Tさん:近畿大学 経営学部 商学科3年生。友達の家から自分の家まで徒歩5分のところ、迷って30分くらいかかった経験あり
周りの景色を見ながら「うわ、すでにちょっとわからなくなってきた」と焦りが見えます
〜10分後、ルート1の地点B(弥生公園)に到着〜
途中、少し迷って道を確かめるTさん
〜10分後、ルート1の地点A(近畿大学 西門)に到着〜
スマートフォンのコンパスを起動。デイリーヤマザキは西の方角
〜10分後、ルート2の地点B(デイリーヤマザキ 東大阪柏田店)に到着!〜
自信満々に進んでいましたが、途中わかりにくい分岐点が
〜10分後、ルート2の地点A(近鉄 長瀬駅)に到着〜
Tさんも近鉄 長瀬駅に戻ることができました!
実験3 ランドマークを覚える
Yさん:近畿大学 総合社会学部 総合社会学科3年生。推し活の一環として、好きなゲーム作品の聖地巡礼で東京に行き、迷って15分ほど同じ場所をグルグルしていた
途中で「うわ、今ここがどこなのかわからない……」と方向音痴らしい発言
〜10分後、ルート1の地点B(弥生公園)に到着〜
「見たことないような景色だけれど、たぶん合っているはずです!……あれ?こんな道あったっけ?」軽く混乱
「道を間違って3分が経ったので、迷った道から戻ります」と伝えると、驚くYさん
〜なんとかルート1の地点A(近畿大学 西門)に到着〜
「動くものを選ぶとわからなくなるから気を付けて!」と話すと、ピンクの豚の看板など動かないものを選んでいました
〜10分後、ルート2の地点B(デイリーヤマザキ 東大阪柏田店)に到着!〜
途中迷いかけるも「豚の看板があるからこの道で間違っていないですね!」と、なんだかバッチリ?
〜10分後、無事にルート2の地点A(近鉄 長瀬駅)に到着!〜
無事に到着しました!
実験の結果
3人との実験で、私はなんと5時間で合計3万5,000歩も歩いていました。そしてみんな「改善方法を実践すれば迷わない」という結果に。それぞれ感想を聞きました。自分に合う方法を発見できたり苦痛に感じたり、感想も人それぞれでした。
方向音痴の改善方法は個性に合わせて考える
方向音痴の人がどうして道に迷うのか、どうしたら改善されるのか。ずっと気になっていた私にとって、すべてが興味深かったです。人によって迷う理由も合う対策も違い、先生が話していた多様性を認めるという「ニューロダイバーシティ」が大きな学びでした。妹は「行きと帰りの景色が変わってわからなくなるタイプ」だけど「そもそも景色を見ていない」「建物の違いがわからない」とも言っていたし、「曲がって振り返る」は苦痛なやり方になるかも。景色がわからなくてもできる「東西南北を把握する」から始めるのが良さそう。
実験しなかったら苦手な方法を押し付けていたかも……と思うと、大変だったけれどやって良かったです!
さっそく妹に合った方法を試してもらいたいと思います! 待っててね!
この記事を書いた人
佐々木英美(ささき えいみ)
近畿大学 国際学部 国際学科 グローバル専攻3年。近畿大学が好きすぎて、世界中に魅力を伝えるべく広報室でインターンをしている。また国際学部生としてアメリカ留学、舞台俳優 として演劇で主役を務めるなど「3つの顔」を持つパワフル近大生!
編集:人間編集部
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