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雑学・コラム

2020.12.09

鉄オタ旅行・刺繍・パントマイム!コロナ禍ではじめた新しい趣味を学生たちに聞いてみた

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
学生ライター
コロナウイルス
趣味

いまだ収束のめどがたたない新型コロナウイルスの感染拡大。旅行やイベントの開催制限が緩和されてはまた制限がはじまるなど、どこまで娯楽を楽しめばいいものか……と難しい判断が続いています。そんな今、大学生は学業以外にどんなことをして過ごしているのでしょうか? コロナ禍で見つけた新しい趣味について尋ねてみました。

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こんにちは。総合社会学部社会・マスメディア系専攻3年の岡島彩乃です。
後期授業が始まってから1ヶ月ほどが経ち、前期から続くオンライン授業も今では当たり前のように感じてきました。しかし、家で過ごす時間が長くなると、体が鈍ったり、気分が暗くなったりしてしまうことも……。

ちなみに私は自宅で喫茶店の気分を味わうためにコーヒーミルを購入し、いろいろなコーヒー豆の飲み比べを楽しむようになりました。

ウィズコロナのなかで大学生はどんな趣味で気分転換しているのでしょうか? 近大生の3人にインタビューをしてみました。
※このインタビューは2020年10月中旬に行いました。

ケース1:鉄道 鉄オタ気質が爆発! GoTo利用で遠方に行脚


浅野 圭佑(あさの けいすけ)

総合社会学科 環境・まちづくり専攻3年



いまこそ客足の遠のいた遠方へ! GoToも利用した鉄オタ旅行術!





岡島彩乃

以前、浅野くんは鉄オタの学生ライターとして長瀬駅に関する記事を書いていましたが、コロナ禍のなかでどんな活動をしていましたか?



長瀬駅の注意喚起アナウンスがKINDAI GIRLSの声に!近鉄職員による試行錯誤の混雑対策


浅野圭佑

GoToトラベルキャンペーンがきっかけで遠方に行くことが増えましたね。東京や伊豆、三重などに行きました。





岡島彩乃

なるほど、鉄オタ活動がしやすくなったんですね! 普段よりどのぐらい安くなりましたか?





浅野圭佑

オープンしたてのホテルだと、GoToキャンペーンとホテル独自の割引の併用で、2泊で8000円ぐらいでした。最近は少しずつ人の数も増えてきた感じがしますが、8月は空いていましたね。バスも利用するんですけど、感染対策で2列の片側を空席にして販売していて、乗車率は半分以下でした。





これは伊豆に行った時のワンショット。晴れの日と休日がうまく重なって、BBQも楽しんだそう。


浅野圭佑

あとは、名古屋に行った時のエスカレーターの写真とか。





岡島彩乃

なんでエスカレーター!?





浅野圭佑

これ珍しいんですよ! 普通は手すりが内側に巻かれていくんですが、これは真下に降りるようになっているんです。世界に3機あるうちの2機が名古屋にあるって聞いたので見に行っちゃいました。鉄オタを拗らせすぎて、無機物全般に興味を持つようになったんですよ(笑)。





名古屋の名鉄百貨店にある、世界に3台しかない垂直落下型のエスカレーター。


岡島彩乃

マニアックすぎですが、これも新しい旅行の楽しみ方かもしれません。その他におすすめの旅行術はありますか?





浅野圭佑

近鉄沿線をお得に旅行するなら、11月4日から販売が始まっている「近鉄全線3日間フリーパス」がすごくおすすめです。3日間3000円で全線乗り放題で、しかもハルカス300(展望台)の入場料や葛城山ロープウェイの運賃が半額になる特典つきなんです。今まで販売されていた「近鉄週末フリーパス」とは違って、平日でも使えるのが嬉しいポイントですね。



※近鉄全線3日間フリーパス:2020年11月4日(水)から2021年2月26日(金)までの期間限定で販売される、フリー乗車券。価格はおとな 3,000円 小児 1,500円。ハルカス300の呈示割引特典の対象は、あべのハルカス16階チケットカウンターで購入する「当日券」のみ。葛城山ロープウェイは、片道または往復の1回限り50%割引で利用可能になる。近鉄全線3日間フリーきっぷ


岡島彩乃

私も近鉄ユーザーなのに知らなかった……。鉄道系のお得な情報を得るのが一般人より早い気がします。





浅野圭佑

鉄道系の情報に関しては鉄道研究会にいる旅行好きな子たちから流れてくるんです。彼らはもっと遠くの宮崎、北海道まで行ったりしてますね。こんなに安くで遠征できるチャンスはもうないと、より趣味に没頭するようになった鉄オタが増えたかもしれないです。距離の感覚がおかしくなって遊び方も豪快になりました。





岡島彩乃

素晴らしい情報網。きちんと感染対策した上での旅行は問題ないですもんね。





浅野圭佑

そうなんです。どうせ旅行に行くなら一円でも安くしたいので、割引をうまく組み合わせて交通費や宿泊費を抑えるんです。あと、現地で美味しいもの食べたいですし。





自分の目で見てきたものを残すためにブログを開設





岡島彩乃

その他にコロナ禍で始めたことってありますか?





浅野圭佑

ブログを開設しました。パソコンを購入してから写真データを整理するようになって、そこから今までやってきたことの備忘録として始めたんです。車両や駅看板などの特徴を忘れないうちに書き留めています。記事を書き始める前に、地下鉄の1日乗車券を買ってどこが変化しているかしらみ潰しに見に行きましたね。





岡島彩乃

すごいですね……。昔からとことん突き詰める性格なんですか?





浅野圭佑

本当は飽き性なんですけどね。人に何か聞かれたときに知ったかぶりをしたくないなと思っていて。自分のなかでの基準として、Wikipediaよりもう一歩踏み込んだ情報を書くようにしています。TwitterなどのSNSも便利ですが、発信した情報が流れていってしまうんですよ。ブログだとカテゴリ別にまとめられたり、ブログ内をキーワードで検索できたりするので重宝しています。今だからこそ推していきたいコンテンツですね。あと、ブログを始めてから物事をじっくり多角的に見るようになったのが良いことだと思います。





岡島彩乃

情報が錯綜する今の世の中で、すごく大切なことですね。





おはようライナーという朝限定の電車。運賃にプラス500円すると確実に座れるという、朝の着席保証の電車だそう。


浅野圭佑

たくさんの車両を撮影するので、それらを路線ごとに記録できるのも嬉しいですね。関東で早朝から撮影しに行ったりもします。



8/13 関東遠征:東海道貨物線編


岡島彩乃

ブログのなかには「イラスト関係」というカテゴリもありますが、絵も描けるんでしょうか?





東武8000系の左が1986年に修繕工事(リニューアル)を受けた車両で、右が修繕前の車両。どちらも浅野くんのイラスト。


浅野圭佑

じつは僕、描き鉄でもあって、絵は5年ほど前から描いています。ブログを始めてから制作過程も記録するようになりました。これは右と左でどこが変わったのかという比較画像です。





岡島彩乃

写真にしか見えないです……。





浅野圭佑

イラスト編集アプリで実際の車両のパーツを作って、それらを組み合わせたり色を変えたりして制作しているんです。





岡島彩乃

クオリティが高すぎる!





浅野圭佑

電車の模型を買えばひとつ2万円ぐらいするところが描けば0円なんです。だったら「描くか〜!」ってなっちゃうんですよ(笑)。描いて撮って旅して、今はいろんな方法で電車を楽しんでいますね。





ケース2:刺繍&ライブ視聴 ふたつの趣味を両立して生活を豊かに


金光 優(かねみつ ゆう)

総合社会学科 社会マスメディア系専攻3年



大好きなラジオを聴きながら刺繍





岡島彩乃

コロナ禍で見つけた新しい趣味について教えてください。





金光優

私が始めたのは刺繍です。せっかくなら何か身につけたいですし、「これをやりました」って言える、かたちに残るものが欲しいなと思って。初めは制作キットを買ってきて、がま口財布を作ったんですが、思いのほか達成感があったんです。それがきっかけで一から作りたくなって、YouTubeの刺繍作家さんの動画を参考にしながら刺繍に挑戦してみました。





岡島彩乃

自分で作ったものが手元に残るのって良いですよね。





金光優

そうなんです。あと、大好きなラジオを聴きながら作業ができるのも、自分に合っているポイントだと思います。今までは散歩しながらラジオを聴いていたんですが、今は時間がありすぎて歩くだけじゃどうしようもなくて(笑)。





岡島彩乃

もともと刺繍に興味があったんでしょうか?





金光優

刺繍は初めてでしたが、手芸自体は小学生の頃にハマっていたんです。それから10年ほどが経ち、自分が本来好きなものを再発見する良い機会になったなと思います。人から影響を受けて好きになったものはたくさんありますが、自分から好きになったものを忘れてしまっていました。良い意味で自分と向き合う時間が増えたと思います。あとは何か特別なものを買わなくても、糸、布、裁縫セットがあれば始められたので、刺繍に挑戦するのはハードルが低かったですね。







岡島彩乃

たしかに裁縫セットって一家にひとつはあるものだと思うので、誰でも気軽にチャレンジできますね。





金光優

そうなんです。無地のバッグやTシャツへの刺繍にも挑戦してみたいなと思っています。





ライブ配信で見つけた新しいファンのあり方



アイドルグループ「=LOVE」と「 ≠ME」の合同コンサート『24girls 2020』オンライン配信鑑賞後の写真。


岡島彩乃

他にハマっていることはありますか?





金光優

裁縫とは全く関係ないんですが、お笑い芸人やアイドルが好きで、最近はライブ配信を観ることにハマっています。東京を拠点として活動している場合、今までは現地まで足を運ぶ必要がありましたが、コロナ禍で始まったオンライン配信のおかげで、家でもライブを鑑賞できるようになりました。YouTubeの生配信でスーパーチャットを送ることも増えましたね。





岡島彩乃

スーパーチャットとは……?





金光優

YouTube独自の投げ銭機能のことです。コメント入力欄のところで金額設定をすると、配信者に送金できるんです。投げ銭をした人の名前はコメント欄に表示されます。



※投げ銭:パフォーマーを称賛したり応援したりする意味で、金銭を投げ与えること。


岡島彩乃

なるほど! それはよくできたシステムですね。





金光優

実際にライブに行って演者に会えないのは寂しいですが、こうして応援できるルートが存在していることに救われています。配信内容によっては名前を呼んでくれたり、コメントを読み上げてくれたりすることもあるので、オンラインでも双方向のコミュニケーションは失われていないんですよ。





岡島彩乃

オンラインでメッセージを送れるなか、あえて手紙を書くことはありますか?





金光優

今までは書いたことがなかったんですが、先日初めて書きました。応援しているお笑い芸人がとある賞レースで優勝した時に感極まって、気づいたらその日の夜に気持ちをぶわーっと書いちゃいましたね。アナログな手段も大切にしていきたいなと思いました。





岡島彩乃

趣味は趣味でも、刺繍とはまた違った良さがありますね。





金光優

そうですね。私の趣味は自分だけで完結するものと、誰かを応援することで成り立つもので二極化しているので、そのバランスが良いのかもしれません。両方あるからこそ毎日を楽しく過ごせているんだと思います。





ケース3:長年やってきたパントマイムを作品に昇華


三浦 大翼 ラファエル(みうら だいすけ)

国際学科 グローバル専攻1年



映像作品としてのパントマイムに初挑戦





岡島彩乃

三浦くんがコロナ禍で新しく始めたことはなんですか?





三浦大翼

僕はパントマイムを使った新しいパフォーマンスを始めました。





岡島彩乃

パントマイムってすごいですね……!





三浦大翼

大学内では他にやっている人を見たことがないですね。パントマイム自体は小学4年生からやっているんですが、コロナ禍で新しく映像作品の制作に挑戦し始めたんです。Retpointsという近畿大学の学生団体に声をかけてもらって出演することになり、それから僕も運営メンバーに加わりました。この作品では音楽とパントマイムを組み合わせています。






岡島彩乃

(映像を観賞して)実際には何もないのに、壁や鳩がそこにあるように見えて不思議です。





三浦大翼

視線ひとつで、物体の有無を表現できるんですよ。壁がここにあると思ったらなくなったり、移動させたりすることもできますし。実際に物体がないからこそ表現のなかでそう見せられるんですよね。これは言葉を使わないからこそ誕生する面白さだと思っています。





岡島彩乃

舞台と映像作品でのパフォーマンスの違いはなんですか?





三浦大翼

目の前にお客さんがいるか、いないかは大きな違いですね。今まではお客さんの反応を見ながら演じるのが楽しかったので。でも、映像は一度作ればずっと残り続けるものなので、時間や場所を問わず多くの方々に楽しんでもらえるのが嬉しいです。映像には映像の面白さがあるし、舞台には舞台の面白さがあるのでどちらも好きですね。





岡島彩乃

先ほど言っていた、言葉を使わないことの魅力ってどこにあると思いますか?





三浦大翼

観る人が100人いれば、100通りの解釈があることです。演じた後に「あれはどういうことなの?」と聞かれることが多いんですが、僕は「自分が感じたままの解釈で良いよ」って話すんです。言葉を使わないことで、言葉のもっと奥にある感情や思いについて考えるきっかけになるんですよね。「目は口ほどに物を言う」ということわざがありますが、その通りだと思います。





岡島彩乃

マスク着用が当たり前になっている今の社会にも通ずるような気がします。





三浦大翼

たしかに。僕は普段から人の目をよく見ていたのですが、コロナ禍でより一層目を見て話すようになりました。表情から感情って読み取ることができるんですよね。





今だからこそできることを模索するように





岡島彩乃

この期間中に何か大きな買い物などはしましたか?





三浦大翼

Retpointsでの活動のために動画も撮れるカメラを買いました。カメラマンが来れなくても自分たちで撮影できるようにしているんです。パフォーマンスだけじゃなくて、照明もカメラも編集もやるようになりました。3分の作品を作るために200本以上撮影したり…。





岡島彩乃

自然といろんな能力が身につきそうですね。





三浦大翼

自分たちで0から作品を作り出すのって、本当に勉強になることがたくさんあります。入学してすぐオンライン授業が始まったので、憧れていた大学生活を送れないことに戸惑いはありましたが、今だからこそできることを模索するようになりました。それこそRetpointsもコロナ禍じゃなかったら誕生していなかったと思います。





岡島彩乃

なるほど。





三浦大翼

今って、何か新しいことを始めたくても、勇気が出なくてチャンスを逃している人が多いんじゃないかなって。僕はそういう人たちの背中を押したいですし、Retpointsを挑戦の場にしてもらって一緒に作品を作っていきたいです。





新型コロナウイルス流行前、舞台でパントマイムを演じていたときの様子。


岡島彩乃

そのような創作活動を見た人が、また勇気をもらうこともありますもんね。





三浦大翼

今はエンターテインメント業界が辛い状況ですよね。「食べる・寝る」とか、本能的なことからかけ離れている娯楽って、生きていく上で必須ではないのかもしれないですが、それが心の拠り所になっている人はたくさんいるわけで。非現実的な世界に連れていってくれて、現実生活での辛いことを忘れさせてくれるのがエンターテインメントの役割のひとつだと思っています。





岡島彩乃

これから新たに挑戦したいことはありますか?





三浦大翼

イベントの人数制限が情勢によって変わるので気をつけなければ行けませんが、今後は映像作品に加えて、フェスなどのライブ感覚で音楽とパントマイムを合わせたイベントを開催できないかと考えています。僕自身がパントマイムに何度も救われたので、これからは僕がパントマイムで多くの人々を笑顔にしたいです。





おわりに


例年とは異なる大学生活のなか、刺繍、鉄道旅、パントマイムと、ひとりひとりが自分に合った生活の楽しみ方を見つけていました。本来好きだったものに気づいたり、物事を多角的に見るようになったり、今できることを模索するようになったり、どんな趣味にも大切なことを知るきっかけが隠れているのかもしれません。

大学4年間は長いようであっという間です。今できないことよりもできることを考え、新しいことに挑戦してみるのはいかがでしょうか?


この記事を書いた人

岡島彩乃(おかじま あやの)

近畿大学 総合社会学部 社会マスメディア系専攻3年

株式会社人間でインターンをしながら、女性のためのイベントFika(フィーカ)の代表を務めている。趣味は音楽制作、特技はラップ。アイドルとフライドポテトのオタク。


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