2020.12.11
バレーとバスケの二刀流!? 1年で三冠王!? 規格外すぎる近大のコンゴ人留学生2人に「同じ目線」で密着インタビュー
- Kindai Picks編集部
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近畿大学にはコンゴからやってきた“規格外すぎる留学生”がいます。ムヤ・フランシス君はバスケとバレーという2つの部活に所属し、その両方でインカレに出場しました。バスケ部のカロンジ・パトリック君は1年生で三冠王を受賞。規格外な結果を出す彼らのルーツにあった「二刀流は当たり前」という考え方に迫ります。
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はじめまして、岡シャニカマと申します。
普段は株式会社人間という会社でプランナーをしています。
私は「10日で1000個、企画を作る」という入社試験をクリアし、1年目ながら「クソリプかるた」という商品を企画してまあまあバズらせた身長186cmの大型新人です(自称)。
そんな初っ端から大口を叩いた私ですが、ここ近畿大学にはもっと大きくて規格外の近大生がいると聞きました。それも2人……!
今、体育館にいるそうなので、ちょっと見に行きましょう。
おやおや? どうやらバレー部の選手に明らかに規格外な人がいますね。
バスンッッッ!!!
間違いありません……。あれが近畿大学の規格外な学生です。
2m超の体格から放たれるミサイルのようなスパイク。圧巻です。
おや、どうやら練習を終えてどこかへ行くみたいですよ。
あれ、今度はバスケやってる……!
どういうこと? 双子? いや違う、だって服装がバレーだ……!!
間違いありません、彼がバレーとバスケの二刀流をこなす規格外な近大生「ムヤ・フランシスくん」です。
ん、よく見るとマッチアップ相手もデカい……!
分りました。完全にあの人が2人目の規格外な近大生、1年生で三冠王をとった「カロンジ・パトリックくん」です。
そう、今回は規格外な近大生であるこちらのお2人にインタビューしていきます!
パトリックくん(左)、フランシスくん(右)
2人はコンゴからやってきた留学生。
彼らの規格外っぷりを根掘り葉掘り聞いていきましょう!(最後、著者が文字通り“体当たり”なインタビューを実行します☆)
コンゴ民主共和国出身、身長2m4cm、体重100kg。15歳で延岡学園高に留学し、3年生の時は全国高校選手権で8強入りを果たす。バスケの合宿で訪れた近大で光山監督にスカウトされ同大学に入学。
カロンジ・パトリック
コンゴ民主共和国出身、身長2m6cm。京都・東山高校で16年バスケウィンターカップにて準優勝。18年近大に入学し、同年「西日本学生バスケットボール選手権大会」にて1年生ながら得点王、リバウンド王、優秀選手賞の3冠を獲得した。
「同じ目線」でインタビュー
今日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
あの、自分何年かぶりに見下ろされてるんですが、お2人の身長をまず聞かせてもらえますか……?
私は2m4cmです。
自分は2m6cmです。
デカ!! え、マイケルジョーダンっていくつでした?
たしか1m98cmですね。
ジョーダンをも見下ろすというのか……この2人は。ちょっとこのままじゃ萎縮していい話が聞けない気がするので、ちょっと秘密兵器を出させてください。
秘密兵器?
スッ……
ジャーーーーン!
はい、これで「同じ目線」に立ってお話が聞けますね! では、気を取り直してインタビューを続けます。
お願いします(笑)
まず、フランシスくんに質問なんですが、バレーとバスケ両方やってましたよね?
はい、今は週6でバレーをやって、週1でバスケをやっています。
マジですか……! え、近大ってバレーもバスケも結構強かった気がするんですが。
どちらも全国大会に出場を決めていて、来週はバレーの全国大会、その次の週はバスケの全国大会に出場する予定です。
漫画やん。え、元々はどっちをやっていたんですか?
元々は延岡学園という高校でバスケをやっていました。
え、あの全国常連の延岡学園……! なんでバスケに集中しないの!?
バスケは3年間やったので、次はバレーをやりたいと思っていたんです。
機種変更かよ!!!
でもコンゴじゃ色々なスポーツをするのが当たり前なんです。自分も向こうではボクシングやってましたし、友人にはサッカーからフェンシングまで4競技以上こなす人もいましたよ。
自分もバスケとバレーに加えて、ラグビーもやってました。
すごいなそれ……。色々やってたのに、延岡で活躍できたりするんでしょ。しかもパトリックくんって、大学1年の時に三冠王とったんでしょ?
はい。「西日本学生バスケットボール選手権大会」という大会で得点王、リバウンド王、優秀選手賞の3つとりました。
規格外も甚だしい!!
二刀流も三刀流も当たり前! コンゴってどんな国?
ちょっとコンゴという国に興味が湧いてきたんですが、向こうではどんな風にスポーツをやっていたんですか?
バスケもサッカーも、コートがそこら中にあって誰でも気軽に楽しめるんです。公園みたいな感覚ですね。
日本では1つのことに打ち込まないと「サボっている」みたいになるから、いくつも掛け持ちするって難しいですよね。
部活とかでは、そこを練習場として使うの?
そもそも、学校の部活がないんですよ。
規格外すぎて同じ目線に立つのは早々に諦めました
部活がない……?
日本でいうところの「クラブチーム」みたいなものが沢山あって、誰でも好きなところに参加できるんです。だから「毎日行かないとダメ」というルールは一切ありません。
なるほど。たしかにそれなら誰もが能動的に「やりたいスポーツ」をやるから、楽しんでスポーツができそうですね。
YOUはどうして近大へ?
どういう経緯で近大に来たんですか? 普通に受験があるの?
スカウトですね。日本以外にもアメリカとか色々な国からスカウトが来て、卒業のタイミングでその国に留学するんです。僕らの場合は高校から留学しているので、中学生のときにスカウトされて。
じゃあ「日本」って国も知らなかったの?
知らなかったですね。
そんな見知らぬ国で高校生の頃からバスケしてたん……! じゃあバスケを通して日本語も学んで、日本人の友達もできていったんですよね。
そうですね。
それで、なぜ近大に? しかもバスケをほぼ捨てて、バレーに。
バレー部の光山監督から直接スカウトされたんです。「お前にはバレーのセンスがある」って。ちょうど「バレーがやりたいな」と思っていたときだったんで、うれしかったですね。
監督すごいな……。
スポーツだけじゃなくて、語学も◯刀流!?
さて、ランチを食べに近大体育会系御用達のデカ盛り店「タコシュー」へやって来ました。2人は何が好きなんですか?
自分は何でも好きですね。フランシスはカレーです。カレーさえあればいい。
そんなカレーフリークなの!?
まあ……。
日本のカレーが好きなんですか?
そうですね、「CoCo壱」が一番好きです。
俺も大好きです!
平均身長198cmの前で小さく見えますが、ボリューム満点です
普通に大学の勉強もやってるんですよね?
そうですね、経営学部の学生なので授業も出ますし、課題もやります。
部活が忙しいのに、大学の講義とか大変でしょ。
はい、分からないところは友達に教えてもらって、助けられながらやってます。
でもフランシスは、コンゴのリンガラ語と英語とフランス語、日本語もできるもんね。
もう何刀流なの……!?
身も心もぶつけ合う。1on1でインタビューだ!
さて、最後のインタビュー場所として、キャンパス内にあるバスケットコートにやってまいりました。
僕たちに挑戦するつもりですか?
その通り。私もライターとして、あなた方の規格外っぷりを読者に伝えるという責務があります。それを果たすためには実際に戦ってみるしかないでしょう?
分かりました。
よし、じゃあまずはフランシスくん! 俺と3本先取の1on1で勝負だ!!
さあ……! こい!!!
パサッ(シュートが入る音)
ぐあぁ!!
圧倒的なフィジカルとスピードの差を見せつけられましたが、ここから奇跡が起きます。
おりゃ!
パサッ
おお! 入った!!
おら!!
パサッ
えぇ! 入った!
すごいすごい(笑)
そして2-2で迎えた場面……
うぉぉぉぉおおお!
パサッ……
入った!(笑)
いよぉっしゃぁああああああ!!!!
すごい上手でした!
やったぜ!! ありがとうフランシス!
高さとパワーを使わずに終始外からシュートしてくれた優しいフランシス
っしゃ……ハァハァ……やるぞパトリック!!
やりましょう。
くっ……スキというか、手加減が一切ない……(泣)
とう!
バン!!
なぬ!! きれいにブロックされた……!
パサッ
ちょ……え? 何が起きたの……?
あっという間に2-0となり。
くそ……! 1本ぐらい止めてやる!!
諦める前に試合終了しました。
コンゴから来た若き彼らの今後
最後に、2人の今後について聞かせてください! まずパトリックくん、将来はどう考えているんでしょうか?
そうですね、とにかく今は目の前の練習を頑張って、まずはB.LEAGUE※を目指したいです。
※B.LEAGUE:2016年に始まった日本のプロバスケットボールリーグ
うん、絶対行けると思う。確信してる。フランシスくんは?
私はビジネスマンになって世界中を飛び回りたいと思っているんです。
え? バレーでもバスケでもなく、ビジネスマン……?
はい。バレーに転向した理由の1つもそこにあります。バスケは企業スポーツ(実業団)がないんですが、バレーなら日本にあります。ちゃんとスポーツもやりながら、企業にも就職して、いつかは自分で会社を持ちたいと思っているんです。
めっちゃ将来のこと考えてるやん……。俺ももうちょっと考えよ……。本当にいい刺激をもらえました、ありがとうございました!
ありがとうございました!
「規格外」とは規格に捉われない生き方なのかもしれない。
色々規格外すぎる2人に話を聞いて、私が強く感じたのは「規格外」とは「客観的な概念」であるということです。
「バレーとバスケの二刀流なんてあり得ない!」「1年生で三冠王なんて信じられない!」と感じるのは、自分の中に固定概念を作ってしまっている証拠なんですね。
でも当の本人たちは「それが当たり前」だと思っている。
つまり、考えていることが最初から規格外だから、行動が規格外になり、結果が規格外になる。
私だって彼らみたいに、規格外のダンクを叩き込めるチャンスがあるってことですよね!
うおぉぉぉぉおおお!!!
ここから1週間、規格外の筋肉痛に悩まされましたとさ。
【お知らせ】
2人の出場する全国大会(通称:インカレ)ですが、フランシスくんの出場するバレーはベスト8という結果になりました。
ですが、バスケはまさにこれからです。
私たちが想像だにしない規格外な結果を見るべく、一緒に応援しましょう!
撮影:納谷ロマン
企画・編集:人間編集部
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