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2026.03.12

吉本新喜劇・川畑泰史さんから学ぶ、すべらないプレゼン講座潜入レポート!

Kindai Picks編集部

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ビジネスコンテストにおけるプレゼンテーションは、起業アイデアや想いを短時間で伝え、資金調達や事業提携の獲得、価値の明確化、信頼性の獲得、そして具体的なアクションを示し、ビジネスチャンスにつなげる重要なものです。

近畿大学のベンチャー企業創出拠点である「KINCUBA Basecamp」では、日々様々なイベントが行われています。 2025年11月、起業を志す学生を対象に開催された、吉本新喜劇の川畑泰史さんによる特別講座「川畑泰史のすべらないプレゼン講座」。

この講座では、川畑さんが吉本新喜劇の座長として培った経験や芸人として身に着けた話術をもとに、ビジネスコンテストなどで投資家や審査員の興味を惹き、勝ち抜くための、芸人としても社会人としても通用する「すべらんプレゼンテーション力」を学生に伝授しました。

KINCUBA Basecamp
KINCUBA Basecamp

学内ビジネスコンテスト「KINDAI Business Contest2025」のファイナリストで、起業を志す学生である、松本峻輔さん(情報学部 情報学科 1年生)と高橋亮太郎さん(理工学部 理学科 物理学コース 4年生)が自身の事業アイデアを紹介するプレゼンを行い、川畑さんのアドバイスを受けることに。さぁ、どんな発表が行われるのでしょうか?

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川畑泰史
川畑 泰史(かわばた やすし)さん
NSC9期生として吉本興業に入社後、1991年吉本新喜劇に入団。2007年から2023年3月まで座長を務める。座長勇退後も、吉本新喜劇のイベントの作・演出、演劇舞台の脚本など、多岐にわたる制作活動を精力的に行っている。現在、吉本興業の芸人養成学校NSCや作家養成学校YCAにて、講師として新喜劇や台本制作に関する授業を担当。お笑いの後継の育成に尽力している。

プレゼンを行う近大生

松本 峻輔さん
(情報学部 情報学科 1年生)
【事業名】Time Turn
【事業内容】「いつでも、どんな時もあなたの心に寄り添うパートナー」可愛らしい女の子のキャラクタ―が、目標設定をし、タスクを逆算してくれるAIアプリ


高橋 亮太郎さん
(理工学部 理学科 物理学コース 4年生)
【事業名】Spec Check
【事業内容】専門家よりも早く、徹底的に、設計段階でセキュリティーリスクを検出するサービス


人を笑わせることは難しい

大きな拍手の中、吉本新喜劇のうどん屋さんのはっぴを着た川畑さんが登場。

川畑さん

「そもそも人を笑わせるのは難しい」と川畑さん。
お笑いの劇場にわざわざ足を運んでいるお客さんを笑わせるのにも、駆け引きや工夫が必要。ビジネスにおけるプレゼンの目的は笑わせることではないので、「笑い」を使って注目してもらう手段にしたい。聞いている人も笑いに来ているわけではないので、笑いに寄りすぎると「ふざけるな!」と怒り出す人もいるかもしれない。「おもしろい」にもさまざまあるので、「あのプレゼンおもろいな。楽しいな」と思われるプレゼンを目指してほしい、とアドバイスしました。

そして早速、学生によるプレゼンのスタートです。

松本峻輔さん(情報学部 情報学科 1年)プレゼンスタート!

松本峻輔さん

サービス名は「Time Turn」。「僕はオタクで、『ウマ娘』のキャラが好き」と自己紹介。受験勉強の苦しみを通して、目標に向かってやろうとしてもできない体験をした。一人でタスク管理ができない悩み。やらなきゃいけないことがわかっているのにSNSなどを見てしまうという統計データを紹介。いろんな時間管理アプリがあるが解決しなかった。そんな時に出会ったのが、松下幸之助氏の『叱ってくれる人を持つことは大きな幸せである』という言葉。自身の経験の中で、友人が自分のことを見てくれて、モチベーションを上げてくれる存在だったことから、一人ではできないことも、寄り添ってくれる誰かとならできる。そこで生まれたのが「Time Turn」というサービス。
このアプリは、かわいい女の子のキャラクターが、目標達成までのやるべきことを逆算して表示するとともに、「叱ってくれる」機能によって、ユーザーが目標にコミットしやすくなっています。AIによる目標へのロードマップがあるので迷うこともなく、本気で努力することに集中できるサービス。オタク向けだと侮るなかれ。意外と大きな市場規模と、その期待値も高く、「『誰もが日々の挑戦にワクワクして、夢を現実に変える世界へ』と繋げていきたい」。

このプレゼンを聞いた川畑さんのアドバイスは?

川畑さんからの感想&アドバイス

川畑さんから松本さんへのアドバイスは2点

①松本さんの明るく親しみやすいキャラクターを前面に押し出そう
より親しみやすくするために、庶民感覚で話そう。スマホをギリギリなんとか使っている〝商店街のおっちゃん″に説明するような口調にしよう。今日のプレゼンでは、〝商店街のおっちゃん代表″みたいな川畑さんにはついていけないところがあった。
「ウマ娘」など、相手が知っているのが当たり前だと思い込んでいる事柄でも、実は多くの人には伝わっていない場合がある。だから、説明する際には相手に合わせて言葉を選ぼう。

②ストーリーを大切にしよう
自分の「ダメなエピソード」を入れる。時間管理アプリを使ったけどダメだった経験、松下幸之助さんの名言との出会いを語ることで、ストーリーがしっかりしてくる。
「TimeTurn」では「アプリの可愛い女の子」=「彼女」(*女性ユーザーなら「彼氏」)に叱ってもらいながら、目標に邁進できるという部分を一番言いたいポイントとしてもってくる。オタクだけが好きそうなサービスだが、実はこの市場はすごいことになっているというマーケティングデータを提示して、ビジネスの可能性をもっとアピールする。

ストーリーの構成の作り方は、うまくまとまっていたのでもったいない!野球でいうと空振りはしていないけど、チップみたいな所が多くて、お笑いの世界では『流れてる』という状態。
「より具体的にアプリの『彼女』とのやり取りを紹介してもいいのかもしれませんね」とアドバイスしました。

プレゼン講座

高橋亮太郎さん(理工学部 理学科 物理学コース 4年)プレゼンスタート!

高橋亮太郎さん

サービス名:「Spec Check」。サイバー攻撃でシステムが停止し、売り上げや株価の下落、ブランド価値の低下などの損失を紹介。経営の最重要課題が「サイバーセキュリティー」で、実は設計段階で予防ができると提案。
某大手企業のセキュリティー責任者の部長との出会いをきっかけに、セキュリティーチェックが難しく莫大な作業量を要する問題を知り、AIを使った問題解決に取り組むようになった。「Spec Check」はAIで仕様書をアップロードし分析させることで、セキュリティ―リスクを自動検出することができるし、AIが管理をしていく。これまでの業務時間を92%も大幅削減を実現できる効果がある。サービスの強み、市場調査、自社の強みを紹介し、「誰もが安心してテクノロジーの恩恵を受けられる社会にしていきたい」。

川畑さんからの感想&アドバイス

事務的な話し方なので、感情移入しにくいデメリットもあるが、でもそれが賢そうにも見えるメリットもあるので活かしていけばOK。

自慢話は自分から言うのはダサいので、〝人に聞かれたから答えるスタイル″がおすすめ。会場にいる人に話を振って、質問をもらう形もいい。でも、相手が都合のいい質問をしてくれるはずもないので、架空の人間を指名して、「実際には言ってもいない質問」をもらった体(てい)にして、〝人に聞かれたから答える″見せ方をするのもあり。
事務的に真面目な話し方をする高橋さんだからこそ、この作戦がより際立つ。

川畑さん

川畑さんが思うおもしろいプレゼンとは?

プレゼンの基本は、誰に向かって、何を訴え、どのような結果を生みたいのかを常に意識すること。
「親に欲しい物をねだる」
「友達をお気に入りのラーメン屋に誘う」
「好きな異性に告白する」など、生活すべてがプレゼンです。

川畑さん

たとえば、難波駅で献血の呼びかけの看板を見たとき、「献血へのご協力お願いします」だけでは通り過ぎてしまう。でも、「AB型が不足しています」という呼びかけを見ると「僕、AB型やから献血していこうかな・・」と思わず寄ってしまう。
〈AB型の人〉に〈血が足りていない〉と訴えかけ〈献血をしてもらう〉という結果を生み出している。身近にたくさんの成功例がある。

大切なのは、話す内容の構成。一番伝えたいこと(商品や企画内容)をオチと考え、そのためのネタフリをしっかり作るやり方です。

おもしろいプレゼンの具体的な構成は

①今から何を話すか、しっかり提示する。
②自己紹介と同時に、今までの失敗や困ったこと、共感を得るエピソードやあるあるを語る。
③「だからそれを考えたのか!」と共感してもらえる動機をしっかりアピールする。
④試作段階での失敗談や失敗作を見せる。
⑤満を持して成功作を発表する。
⑥後半は、「実現可能なのか?ビジネスとして成功するのか?」という相手の疑問点、不安要素を時間の許す限りつぶしていく。

さらにプラスαのテクニックとして、おもしろいエピソードがないときは効果音を挿入すると良い。
M-1の出囃子で登場したり、悲しい時は悲しいBGMとか楽しいBGM、オチの音などを加えると効果的になるし、さらにその音楽を「自分の口で」言う方が、インパクトを残せるとアドバイスしました。

川畑さんの「生活全てがプレゼン」という言葉は、難しいと思われがちなプレゼンは身近なものであり、ビジネスアイデアや企画を説明するだけでなく「物語の構成をしっかり立てて準備する。」そして「伝えるための表現を考える。」ことの大切さを認識する機会となりました。

講演を終えて学生との質疑応答

Q:この人が言ったらウケる。しかしこの人が言ったらウケないということがあると思うんですが、その場で笑いを作るための土台作りってどうしたらいいんでしょうか?

川畑さん
ウケる土台を作る空気って難しい。これはもう実践しかない。僕は『スベり倒す方がいい』と思います。「なんでスベったんやろ?」と考え、少しウケたら、このパターンでウケた。ウケたパターンを他の話でも使うとまたウケると気づいてくる。それを繰り返すと笑いの土台を作るセンスが身に付きます。


Q:自分のキャラとしゃべり方の見つけ方はどうしたらいいですか?

川畑さん
人に、自分について聞いてみるのがいいですね。また自分の普段をスマホで撮影して見てみると客観的に見られるので、分析しやすいですね。


Q:NSCなどでツッコミの教え方ってどうしてますか?やはりセンスですか?

川畑さん
ツッコミはセンスなんですね。NSCで面白い奴がたくさんいる中で焦ってくるんですけど、先輩の木村祐一さんが『センスは持って生まれたものではなく、何を取り入れて、何を残すかで磨かれていく。』と言われて楽になったことがありました。


Q:人前で話すときに気を付けていることは?

川畑さん
どんな感じで話をしたいかイメージをする。大勢見ているけど、一人一人と話す感覚でしゃべるといいと思います。

川畑さん質疑応答

講演を聞いた学生の声

「今日、参加して、どうプレゼンを作っていけばいいかわかりました」(1年・女性)

「物語を作っていくのに、飽きさせずにどう作るのかわかったので、いい講演会でした」(1年・女性)

「たくさんメモをしました。プレゼンの中で、架空の人に話しかけるというテクニックが面白く、一番印象に残りました」(2年・男性)

「生活すべてがプレゼンということに気づいたので、生活の中で探して参考にしていきたいです」(3年・男性)

この講演から、近大らしい《おもしろいプレゼン》がたくさん生まれていくことでしょう。
川畑さん、とてもためになるお話をいただき、ありがとうございました!


当日の動画はこちらから




この記事を書いた人
徳田 博丸
脚本家、放送作家。吉本新喜劇の脚本、演出を20年務め、放送メディア、CMなど多数制作に携わる。ハリウッドの演技手法で芸能人や一般向けの表現指導を行い数々の経営者などを指導。沖縄の伝統芸能の普及と子どもたちの食支援の「みらいチケット」事業にも参加協力している。

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