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雑学・コラム

2020.12.11

農村移住ってどうなの?農業インターンで四万十町に魅了された農学生が過疎集落の魅力を探る

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
学生ライター
農学部

昨今、コロナ禍でテレワークによる都市部集中の働き方が見直されつつあるなか、田舎への移住を考えている人もいると思います。田舎への移住は少子化・過疎化によって人口減に悩まされるローカルの問題解決にも繋がるかも。農業実習で、高知県の四万十町で農業を学んだ農学部生が、田舎で生きることの可能性と魅力について考えてみました。



こんにちは!近畿大学農学部 農業生産科学科3年生の福滿 仁(ふくみつ じん)です!

コロナ禍によるテレワークの導入も一般的になり、東京や大阪などの都市部から離れて、郊外へ移住を考える人・実行する人が増えています。なかには「郊外」を飛び越えて、もっと田舎の方に行ってみたいと考えている人もいるかも。

僕が学んでいる農学部では、授業の一環として農業体験の実習があります。僕は高知県の限界集落や、小さな村のなかで生活をしながら農家さんのお手伝いをすることによって、田舎に魅了されました。またローカルに深く入り込むことで、少子化や人口減に悩まされている現実、そしてそんな状況を改善し、未来へ繋げていこうとする移住者の奮闘も知りました。

暮らし方や生き方を考える人が増えているなかで、僕なりの実体験をもとに、田舎暮らしならではの良さを存分に伝えられたらいいなと思います!


農学部の学びについて




本編の前に、農学部の紹介を簡単にします。農学部のキャンパスは東大阪ではなく奈良にあります。6学科で構成されており、僕はそのなかでもより農業に特化した農業生産科学科というところに在籍しています。学生たちは通称「農生」と呼ばれます。

普段の授業では、農業に関わる一般的なことから専門的な知識、また植物の仕組みなどを勉強しています。

農生の授業のなかで、いちばんの魅力はなんといっても実習です。



農生は1年次に畑が配布され、1年間班ごとに作物を育てます。夏にはその畑で採れた収穫物でカレーをつくり、冬には野菜の販売会をおこないます。また、附属農場でのみかん狩りなど、専攻以外の農業にも触れる機会も多いです。

2年次では1週間ほど各地へおもむき、行った先の農家さんにお世話になりながら農業を体験するインターンの授業があります。そこでより実践的な農業、また農業経営に触れて、よりいっそう農業への理解を深めることができます。

また農業インターンでは地方に行くので、その土地ごとの文化や人に触れ合えるのも魅力のひとつになっています。

僕も農業実習で地方の魅力にどっぷりハマったひとりです(笑)。


農業インターンで学んだこと・体験したこと




僕が農業インターンで訪れたのは、高知県高岡郡四万十町というところです。


高知市内から車で西側に1時間ほど進んだ町で、人口は約17,000人(2015年時点)、美しい水に恵まれ、米やしいたけなどが特産品の農業が盛んな地域です。


四万十町のHPより。自然あふれる土地であることが伝わります。

ちなみに、大阪駅から鈍行列車のみで行くと始発で出てなんとか終電前に着くくらいの距離です(笑)。



作業をしている畑の周りには山が広がり、横には四万十川が流れており、高知の自然を盛大に感じることができる場所でした。

主な作業としては収穫、草刈り、肥料撒きなどでした。作業自体は1年生での畑実習で触れていたので肌感はわかっているはずでしたが、初日から大変なことばかりでした。

まずは実習とは比べ物にならないほどの作付面積。収穫しても収穫しても、広い農地ではなかなか終わりが見えないんです。「いつおわんねんこれ……」と思いながら収穫していました。勉強のための農業ではなく、生きるため、収入を得るための農業の大変さを身をもって知りました。



また実習先の農家さんは有機栽培をおこなっていたので、虫がたくさんいます。農作物を荒らす虫がいたら見つけ次第捕まえて殺さないといけません。

オクラの収穫ではかなりの数のカメムシと遭遇してしまうので、カメムシの臭いと闘いながら処分しました。有機栽培は体力的にも辛いことばかりでハードモードでした。今まで農業に文句しか言ってなくてすみません(笑)。もちろん有機農業も素晴らしいですし、大きな農場で実際に農業をおこなうことで、学ぶことは多かったです。


人の距離が近くてあたたかい四万十町の魅力にハマる



実習期間中お世話になったおばあちゃんと。たくさん食べ物をもらいました。隣にいるのは同じ学科の友人。

ハードな実習のなか癒しだったのは、実習の借宿の近くに住んでいた集落のおばあちゃんと喋ることでした。

そこで土地の歴史を聞いたり、自分たちが何故来たのかを話したり、色々と話すうちに本当のおばあちゃんと話しているような気分になってきたんです。すごくあったかい気持ちでした。

それからというもの、休憩時間はおばあちゃんのところに通いました。時にはご飯を食べさせてもらうことも。知らない人と話すことはあっても、ご飯までご馳走になるなんて、都会では考えられないことだと思います。
見ず知らずの学生にこんなにも親切に接してくれて、本当に人も土地も大好きになりました。


おばあちゃんは商店をやっていて毎日入り浸っていました。町に住む人たちとの交流の場でもありました。

朝から晩までの農作業も、日々の癒しがあるだけで随分と気持ちが楽になり、四万十町での滞在がより楽しくなりました。

人も自然も最高な土地。都会では感じることのできないよさがたくさんありました。またそれが表面的なよさではなく、心の内側があったまるような、なんとも言葉では言い表せないものでした。ここでの生活は心が落ち着くな……。何度もそう思いました。

これからの田舎の生き方を四万十町の移住者と考える


大好きになった四万十町。しかし人口が減り続けているという問題があります。四万十町の山奥の方には、過疎化などによって人口の50%以上が65歳以上の高齢者であり、社会的共同生活や集落の維持が困難とされる「限界集落」も存在します。郊外ではない本当の田舎でこれから生きるには、様々な課題があることにも目を背けてはいけません。

しかし、そうした人口減の地方のなかにあえて移住し、外からの人材を積極的に受けいれながら、ローカルの特色や魅力を生かした地域振興をおこなう「地域おこし協力隊」と呼ばれる人たちもいます。もちろん、四万十町にもいらっしゃいます。
あえて他県から移住したなかで見える、田舎の魅力や課題はなんでしょうか。移住者であり、四万十町の地域おこし協力隊である吉田 健一さんにお話をうかがうことにしました。



吉田さんは富山県に生まれ育ちましたが、大学進学を機に高知県へこられ、奥さんが四万十町出身であったため結婚を機に四万十町に移住されました。

移住したからこそ感じる四万十町の魅力、お仕事のことなどを聞いてみました!



福滿仁:四万十町に移住して良かったところはなんですか?

吉田さん:たくさんあるので、正直言い切れません(笑)。まず自然との距離が本当に近くてコミュニティが密なこと。夜は星が綺麗だし、川や山が近いので季節の移ろいを身近に感じられるところ。人を呼んでもみんないいところだねって言ってくれるとか。とにかく移住して良かったなと感じるところはいっぱいです。

四万十町の地域おこし協力隊が作成した、町を紹介する動画。四季折々の自然の様子と村の生活が収められています。

福滿仁:では逆に、四万十町に移住して大変だったことはなんですか?

吉田さん:結婚して子どもができた時など、大きな病院が近くにないので隣の市まで行くのに1時間くらい車でかかるのが大変ということでしょうか。もし大きな怪我をしても、すぐに治療ができないのが少し不便ですね。

福滿仁:確かに、医療機関が都市部に集中していますもんね。

吉田さん:それにともなって交通費がかかるという点もありますね。まあ、交通費はかかっても、野菜なんかは買わなくていいぶん食費が安くはなりますが。あとは仕事があんまりないことがちょっと大変かな……。

福滿仁:田舎の方が職種が少ないですよね。

吉田さん:そうなんです。だから自分でその土地に馴染んでいって、自分自身で仕事をつくりださないと大変かもしれません。

福滿仁:吉田さんは具体的にどういったことを仕事にしていますか?

吉田さん:僕はパフォーマーとしての顔も持っていまして、小学校にジャグリングを教えに行ったり、また外部からアーティストを招いたアートイベントを主催したりしながら、四万十町を盛り上げることを仕事としています。また、四万十町主催のビジネスコンテストで大賞を受賞して、木製サウナをつくるなど、田舎でしかできないことを主軸に、今後ビジネスに繋げようと動いています。


四万十町の地域おこし協力隊のHPより引用。観光振興や地域産業の振興など、さまざまな分野で移住者の人が活躍しています。

福滿仁:なるほど……。新しい魅力を生んでいくことも田舎の課題ですよね。これからの田舎はどう生き抜く必要があると思いますか?

吉田さん:狭いコミュニティにずっといると、考えも凝り固まってしまうので、意識的に新しい考えを取り入れることも必要だと思います。またそういった新しい考え・新しい人、多様性を受け入れられる準備が大事だと思いますね。

福滿仁:多様性を受け入れることで、コミュニティが活性化されるということですか。

吉田さん:他から来てくれる人によって、地域の人がきづいていなかった意外な良さなどを発見できますよね。田舎が衰退していくなかで、いろんな取り組みや考えが今後の数十年を変えるかもしれない。

確かに人が都市に集中しているなかで、どう人に価値を見出してもらうか、どう需要を高めることができるのか、これから各地方で優先的に考えていかないといけないのかなと思います。吉田さんには、一朝一夕には難しい話だと思いますが、思っていることをまっすぐ話していただきました。


高知の田舎に大学生が「入って・見て」感じたこと




僕も四万十町とはご縁があって1年間で6度ほどお邪魔させていただいてるのですが、毎回、新しい発見があります。それは場所との出会いもそうですが、やはり面白いのは人との出会いだなと感じました。

都会にはあまりいない、心の底からまっすぐであたたかい人に毎回出会い刺激をもらっています。また交通の面など少し不便な点もありますが、想像よりもはるかに住みやすい町。生活をする面でいえば、自分で何かをできるバイタリティがあるなら、不便さよりも魅力が大きく勝ると思っています。

これからより住む場所に対する考えが変わっていくなかで、田舎に住んでみる、というのもひとつの考えとして大いにありではないでしょうか?

僕はといえば、たくさんのいいところは感じてはいるのですが、自分が卒業して仕事をしていくなかですぐに田舎に住みたいかと聞かれたら「はい、住みます」と即答できないのが本音です。

吉田さんも話していましたが、田舎では自分の力で生きていくための行動力が大切です。仕事を探すにも一次産業が多く、都会のように仕事も企業も溢れていないので、社会人経験がまだない自分は、その点では不安を感じてしまいます。

ただ意識的に変わった面はあります。

以前は、就職するなら都会に本社を置く企業で、配属も都市部の方が何かと便利で住みよいだろうなと思っていましたが、田舎の魅力に気づいてから全国展開している企業ならどこの配属になっても楽しめるだろうなと思うようになりました。

そういった考えを持てたことで自分自身の視野を広げられ、選択肢に幅ができたと思います。

長々と書いてしまったかもしれませんが良ければぜひ一度、四万十町に足を運んでみてさい!
そしてこの記事を読んでひとりでも多くの人が訪れることが何よりの幸せです。

あったかい人と広大な自然が四万十町で待っちゅーよ!


この記事を書いた人

福滿 仁(ふくみつ じん)

近畿大学 農学部 農業生産科学科 花卉園芸学専攻 3年

大阪市立東高等学校出身。農学部陸上同好会に所属。9月8日生まれ、3人兄弟の末っ子。家族と彼女が大好き。「愛」とか「夢」って言葉にすぐ心揺さぶられます。欲深く生きてます。


編集:人間編集部

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