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産学連携

2020.03.31

福島県川俣町から9年間の感謝の印。学位記授与式に飾られた約750本のアンスリウム

Kindai Picks編集部

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学生ライター
環境保護
社会貢献
アンスリウム

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本国内だけでなく、世界各地でイベントの自粛が呼びかけられています。学校行事も例外ではなく、近畿大学も、卒業式、入学式及びオープンキャンパスの中止を発表しました。卒業式が予定されていた令和2年3月21日(土)には、インターネット生配信による「サイバー卒業式」が行われ、東大阪キャンパスでは、学部ごとによる少人数の卒業式・学位記授与式が開催されることに。そんな中、キャンパス内には、従来の卒業式のように卒業生が記念撮影を行える、写真スポットがつくられました。今回は前代未聞の卒業式を迎えた学生たちの思いと、式を飾った写真スポットを取材しました。

みなさん、こんにちは。
近畿大学国際学部3年生の寺浦成美です。

私はKindai SDGs Associationという学生団体で、衣類リサイクルやポリエステル媒地の利用促進活動、オーガニックコットンの栽培や商品のプロデュースなど、SDGsに関するプロジェクトに取り組み、少しでも多くの人の環境意識を向上させるため、情報発信を行なっています。

今回取材したのは、3月21日に東大阪キャンパスで行われた、少人数の卒業式・学位記授与式。近畿大学の卒業式では毎年、卒業生のための写真スポットがいくつか設けられていましたが、今年はその中の一つに福島県川俣町からご寄贈頂いた「アンスリウム」約750本が飾られるということで、取材してきました。


衣類リサイクルからできた「ポリエステル媒地」で育った、約750本のアンスリウム


近畿大学は、総合大学としての研究力や実験実績を生かし、2011年に発生した東日本大震災直後から、福島県川俣町の復興支援を続けています。今回は川俣町から、9年間に亘る復興支援の感謝の印として、復興シンボルにもなっているアンスリウム約750本をご寄贈頂きました。



川俣町のアンスリウムは、土ではなく、衣類リサイクルからできる人工媒地「ポリエステル媒地」を利用して栽培されています。この媒地は、本学の社会連携推進センターの田中尚道教授と、アースコンシャス株式会社が共同開発したものです。

震災後、放射能などによる土壌汚染が深刻な問題となっていましたが、このポリエステル媒地を使用することにより、土壌汚染の被害を受けずに栽培ができるようになりました。ポリエステル媒地は土壌に比べて軽量で、排水性・保水性・通気性・肥料の保持力に優れています。土壌害虫の発生を抑えることもできるため、品質や量が安定することも特徴の一つ。さらに、植物を育てたあと、最終的には固形燃料として活用することもできるのです。

今回川俣町からご寄贈頂いたのは、衣類リサイクルでできたポリエステル媒地を利用し、復興のシンボルとして育てられたアンスリウムたち。この取り組みにより、令和初の卒業式(学位記授与式)には素晴らしい写真スポットがつくられました。


さらなる復興を。エコな方法で支援を続ける田中教授


ポリエステル媒地の開発に携わり、PR活動やイベント開催など、福島県川俣町の復興支援もされてきた、社会連携推進センターの田中尚道教授にインタビューしました。


復興イベントの準備にあたる田中尚道教授(画像左)

ーー福島県川俣町の復興支援をされてきた9年間を振り返って、どう思われますか?

これまでに経験したことのない大規模な地震、津波、さらに原子力災害に遭われた方々が、一日も早く故郷で安心して暮らしていけるような支援ができたら、という思いで東日本大震災大震災復興支援室に参加させて頂きましたが、あっという間の9年間でした。アンスリウム栽培が、少しでも川俣町のお役に立てたのなら嬉しいです。

ーー社会連携推進センターの一員として、これからどのようなことに取り組んでいきたいと思われますか?

川俣町のさらなる復興に向けて、支援を続けていきたいです。具体的には、新たな特産物の生産や加工などに関する、産業復興を中心とした活動ができたらと思っています。

ーー卒業生に向けてアドバイスをお願いします!

「考えて行動する」。要するに、考えるだけではなく、思いついたことは何でもやってみることが大切だと思います。前進あるのみ!


学生生活を終えた卒業生はどのような道へ進むのか。新たな夢の実現へ!


学生として最後のイベントである卒業式が中止となってしまいましたが、少人数の卒業式・学位記授与式には、たくさんの学生が袴やスーツ姿で参加していました。みんな大学生活を振り返って笑ったり、仲間との別れを惜しんでいる様子。大学生活を終えた今、彼らは何を思うのでしょうか? 数名の卒業生にインタビューしました。


左:国際学部卒 井上彩那さん、中央:建築学部卒 遠山綾介さん、右:国際学部卒 中谷汐音さん

ーー大学生活を振り返って、どのように思われますか?


井上彩那

本当にあっという間の学生生活でした。国際学部なので、1年次からアメリカへ留学していたんですが、帰国した時に、一大イベントが終わってしまった感じがして、「あと3年間どうしよう」と悩みました。でも、そのときに何がしたいか、どうしていくかという計画を立てることの大切さに気づけたので、とても充実した学生生活が過ごせたと思います。





遠山綾介

一言でいうと、やりたいことができた学生生活でしたね。1年生の時に「Reeeecher」という地方創生団体を立ち上げたり、「Perspecti部」という団体で、CGを使った建築を教える活動を行ってきました。「“やりたい”を行動にする」を繰り返してきたと思います。





中谷汐音

高校生活の3年間よりも、短く感じた4年間でした。高校では授業時間が決まっていて、毎日同じようなルーティーンで生活していたけれど、大学は授業も自分で選んで、毎日いろんな人に会って……。同じことの繰り返しがなく、とても充実していました。



ーー卒業後の進路や、将来の夢を教えてください。


中谷汐音

私は、東京のホテル業界に就職します。ディズニーリゾートのおもてなしが大好きで、中学生の時からホテルで働きたいという夢があったんです。全国でNo.1のホテルマンを決めるコンテストがあるんですが、それに出場することが、私の次の夢です。





遠山綾介

卒業後は、関東にある建築設計事務所に勤めます。ゆくゆくは建築と事業のプロになりたいです。現在、空き家の増加が問題になっているので、学生団体での経験を生かして、新たな事業を実行できたらなと思っています。





井上彩那

私は、ITと広告を掛け合わせたウェブ広告会社に就職します。死ぬ前に「ああ、あれやっておけばよかったな」と思わないように、これからもやりたいことや楽しいことをどんどんやっていきたいです。





近大×福島でつくられた写真スポットと、学生たちの輝く笑顔



撮影にご協力頂いた国際学部1期生の卒業生の方々

川俣町のアンスリウムで飾られたフォトスポットでは、多くの卒業生が記念撮影を行っていました。アンスリウムがポリエステル媒地を利用して栽培されたことを伝えると、「すごい! 近大はそんなこともしてるんだ、知らなかった!」とみんな驚きの声をあげていました。

9年間にも亘る復興支援活動が学生に認知されていないことはもったいないと感じましたが、今回のフォトスポットの存在が、取り組みを知ってもらう大きなきっかけになったのではないかと思います。大学と地域が協力することで、新たな出会いが生まれ、お互いに学び、助け合うことができる。フォトスポットは、こうした取り組みの象徴になったのではないでしょうか。

2020年、既にさまざまなことが起こり、多くの人が不安を抱えています。しかし、今回インタビューした卒業生は、このような状況の中でも夢や希望を持ち、学生生活について「とても充実していた」と振り返っていました。新たな人生のスタートを迎えようとしている卒業生たちは、アンスリウムのように美しく輝いていました。


(おわり)


この記事を書いた人

寺浦 成美(てらうら なるみ)

近畿大学 国際学部 国際学科 グローバル専攻 3年
1月11日生まれ。高校1年時にニュージーランドへ1カ月、大学1年時にアメリカのフロリダ州マイアミへ8カ月ほど留学していました。趣味は旅行、カフェ巡り、ショッピング、音楽です。


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    撮影:寺浦成美
    編集:藤間紗花

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