2018.10.17
本当に強いの?アジア大会で金メダルを取ったウイイレ日本代表選手と対戦してみた
- Kindai Picks編集部
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近い将来、五輪競技になるといわれるeスポーツ。2018年9月に開催されたアジア競技大会でも、デモンストレーションとして数種目が採用され、『ウイニングイレブン 2018』は日本代表が優勝しました。代表選手の1人が近畿大学経営学部4年生の杉村直紀さん。競技人生や上達の秘訣を、ゲーム好きライター・ニシキドアヤトがインタビュー! ウイイレの真剣勝負も!
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いや~~、やっぱりウイイレは面白いな~~~。
Kindai Picksをご覧のみなさま、はじめまして。
ライターのニシキドアヤト(@art_0214)と申します。
初っ端からゲームで遊んでてすみません。
僕がプレイしているのは『ウイニングイレブン 2018』(※以下:ウイイレ)。
コナミデジタルエンタテインメントより発売されている、日本で一番有名な大人気サッカーゲームです。
©Konami Digital Entertainment
歴史の長いこのゲーム、学生時代のサッカー部の友達は全員ウイイレをプレイしていたし、「俺、ウイイレなら絶対負けへんで」という【ウイイレマウント勝負】が今もどこかで繰り広げられているといわれているほどのシェア数を占めています。
そんなウイイレがゲームをスポーツ競技とする「eスポーツ」として、国体(国民体育大会)の文化プログラムにて開催されるのをご存知でしょうか。
さらに! なんとウイイレが将来、オリンピックの正式種目としての採用も期待されているとのことです! すごい! ゲームがオリンピック種目なんて、ゲーム大好きな僕にとって夢のような出来事だ……。
それにしても、こんなゲームの大会に出場する代表選手というのは、一体どんな人なんだろう? 「一日のうち、寝る以外はゲームしてまぁす!!」という感じなのか……?
気になる~~!!
ウイイレ日本代表選手に話を聞いてみた
とても気になるので今回、近畿大学経営学部の4年生で、ウイイレの日本代表の、杉村直紀選手(プレイヤー名=SOFIA)にお話しを伺いました!
杉村さんは、9月にジャカルタで行われたアジア競技大会のデモンストレーション競技、eスポーツ『ウイニングイレブン 2018』の日本代表選手。近畿大学経営学部4年生です。
杉村さん、本日はよろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします!
さっそくお聞きしたいんですが、ゲームは一日に何時間くらいプレイされているんですか? やっぱり、寝る時以外の時間は全てゲームに費やしているんでしょうか?
全然そんなことないですよ! そんなに長時間プレイしていなくて、最近だと平日は一日2~3時間くらいですね。
え! 思ったより大分少ない! トイレに行く時間も惜しんでペットボトルで用を足す、「ボトラー」レベルなのかと思ってました!!
なんですか「ボトラー」って……? 早い段階でそのめちゃくちゃな誤解が解けて、とてもホッとしています。
でも、日本代表選手になるくらいなので、もっとプレイしているものなのかな……とは想像してたんですが……。
そうですね。昔は「一日にどれだけプレイする時間を捻出できるか」という感じで、毎日10時間以上練習していた時期もあったんですが、最近では自分の調子を保つくらいの練習量になってます。
なるほど、がむしゃらに何時間も練習すれば良いわけではないんですね……。根を詰めすぎるのが良くないのは、eスポーツでも同じなのか……。
ウイイレ日本代表選手に挑戦
5月5日は #PESリーグ ヨーロッパラウンドを実施し、日本のSOFIAが1v1部門で優勝しました!
— ウイニングイレブン (@we_konami) 2018年5月8日
【1v1部門 優勝】
SOFIA(Japan)
【CO-OP部門 優勝】
Broken Silence(Italy+Spain)
今大会の結果、7月の「WORLD FINALS」に日本のSOFIAとmayagekaが進出!#ウイイレhttps://t.co/7iNoAOpfPv pic.twitter.com/83JsEXQJ6J
少し遅くなりましたが、日本に金メダルを持ち帰ることが出来ました。
— SOFIA (@sofia_osaka) 2018年9月4日
個人としては悔しい思いをしましたが、レバ君の大会毎の成長と、皆さんの喜ぶ姿を見ることが出来たのが何よりも嬉しかったです!
皆さん、本当に手厚いサポート・ご声援ありがとうございました! pic.twitter.com/kbEMXutV4o
今年はご活躍が続いているそうですね!
そうですね、ありがたいことに「PES LEAGUE WORLD TOUR 2018※」のヨーロッパラウンドと「第18回アジア競技大会」ジャカルタ・パレンバンに出場させてもらい、優勝しました!
※PES LEAGUE WORLD TOUR 2018:『ウイニングイレブン 2018』No.1プレイヤーを決める世界ツアー。欧州サッカー連盟主催のリアルサッカー大会「UEFA Champions League」公式認定を受けている。
すごい……! あの、ちなみにいやらしい話なんですけど、優勝賞金っていうのはおいくらほどもらえるんですか?
ヨーロッパラウンドで80万円、アジア大会は賞金はなく、メダルの贈呈だけでした。
おぉ、なるほど……。思ったより少ない……んですかね……。
そうですね、去年でいうと、ヨーロッパラウンドの優勝賞金は2000万円だったんですよ。
え!!! 全ッッッッ然違うじゃないですか!!!! なんでそんなに差が出るんですか? KONAMIがケチった……?
そういう訳ではなく、代わりに今年は去年に比べて賞金の出る大会が数多く開催されているんですよ。その分プレイヤーは大会に出場する機会と賞金を手にする機会に恵まれるわけです。
なるほど……。その分、これだけで生活していくには勝ち続ける必要があるわけですね。
ちなみに、今日はその「PES LEAGUE WORLD TOUR 2018」ヨーロッパラウンドの優勝トロフィーを持ってきました。
おぉ...! これが……!!
実際に持たせてもらいました。ズッシリとした重さ。これが世界の重み……!
杉村さん、突然なんですが。
はい。
このトロフィー、いただけませんか?
……???
えっ、嫌……ですけど……。
もちろんタダでとは言いません。ウイイレで杉村さんと勝負して、僕が勝てたらいただけませんか?
あぁ! なるほど! それなら全然大丈夫ですよ!!
めっちゃめちゃにハンデつけますよ?
大丈夫です。大丈夫です。
凄い自信だ。じゃあ、もう準備してあるのでそこでやりましょうか。
というわけで、
杉村さんと優勝トロフィーを賭け、ウイイレ勝負をすることに。
ちなみに僕はこの日に備えて、家でウイイレをめっっっっちゃ練習しました。
仕事を放棄してめっっっっちゃやった。マジで。
だって自慢したいじゃないですか。
「ウイイレ日本代表選手に勝った」とか、「ウイイレ日本代表選手と接戦した」とか言いまくって今後も発生しうる「ウイイレマウント勝負」を有利にしたいじゃないですか。
©Konami Digital Entertainment
そしてハンデ内容なのですが、杉村さんが日本代表、僕がアーセナルというめちゃくそ強いクラブチーム(ウイイレではスピードの早い選手の方が有利で、アーセナルにはそういったスピードとテクニカルを兼ね備えた選手が多い)を選択。
分かる人には分かると思うんですが、これだけでもかなりのハンデです。さらにそれに加え、杉村さん率いる日本代表の選手は全員絶不調。僕のアーセナルは全員絶好調にしてもらいました。(調子によって選手のあらゆるステータスが左右される)
杉村さん、こんなめちゃくちゃなハンデ、後悔しますよ? 僕、本当に結構練習しましたからね。
確かにハンデを付け過ぎたかもですね。でもまぁ、とりあえずやってみましょう。
その余裕ぶった顔、グチャグチャにして二度とコントローラーも持てないようにしてやるぜ……。
こわいな。
©Konami Digital Entertainment
そして試合がスタート!
おらぁぁぁ!!!ぶっ潰したらぁぁぁぁ!!!!
©Konami Digital Entertainment
ゴォォォォオオオオオオル!!!!!!
えっ
日本(杉村さん)先制!
ゲーム開始約30秒の出来事(ゲーム内では4分ほど)でした。なにこれ? どういうこと?
いや、まだ開始直後だし、ここから取り戻す……! 大丈夫。この日の為にいっぱい練習したから、大丈夫……、大丈夫……。
(そう……、あの練習の日々を思い出すんだ……!)
ー40秒後ー
©Konami Digital Entertainment
ゴォォォォオオオオオオル!!!!!!
??????
ま、まだだ……、まだチャンスはある……!
(そうだ……、辛い練習にも耐え、一番強い設定のコンピューターにも勝てるようになったじゃないか……! チャンスは必ず来る……!!)
©Konami Digital Entertainment
ゴォォォォオオオオオオル!!!!!!
ア……アアァァ……。
©Konami Digital Entertainment
ゴォォォォオオオオオオル!!!!ゴォォオオル!!!!ゴォオル!!ゴォル!ゴル!ゴルゴルゴル!ゴォォォォオオオオオオル!!!!
ああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
もう嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!
©Konami Digital Entertainment
そして試合終了。結果はなんと9対0。本当になんだこれ。
アーセナルの選手も頭抱えちゃってるじゃん。
「悪い夢でも見ているようだ」みたいな感じになっちゃってんじゃん。
©Konami Digital Entertainment
こちらが対戦戦績です。
杉村さん率いる日本代表のシュート数が17本に対して僕率いるアーセナルのシュート数は1本。こんなことって、ある?
それもそのはず、杉村さんはパスカットがめちゃくちゃ上手く、僕のパスはことごとくカットされまくりました。
これが……日本代表選手の実力……か……。
この試合をYouTubeにアップしているので、僕がボッコボコのボコにされている試合を見たい方がいればこちらからどうぞ。
ウイイレを極めようとしたきっかけ
我がアーセナルが日本代表に歴史的大敗を喫し、杉村さんの実力を十分に理解したところで、再びインタビューに戻ろうかと思います。
杉村さんの強さの根源、なぜウイイレを極めようと思ったのか。気になることだらけです。
ウイイレ自体はいつ頃からやり始めたんですか?
小学4年生くらいからですかね。なので、10年くらいコツコツとプレイしてます。
そんなに前から!
とは言っても、そのころは「友達グループの間では強い程度」でしたね。
学年で「あいつは上手いらしい」とちょっと噂になる感じのやつですね。そこから、なぜウイイレを極めようと?
大学生になってから結構時間が余るようになって、友達とかはみんな研究とかバイトとかを始めてたんですよね。そこで「僕も時間あるし、なにかみんなと違うことを突き詰めたいな」と思うようになって。
ほうほう。
それで自分が今まで続けてきたことはなんだ? と考えた時に、「シリーズを通してずっとプレイしてきたウイイレかな。ウイイレを極めてみようかな」となったんです。
普通そこでウイイレ出てくる……? でもまぁ、それだけ好きということですよね。
そうですね!
これ、個人的に気になるところなんですが、「俺はウイイレ日本代表選手になるぞ!」と思っても普通なれるもんじゃないし、そもそもどうやってなれるのかも分からないじゃないですか。杉村さんはどういった経緯で日本代表選手という地位を手に入れたんですか?
僕はずーーーーーっとオンライン対戦で遊んでるうちにランキングもかなり上位に食い込んでいて。『ウイニングイレブン 2017』でプレイしていた時期に、KONAMIさんからオンラインランキング上位入賞者が集まる大会に招待してもらったんです。
あぁ、なるほど、KONAMIさんからそういう招待がくるわけですね。遠征費なんかもKONAMIさんが出してくれるんですか?
そうですね、ありがたいことに。その後は大会で良い成績を残していって、そうしている内に日本代表選手に。という感じです。
めちゃくちゃ凄いことしてるのに、めちゃくちゃザックリと話すな……。
KONAMIの公式HPに記載されている杉村さんの紹介ページ。「ワールドツアーランキング2位」。すごい。
ご家族は杉村さんの活動についてはどう思われているんですか?
おばあちゃんが特に厳しかったですね。やっぱりゲームなので……。ただ、大会に優勝したり、ウイイレのおかげで海外に行ける話なんかをしてやっと理解してもらえるようになりました。
それは良かった……。ウイイレ以外に趣味はあったりするんですか?
サッカー観戦ですね。
結局サッカーかい。杉村さん自体もサッカー経験はあるんですか?
ありますね。ディフェンスとかは実際のサッカーと近いところがあって、ここはボールに積極的にいくべきなのか、全員で守るべきなのか、サッカーを理解していないと難しいところかもしれません。
でも確かに、さっきの試合ではアホみたいにパスカットされたもんなぁ……。完全に僕がどこの選手にパスを出すか読んでましたよね。
そうですね。ランキング上位で強い人はサッカー経験者が多いですよ。攻撃の仕方や戦術、配置とかによってかなりゲームが変わってくるので。
やはりそこはリアルサッカーを知っていないとしんどいのか……。
でも、リアルサッカーを全く知らないのにすごく強い人とかもいて、それは凄いな……と思いますね。そういう人と対戦すると、めちゃくちゃやりにくいんですよ。意外性のあるプレイが多いので。ニシキドさんも、わけのわからない動きばかりするからやりにくかったです。
褒められてるのかバカにされてるのか分からないな……。
日本代表としての今後の目標
実際に日本代表として試合をする際には、海外に行くことも多いわけじゃないですか。
そうですね。
慣れない環境とかで、プレイに影響が出たりはしないんですか?
もちろんそれもあるんですけど、ウイイレのネット対戦って国内でしかマッチングしないので、そういう大会でしか海外の人と試合をする機会がないんですよ。
え! そうなんですか?
はい、なので国内と海外で流行ってる戦術とか、プレイの仕方が全然違って、そこに対応するのが凄く大変でしたね。まぁ、これはあちら側も同じことではあるんですが。
なるほど、国によってプレイヤーのスタイルが全然違うわけですね。
そうです。でもそういう機会がないと海外の方々とは対戦ができないので、貴重な経験ですね。
前向きな発言だ……。大学卒業後の進路は決まっているんですか?
大学卒業後は就職すると決めてます。ウイイレは続けていきたいですね。
おぉ、就職されるんですね……! では最後に、杉村さんの今後の目標などあれば教えてください。
そうですね、もちろん僕自身がウイイレの日本代表として頑張っていくのはもちろんなんですが、やっぱり「ゲーム」ということでまだまだ冷ややかな目で見られることが多いんですよね。それでも最近は様々なプロゲーマーさんや業界の努力で認知され始めてはいるんですが。
確かに、eスポーツに対しての世間一般的な認知度や理解度というのはまだまだ低く感じますね。
はい。なので僕も、自分のウイイレの活動を通してそういったところに貢献していって、職業として、将来の夢として堂々とプロゲーマーを名乗れるような世界にしていきたいと思っています。それが結果的にウイイレ人気にも繋がってほしいですね。
ウイイレやeスポーツ界に対する愛が溢れかえっている……。杉村さんの今後のご活躍にも期待しています! 本日はありがとうございました!
最後に
最後に二人で。
最後までご覧いただきありがとうございました。
「ゲームをプレイしてお金をもらう」
子どもの頃の僕が聞いたら泣いて喜ぶような話ですが、その枠に選ばれるには途方もない努力が、そして選ばれた後には様々な期待という名のプレッシャーを背負いながら戦い続ける。
勝負の世界で生き続ける大変さというのが、取材を通してひしひしと感じました。
その重責に打ち勝ち、今回アジア大会に見事優勝し金メダルを日本に持ち帰った杉村さんには、eスポーツ、そしてウイイレ普及の為、これからも頑張っていただきたいですね!
それでは今回はこの辺で。
ニシキドアヤトでした。
ちなみに取材後に再度勝負を挑んだのですが、11対0で惨敗しました。なんなんだよ。
All copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are used under license.
©Konami Digital Entertainment
(終わり)
ライタープロフィール
ニシキドアヤト
1991年の2月に生まれた、フリーのWEBライター。
お風呂に入ると手がシワシワになる不思議な現象に対して、「不思議だなぁ」と思っている。趣味はネット徘徊。
Twitter:@art_0214
企画・編集:人間編集部
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