機械工学科 機械工学コースは、工作機械、輸送機械など、ありとあらゆる機械を形づくるうえで必要な設計・生産技術について学びます。いわばものづくりの根幹を支える学問ですね。力学や物理学、製図といった機械工学の基本を学んでからは、CADを使った機械設計がメインになりました。

電気電子工学科に2つあるコースのうち、私はエレクトロニクス・情報通信コースに所属していて、コンピューターの中身について幅広く学んでいます。研究では主にプログラミングとか人工知能とかウェブアプリの制作を行っています。

社会環境工学科は、街づくりをテーマに道路や橋梁、港湾の整備計画から設計・施工、維持管理までトータルで学ぶ感じ。私は特にメンテナンスの分野に興味があって、橋を補強する紫外線効果型シートを用いた構造物の補修・補強工法に関する研究をしています。

私は小さいときから国語よりも数学や理科の方が得意で、高校生になってから物理に興味を持ったんですが、なかでも力学がおもしろかったので機械工学科に進みました。

私もずっと数学が好きで、反対に国語は本当に苦手で。特に文章問題なんかは、解答を見ても「なんでこの答えなの！？」って全然納得いかなくて（笑）

その気持ち分かる（笑）

私は父がパソコンを触るのが好きだった影響で、幼少期からコンピューターの分野に興味があったんです。理系を選択したのも自然と好きな方を選んだだけで……。中高と女子校だったからか、大学に入るまで「理系＝女子が少ない」ってことを知らなかったんですよ。

えーー！？ そっか、女子校だと男女比とか気にしないもんね。

高校では11クラス中4クラスが理系クラスだったから、電気電子に入って女子の同級生が3人しかいないのにめちゃくちゃ驚いて（笑）

私も女子が多い高校で、理系のクラスも男女比は半々くらいだったから、大学ではじめて圧倒的に男子が多い世界だって気づいた（笑）。社会環境工学科の4年生は女子12人いるけど。

機械工学科の4年生は男女合わせて160人ぐらいで、そのうち女子が6人だよ（笑）

うちの両親からは、むしろ「理系に行きなさい」って勧められました。「就職活動や将来を考えると、理系の方が有利」って。

私も、女子だからって理由で理系への進学を反対されることは特にありませんでした。両親は「人生、失敗しても成功しても自分で選択することが大切」って応援してくれましたね。

私の周囲も「やりたいことをやりなさい」って言ってくれました。高校の先生が機械系の出身で「男ばっかりだけど大丈夫？」とは聞かれたけど。近大を選んだ理由は、金属を切削加工するマシニングセンタとか、3Dプリンターとか……設備の充実度が決め手でした。

工学系の機械だけでなく、アカデミックシアターとか最近オープンしたこの場所「THE GARAGE※」とか、他の大学にはない設備があるよね。

専門分野からは外れるけど、私は英語村※で海外の先生と交流したり、学部の違う友達をつくったりできるのもうれしい。研究室から英語村のある西門までは歩いて10分くらいかかるけど、お気に入りのスポットです。

アクティブだな〜。私には他の学部の人はすごくキラキラして見えてほとんど交流してないです。空き時間は基本的に研究室にこもってます。英語村の周りもなんとなく場違いかなって感じて近づけない……。そもそも人混みが苦手で……。

場違い感、共感できる……！ 雰囲気からいっても、文系と理系でエリア分けがあるよね。総合社会学部の校舎の前のKUDOS（情報処理教育棟）とか、ダンスの練習してる人がいたり、国際学部の校舎の前は派手な髪色の人がたくさんいたりするイメージ。

吉岡さんの社会環境工学科は、理系のなかでも華やかなイメージがありますね。

え、華やかなイメージなんてあるの？ 「社会環境」って言葉がそう思わせるのかな……。実際は、社会基盤の整備や自然災害に備えた建設技術者を育成する学科なので、いわゆる「土木」の世界なんです。現場にも行くので作業着とヘルメットっていうスタイルで勉強してるよ（笑）。研究室を決めるときの面談でも、先生から「コンクリート運ぶけど大丈夫？」って心配されたし（笑）

名前の印象と全然違う……！

でもそのぶん、普段の服装には気をつかうようになりました。土木っていうと地味な女子が多いのかな……って偏見があったけど、入学してみたらみんなすごくおしゃれで。男子にしても「チェックのシャツにメガネ」ってわけじゃない（笑）。休みの日は同じ学科の女の子とカフェ巡りしたり、USJに行ったりしてます。

ちゃんと女子大生っぽいことしてる〜！ 機械工学科はそんなことなくて、おしゃれを気にしなくていいことが気楽でいいかも（笑）。男女問わずゲーム好きが多いから、放課後はもっぱらFPS※やってるし。授業では話したことないけど、ゲームで仲よくなった人もいて。いまハマってるのが『Apex Legends』なんだけど、みんなで協力するのが楽しいから朝まで夢中になる日もある。

分かる！ 電気電子工学科もゲームやってる人めちゃくちゃ多い！ 休憩中の教室には、よく銃声が響いてます。誰かFPSやってるんだなって（笑）。私も友達に勧められて『荒野行動』にハマってます。6年間女子校だったので、最初は隣に男の子がいる状況にドキドキしていたんだけど、ゲームのおかげで少しずつ打ち解けられた気はするな〜。

私は共学の出身だから男友達に抵抗はなかったけど、男子に囲まれる学生生活になじめるかは、理工学部の女子に共通するテーマだよね。

だね。ただ、一度その環境になじんでしまえば、やりにくいことはないと思う。実習で男の子が率先して力仕事を引き受けてくれたり、グループワークなら必然的に女子が1、2人になるけど、こっちの発言がないと話を振ってくれたり。そういう気づかいをしてもらえるのはありがたいな。

でもその反面、授業で当てられやすくない？（笑）

あるある！ 先生も「女子の意見も聞いておこう」って考えるのかもしれないし、女子が少ないから目立つのかもしれないけど、授業中は緊張感があるよね（笑）。そこはちょっと覚悟が必要かも。

先生が気をつかいすぎている気がする！ ただ、裏を返せば就職活動でもそういうことがあるのかなって。結果的にそこはラッキーかなと。

う〜ん、どうだろう。優しくはしてくれるけど、特別扱いってほどでもないです。男子は普通に友達って感じで、いわゆるオタサーの姫みたいな状況はないですよ（笑）

学科の友達は彼氏がいるみたいですけど……。モテる人はモテるんじゃないですかね（笑）

学科の友達とは恋愛に発展しないかも……。あと、学科内で付き合うと、すぐうわさになって大変そう。

社会環境工学科はゼネコンやコンサルタント、公務員の道に進む人が多いんですけど、私は第一志望の自治体の土木技術職に就職が決まりました。民間は施工段階が中心ってイメージだけど、公務員なら構想段階からその後の維持管理まで、幅広く携われることに魅力を感じたので。

私は建設機械に入ってるフィルターのメーカーに就職します。機械系なので、周りを見ても設計とか開発の仕事が人気ですね。橋本さんは？

私はゼミでの研究がすごく充実していて、もっと専門性を高めたかったから大学院への進学を決めました。親の背中を見ていたから、小さいころは学校の先生にって夢もあったけど、いまはエンジニアとして活躍したいと思っています。

困ったことではないけど、やっぱり公務員試験の面接でも「体力はあるか？」とは聞かれましたね（笑）。それ以外は、女子が珍しい土木技術職だからむしろ有利に働いた気がします。

「なぜ女子が技術職を？」みたいな話は聞かれますよね。でも、女性技術者のニーズは高いし、きちんと答えられればいいよね。女性が少ないなかでアピールできれば、大きなアドバンテージになる。

女子でこの分野の大学院に進む人は少ないですよね。結婚や出産のタイミングを考えたりして、親に大学院に行くことを反対される人も多いみたい。でも、技術を学んでおけば、結婚や出産をしても仕事には困らないと思うんですよね。

子どものころは歌手になりたいって思ってました（笑）。図工の時間、木彫で歌手になった自分の作品を彫ったくらい。ごく普通の女の子でしたね。

私は、ピアノを習っていたからピアニストになるのが夢でした。

両親の影響で学校の先生になりたかったけど、自分の得意分野が分かるにつれて夢も変わってきましたね。

男兄弟がいるから電車のおもちゃで遊ぶこともあったけど、やっぱり人形遊びもしていました。

うらやましいな〜。私はラジコンがほしかったけど、どうしても親に言えなかった。男の子の遊びっていうか、機械がからんでくるとどうしても女の子とは縁遠いって固定観念、思い込みもあるんだろうね。やっぱりそういう面で男女の育ち方に違いはあるよね。

でも、自分がやりたいことが分かればその気持ちを貫いた方がいいよね。事あるごとに「なんで理系を選んだの？」って聞かれるかもしれないけど、気にしなくていい。そこは自分の選択に自信を持ったらいいと思う。

うんうん。男女比は気になるかもしれないけど、それ以上に大切なのは自分が何をしたいのか。「おもしろそう！」っていう直感に間違いはないはずだから。自分が女の子だからってことを前提に置いて決断することはないし。

私も大学に入ってから物理が好きになったし、自分では気づいていなくてもそういう人はきっといると思う。

まだまだ男子が多い世界だけど、そのことが理由であきらめるのはすごくもったいないもんね。