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研究・教育

2024.03.05

「どうして冬は静電気でバチッとくるの? 静電気って痛い?」実験で先生に仕組みと対策を教えてもらいました【それってなんなん?相談所】

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
理工学部
近大相談所
須藤篤
池田篤俊
近大相談所

冬になると気になる静電気。服を脱ぐときやドアノブを触るときに、「バチバチッ」となってしまうことが多いですよね。音も怖いしびっくりするし、なんとも厄介な現象です。そもそも静電気って何なの? どうして発生するの? そういえば静電気って「痛い」の? 小学校3年生の疑問に、近畿大学理工学部の先生が答えます。

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こんにちは、地下アイドル兼ライターの狸山みほたんです。

今回は、みなさんから寄せられた疑問や質問に近畿大学の先生がお答えする「近大それってなんなん?相談所」の調査で、近畿大学東大阪キャンパスにやってきました。
わからないことや疑問に思ったこと、不思議に感じたことを専門分野の先生たちが正しく答えてくれるという相談所。今回の相談者は小学校3年生の侑太郎くんです。







狸山みほたん
狸山みほたん
侑太郎くん、よろしくお願いします! 相談内容だけど、確かに冬は静電気を警戒している人が多いよね。なんで冬は静電気が起こりやすいって気づいたの?

侑太郎くん
侑太郎くん
ネックウォーマーを脱ぐときに「バチバチッ」ってなるから。ほかによくなるのは、バスケのユニフォームを着てるとき。脱ぐときとか、プレー中にほかの人に近づいても「バチッ」となるのは冬が多いな〜って。

狸山みほたん
狸山みほたん
そうなんだ。実は私、周りの人ほど静電気を気にしたことがないんだよなぁ。でも言われてみれば、髪の毛がマフラーにくっつくのも静電気だね。なんで、冬は起きやすいのかなぁ。

侑太郎くん
侑太郎くん
冬は乾燥してるから静電気が起きやすいって聞いたことがある。

狸山みほたん
狸山みほたん
確かに! でもなんで乾燥してたら起きやすいんだろう。そもそも静電気がなぜ起きるのかも気になるし、専門の先生に聞いてみよう。



というわけで、理工学部にやってきました。

今回、侑太郎くんの疑問に答えてくれるのは、理工学部 エネルギー物質学科の須藤篤先生と池田篤俊先生です。



先生たちに静電気について教えてもらいましょう。



(写真右)
須藤 篤 (すどう あつし)先生
理工学部 エネルギー物質学科 教授
専門:高分子合成

新しい高分子素材の開発を行っています。特に、糖類などの天然物を原料とし、その化学構造を最大限生かすことで環境に優しく、強度や耐熱性に優れた高分子素材の開発を目指しています。現在は米糠からとれる成分を原料にしてプラスチックを作る研究をしています。
教員情報詳細

(写真左)
池田 篤俊 (いけだ あつとし)先生
理工学部 エネルギー物質学科 准教授
専門:センシング工学

ヒトの感覚や運動を計測する研究をしています。何かを触ったときの硬さや軟らかさ、表面の感覚をどう感じるのかを測って解析、モデリングという数学の手法で表現します。スポーツやリハビリへの応用、触覚提示など、新しい価値を生み出す研究をしています。
教員情報詳細

侑太郎くん
侑太郎くん
よろしくお願いします。

狸山みほたん
狸山みほたん
侑太郎くん、質問をどうぞ!

侑太郎くん
侑太郎くん
どうして冬に静電気が起きやすいんですか?



須藤先生
須藤先生
とてもよい質問ですね! でははじめに、私から「静電気とは何か」という説明をしますね。そもそも、世の中のあらゆるものには、必ず電気のもとがあります。

侑太郎くん
侑太郎くん
えっ……!? 電球とかじゃなくても?



池田先生
池田先生
この机とか椅子にも電気があるの? ってなるよね(笑)

須藤先生
須藤先生
そう。でも、怖がらなくて大丈夫だよ。電気のもとは必ずあるんだけど、ふつうはバチっとこないから。でもたまに、「もの」と「もの」同士がこすれたりすると、そこで電気の流れを生み出す準備ができる。それが静電気なんです。

侑太郎くん
侑太郎くん
ふ〜ん。

須藤先生
須藤先生
発生する静電気の強さは、何と何の間で起きるかによって変わります。私たちは普段いろいろな服を着ていますよね。例えば私はシャツを着て、その上にジャケットを着ています。これらの衣服は、非常に細い糸「繊維」から作られています。



須藤先生
須藤先生
この服の繊維を拡大してみると、こんな感じ。



(モニター画面は、フレックスジャパン株式会社様のホームページ「化学繊維のはなし1」を拝見しております。)

須藤先生
須藤先生
この糸1本1本もさらに拡大します。これが約10ミクロン。髪の毛の太さが約100ミクロンなので、髪の毛の10分の1くらい。そんな細い糸で私たちの服は作られているんです。

侑太郎くん
侑太郎くん
そんなに細いの?

須藤先生
須藤先生
さらに拡大すると、ここから先は「原子」の世界です。糸は小さな小さなつぶが、ものすご〜くたくさん集まってできています。そのつぶを「原子」というんだけど、糸だけじゃなくて、髪の毛や鼻も、机や椅子も、世の中のもの全部。拡大していくと必ず原子でできてます。

で、原子というつぶは、プラスの電気を持っている「原子核」と、マイナスの電気を持っている「電子」というさらに小さいつぶでできています。このイラストの真ん中の黒いところは糸と糸の間だよ。糸が1センチあったとしたら、その中には1億個の1億倍よりずっと多い電子があります。



侑太郎くん
侑太郎くん
気持ち悪い……。

狸山みほたん
狸山みほたん
確かに(笑)。ちょっと怖い。





狸山みほたん
狸山みほたん
プラスとマイナスって聞いたことある?

侑太郎くん
侑太郎くん
乾電池?

須藤先生
須藤先生
そうだね。大事なことなんですけど、プラスとマイナスは引き合う性質があります。そしてプラスとプラス、マイナスとマイナスは反発し合う。磁石のS極とN極と同じですね。プラスとマイナスの数がちょうど揃っていると平和な状態。いまここにある机や着ている洋服は平和な状態なんです。これが崩れると問題が起こります。例えばこんなふうにものとものをこすり合わせると、平和な状態が崩れるんです。



須藤先生
須藤先生
ものをこすると、その表面にものすごく力がかかります。特にさっきの電子とか原子核のような小さな小さな世界では、つぶつぶにすごい力がかかる。すると、電子のつぶが、ものとものの間で動いてしまう。「隣にもプラスがあるから、そっちに行こう」って感じで、引き寄せられてしまうんです。本当はこっち側にいないといけないのに、隣に移っちゃう。そうすると、こすったあとでは片方はマイナスが少なくて、片方はマイナスが増えちゃうことになる。服と服や、服と皮膚がこすれたときには、そういう現象が起こっています。



須藤先生
須藤先生
片方はマイナスが減って、片方はマイナスが多いってことは、「平和」な状態じゃないよね。そんなときに服を脱ぐと、こすられたことでこっちに連れてこられちゃった電子が「やっぱりもとのおうちに帰りたい」となるんです。ものっていうのは、「平和な状態」のほうが自然だから。ほかにもたくさんの電子が「帰りたいよ」って思っていて、そんなもの同士を引き離していくと、あるとき一斉に「待って! もとの場所に帰るよ!」って、電子が空中をジャンプするんです。



侑太郎くん
侑太郎くん
え!?



須藤先生
須藤先生
ほかの電子たちも「待って! 置いていかないで!」ってジャンプ。このときに電子が「バチバチッ」となるんです。静電気の「バチバチッ」の正体はこれ。わかっていただけたでしょうか?

狸山みほたん
狸山みほたん
つまり侑太郎くんがネックウォーマーを脱ぐときの「バチバチッ」は、ネックウォーマーから髪の毛や着ている服に移っちゃった電子が、脱ぐときに移動しているってことですか?



須藤先生
須藤先生
そうですね。服を着ていて動くと、服同士や皮膚や髪の毛がこすれます。そうするとだんだん電子がその間を移動する。静電気の「バチバチッ」は、移動してしまった電子の「待って! 帰るよ!」っていう叫び声なんです。

狸山みほたん
狸山みほたん
そうだったんですね! ちなみにみんな無事に帰れてるんですか?

須藤先生
須藤先生
帰れる電子と帰れない電子があります。帰りきれていないと、またどこかのタイミングで「バチッ」となります。そして、どんなもの同士でもこの現象が起こって静電気が発生するかというとそうではない。こすれるものの組み合わせで変わります。



須藤先生
須藤先生
人の皮膚や髪の毛は電子をあげやすいです。逆に電子をもらいやすいのはポリエステルやポリ塩化ビニル。このように、組み合わせによって静電気の発生しやすさは異なります。服に小さい白いタグ、ついていますよね?



侑太郎くん
侑太郎くん
これ?



須藤先生
須藤先生
うん、今日侑太郎くんが着ている服はコットン100%だから、これを着ているだけでは静電気は発生しにくいです。

狸山みほたん
狸山みほたん
あ、バスケットをしているときによくバチバチッてなるって言ってたよね。バスケのユニフォームって……?


静電気がよく発生するというユニフォームを持ってきてくれていました



狸山みほたん
狸山みほたん
やっぱり! ポリエステル100%!

須藤先生
須藤先生
ポリエステルと人の皮膚は、かなり静電気が発生しやすい組み合わせですね。ネックウォーマーもそうだと思います。



狸山みほたん
狸山みほたん
じゃあユニフォームとネックウォーマーの間では、静電気はそれほど発生しないんですか?

須藤先生
須藤先生
そうですね。ちなみに塩化ビニルは下敷きの素材。髪の毛と下敷きの間に静電気は……

侑太郎くん
侑太郎くん
絶対起こる。



須藤先生
須藤先生
そう。しかも髪の毛全体がプラスになるから、プラスとプラスが反発してボワッとなるんです。

狸山みほたん
狸山みほたん
髪の毛同士が嫌がってるから、広がるわけですね。なるほど〜! 侑太郎くん、わかった?

侑太郎くん
侑太郎くん
うん。

須藤先生
須藤先生
ここまでが「静電気が起きる仕組み」と「こういう組み合わせだと起こりやすい」という説明でした。

狸山みほたん
狸山みほたん
わかりやすかったです! では、どうして冬だと起こりやすいんですか?

須藤先生
須藤先生
よく言われている原因は「湿度」です。湿度が高いと静電気が起きにくいという事実があります。ただネットでよく言われている「水は電気を通しやすいから電気が逃げていく」というのは少し違う。実は純粋な水は電気を通さなくて、不純物が混じっていることで電気を通すようになります。

侑太郎くん
侑太郎くん
不純物?

須藤先生
須藤先生
簡単に言うと水に溶けた何か。水じゃない混ざり物ですね。例えば、僕らの汗って純粋な水ではないですよね。

侑太郎くん
侑太郎くん
汗はしょっぱい。

須藤先生
須藤先生
その通り。空気中の湿気も純粋な水ではありません。そういう不純物が入った状態の水は電気を通しやすく、溜まった静電気を逃すと考えられています。だから湿度が高いときは、空気の中にたくさんの水分があるので、静電気が起きにくいです。そしてもうひとつは、冬はいろんなものを重ね着して着込みますよね。

狸山みほたん
狸山みほたん
皮膚の上に服、その上に上着やコート、マフラーとか。

須藤先生
須藤先生
そうすると、自然にこすれて静電気が起きやすい。それも冬に静電気が起きやすい理由です。

狸山みほたん
狸山みほたん
なるほど、理解しました。侑太郎くん、わかった?

侑太郎くん
侑太郎くん
うん、大丈夫。


静電気の「バチバチ」は痛くない?

狸山みほたん
狸山みほたん
私、あまり静電気が気にならないのですが、個人差があるんですか? 例えば人によって静電気の感じやすさが違うとか。あれ? そもそも静電気って「痛い」で合っていますか?



池田先生
池田先生
痛い……と、多くの人は思い込んでいます。



狸山みほたん
狸山みほたん
えー!! 痛くないんですか?

池田先生
池田先生
痛い、という感覚とはちょっと違うんです。それでは、なぜ静電気を痛く感じるかを説明します。静電気って「バチバチ」って音も出るし、「痛っ」と思いますよね?

侑太郎くん
侑太郎くん
うん。

池田先生
池田先生
私たちがどこで「痛い」と感じているのかというと、「五感」のひとつ「触覚」が関係してます。触覚は、何を触ったか、どう感じたかを脳に伝えるセンサーです。



池田先生
池田先生
まず皮膚の一番外で目に見えているところが「表皮」です。体の中ではかなり硬い組織で、例えば紙でちょっと指を切っちゃったけど痛くない、というのはこの表皮。その下の「真皮」には血管、神経、汗腺などがあります。そこまで怪我をすると、ちょっと透明な液体が出てきたり血が滲んだりする。さらにその下の「皮下組織」、そこまで怪我をすると血がたくさん出ます。真皮や皮下組織にある神経が、傷ついたときや押されたときに「痛い」と感じます。痛みを感じるセンサーがある神経の端っこの部分を「自由神経終末」と言います。

侑太郎くん
侑太郎くん
じゆうしんけいしゅうまつ……。

狸山みほたん
狸山みほたん
はじめて聞きました。

池田先生
池田先生
自由神経終末には、痛みだけでなく、温かい・冷たいといった感覚を受け取る役割を持っているものもあります。この「温かい・冷たい」の感覚と、「痛い」というセンサーはものすごく近くにあって、「温かい」を「痛い」と勘違いすることがあるんですね。瞬間的に温かいものを触ったときに、センサーが「温かい? 冷たい? もしかして痛いかも!」と勘違いすることがあります。

侑太郎くん
侑太郎くん
めっちゃ熱いお湯に一瞬だけ手を入れたら、逆に冷たく感じるときがある。



池田先生
池田先生
そうそう、それ! 「熱っ! 冷たっ! 痛っ!???」てなる。それを脳に伝えるときに「もしもヤケドしたら困るから、とりあえず痛いってことにしておこう」という伝達をするのが、痛くないのに痛みを感じる原因です。それを「熱刺激」と言います。

侑太郎くん
侑太郎くん
一瞬は冷たく感じて、でも何秒かお湯に入れていたら、だんだん熱くなる。

池田先生
池田先生
うん、最初の一瞬は脳が混乱している。でも、しばらく経つと「これは前に受けた感覚と一緒だ。これは『熱い』だ」ってわかってくる。だいたい42度以上のものを触ると混乱しやすいと言われています。

狸山みほたん
狸山みほたん
42度って、熱めのお風呂くらいだから結構普段から触っていそうな温度ですね。

池田先生
池田先生
冬に外から帰ってきてお風呂に入ったら、いつも通りの温度でも「熱っ!」と感じるのはこれです。温度差で普段よりも熱刺激を感じやすくなっている。静電気を痛く感じるのも、熱刺激によって本当は熱いのに「痛いかもしれない」と錯覚しているから。電気が流れると皮膚が瞬間的に熱くなります。静電気でどこかが傷つけられるのではなく、静電気によって瞬間的に皮膚が熱くなって、そのときに「痛いかも?」と感じているんです。

狸山みほたん
狸山みほたん
な〜るほど!

池田先生
池田先生
さらに冬は皮膚の温度が下がっている。だから静電気が流れて温度が高くなったときに温度差が発生するから、より熱刺激を感じやすくて「痛い」と思いやすいんです。

狸山みほたん
狸山みほたん
それも「冬=静電気が痛い」の原因のひとつなんですね。

池田先生
池田先生
じゃあ「静電気は痛くない」ということがわかったところで、実際に静電気を触ってみましょうか。



池田先生
池田先生
これは「ヴァン・デ・グラフ起電機」という静電気を発生させる装置です。中にはゴムのベルトと金属のローラーがあって、ベルトを回転させることで静電気を発生させます。ネックウォーマーがこすれて静電気が発生するように、この下でずっとゴムをこすって電気を作ってるわけですね。そして作られた電気がゴムベルトに乗せられて上の球に運ばれてきます。



池田先生
池田先生
片側の球にプラス、もう片側にマイナスの電気が溜まります。どちらを触っても球から人に電子が移動するので「バチバチッ」と静電気を体験することができます。では電源入れますね。



狸山みほたん
狸山みほたん
ぎゃー!! バチバチ鳴ってる!! もう怖い。

須藤先生
須藤先生
電子たちのやる気がすごいですね。

狸山みほたん
狸山みほたん
侑太郎くん、近づける?

侑太郎くん
侑太郎くん
(首を振る)



池田先生
池田先生
説明した通り、移動している電気はちょっとだけだから触っても体は傷つけられないよ。

侑太郎くん
侑太郎くん
これで「ちょっと」?

狸山みほたん
狸山みほたん
じゃあ代わりに、触ってみます。





狸山みほたん
狸山みほたん
痛ぁぁぁ!!! あ、いや、痛くないんでしたっけ!?

池田先生
池田先生
痛覚は刺激されていません。温度感覚が刺激されているだけで、瞬間的にバチッとなるところが熱くなっているだけです。

狸山みほたん
狸山みほたん
うーん、うーん、確かに目をつむって冷静になったら、衝撃は感じるけど痛くはない。侑太郎くん、やってみる?

侑太郎くん
侑太郎くん
やだ!

狸山みほたん
狸山みほたん
う、じゃあ、真ん中に手を入れるのも私がやってみます。うう、痛くないってわかっていても、目で「バチバチ」を見ていたら勇気が出ない。



狸山みほたん
狸山みほたん
うわぁぁぁぁぁ!!!! 痛……くはない、けど、銭湯の電気風呂よりも強い衝撃を感じます。侑太郎くん、やらない?


椅子の裏に隠れる侑太郎くん

侑太郎くん
侑太郎くん
やらない。怖い。なんで楽しそうなの?

狸山みほたん
狸山みほたん
普段できないからかな。あと、めっちゃ痛そうだけど痛くなくて笑っちゃう。

侑太郎くん
侑太郎くん
えぇ〜!?

池田先生
池田先生
よし、じゃあこれならどうかな。これは「ペルチェ素子」という半導体の一種で、小さい冷蔵庫やネッククーラーなどに使われているものです。電気を流すと片方が冷たくなって、もう片方が温かくなるという性質がある。これなら触れるかな?





侑太郎くん
侑太郎くん
うん。こっちが熱い。こっちが冷たい。

池田先生
池田先生
これを両方同時に皮膚に当てると……。怪我しないから当てられる?



侑太郎くん
侑太郎くん
うん。うーん、なんか痛いかも。

池田先生
池田先生
そう! 本当は「熱い」と「冷たい」なんだけど、両方同時に皮膚に当てることで脳が「熱い? 冷たい? 痛い!」と混乱する。これは「サーマルグリル錯覚」という錯覚なんです。完全に同じではないんだけど、さっき話した熱刺激で「痛い」と感じる現象と一緒なんだよ。

狸山みほたん
狸山みほたん
やってみたい!



狸山みほたん
狸山みほたん
あ、痛ァァァッ!!!! え、これ痛くないんですか?

池田先生
池田先生
一応温度が上がってるから、熱によってピリピリする感覚の人もいます。でも実際に痛みを与えているわけではない。これが脳の処理によって、痛くなくても痛いと感じる現象でした。




服の組み合わせや触り方で静電気を回避

狸山みほたん
狸山みほたん
痛みではないにしても、やっぱりみんな静電気は避けたいと思います。静電気をあまり発生させないようにするにはどうしたらいいですか?

須藤先生
須藤先生
まずは服の素材の組み合わせを工夫するといいですね。この表の「遠いもの同士」の組み合わせはなるべく冬は着ない。あと、コットン(綿)とか麻などの植物由来の繊維は皮膚とこすれても静電気をあまり発生させません。



狸山みほたん
狸山みほたん
では、人同士はどうですか? 侑太郎くんがバスケをしてるときに、友達と近づいて「バチッ」となるという話をしていました。

須藤先生
須藤先生
どういうふうに接触しているかでも変わりますね。例えば、指先の尖っているところが一番「バチッ」となりやすいです。

池田先生
池田先生
ピンポイントで電気が移動すると刺激を感じやすいんです。だから、指先ではなく広い面積で触れる、例えばハイタッチだと静電気が起きても、電子が移動する道がいっぱいあるから痛くならない。誰かと手を繋ぐときも指先からいくと静電気がバチッとなりやすいので、手のひらから触るようにしましょう。



侑太郎くん
侑太郎くん
こうじゃなくて、こう。

池田先生
池田先生
そうそう。


冬に静電気で「バチッ」としないためのポイント

  • アクリルやポリエステルでできた服を着るときは要注意! コットンや麻などの洋服のほうが静電気は起こりにくい。
  • 異なる素材でできた服を組み合わせるときは要注意! 電子をあげやすい素材と電子をもらいやすい素材を組み合わせると、静電気が起こりやすい。
  • ドアのノブなど金属に触れるときには「指先」じゃなく「手のひら」を近づけよう。
  • 乾燥していると静電気が起こりやすいので、加湿器などを活用する。
  • ハンドクリームなどで手を保湿するのも静電気の予防に効果があるそう。
  • 電気を流しやすいもの(金属など)に触る前に、壁やテーブルなどに触って自分の体から電気を逃しておく。


狸山みほたん
狸山みほたん
いままで静電気について気にしていなかったけど、いろんなことがわかりました。ありがとうございました!

侑太郎くん
侑太郎くん
ありがとうございました。




まとめ



狸山みほたん
狸山みほたん
どうだった?

侑太郎くん
侑太郎くん
想像と違うところもあったけど、冬は湿度が低いからっていうのは合ってた。下敷きと髪の毛が一番静電気が起きやすいって知ってびっくりした! あと、ポリエステル……。

狸山みほたん
狸山みほたん
ネックウォーマーとかバスケのユニフォームとか、見事に発生しやすいもので驚いたね。

侑太郎くん
侑太郎くん
うん、面白かった!


普段の生活の中にも「なんで?」「不思議」ということはたくさんあるんですね。
私も静電気についてこんなに体当たりで学ぶことになるとは思ってもみませんでした。すごく痛そうな反応をしていましたが、本当に痛くなかったですよ!
侑太郎くんにとって楽しい体験になっていたら嬉しいな。

みなさんも、ちょっと気になったことや疑問に思ったことを「近大それってなんなん?相談所」にお寄せください。「これってどんな分野かな?」ということでもOKです。
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この記事を書いた人

狸山みほたん

地下アイドル兼ライター。趣味は漫画を読むことと潰れるまで飲むこと。難ありアイドル『オタフクガールズ』のリーダーとしても活動中。豚に尻をかじられたり、自身のユニットの収支を公開したり、ちょっぴり体当たり系の記事が多い。将来の夢は人気者。


写真:平野明
編集:人間編集部

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