2021.01.29
“え、今日から私は近大マグロ!?” 和歌山県職員による、近大広報室 回遊体験記。
- Kindai Picks編集部
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みなさん、はじめまして。和歌山県知事室広報課の小倉です。「広報ファースト」を実践している近畿大学広報室の社会人インターン10人目として、私が過ごした怒涛の1カ月間をご紹介します。
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突然のインターン決定。私が派遣されるのは偶然、でもそれは必然!?
令和2年9月、本県の未来を担う若手経営者や経営者候補の方々を対象として、世界にはばたくグローバル人材を育成するために和歌山県が実施している「わかやま塾」で、近畿大学の世耕石弘経営戦略本部長にご講演いただきました。7年連続、志望者数日本一を達成した近畿大学。その広報戦略をご教授いただき、目を見張る話に驚きの連続。その真髄を少しでも会得し、和歌山県政に取り込むため、急遽、私が近畿大学広報室に派遣されることになりました。
それは〝広告だからカッコつけよう!〟ではなく、飛び交うのは〝誰目線で話しかける!?〟〝これで伝わるか!?〟などの原点を、真剣に話していたこと。
ココだ、ココの部分が、あの広報を作り出す根源なのだと。インターン2日目にして心を撃ち抜かれました。
和歌山空旅(そらべる)#2
近畿大学広報室で、私のレベルUP開始。
近大の広報室では、全員でプレスリリースや取材対応を担当します。それらの業務に加えて、広告制作などの業務も行います。報道担当であり広告担当ということです。担当者は、我々と同じように数年周期の人事異動で変わります。室長以下14人の職員は、知性と文化の源である“リベラルアーツ”を備えた方々です。
私が担当させていただいた業務の一つに、和歌山県とご縁があるアーマリン近大の「近大マダイ 焼味四種食べ比べセット」のプレスリリース作成があります。アーマリン近大は、近畿大学が研究・養殖した「近大マグロ」などの魚を、広く消費者に届けることを目的に設立された近畿大学のベンチャー企業で、近大卒の魚を使った美味しい商品を多く販売しています。
和歌山県産「近大マダイ 焼味四種食べ比べセット」販売開始 近畿大学の養殖魚専門料理店の味を自宅で気軽に味わえる
近畿大学はインパクトのある広告でも有名です。あなたもご存じのあの交通広告や新聞広告も広報室が制作します。
「近大は万博だ」
「早慶近」
「大阪のユニバといえば、近大やろ」
沸点ギリギリでの議論
「スムーズにできあがった広告なんて、いいものじゃない」
私が在籍した期間は「正月広告」の打ち合わせが進められている真っ最中。私がはじめて参加した会議も沸点ギリギリの打ち合わせ。管理職、担当者、言いたいことをぶつけあい、まるで目に見えない汗と砂が飛び散るぶつかり稽古のようで迫力満点の会議を、溜席で体験させていただきました。
「何を伝えたいのか、読者に伝わるのか?」、そして「おもしろいか、話題になるか、バズるか?」この視点でできあがったのがこちら。
「近大DX」
すごいインパクト!!
砂しぶきがでる程強く踏み込んだ写真は、企画段階から練り上げられたものです。文言には徹底的に検討がなされ、それはまるで議会答弁の打ち合わせのようでした。字体にもこだわりぬいた文言をスクリーンに映し出し、一言一言、一文一文について検討を加えます。目で確認するだけでなく、PCの音声読み上げ機能まで使い、耳でも確認する徹底ぶり。近畿大学広報室は主張を詰め込んだテキストすらもネタにします。世に送り出された広告は、計算されたお笑いのようです。あなたがもし、「そんなことあるかよ」、「これ間違ってるじゃないの」と突っ込みを入れることや、クスっと笑うことがあれば、それはまんまと近畿大学広報室の手の平で踊らされているのかもしれません。
「正月広告定例会」デザインに対し各自が意見を述べ合い改善。
「正月広告定例会」関係者全員で一言一言入念にチェック。
「正月広告定例会」スクリーンに映し出した文言をチームで検証。
問題意識は担当者が。仕事はチームで。
「管理職ではなく、担当者が問題意識を持って日々仕事しないと改善しない」
近畿大学広報室の業務には、「公式サイト」、「入試情報サイト」、「Kindai Picks」の運営・管理を行うチームもあります。週1回、約1時間の定例会を開催し、各自、意見やアイデアを出し合います。チーム1年目の職員は担当部分を相談しながら進めることができ、チーム2年目以降の職員は、「去年のテーマはこんなことで苦労したから今年は注意しよう」、「新型コロナの影響でイベントやネタがないけど、去年のあの企画をリニューアルしたら新たな展開があるかも」など、ノウハウを共有します。もし各担当の進捗が悪ければ、「先週から進捗ないやん」という指摘が入ることも。
「公式サイトチーム」公式サイトに掲載するお知らせの入れ替えや、各案件の進捗チェック、週ごとのアクセス解析などを共有。
世間の最新情報を共有する機会にもなっているこの定例会では、アイドルグループやドラマの話が話題に上がることもありました。「業務に関係ないやん。」と思ったあなた、実はこれが関係しているのです。SNS担当がトレンドを日々追いかけているため、世間で注目されている話題が共有されます。近畿大学広報室は、世の中の動向を絶えず“watch”します。
生まれてからずっと泳ぎ続けるマグロのように、近畿大学広報室はおもしろいネタを探し続けているのです。
「Kindai Picks チーム」執筆中の各記事の進捗確認や、今後の記事ネタを調整。
「KINDAI FAMILY」の定例会。アンケート結果を参考にしながら次号の企画立案。
オフタイム
広報室の皆さんと、たびたびお昼をご一緒させていただきました。
うどん「一心」
トンテキ「かめや」
中華料理「ぽろとこたん」
出張先でうどん「つるとんたん」
広報という「仕事」を楽しく、おもしろく
「広報の力で、世間のイメージは変えられる」
広報は楽しい仕事か、それともしんどい仕事か。いやそこには広報という「仕事」があるだけ。楽しくするか否かは自分次第、近畿大学広報室の皆さんは仕事を楽しんでいます。担当者同士で打ち合わせをしていたら、勝手に誰かが話に入ってきます。管理職と誰かが打ち合わせをしていたら、勝手に誰かが話に入ってきます(大事なことなので2回言いました。)楽しんで仕事をしているので、お互い遠慮することはありません。広報力で世間の常識やイメージをぶっ壊している近畿大学広報室内には、個人の“壁”も取り払われ、チーム力も向上し、良いアイデアがどんどん出てきて、企画が盛り上がり練り上がります。
加藤室長と担当者が打ち合わせをしていたら、いつのまにかみんなが集まってきます。
インターンシップ期間中に日経BP「大学ブランド・イメージ調査2020-2021」の発表があり、近畿大学はこれまで関西4位が定位置でしたが、初のトップ3入りを果たしました。この結果には広報室のみなさんも大喜び。まさに、「広報の力で、世間のイメージが変わる」瞬間に立ち会うことができました。
「近畿大学の直近のイメージ」
・今注目されている、旬な大学 関西1位
・コミュニケーション能力が高い大学 関西1位
・エネルギッシュな大学 関西1位
・チャレンジ精神がある大学 関西1位
※日経BP「大学ブランド・イメージ調査 2020-2021」から抜粋
日経BP 大学ブランド力ランキング2020-2021【近畿編】 近畿大が初のトップ3入り
「企画力 × 人間力 = バズる」。近畿大学広報室の原点は!?
「「伝えた」ではなく、「伝わったか」が大事」
日々の新聞クリッピングは各担当が行い、公表したプレスリリースがどれだけメディアに取り上げられたかを一覧にします。どうしたらメディアに取り上げてもらえるかを考え、改善を繰り返します。
近畿大学広報室の担当者は魅力的で頼りになり、見習うことが多い方ばかりです。どこかでこのフレーズ聞いたことありませんか?
「人に愛される人、人に信頼される人、人に尊敬される人」
これは近畿大学の教育理念です。学生だけでなく、職員もそのように育成されます。大学広報日本一と私が思う近畿大学広報室は、企画力と人間力によるものだと実感しました。あなたも近畿大学広報室をチェックしてみませんか?
まずは、「Kindai Picks」をチェック。
お礼とお約束
「良いものはTTP(徹底的にパクれ)」
あっという間の1カ月間でした。「大学は入れ替え戦のないリーグ戦である」と世耕部長はおっしゃいます。これは自治体においても同じです。あなたのイメージでは、和歌山県は自治体のトップリーグではなく2部リーグ、3部リーグかもしれません。近畿大学広報室をTPPして、この固定観念を打破します。
私の常識を壊していただき、フレンドリーに接して下さった広報室の皆さんと近畿大学の方々、本当にありがとうございました。
“今でも私は近大マグロ。今後も私は近大マグロ”
テレワークの人も一緒に、zoomで集合写真
この記事を書いた人
小倉 知典(おぐら とものり)
和歌山県知事室広報課 所属
平成19年入庁。危機管理、土木、観光、福祉の部署を経て、令和2年4月に広報課に配属。現在は県外向けの広報を担当しており、和歌山県総合情報誌「和-nagomi-」や和歌山県PR番組の制作を担当している。趣味はバスケットボールで、最も好きな映画はグッド・ウイル・ハンティング。
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