2019.01.31
中国人が「爆買い」する理由とは!?日本人の知らない中国の裏事情を近大の中国人留学生が語る!
- Kindai Picks編集部
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ここ数年、ものすごく話題になっている「中国人の爆買い」。その理由は一体何なのでしょうか?「爆買い」の裏にある本当の理由を、日本で暮らす中国人近大生が語ります。
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こんにちは、近畿大学国際学部2年生の謝 銘哲(シャ メイテツ)といいます!友達からは「てつ」と呼ばれたり、英語のニックネームで「ピーター」と呼ばれたりもしています!
僕は中国上海に生まれ、15年間中国で育ち、高校から来日して、近畿大学の国際学部に入り、今年で日本在住6年目になりました。この度、初めてKindai Picksの学生ライターとして記事を書かせていただいています。
中国人観光客が日本で「爆買い」するのはどうして?
大学に入って、よく日本人の友人に「なんで中国人ってあんなに大量に買うん?」と尋ねられます。難波や梅田に行くと、どうしても中国人観光客の大きなショッピングバッグが気になりますよね!
ニュースやネット上でよく話題となる中国人の「爆買い」。その理由を皆さんはご存知でしょうか?
「中国人はいつも大量に買ってる」「意味がわからない」と思っている人も少なくないかもしれません。
しかし、皆さんは中国人の「爆買い」に対して、少し「偏見」を持っていませんか?
「偏見」が生まれる理由の1つは、異文化に対しての理解不足です。僕は日本に住む中国人として、このような「偏見」をなくしたいと思っています。
そこで今回は、中国人の「爆買い」という行動について少しでも多くの方に理解してもらえるように、3つの観点から説明していきたいと思います。
爆買いの理由その1:MADE IN JAPAN=HIGH QUALITY――先進国で買い物をする安心感
日本はアジアの中でも数少ない先進国です!そのため、やはり中国や他の国と比べると製品の質がいいんです!
例えば、「爆買い」の定番として多いのが、家電製品、医薬品(風邪薬や目薬など)、魔法瓶、美容化粧品(化粧水、美容パックなど)、衛生用品など、日常生活でよく使うものたちです。
(参考)▼中国トレンドEXPRESS【中国人気】日本のYouTubeが爆買いの火付けに。続・中国大人ニキビ対策!-「買いたい」ランキングから
もちろん、日立や東芝等の日本ブランド家電などは中国でも確かに売っています。「なら中国でも買えるじゃん」と皆さんはきっと思うでしょう。
しかし、「中国で売ってるものはニセモノかもしれない!」と思っている中国人が大勢います、むしろほとんどの中国人がそうです。
皆さんもリスクを負って保証のないものを買うよりも、安心できるものにお金をかけて長く使いたいと思いますよね?
実は僕の母も日本に来た時、祖母のために炊飯器を買って帰っていました!(笑)
魔法瓶を買うのも同じ理由です。中国では水道水は飲めないんです!親にとっては、自分の子供が学校でも安全に飲めるような温かい飲み物を入れる瓶がどうしても必要になってきます。だから信頼できる「本物」を日本で買いたいんです!
【中国での通貨膨張も関係している】
僕が2018年の夏に中国に帰国した際に一番驚いたのが、ここ数年で中国の物価がものすごく上がっていたことです。3年前なら2元(約30円)で買えたペットボトル水が、今では安くて5元(約90円)に値上げされており、空港ではエビアン(Evian)水が30元(約450円)で売っていてびっくりしました。
空港だから高かったのかなと思いきや、父親に聞くと、これが現在の中国では普通になっているそうです。ちょっと高級品のハーゲンダッツになると、このサイズでも1個88元(約1,320円)で売られています!
中国で88元(約1,320円)で売られているハーゲンダッツ
さらに、日本では定番の国産炊飯器が約3万円で売られていますが、
中国タオバオ(中国内のAmazon系サイト)では約3,700元から5,000元(約6万円から8万円)という価格になっています。
中国タオバオの炊飯器の値段
その差額の3万円があれば、国内旅行1回は楽しめますよね!
このように、中国に比べて日本の商品は質がいいだけでなく安いんです!そりゃ誰でも買いたくなるでしょ!
【免税制度も魅力的】
なんばの免税店
今の街中でよく見かけるものの1つ、「免税店」看板。
想像してみてください。あなたは外国から家族旅行で来日している観光客です。免税の店が目の前にあります。10万8千円のものが10万円、つまり約1万円安く買えます。しかも高品質で、自分の国のクレジットカード決済でも大丈夫です。
僕なら買います、買えば買うほど得するからです。そうです、だから中国人観光客たちは一斉に日本で色んなものを買うのです。
ちなみに、僕の周りではこの「贅沢ジュレシートマスク」が人気NO.1みたいです。
父も去年、僕の入学式で初めて大阪に来た際に爆買いしていました。僕の目の前で。
爆買いの理由その2:ここは日本だ! これは旅行だ!
皆さんも旅行に行くと、ついついハイテンションになって、色々買い物したりしませんか? それは中国人でも全く同じです。「せっかく日本に来ているんだから、何も買わずに帰れるか!」で、色々買っちゃうんです。特に初めて日本に来る人、あるいはなかなか来る機会がない人ならなおさらです!
「なんか買わないと損だ! なんか買わなきゃ!」という気持ちで、「これもいい、あれもいい!」になり、気がつくといわゆる「爆買い」状態になってしまうんです。
もう1つ大事なポイントは、他人と比べてしまう、ということです。例えば、僕が犬を2匹飼っていて、友達全員が5匹飼っているとなると、「全然少ないやん。」となってしまいますよね。
それは「爆買い」でも通じる話です。みんなが10個も20個もショッピングバッグを持っていると、4~5個しか持っていない自分が少なく思えてしまうのです。
【中国で爆買いは当たり前】
聞いたことありますか? 中国では毎年11月11日が「爆買いの日」なんです。
11月11日は中国では「光棍節(こうこんせつ)」といって、「独身の日」とも言われています。「11.11」が光る棒4本が立てられているように見えるため、光る棒の中国語訳である「光棍」でこの日を命名したのです。
さらに、中国語で「光棍」とは「シングル、独身者」(交際していない)という意味でもあるため、「独身の日」と呼ばれるようになりました。
そんな独身の日である11月11日は、もともとは独身の若者が集まってパーティーを開くなどして楽しむ日でしたが、近年ではその日に結婚式などを挙げる人も多くみられるようになりました。
そこで中国の通販サイトなどが「シングル、独身」あるいは「結婚」を理由としたセールを始めたのです。それが「11月11日は爆買いの日」の由来です。
もちろん、これはもともと若者がエンターテイメントとして始めたものなので、定められた国の休日でも祝日でもありません。いつものように仕事や学校に行かなければなりませんが、その日だけほとんどのネットショッピングサイトが信じられないほど大幅にディスカウント(値引き)してくれます。
中国の通販サイト「天猫」
11月11日だけで数百万元(数千万円)を使ったバイヤーがいた、という伝説級の話もあります。
どうですか? 上の伝説話は大袈裟すぎかもしれませんが、このような「爆買い」に比べれば、外国へ旅行した際の数万円の買い物なんて、「爆買い」と呼ぶほどのことでもないのではないでしょうか。
爆買いの理由その3:「朋友一生一起走,那些日子不再有。」――友人からの頼み
上で引用したのは中国人なら誰でも知っている歌の歌詞です。大体の意味としては、「友達は一生もの、あの辛い日々はもう戻って来ることはないさ」。
この歌のとおり、中国人にとって友達というのは本当に大切な存在なのです。昔からこのような文化や伝統があり、子供の頃から親に言われ続けています。「友達は一生ものだ! 大事にしなさい」と。ですから友達に何か頼まれると、少々自分の負担が増えても、中国人は恐らく「任せろ!」と言って、ちょっと無理したりするでしょう。
正直にいうと、やはり金銭的な事情やVISA等の問題で、日本に友人や親戚家族が住んでいない限り、なかなか中国から来日するのは困難です。
そのため、日本に行くことが決まったら、どうしても周りの知人や友人から「あれ買ってきて!」と頼まれたりします。しかも、頼まれるものは大体みんな同じで、炊飯器、魔法瓶、シートマスクのような日常用品です。
だから、知人友人のために同じものを10個も20個も「爆買い」する中国人観光客の姿が、日本にいる皆さんの目に映るのです。
またしても僕の父の例なのですが、彼は中国で10人ほどの友人から注文を受け、難波のドラッグストアで2時間もかけて買い物をしていたことがあります。当然のごとく、僕も付き合わされていました。いいえ、自ら日本語通訳として2時間付き合ってあげました。(嘘です笑)
まとめ
中国人の「爆買い」の3つの理由をご説明しましたが、これで少しでも多くの方がこの問題の裏にある事情を理解してくれたなら、僕は嬉しい限りです。
それに、考えてみればここ最近の「爆買い」は数年前に比べてだいぶ落ち着いていますし、やはり事情を理解したうえでこのような現象を見ることが大事だと思います。
「爆買い」の理由を知ることをきっかけに、お互いの偏見をなくして、日本と中国のみんなで仲良くしていきましょう!
(終わり)
ライタープロフィール
謝 銘哲(シャ メイテツ)
中国上海出身、高知県明徳義塾高等学校卒業
近畿大学 国際学部 グローバル専攻2年
15年間上海で生活し、その後来日。現在はアメリカで正規留学等を経験し、ネイティヴ話者に負けない日本語力も身につけたトリリンガル。写真・旅行・筋トレ好きな負けず嫌い。
企画・編集:人間編集部
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