2023.08.07
登記も人脈づくりも近大が徹底サポート! はじめての学生起業を大解剖
- Kindai Picks編集部
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長いようで短い大学の4年間。アルバイトやサークル・部活動のほか、「起業」に興味を持つ方もいるのではないでしょうか? でも不安があってなかなか一歩を踏み出せない……。そこで、起業のきっかけも事業内容もさまざまな近大生4人が集まり、学生起業のリアルを語る座談会を実施。学生をサポートしてくれる近畿大学の起業支援プログラム「KINCUBA(キンキュバ)」と、その拠点となる24時間利用可能なインキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」についても紹介します!
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こんにちは! 近畿大学 経営学部 経営学科4年生の「サウナに取り憑かれた近大生」こと谷 勇紀(たに ゆうき)です。
2023年3月に株式会社BraveValleyを創業し、テントサウナ事業を軸に地域創生企画、サウナに関わるコンテンツなどを展開しています。
そんな私ですが、サラリーマン家庭に生まれ、元々起業という選択肢はまったく頭にありませんでした。
私が大学に入学したのは2020年。コロナ禍真っ只中で授業はすべてオンラインでした。思い描いていた学生生活とは違い、このまま学業以外なにもできずにただ時間が過ぎていく。次第に焦燥感が強まっていき、大学2年生の頃から自身で仕事をつくることについて興味を持つようになりました。
でも……
「起業に興味があるけどなにをすればいいのかわからない」
「不安があってなかなか一歩を踏み出せない」
そこで利用したのが近畿大学の起業支援プログラム「KINCUBA(キンキュバ)」と24時間利用可能なインキュベーション施設「KINCUBA Basecamp」でした。
実践的に経営スキルを学んだり、先輩起業家から事業プランのフィードバックをもらったり、会社をつくるための手続き指導や、設立資金の援助も受けることができました。
私と同じく起業に興味がある学生へ向けて、実際にKINCUBAの支援プログラムを利用している近大生に集まってもらい、学生起業のリアルについて語る座談会を実施しました!
また、自身の体験をまじえて、会社をつくるにあたって必要なことや、KINCUBAに集約される近畿大学の起業支援プログラムについて詳しくご紹介します!
起業に向けた環境も情報もすべて揃うKINCUBAとは?
2025年に創立100周年を迎える近畿大学。KINCUBAは、学間の結果を世の中の役に立つビジネスに繋げるための起業支援プログラムです。2025年の創立100周年に向けて、100社の近畿大学発ベンチャー創出をめざしています。
その起業の拠点となるのが、2022年10月に誕生したKINCUBA Basecamp。同じ志を持った仲間と集まれる共創空間にやってきました!
住所:〒577-0818 大阪府東大阪市小若江3-6-9
TEL:06-4307-5726
営業時間:24時間利用可能(有人:平日8:30~17:30 無人:平日17:30~翌8:30、土日祝)
利用料金:施設利用500円/月 法人登記利用500円/月
KINCUBA Basecampは近畿大学西門から徒歩10秒! 授業前後にサッと足を運べる距離の近さも魅力の一つです。
エントランスドアには顔認証システムを採用しており、施設利用登録を行った学生はいわゆる“顔パス”で入館することができます。
1階は主にイベントなどで利用できるよう、広いスペースに椅子やプロジェクターを完備。私自身、この場所でのピッチイベント※を通じて、堀江貴文さんや本田圭佑さんにサウナ事業へのアドバイスをいただいたことがあります。
※スタートアップ企業が投資家などに自社サービスをプレゼンし、資金調達やパートナー企業とのビジネスマッチングなどを行うイベント
2階はコワーキングスペースとして、テーブルと椅子が各所に用意されており、仕事に集中できる環境が整っています。また法人登記した企業には、顔認証で開く郵便受けも利用可能です。
テーブルと椅子が各所に用意されており、仕事に集中できる環境や、商談などの打ち合わせが行える場所が整っています。
学生起業って実際どう? 起業家の近大生が集まって話してみた
どんな思いで、どのようにして在学中に会社を始めたのかを知るために、私と同じ近大生の起業家3人に集まってもらいました!
猪鹿倉 文乃(いかくら あやの)
経済学部 国際経済学科4年生
株式会社Sparkle and 2023年設立
メタバース空間・アバターの制作・販売、アプリの開発
余野 桜(よの さくら)
国際学部 国際学科4年生
グーイー株式会社 2023年設立
焼き芋・焼き芋スイーツの開発・販売
一丸 昂太(いちまる こうた)
経営学部 経営学科4年生
TONGS合同会社 (チームで共同運営) 2022年設立
アウトドアイベントの企画・制作・運営、ガレージブランド特化型キャンプギアのレンタル・販売
事業もきっかけも十人十色。それぞれが抱えるリアルな悩みとは
普段からKINCUBAやイベントを通じて交流のある4人。
起業のきっかけはなんですか?
私はメタバース空間やアバター制作の会社をしています。だれかの役に立つプロダクトが作りたかったから。大学で授業を受けているうちに、その枠を超えて課題を解決したいと思ったので、自分で会社をつくることにしました。
私は大阪の浄國寺(じょうこくじ)で焼き芋屋さんを構えています。元々起業はまったく頭になくて。12年間やっていた器械体操を高校卒業と同時にやめて、なにか熱中できることを探していたときに、起業特別講座「KINDAI STARTUP ACADEMY」を見つけました。そこで経営スキルを学んでいくうちに、幼少期から好きだった焼き芋でお店をやってみたくなって。
僕はキャンプギア(キャンプ道具)の体験やフードの試食ができるアウトドアイベントを運営しています。起業のきっかけは承認欲求でした。高校はサッカーの強豪校にいましたが、怪我で選手生命を絶たれてしまい、何者でもない自分にずっとコンプレックスを抱いていたんです。もう一度自分が輝くためのステージが起業だと、その頃から思っていました。
事業内容もきっかけもそれぞれですね。では次の質問です。実際に起業してみて大変なことはありましたか?
人見知りの克服が一番大変でした。社会経験ゼロからのスタートなので、経営者やいろんな業種の方々と関わるために積極的にイベントに参加しにいってました。でも、初めの頃は本当にだれとも話したくなくて、毎回胃が痛かったです(笑)。
どうやって克服したんですか?
母に「相手が自分のことを好きだと思って話しなさい」と言われ、意識を変えて、見た目が少し怖そうな人でも自分から話しかけにいくようになりました。
私は、最近はイベントや駅構内への出店もしています。そこでの店舗スタッフをアルバイトとして雇っているんですが、どうすれば楽しく働ける環境がつくれるか、今絶賛悩み中で……。1年ぐらいずっと一人で事業をしているので、マネジメントまで気が回らないんですよね。
近鉄日本橋駅での出店の様子。
めっちゃ分かります。私もゆくゆくは人を雇いたいけど、一から関係性を築くのって難しい。
悩みは違えど起業をしている同志ということもあり、話が弾みます。
僕も同じく、主体事業がイベントなのでどうしてもスタッフの数が必要です。それも300人とか。どうマネジメントするのかが課題です。
私も自分一人じゃとにかく時間が足りない! だから人を雇いたいけど、まだ資金に余裕があるわけではないので……。授業が終わり帰宅すると、ずっと自社製品の開発をしています。売上を伸ばして人を雇えるようにするためにも、今が踏ん張りどきですね。
起業して気づいた友達の大切さ、新しくできたおじ友!?
壁にある大きなホワイトボードには、近大OBの起業家などから激励メッセージの数々が。
起業してなにか変わりましたか?
人間関係がかなり大きく変わりました。学校の友達から起業関連の友達中心に。ずっと仕事してるので遊ぶ時間まで惜しくなっちゃうんですよね。でも、学校の友達の存在も大切で、月1で会う約束をしてくれています。
自立して主体的に行動するようになりました。高校・大学の友達とは別の動き方をしてるから孤独感はありますが、みんな私のやっている事業を楽しんでくれています。
僕は女の子と遊ぶ時間が減りました。
分かる〜(笑)。
その代わり40代以上のおじ友が増えました。僕のお客さんは町工場の職人の方が多いんですけど、一緒にバーベキューをすると喜んでくれます。僕はバーベキューインストラクターの資格を持ってるので、火起こすのめっちゃ速いんです。
一同:歳上の知り合いが増えたの、わかる!!!
家族や友達、周りの反応は?
大学の友達は「いつもなにしてるの?」「あの取材はどうだった?」と興味津々で聞いてくれます。親や親戚も人見知りだった自分が社交的になっていくのを喜んでくれていて。自分でもプラスに変わったと感じています。
高校卒業で体操をやめてから、疎遠になっていた体操の友達や幼馴染と自分の事業がきっかけでまた会えるようになったんです。焼き芋の販売員を募集したら、昔の友達が「手伝ったるで」と名乗り出てくれて。
友情を感じるし、漫画の展開みたい。
あと、父には起業したことを言っていなかったんですが、家のポストに届いた書類を見られてバレました。
じゃあお父さんはまだ焼き芋を食べたことがない!?
お父さん、焼き芋嫌いなんですよ!
なんやそれ(笑)! ほかのみんなは家族に話していますか?
私は近大のアクセラレーションプログラム(起業家育成事業「OKonomi」)に参加したんですが、申し込みボタンを押したのは母だったりします(笑)。
えっ! 家族が勝手に応募するってジャニーズみたい!
うちは経営者一家なので驚きはなかったですね。近大に進学すると決まったときに「起業してきまーす!」みたいな。
私と真逆。父はサラリーマンやし、起業なんて考えてもなかった。私も余野さんと一緒で、まだ親にテントサウナに入ってもらったことがないです。
焼き芋のほうがだいぶハードル低いけど(笑)。
ここに来れば仲間がいる。KINCUBAで人脈も支援も充実
法人登記した近大生は特設の壁に会社ロゴが描かれたパネルを打ち込みます。この日集まった4人のパネルは偶然横並びに!
起業する上で、近大でよかったことは?
資金援助ですね。法人を立ち上げるとき、アクセラレーションプログラムで最後の審査会に合格すれば30万円の資金援助が受けられます。そのおかげで「今しかない」と、学生起業に踏み切れました。
費用はなにに使いましたか?
登記に使用しました。結構お金がかかるので。会社設立にかかる費用は、株式会社だと24万円程度、合同会社だと10万円程度ですね。
人脈づくりです。OB起業家の母数がすごいし、卒業生と在学生が交流できる「KINDAI SUMMIT」とかのイベントも多いので、人とのつながりが生まれやすいですね。
先輩社長さんたちから壁打ちの機会をもらえること。プログラムの座学で「事業成功のためにはユーザーインタビューと壁打ちが重要だ」と教わったんです。プログラムに入ると、半強制的にそのような機会がもらえます。
壁打ちがきっかけでプロジェクトに変化はありましたか?
ビジネスプランの改善はもちろんですが……先輩たちに聞いていた「ビジネスを泥臭くやる」っていう本来の意味やマインドを叩き込んでもらえました。あれこれ頭で考えるよりも、手と足を動かし続けるということですね。ユーザーインタビューを120件ぐらいしたり、町工場に足を運んで2時間以上お話を伺ったり。事業を最後までやり切るマインドを教わったのは大きかったです。
KINCUBA Basecampを実際に使ってみてどうですか? コワーキングスペースで仕事をしますか?
今まではイベントやプログラムが終わればそこで関係も終わっていたけど、ここに来ればプログラムの同期や、同じように起業を志す学生に会えます。
深夜に偶然居合わせたこともある猪鹿倉さんと一丸くん。窓際の席がお気に入りなんだそう。
それに、シンクに冷蔵庫や電子レンジ、ポットが備え付けられているキッチンまであるんです。長時間入り浸ることも多いので、コーヒーが飲みたいとき、軽食をとりたいときに助かりますね。
私はまだそこまで利用できてるわけじゃないけど、近大のメンバーたちと話し合える場として今後積極的に利用していきたいです。
やっぱり「ここに来れば仲間がいる」っていうのが嬉しいです。谷くんともここで出会って、今では僕のイベントにも出店してくれてるし。学生マンションに住んでるので、ここで登記できるのもありがたいです。
ほかはどこも高いし、月500円で登記ができるのは私も助かっています。郵便物もここのポストに届くので。
KINCUBAで登記すると利用できる法人用ポスト。顔認証システムで解錠します。
ここに来れば、だれかしら作業や打ち合わせをしていて、日々なにかが進んでいるのが目で見てわかる。それがモチベーションになって「自分も頑張らないと」と思わせてくれる。みんな、卒業後はどうするんですか?
企業にエンジニアとして内定はしていますが、今年中に売上を伸ばして、卒業後も自分の事業を続けたいと思っています。もしできなくても、ほかの企業で一度働く経験はすごく重要。
会社を立ち上げた時点で就活はまったくしていなくて、3年ぐらいを目処に事業を継続するかしないか決めようと思っています。判断の基準は1人で生活していけるかどうかで、無理だったら就職します!
既に内定はもらっています。ちなみに明日が第一志望の最終面接なんですよ。自分の事業に活かすためにも就職したいし、副業として頑張りたいです。20代、体が動くうちはやりたいことを思う存分やりたい。
みんな、エリートですね。起業を考えている学生に伝えたいことは?
実際にやってみるとハードで辛い時期もあるけど、その分楽しいことも多いので、考えるだけじゃなく実行していったらいいと思います。途中で諦めると後悔すると思う。
起業はすごいものを開発することではないということ。本当に小さな思いつきから始めても案外いいものができたりします。ミニミニから始めて進化したらいいんじゃないかな。
一番リスクのない状態から起業できるのが近畿大学。「お金持ちになりたい」「社長になりたい」とか、みんななにかしらの承認欲求を持ってると思います。やりたいなら、やれよ!
近大は学生起業にピッタリの大学だった
同じ学生起業家のみなさんの話を聞いて、近大は起業に関する制度だけでなく、夢や目標を持った熱い仲間たちにも恵まれた大学だということがわかりました。
しんどいことや大変なこともありますが、全部を振り返ったとき、起業を選んだことで昨日より今日のほうが確実に面白くなってるんです。
父は私と対照的で、新卒からずっと同じ企業に勤めているサラリーマンですが、私が20歳になったとき「仕事が楽しいと胸を張って言える、朝起きるのが楽しみな人生を送ってほしい」と書かれた手紙をくれました。それでハッとして、自分の気持ちに貪欲でいこうと。
起業は自分のやりたいことを叶えるための、あくまで手段の一つです。少しでも興味のある方は、KINCUBA Basecampへ話を聞きにいったり、近大で開催しているセミナーやワークショップに参加したり、まずは一歩踏み出してみませんか? 私たちも全力で応援します!
この記事を書いた人
谷 勇紀(たに ゆうき)
近畿大学 経営学部 経営学科4年生
株式会社BraveValley 代表取締役
サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持ち、アウフギーサー(熱波師)としての一面も持つ。2023年3月7日「サウナの日」に、人々の「今日も良い日だった」を増やすことを理念とし、テントサウナ企画やサウナ開発を行う株式会社BraveValleyを創業。
写真:後田琢磨
編集:人間編集部
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