2016.12.26
すべてがファンキー。話題の近大広報部に潜入したら、激アツだった。
- Kindai Picks編集部
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近大広報部にインターンでやってきた生駒市役所の大垣さん。一カ月間にわたる潜入レポートを大公開。
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■その日は突然やってきた
10月末のある日、人事部長に「来月から1カ月、近大の広報へいってきてね」と言い渡された私。
「えー、来月ですか!来年じゃなくて来月ですか!!」
一瞬ひるんだけれど、広報の仕事に携わる者として、こんな貴重な機会を逃すのはもったいない。仕事は後輩に押し付けたらどうにかなると、即断即決。
晴れて、今をときめく近畿大学広報部で研修させてもらうことになったのでした。
私が勤務する奈良県生駒市は、近畿大学と今年5月、包括連携協定を結びました。
今回の人事交流研修はその一環。
ちなみに私は「いこまの魅力創造課」という
派遣が決まって、すぐに近畿大学へご挨拶。
うわっ、世耕部長。
雑誌やWebでしか見たことのなかった著名人を前に一気にテンションあがる。
なんというか、とにかくパワーがみなぎっておられました。こんなにエネルギッシュな素敵ミドルに出会ったのは初めてでした。
隣には、笑顔が優しい次長と、デキル女オーラをまとったゴージャスな課長。そして、広報部の皆さん。
多っ!部長以下17人も広報部のスタッフがいるなんて、どこの大企業。さらに、大学職員ぽくない人ばかりで眩しい…。
■刺激に満ちた広報部の日々
1カ月の研修期間は、あれもこれもイイとこ取りで近大広報部を体験させてもらいました。
普段、自作の質素なお弁当を食べているので、結局2キロ太りました…。
■近大広報5つのキーワード
1カ月も研修に行って、ただ楽しんで、太った報告では税金の無駄遣いだといわれそうなので、多くの学びの中から5点(小出しで申し訳ありません)、みなさんと共有させてもらいます。
1 単なる「話題づくり」ではない綿密な戦略
例えば日本一ド派手だといわれる入学式。これを実施する背景には、「不本意入学者(近畿大学が第1希望以外だった新入生)が3割を占める」という現実があり、4年間のキャンパスライフがマイナスイメージのまま始まらないように、現在のスタイルに変化させたそう。雑誌のように、とことん楽しく読ませる大学案内にも、しっかりとした戦略がありました。
「現状と問題を正しく知ることから全ては始まる」「何をするかではなく、なぜするかを追求することが大切」は部長からの教え。思いつきで、あれもこれもやっている場合じゃありません。
2 フレキシブルな組織体制
広報部には「課」も「係」もありません。すべての業務がチーム分けされているので、部員は横断的な業務に携わることができ、仕事の押し付け合いも減り、PRのベクトルもぶれない…といいこと尽くし。
これをマネできたら、公務員の代名詞「縦割り行政」も少しは解消されるかもしれない。市役所って繁忙期と閑散期のある仕事が多いし…。これ以上書くと生駒市の人事課に怒られそうなのでやめます。
3 徹底的なマーケティング
「『マーケティング』や『ブランディング』ではなく『コミュニケーション戦略』です」と部長も課長も話されていましたが、そんなことはありません。
18歳人口の大幅な減少を見据え、各大学の志願者数の増減を数字で共有することはもちろん、競合大学の方針や広報に関する分析もされていました。
ターゲットも細分化。例えば、「留学生」とざっくりくくらず、4年間ちゃんと日本語を学びたい留学生と、1年間留学にきて単位をとりたい留学生のニーズをつかみ、自学はどこをターゲットにし、「他の大学とどう差別化するか」を考えておられました。
経営視点を忘れると、すぐに淘汰される。自治体も経営視点を持つことが必要ですし、「市民の皆さん」向けの施策では結局だれにも響かないのと同じですね。
4 視点をずらす
打ち合わせに同席させてもらって驚いたのが、部長や課長が「全然おもろないやん」「これ、かわいい」と感覚的な発言をされること。課題を発見しても、解決策がありきたりだと話題にならないし、結局伝わらない。
どうしたらワクワクできるか、どうすればおもしろくなるか、真剣に議論し、視点をずらして世の中に発信されています。例えば、国際学部なら「1年生から全員留学。グローバルな人材を育成」なんてありきたりな言葉ではなく、「#すべてが勉強中」のプロモーション。
まじめなことを面白く、楽しくできる人はファンが多いけれど、まさに近畿大学の広報はそれを体現している感じ。
「やるかやらないか迷ったときは広報ファースト」「社会に合わせてもらいたがるのではなく、自らが社会にあわせる」「発信するには、何より世の中のことを知ることが大切。スマホ中毒になるくらい情報を収集してこそ、物事をどう組み合わせていいかわかる」。忙しい部長が移動中のタクシーの中でさらりと話してくださいました。あー、深い。超深い。
5 本質の追及とイメージ構築と二兎を追う
近畿大学出身でなく、母校愛が強い私でも、「近大、おもしろいなあ」と感じていました。家族や友達、同僚に「近大の広報にいくねん」と伝えたら、「めっちゃいいなあ」「帰ってきたくなくなるん違う?」と全員が口を揃えて言っていたのも、広報部が「何か楽しそう」「何か攻めている」と思わせる空気を作り出すことに成功しているから。ちなみに、大学のイメージランキングでは、すでに「関西3部リーグ」の近大が「2部リーグ」の関関同立(部長の言葉を借りました)の牙城を崩しているそうです。
「中身が同じ全国共通商品券であっても、その箱を包んでいる包装紙で価値が変わるよね。教育・研究が大学の本質だという人もいるけれど、大学ほどブランドイメージに左右される世界はない」と部長が話してくださったけれど、本当にその通り。とことん近大らしさを追求してイメージを作ることとあわせて、研究と教育も発信していくことが大切なんですね。
都市ブランドを構築して、イメージとかまちの空気感を良くしないと、いくら個々の施策が良くても興味を持ってもらえないのは、自治体も同じ。見習うべき点は多いです。
もちろん、個々の広報業務や管理職の方々の部下育成方法も勉強になることばかり。
広報部の皆さんの近大愛をひしひしと感じながら過ごした1カ月。組織への愛情と仕事への熱量は比例すると再確認しました。
突然、異業種の私がやってきて、質問攻めにして明らかにご迷惑だったと思いますが、皆さま温かく接してくださり本当にありがとうござました。多くの学びは戻ってからすぐに組織で共有し、必ず業務に活かします!
【プロフィール】
大垣弥生(おおがき やよい)
奈良県生駒市いこまの魅力創造課魅力創造係長。
2008年民間企業から転職し、7年半広報広聴課で広報紙作成、メディア対応、採用広報、シティプロモーションなどを担当。2016年から新設課でまちのファンづくりや転入促進に取り組む。
facebookページ「まんてんいこま」で生駒のまんてんの魅力と元気を発信中!
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