2016.12.27
山崎邦正から月亭方正になった僕が思う幸せ
- Kindai Picks編集部
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40歳にしてお笑い芸人から落語家に転身した、芸歴29年目になる月亭方正氏が、その経験に基づいた「すべらん話」の会話術と生きるヒントを語った。
*近畿大学と吉本興業株式会社が平成28年12月に締結した包括連携協定の第一弾として近大生を対象に実施した講座「『すべらん話』の創り方」より。
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●早くやりたいことを見つけよう
もっと女の子が多いと思ってたんやけど(会場爆笑)
今回は僕の半生をふり返りながら喋りたいと思います。
吉本興業というのは、お笑いという形のないものを扱っています。それがまず芸人。僕たちです。でも、芸人ってデコボコでしょう? なかにはヘンテコな芸人もいますが、それも商品。芸人さんはやっぱり頭いいですよ。純粋やし、人間力もあります。普通の学問ではそういうところからは学ぶ機会はないので、今日は何かヒントになれたらいいなと思います。
「山崎邦正から月亭方正になった僕が思う幸せ」について話したいのですが、まずは早くやりたいことを見つけましょう。
僕の子どもにも言ってるんですけど、やりたいこと見つけた人が勝ちです、本当に。48歳の等身大のおっちゃんが言うんですから、マジです。
お金も大事やけど、やりたいことじゃないことでお金儲けしていたら絶対に不幸になるから。
落語をやっていて思うんですけど、やりたいことを見つけると、人生が有益になる。やりたいことが人生のすべてになるかもしれない。仕事じゃなくてもいいんです。仕事をしながらアイドルを追いかけるとかでもいい。なんでもいいんですけど、まずやりたいことを見つけるのは人生にとってすごく大事だなと思います。
●人生で大切にしていること
僕が人生で大切にしていることは2つあります。
ひとつ目は、「一生懸命やる」ということ。僕、中学2〜3年がものすごく楽しかった思い出として残ってるんです。なんでかというと、剣道も恋愛も一生懸命やってたから。これがあとあと、思い出で最高のものになりました。
もちろん社会人になっても青春はできますよ。僕は40歳で落語を始めて、一生懸命やってます。これって青春ですよ。最初はイベントをやっても50人も集まれへんかった。「タレントが落語ってなんや! 保証がほしいんか」とか言われながらもがんばって、8年。本当に一生懸命やりました。今度、兵庫県立芸術文化センターで独演会を開催するんですけど、800人、完売しました。一生懸命やってきたから、お客さんの心の琴線に触れたんやなと思います。
そういう経験から、僕は40歳で見つけましたが、一生懸命やれることが見つかったというのはすごく大きいです。
もうひとつは、「嘘をつかない」。
自分は自分に嘘つけないです。人生の選択があったとして、自分に嘘をつかずに選択したら、その後に失敗しても諦められるねんて。でも、自分に嘘をついて選んだ方で失敗したら、ものすごく後悔する。だから「嘘をつかない」って大事なんです。
●緊張の乗り越え方
就活って、緊張するやんか。落語も緊張するんです。誰も助けてくれないし。だから、舞台袖で必ずやることがあるんです。それは「無理やり笑う」ってこと。
人間って単純なもんで、個人差があるかもしれないけれど、口角が上がっていたら、脳内が口角に引っ張られてプラス思考になるんです。緊張したら「失敗したらどうしよう」とか、マイナスのことばっかり考えてしまうんです。でも、口角を上げて笑うと、考え方がプラスになるのよ。これ、すごいですよ。就活で緊張されると思いますので、その時は「方正、こんなこといってたな」とやってみてください。
就活は「本気度」も大事。本気でこの会社に入りたい、絶対に入りたいんだと思っていたら、緊張する余裕なんてないから。なぜなら、必死なんですもん。緊張するのは、自分がそこまで本気じゃないんかなと思ってもいいかもしれません。
●形のないものの伝え方
──方正さんは、芸能界という中で形のないものを商売にしているとおっしゃっていましたが、形のないものを視聴者に伝える中で一番大切にしていたものはなんですか?
思いつかないなぁ…
そう、もうひとりの自分を基準にしていましたね。いつもブレない基準がほしいから、僕が大切にしていたのは、テレビでパフォーマンスをするとき、客席やテレビの画面の向こう側にいる僕を基準にしていました。「向こう側にいる方正はおもしろいと思うんかな?」と。
でも、僕は20歳ぐらいが精神的に一番苦しかった。不安で不安でしかたなかった。
そんな時、不安をかき消すのは「一生懸命やること」と「自分に嘘をつかないこと」。
これが役に立てばいいなと思います。
──方正さんにとって自分の周りのすごい人は?
やっぱりダウンタウンさんがすごいと思います。何が違うかというと、普通の人では考えられないことを考えてる。特に「笑ってはいけないシリーズ」を生み出したダウンタウン・松本さんはホンマ凄い。でも、その松本さんが、「すごい」と言う浜田さんもすごい人です。
月亭八方師匠や尊敬する立川志の輔さんももちろん素晴らしい人たちですね。
人生のいちばんの贅沢は人間関係。なぜなら、運があるやんか。自分だけの運って自分だけが持ってるものやから、限界があるからね。
だから運は流さないとダメよ。自分に来た幸福を他人や後輩に渡して、そこから巡っていったらまた運が入ってくるから。うまいことに「運ぶ」と書いて「運」やから。運はぜったいに止めないでください。
とりとめのない話を話しましたけれど、これも縁です。ひとつでも「試してみようかな」と思っていただけたらいいなと思います。
【プロフィール】
芸 名:月亭方正(つきていほうせい)
所 属:よしもとクリエイティブ・エージェンシー(芸歴29年目)
レギュラー番組:
NTV「ガキの使いやあらへんで」
KTV「マルコポロリ」隔週レギュラー
YTV「八方・陣内・方正の黄金列伝」
出版物:
「うさぎ・邦正の人生バラ色相談所-苦悩の泥沼にハマッてしまった人へ」
山崎邦正写真集「奇跡」
「僕が落語家になった理由(わけ)」
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