2016.07.11
手のふるえに、睡眠障害。知られざるパーキンソン病の様々な症状と現在の治療法
- Kindai Picks編集部
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タレントの永六輔さんやモハメド・アリさんが長年闘ってきた、パーキンソン病。1,000人に1人以上が発病すると言われるこの病気、どのような治療が行われているのでしょうか。
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●パーキンソン病とは?
従来、パーキンソン病は振戦(ふるえ)、筋強剛、動作緩慢などの運動機能障害が中心だと考えられていました。運動機能が改善しても、患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)を悪化する症状があり、最近はそれを非運動症状と呼び、注意深く対応することが重要だと認識されています。
1 運動症状
振戦や筋強剛、動作緩慢、姿勢反射障害がよく現れる症状です。ふるえは安静時に現れるのが特徴で、ほかの動作をするなど気持ちを逸らすと目立ってきます。筋強剛は関節の硬さ、ぎこちなさとして現れ、関節を他動的に動かすと、歯車のようにがくがくと抵抗を感じます。また、動作が鈍くなり、姿勢が保てなくなって、少しの衝撃で転んだりします。
2 非運動症状
近年、パーキンソン病の QOLを悪くする症状として注目されています。嗅覚障害、睡眠障害(悪夢をみたり、記憶のないまま勝手に行動してしまうREM睡眠行動異常症)、便秘、起立性低血圧などの自律神経症状、認知機能障害などです。最近の研究で、嗅覚障害や睡眠障害は早期診断に役立つことが分かってきました。また、認知機能障害については、レビー小体型認知症との関連が注目されています。
従来、進行期や高齢のパーキンソン病患者さんは、幻覚症状(ひもがヘビのように見える、猫や犬が勝手に上がり込む、亡くなった人が訪ねてきたように見える)など、現実感のある幻視が起こりやすいことが知られていました。しかし、幻覚は、服薬している薬の影響もありますが、疾患そのものでも生じてくることが分かってきました。非運動症状は全ての患者さんに現れるわけではありませんが、症状の進行期に目立つことが多く、介護の問題ともかかわる重要な症状です。
図 パーキンソン病の病態
●パーキンソン病の診断
基本は問診と診察です。問診と神経学的診察によって、かなりの部分、パーキンソン病は診断できます。最も問題となるのは、パーキンソン病そっくりの症状でも別の病気だという場合で、これをパーキンソン症候群と呼びます(パーキンソン病も含めてパーキンソン症候群と呼ぶ場合もある)。パーキンソン症候群として挙げられるのは、薬剤性パーキンソン症候群、脳血管性パーキンソン症候群、正常圧水頭症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症などです。これらを精密に診断するためには、頭部MRI検査、アイソトープ検査を行います。
特に、近年のアイソトープ検査の発達はめざましく、MIBG心筋シンチ(心臓の検査が役立ちます)、DATスキャン検査などで、より正確な診断が可能になりました。ただ、正確な診断を行うには、今でも丁寧な問診と神経診察が最も重要であることに変わりはありません。例えば、薬剤性パーキンソン症候群では、原因となっている薬物を中止するだけで症状が改善することもあり、どんな薬を服用しているかという問診は重要です。正確な診断によって、別の治療法が有効なことが分かるケースもあります。
●パーキンソン病の治療
最も根本的な治療は、失われた神経細胞が復活して、再びドパミンを産み出すことができるようになることです。ノーベル賞に輝いたiPS細胞の研究が応用できることが期待されていますが、現時点で確立したものはありません。一方、足りなくなったドパミンを補う治療については、さまざまな薬があります。また、一部の患者さんでは脳深部刺激術という手術療法が効果につながる場合もあります。
次にパーキンソン病で使う薬、治療法を紹介しますが、担当医と相談して、患者さん一人ひとりにとって、最適な内容、投与量を決めていく「オーダーメイド」の治療が重要です。
代表的な治療薬/レボドパ(マドパ、ネオドパストンなど)、ドパミン作動薬(ミラペックス、レキップ、ニュープロ、ペルマックス、カバサールなど)、塩酸アマンタジン(シンメトレルなど)、MAO-B阻害薬(エフピー)、COMT阻害薬(コムタン)、レボドパ+COMT阻害薬(スタレボ)、抗コリン薬(アーテン)、そのほか(トレリーフ、ノウリアスト、ドプスなど)
●パーキンソン病と指定難病
パーキンソン病は難病法に基づく指定難病なので、患者さんの重症度、所得に応じた援助を受けることができます。指定難病の認定を受けるには、居住地域を管轄している保健所に申請します。このほか、介護保険を使った各種サービスの利用、身体障害者手帳交付も可能です。詳しいことは、担当医または患者支援センターにお問い合わせください。
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