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2022.11.07

映画会社代表・俳優・監督脚本による映画談義!村松 秀信さん×赤井 英和さん×大江 崇允さんによる近大OB対談が実現

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文芸学部
大江崇允
オリジナル記事
OB・OG
赤井英和
文化・芸能

今回は、元プロボクサー・俳優の赤井 英和さん、株式会社東映エージエンシー代表取締役社長の村松 秀信さん、共同脚本を務めた「ドライブ・マイ・カー」が米アカデミー賞の脚本賞にノミネートされるなど、映画監督・脚本家として活躍する大江 崇允さんの3人による豪華な対談が実現しました。お三方とも近畿大学を卒業し、映画業界で活躍されているという共通点があります。当時どのような学生生活を送っていたのか、これから挑戦してみたいことなどを伺いました。


赤井 英和(あかい ひでかず)
俳優・元プロボクサー。1984年近畿大学商経学部(現・経営学部)商学科卒業。 ボクサー時代は、12年連続KOという日本記録(当時)を樹立し、”浪速のロッキー”として親しまれる。その後、芸能界へ転向。1995年に出演した映画『119』では『第18回日本アカデミー賞』優秀主演男優賞、2001年公開の映画『十五才 学校IV』では『第24回日本アカデミー賞』優秀助演男優賞に輝いた。息子の赤井英五郎氏が監督を務めたドキュメンタリー映画『AKAI』が2022年9月より全国公開。




村松 秀信(むらまつ ひでのぶ)
株式会社東映エージエンシー代表取締役社長。1984年に近畿大学法学部経営法学科(現:法律学科)卒業。同年に東映株式会社に入社。 2008年に映画営業部長を勤めた後、2010年に執行役員に就任。2012年取締役などを経て、2022年6月に東映株式会社顧問 兼 株式会社東映エージエンシー代表取締役社長に就任した。その他、外部委員として、2014年にアカデミー賞協会実行委員長に就任。2020年に日本アカデミー賞事務局長に就任。




大江 崇允(おおえ たかまさ)
映画監督・脚本家。2004年近畿大学文芸学部芸術学科演劇・芸能専攻(現・舞台芸術専攻)卒業。近畿大学で舞台芸術を学んだ後、「旧劇団スカイフィッシュ」を旗揚げし、演出家や俳優として舞台作品に携わる。その後、映画制作を始め、監督・脚本家として活動。2009年初監督作『美しい術』でCINEDRIVE2010監督賞を受賞。2011年2作目となる『適切な距離』は第7回CO2グランプリほか国内外で評価を受けた。2012年短編『かくれんぼ』は第7回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門に出品された。そして、共同脚本『ドライブ・マイ・カー』が第74回カンヌ国際映画祭で日本映画としてはじめて脚本賞を受賞。第94回米アカデミー賞においても、国際長編映画賞を獲得した。


映画会社代表・俳優・監督脚本による映画談義






――お三方は近畿大学(以下、近大)を卒業し、映画業界で活躍されているという共通点がありますが、以前から面識はあるのでしょうか?

村松:赤井さんとは、2006年に出演された『ありがとう』という映画でご一緒させていただいて、キャンペーン活動を一緒に回らせていただきました。

赤井:そうですね。

村松:大江さんとは、東映とTBSさんで手がけた短編ドラマ『君は放課後、宙を飛ぶ』で、間接的ですがご一緒させていただきました。

大江:そうでしたね!赤井さんとは、今日がはじめてになります。お二人は卒業年が同じですが、学生時代はお互いのことをご存知でしたか?

赤井:私はほとんど学校に行ってなかったので(笑)。

村松:はははっ!(笑)。




大江:私は2004年卒業なので、お二人は大先輩です。近大に入学したときは商経学部経営学科の経営会計情報コースでしたが、2年生の時に今の文芸学部芸術学科舞台芸術専攻に転部しました。元々、俳優・演出を学んでいたのですが、ひょんなことから映画のお仕事に携わらせていただくようになりました。


ドライブ・マイ・カー共同脚本・大江崇允さんインタビュー「演劇を学ぶのも、映画をつくるのも、人間を知りたいから」

赤井:『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞国際長編映画賞を受賞されたんですよね。

村松:すごいなぁ。日本映画が選ばれたのは、2008年公開の『おくりびと』以来ですから。

大江:ありがとうございます。それは監督の濱口竜介さんや、プロデューサーの山本晃久さんたちがすごいからです。感謝しています。学生時代は演出がメインで、あまり脚本を書いたことがありませんでした。まさか脚本で賞をいただける日が来るとは思っていなかったので今でも信じられないです。

赤井:学生時代から演出の方が好きだったんですか?



学生時代の大江さん(前列一番左)

大江:当時は演じるより演出する方が楽しかったですね。俳優として演技をするのは苦しい部分もあったんです。舞台って観客の顔が見えるじゃないですか。
だからこそ、こちらも期待に負けないように戦うというか、私の感覚ですが「負けないように仕返す」という感覚で演技をしていました。そういった人前で演技する怖さや緊張感など、凄く良い経験をさせてもらったなと思います。

村松:赤井さんも明治座とか、結構舞台をやられてるじゃないですか。どんな感じなんですか?

赤井:毎回、必死のパッチですよ(笑)。

大江:怖くないですか?

赤井:もちろん舞台に出る前は緊張で膝がガクガク震えますよ。ただ、台本のセリフが私をイメージして書いてくれているので、ありのままの状態でいられるというのはありますね。ありがたいです。これが自分とは真逆の人物だったらと思うと、やっぱり演じきれるか怖さはあります。

村松:1ヶ月興行だと25公演とかやらないといけないので、ハードスケジュールですよね。

赤井:そうですね。

村松:舞台は映画やドラマとは違った緊張感があるんじゃないですか?

赤井:舞台での芝居ってお客さんの反応がリアルタイムでわかるので、笑顔が見られるとやっぱり嬉しいですね。

大江:やりがいがありますよね。テレビと舞台だったら、どちらが良いですか。

赤井:どちらか選ぶのは難しい……。テレビと舞台、それぞれに良さがありますからね。




村松:俳優もいて脚本を書ける方もいるんだから、近大の映画を作るっていうのはどうですか? おもしろそうですよね。

大江:2025年に近大は創立100周年を迎えるので、そのタイミングで映画を撮影するのも良いかもしれませんね。

村松:それも近大だけで作るっていう。めちゃめちゃ豪華な映画になりますね!

大江:村松さんはどういったきっかけで映画に関わることになったのですか?

村松:もともとはテレビ業界で働きたかったんですが、希望していたバラエティ番組には行けませんでした。新しい求人が出るまでの就職先として選んだのが、映画会社だったんです。仕事に没頭するうちに、気づけば38年以上も映画業界で働いていたという感じなんですよね。これまで数多くの実写作品と現在(2022年7月取材時)上映中の『ドラゴンボール超スーパーヒーロー』や『ONE PIECE FILM RED』、今年12月3日公開『THE FIRST SLAM DUNK』などのアニメ作品にも携わらせて頂きました。



学生時代の村松さん(写真中央前列)

2015年には、校友会名誉会長で現理事長の世耕弘成先生にも、企画段階からご尽力いただいた『海難1890』という、日本とトルコの友好125周年を記念した合作映画を近大でお披露目させていただきましたね。こうやって母校と関わりを持てるのは非常に嬉しく思います。

赤井:世代は違えど、こうして近大卒業生が活躍しているって誇らしいですよね。私の話をさせていただくと、大学2年のときにオリンピックを目指してボクシングをやっていました。1980年、日本がモスクワオリンピックへの参加をボイコットした影響で最終選考が白紙に戻り、プロボクサーに転向することになったんですよね。



学生時代の赤井さん

大江:赤井さんはスターですよね。私が中学生くらいの頃に赤井さんの試合をテレビで観たことがあって、ずっと憧れていたんですよ。だから今日お会いできてめちゃくちゃ嬉しいです。

村松:赤井さんは大スターでしたからね。在学中から“浪速のロッキー”の愛称で大活躍でした。

赤井:今はもう浪速のグロッキーですけどね(笑)。



1983年7月7日、近畿大学記念会館にて世界タイトル戦が行われた。相手は、当時WBC世界スーパーライト級チャンピオンのブルース・カリー。

今まで続けてこられたのは、必死で生きてきたから






村松:ボクサーを引退した後に俳優に転身されたのは、どのようなきっかけからですか?

赤井:私は1985年の世界前哨戦(大和田正春戦)でKO負けしました。試合の直後、急性硬膜化血腫、脳挫傷、深昏睡で病院に救急搬送され、約5時間に及ぶ開頭手術を受けて2ヶ月ほど入院しました。お世話になった先輩や先生方、社長の元へ挨拶に行けるくらいにまで元気になりましたが、医師からは二度とリングには立てないと宣告されました。


私にとってボクシングが人生のすべてだったので、現実を受け入れるまでには時間がかかりましたね。

そんなときに声をかけてくれたのが、当時の近大ボクシング部の部長だった吉川 昊允(よしかわ こういん)先生です。「後輩の面倒を見たってくれないか」と声をかけていただき、嘱託職員として母校のボクシング部コーチに就任しました。




ボクシングにまた携われると思っていなかったので、指導中の2時間は本当に楽しかった。夢のような時間でしたね。唯一の悩みは、指導以外の残りの22時間をどう過ごせばよいか。

ボクシングのコーチ以外はやることがなかったから、飲みに行ったり、挨拶に行ったりしていたのですが、高校の先輩で落語家の笑福亭鶴瓶さんが「お前の人生おもしろいから、本にしてみないか」と自叙伝の出版を薦めてくださったんですよ。

大江:それが後に映画化された『どついたるねん』ですね。

赤井:はい。『どついたるねん』を読んだ映画監督・脚本家の阪本順治さんが「おもしろいから、映画化してみたらどうか」といってくださり、俳優デビューすることになったんです。



映画『どついたるねん』撮影現場の写真

村松:ボクサーと俳優ってまったく違う世界ですよね。ここまで続けるのは決して楽な道のりではなかったと思いますが、なにが原動力になっていますか?

赤井:原動力というと大袈裟かもしれませんが、毎日必死で生きていることですかね。セリフひとつとっても、「自分やったらこういう言い方の方がしっくりくる」「この人(主人公)の人生を考えるとこういう振る舞い方が良いかな」とかあるじゃないですか。どれが正解かわからないなか、試行錯誤を繰り返しながらやってます。

ボクサーはリングに上がったら一人だけど、ドラマや映画は一つの作品を作り上げるのに、何十・何百人という人が関わっているじゃないですか。俳優のお仕事をするようになってから、チームワークの大切さを改めて感じるようになりましたね。

今この瞬間を楽しむことがクリエイティビティを高めてくれる






村松:大事にしていること、また、今後の目標はありますか?

大江:人生で一回も目標を持ったことがないんですよね……。

この先も今この瞬間を楽しみながら、のんびり生きていけたらいいなと思います。脳のつくりかもしれないですけど、過去のことは結構、忘れていくんですよね。もうアカデミー賞のことも忘れてますし(笑)。ゆっくり寄り道することが、自分の中では結果的に一番近道だった気がするので、これからもたくさん寄り道したいと思います。

赤井:大事にしていることは大江さんと一緒で、今を精一杯生きることですね。明日のことではなく、今この瞬間を楽しむことを続けていきたいですね。今が一番大事!

また、息子が編集・監督を担当した映画『AKAI』が、2022年9月9日(金)から全国の劇場で上映されます。私のボクサー時代の映像も使われているので、映画を通じてボクサーとしての赤井英和を知っていただき、一人でも多くの方にボクシングの魅力を感じてもらえたら嬉しいです。

本人も制作を知らなかった?赤井英和さんのドキュメンタリー映画『AKAI』が公開へ

村松:私は今年で61歳になり会社では定年を過ぎているんですね。会社や大学の後輩たちに何かを伝えていく立場なので、映画のバトンを繋いでいきたいなと思います。ぜひ近大で映画を作りましょう!

あとは、今日こうして3人でお会いできたのも、偶然じゃなくて必然なので、これからも人との出会いを大切にしていきたいですね。

卒業生として後輩に伝えたいこと





大江:卒業してから近大に行く機会ってありますか?

村松:機会をいただけるたびにお邪魔しています。

赤井:新しい校舎ができたりキッチンカーが出店していたり、我々が通っていた頃と全然違いますよ。

村松:時代とともにどんどん変わっていくものですよね。私たちの時代は今ほど難関大学ではなく、普通に勉強していたら入れる大学だったので、そんなにプライドもなかったです。今は学力も上がっていて、様々な環境下で過ごすうえで、プライドを持つことは大切ですが、プライドが邪魔をすることもあります。

自分がやりたいことが将来的に止まってしまったり、実行に移せないこともあると思いますが、トライアンドエラーを繰り返すことによって何かが生まれるので、恐れないで色々なことにチャレンジしてほしいですね。卒業生たちのチャレンジ精神を見習って何事にも頑張ってほしいなと思います。

赤井:卒業後もずっと強い絆で結ばれているのは、近大の特徴でもあると思います。これまで私は卒業生同士のつながりや絆に助けられてきましたし、ボロボロな状態から這い上がれたのも近大のおかげです。この場を借りて感謝いたします。

大江:お二人がおっしゃっている通りだと思います。多分、みなさんそうだと思うんですが、やりたいことってたくさん出てくるはずなんですよね。あまり気負いせず生きていくことが、仕事にも活きていくのではないかなと思います。

――学生生活で築いた人間関係を大切にすることで、卒業生同士の交流が大学の発展にも大きく影響しますよね。本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました!


取材・文:笑屋株式会社
写真:伊ケ崎 忍
企画・編集:近畿大学校友会
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