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2021.04.16

発明家・カズヤシバタ氏に聞く!近大の次世代モノづくりスタジオ「THE GARAGE」の魅力

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
THEGARAGE
カズヤ
シバタ
OB・OG

近大東大阪キャンパスにオープンした新施設「THE GARAGE」は、3Dプリンターやレーザーカッターなどの先端設備を備え、大学と企業が連携して新たな価値を創り出すスタートアップスタジオです。実際何ができるの? 近大生じゃなくても使えるの? ゴージャス登場箱「デルモンテ2020」で話題の発明家・カズヤ シバタさん(近大OB)に、施設の魅力とモノづくりの楽しさについて伺いました。



2021年4月7日、近畿大学東大阪キャンパスに「ACADEMIC THEATER(アカデミックシアター)」の別館として、モノづくりの拠点となる新施設「THE GARAGE (ザ ガレージ)」がオープンしました。

2017年4月に開設された「アカデミックシアター」は、計7万冊の蔵書のうちマンガが2万2千冊を占める図書館や、学生主体のプロジェクトを実現する空間「ACT」、24時間利用可能な自習室などを備え、学生の知的好奇心を刺激する文理融合の実学教育の拠点として話題になりました。

「THE GARAGE」はそれに付随する施設で、近畿大学の学生や教員が地元企業と交流し、研究シーズやアイデアを持ち寄って実験的なモノづくりを行う場所です。


常駐のテクニカルスタッフがサポート。設備を使う前に必ず安全講習を受ける必要がある。

3Dプリンター、レーザーカッター、UVプリンター、刺繍ミシンなどモノづくりのための先端設備を設置し、近大生だけでなく、法人会員や個人会員に設備を開放。東大阪市や八尾市にある地元企業と連携し、モノづくりのスタートアップスタジオとして、新しい挑戦を生み出します。


錦城護謨株式会社の素材展示ブース。

「THE GARAGE」は、モノづくりの場である「MAKEゾーン」をメインに、近畿大学の研究シーズや、法人会員企業が取り扱う特殊な素材を展示している「MATERIALゾーン」、学内のスペシャリストとの交流やイベントスペースとしてセミナーなど、学びの場としても提供している「CAFEゾーン」の3つのゾーンで構成されています。施設の利用は専用のアプリで予約するシステムです。

また、企画・製造・販売をトータルで支援する独自のプロジェクト体制により、学生の起業も支援し、国内有数の”モノづくりの街”として知られる東大阪全体の活性化を目指しています。


発明家・カズヤ シバタ氏に聞くモノづくりの楽しさとは?




そんな「THE GARAGE」のモノづくりアンバサダーとしてオープニングイベントに登場したのが、理工学部 電気電子工学科OBのカズヤ シバタさん。

どんなものでもゴージャスに登場させる箱「デルモンテ」や、割り箸が綺麗に割れない問題を解決する「全自動割り箸割り機」など、なぜか何処の企業も作らない“とても役に立つ”発明品を作る発明家として、現在、テレビやイベントに引っ張りだこの発明家です。

大学時代からモノづくりに打ち込んでいたというカズヤ シバタさんにとって、モノづくりとは? 発明とは?

施設の魅力や注目の設備を紹介していただくと共に、モノづくりのモチベーションやアイデアの根元、発明の裏話などを伺います。

カズヤ シバタ
発明家。「なぜか何処の企業も作らない“とても役に立つ”発明品」を作る人。
2017年、近畿大学理工学部 電気電子工学科 卒業。ロボット関連のスタートアップ企業PLENRobotics株式会社に勤めながら、発明家としてモノづくりの楽しさを体現している。


どんなものでもゴージャスに登場させる箱「デルモンテ」のアップデート版。初期版は2017年8月に公開された。

ーー発明家として注目されているシバタさんですが、小さい頃からモノづくりや数学が得意だったのでしょうか?

電子工作やプログラミングをしてると「数学が得意だったんですか?」と聞かれることが多いんですが、小中学生の頃は勉強が得意なタイプではなかったです。どちらかというと図工が得意でした。校内で話題になったり、あんまり趣味が合わないと思っていた友達まで大笑いしてくれて、図工の時間はヒーローになれたんです。

だから、数学や科学の勉強は、作品を作るために必要だから勉強しなおした感じです。



ーー理工学部 電気電子工学科ではどんな勉強をしていたのでしょうか?

私が入った学部は理工学部 電気電子工学科のエレクトロニクス・情報通信コースで、携帯電話やインターネットなどのいわゆる電気通信技術を学ぶんですが、それに加えて、選択科目でプログラミングなどの情報学も学べるんです。

情報学科との共通の授業がきっかけで、そっちの分野にも興味が湧いてしまって、他にも友達から面白い授業があるよと聞いたら覗きに行ったり。単位とは関係ない授業ばかり聞きに行って、必修の単位がピンチになりました(笑)。

ーー大学生の時から発明品を作っていたのでしょうか?

在学中にも作っていました。でも、今の作風とは違って真面目なものを作っていましたね。

当時の私は「3Dプリンター」にものすごい可能性を感じていて。「これがあったら何でもできるんじゃないか?」と思って、より複雑なものを作ることで3Dプリンターの可能性を体現しようとしたんです。それで、人間と同じ数の関節で動く、リアルな「機械の手」を作りました。


「Maker Faire Tokyo 2016」に出展した「機械の手」。近大在学中の2015年から研究・制作していた。

それまで3Dプリンターで作られた、ここまで複雑に動く作品ってなかったんですよね。ゴツゴツしたメタリックな機械ではなく、3Dプリンターで作るということにこだわっていました。

ーー普段はロボット関係のスタートアップ企業で働いているそうですが、どんなお仕事をしているんでしょうか?

小型の接客ロボットを開発をしている、PLEN Robotics(プレンロボティクス)という会社で、主にロボットの機構設計や生産管理の仕事をしています。

就職活動は、興味のある会社に直接アポを取って話を聞きに行く……ということをしていたんですが、ポートフォリオ代わりに「機械の手」を持って行って「こんなものを作っています」と話したら、「じゃ、来週から来る?」と言われ、トントン拍子に入社が決まりました。

スタートアップ企業で働くことは、正直、人を選ぶと思います。社内のシステムひとつとっても自分たちでゼロから決めていかなくてはならないので、自分の得意分野以外のこともやらなければならない。とてもやりがいはありますが、責任も重大です。

明らかに言えるのは、不測の事態への対応力がものすごい早さでつくということですね。

ーー今のような作品を作るようになったきっかけは何だったのでしょうか? また、モノづくりのモチベーションは何ですか?


作風が大きく変わったのは「全自動割り箸割り機」を作った時です。

「誰もやったことがないことをやりたい」「人を驚かせたい」という気持ちがずっと自分の根本にあるので、人を驚かせて、笑ってもらうことに喜びを感じるんです。

実は、子どもの頃から「手品」が趣味で、親戚が集まったときなんかに手品を披露していたんです。

だから、「モノを作る」というのがゴールじゃなくて、アイデアを考えるときも、機械の設計だけでなく「どうやって驚かせるか?」「どうやったらたくさんの人に認知されるか?」というところまでを計画しています。


反省文までワンセット! 絵コンテからTwitterの投稿文まで最初から設計




ーー作品の紹介動画のディレクションもされているのでしょうか? ご自身が出演することや演出のこだわりなど教えていただきたいです。

動画は全て自分がディレクションしています。「デルモンテ2020」も、最初の設定の段階でプロモーションまでの構想を考えて、絵コンテを作ってます。パラパラ漫画の要領でアニメーションを作って音楽もつけて。

「デルモンテ2020」の絵コンテ。

撮影は一眼レフで、ネットで撮影用の機材を揃えて自宅で撮ってます。英語のナレーションは、会社の同僚だったのカナダ人にやってもらってるんです。オタク気質というか、ネタをわかってくれるというか……私がやりたいことを理解して、それっぽいナレーションをしてくれるんですよ。

基本的に下準備をするのが好きなのかもしれません。でも全然足りない気持ちもあって、毎回発明品を発表したあとに反省文を書くんですよ。反省文までがワンセット。イベントに出たときやテレビに出たときも必ず反省文を書いてます。


設計書には、機械の設計だけでなく 、どのタイミングでどんな動画を公開するか、ツイートする文章まで細かく記されている。

ーー追求心がすごいですね……。作品を発表する度に話題になっていると思いますが、今までどんな反響がありましたか?

海外の反響も大きくて、特に台湾の方からよくメッセージをいただきます。台湾はデジタルファブリケーション先進国なのでモノづくりに垣根を感じていない人が多いんでしょうね。

テレビ番組に出演した時は、美容室で髪を切っている時に「もしかしてアウトデラックスに出てませんでしたか?」って聞かれたり、疎遠だった人から連絡がきたりしました(笑)。さすが、テレビの力は強いんだなって思いましたね。

ーーアイデアはどこから湧いてくるのでしょうか?

よく行く場所はホームセンターなんですけど、何件かハシゴして店内を歩き回ってます。直接制作に必要な部品コーナーだけでなく、色んなコーナーをまんべんなく見ています。やっぱり歩き回っていると新しいアイデアが出てくるんです。100円ショップもよく行きます。


カズヤシバタさんが所属するモノづくり集団「ゆるつく」の作品「光るメガネ」は100円ショップの老眼鏡のレンズを抜いて作っているそう。


あとは、SF映画の影響も大きいです。映画の中に出てくるロボットとか「この動き面白いな」ってところをメモしておきます。それを見返して、例えば、日常のこの動作とこの映画のシーンを結びつけたら面白いだろうな……というふうにアイデアを膨らませていきます。

そうしてネタ帳に貯めていったものの中から、今の世の中に合った発明品を作るという感じですね。

ーープライベートの趣味も教えてください。


「全自動割り箸割り機」のケースは無印良品のポリプロピレンメイクボックスが使われている。

意外かもしれませんが、趣味はキャンプです。キャンプをするという行為より、道具が好きなんですけど。キャンプグッズってすごいんですよ。専門性に特化して最適化された、道具としての構造と機構に感動します。

例えば、LEATHERMAN(レザーマン)の「シグナル」っていう十徳ナイフとか。火打ち石がセットになっていて、石にナイフをシュッシュって擦って火を付けるんですけど、その火打ち石になる部分がなんと、ホイッスルにもなってるんです! そういう工夫が見えるものが大好きです(笑)。


最新の3Dプリンターに刺繍ミシンが使い放題なんて……ずるい




ーー「THE GARAGE」を見ていかがでしょうか?

密集したところにチョコチョコと機械が置いてあるようなイメージだったんですけども、まだまだスペースがゆったりとして空間に余地がありますよね。今後も機材が増えていくんだろうな……という期待が感じられましたね。

ここにある機械で面白いなと思ったのは「メタルプリンター」。レーザーカッターやUVプリンターは一般的にも知られていると思いますが、こういったマニアックな機械に触れられるのは面白いですね。


プラスチック素材への半導体レーザーで箔押しできる「メタルプリンター」。

それに、「刺繍ミシン」を使える場所はなかなかないので貴重ですね。デルモンテTシャツを作りたい。あとで使わせていただこうと思います(笑)。

あと、意外に思われるかもしれませんが個人的に一番ポイントが高かったのは「ピアノ」ですね。動画を作る上でも、音楽って一番悩むポイントなんです。この場所で、音楽を演奏したり作っている人と知り合う可能性があるっていうのは大きいですよ。

ーー普段、どんな環境でモノづくりをしているのでしょうか?

部屋は機械に囲まれた作業部屋なので、眠っている間に3Dプリンターを動かしていて、動作音が子守唄みたいになってますね(笑)。ひとつの部品の出力だけで30分くらいかかったりするんで、家に帰ってからは3Dプリントスケジュールを立てて効率よく使いまくってます。


3Dプリンターでデルモンテの部品を出力してみました。このパーツを作るのに約20分かかります。

近所のコワーキングスペースを使うこともあるんですが、基本が時間貸しなので、高額になってしまうこともよくあるんですよね。大学内にこんな場所ができて、時間を気にすることなく気軽に最新の3Dプリンターが使えるなんて、自分が在学中にこの施設がほしかった。ずるい。本当にうらやましいです(笑)。


この部分のパーツだそうです。

ーーはじめて電子工作やモノづくりしたい人へのおすすめはありますか?

まずは「Arduino(アルデュイーノ)」や「micro:bit(マイクロビット)」というマイコンボード(マイクロコンピューターと周辺回路を乗せた小型の基板)を触ってみることが電子工作の基礎の定石です。


「デルモンテ」の動作を司るマイコンボード「Arduino」。56個ある全てのピンを使っている。

私も5年前にはじめて「Arduino」を触って電子工作をはじめました。本当に最初はボードについてるLチカ(LEDをチカチカさせること)からはじまって、そこから先は玄関のブザーのセンサーを動作させてみたりしました。実はデルモンテも「Arduino」で動いているんですよ。

ーー記事を読んでいる学生さんへのメッセージをお願いします。

「THE GARAGE」でやってもらいたいのは「失敗」ですね。失敗こそ、本当にその人を高める可能性がある。お金がないとか、機械がないからできないというのをここで解消して、失敗を褒め合う文化を作ってもらいたいですね。



ここは、学生だけでなく様々な企業やクリエイターが集まる場所になると思うので、先ほどお話したピアノ演奏もそうですし、エンジニアの人や音楽を作る人たち、様々な分野の人が繋がってひとつのプロダクトが完成していくのは面白そうですよね。

今まで触れたことがないことにぜひ挑戦してもらいたいと思います。

ーーありがとうございました。


クリエイティブな出会いの場に!




自身の発明品をエンターテイメントとして捉え、世の中に届けるまでを熟考して計画をするカズヤ シバタさん。その一貫したセルフプロデュースは昔からやっていた手品がルーツであると聞いて納得しました。

生み出される発明品はシバタさんのパフォーマンスと相まって、マジックさながらに見る人を魅了します。そして次の段階では、製品を世の中に広めるために協力者とさらに洗練させたモノづくりをしていきたいそう。

「THE GARAGE」は施設に設置された最新設備も魅力ですが、様々な分野でモノづくりをする人たちが繋がるクリエイティブな出会いの場所としても、今後活用されてほしいですね。


施設の利用について

近畿大学生/一般(個人)の皆様は専用アプリへの登録、法人会員の皆様は法人会員申込み後、施設を利用いただけます(法人会員申し込み後、個人として施設を利用いただく場合は、別途専用アプリへの登録が必要です)

施設利用案内
利用できる機器一覧
利用できる器具一覧

THE GARAGE (ザ ガレージ)公式サイト


取材・文:Julie Watai/トミモトリエ
写真:Julie Watai
編集:人間編集部

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