2020.12.16
コロナ禍の「オンライン就活」成功の秘訣とは?人気大手企業の内定を獲得した近大生に聞く!
- Kindai Picks編集部
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コロナ禍で就活をとりまく状況は一変しました。イベント自粛、マスク着用の徹底、急激なウェブ面接への移行……。そんな状況でも、人気の大手企業から内定を獲得した学生たちがちゃんといます。就活状況はどんな感じだったの? 内定の決め手は? ウェブ面接の苦労は? 内定が決まった近大生のみなさんに、オンラインインタビューで就活成功の秘訣を教えていただきました!
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今回は、そんな状況でも資生堂やみずほフィナンシャルグループ、アクセンチュアといった大手企業に見事内定を決めた近大生5人に、コロナ禍における就活の秘訣をたっぷり教えていただきました。
機械工学で美容業界に【資生堂内定】
理工学部 機械工学科 機械工学コース 4年(21歳)
部活・サークル:所属なし
就職先(内定)の企業:株式会社資生堂
エントリーした数と結果:内定1社、最終面接辞退2社、書類選考辞退2社
就活で受けた面接はすべてオンラインという島野さん。お父さんが機械工場を営んでいたことからモノ作りをたしなみ、機械工学科に進学。でも同時に、美容関係の仕事にもずっと興味があり……。どちらの夢もかなえるために「美容業界の生産技術職」を選んだということです。就活ではどんな苦労があったんでしょうか?
業界を絞るのはリスクがあると言われたけど……
ーー生産技術職で資生堂を選んだ理由は?最初から化粧品業界に絞り、3年生の8月頃から情報収集したりインターンにいったりしはじめました。「業界を絞って就活するのはリスクがある」と言われたけど、やりたいことがはっきりしてたので。
エントリーはすべて化粧品関係です。化粧品か、化粧品を作る機械の製造が希望でした。資生堂を第一志望にしたのは、企業説明会の時の社員の方の人柄がよく、仕事内容がしっかり想像できたからです。
でも、コロナ禍で選考が延期になることも多くて、その間も企業探しは続けてました。化粧品の容器を製造する企業なども候補に入れて。化粧品自体に関われないのなら、せめて容器にと……。幸いにも早い段階で資生堂から内々定をいただきました。
お父さんの工場で使っている、自動工具交換機能がついたマシニングセンタという機械。
ーーコロナ禍の就活で苦労したことは?
私は、受けた面接が全部オンラインだったんです。苦労したのは視線の向け方です。カメラを見ると相手の目を見てるように見えるんですけど、つい画面上の相手の顔を見ちゃうんですよね。でもずっとカメラを見つめていると相手の反応がわからない。そこで、自分が話すときはカメラを見て、面接官が話してるときはカメラにも相手にも目を向ける、というふうにしました。
背景に何かあるとそっちに目がいくんじゃないかなと、白い壁の部屋でやるようにしました。ライトを横から当てて、顔を明るくして。リクルートスーツもちゃんと着てました。
ESは機械工学的な視点で専門的に書き上げた
ーー内定の決め手は何だったと思いますか?教授にも見てもらって、機械工学的な視点でかなり専門的なESを書き上げたことや、面接でキャリアプランをちゃんと答えられたことが大きかったかなと思います。安心・安全な化粧品を作るためにも、私は生産ラインをしっかり構築したいんです。いかに遅れないようにするか、製造機械が壊れないようにするかなどを、かなりしっかり語りました。
ーー最後に、これから就活をする人へのアドバイスをお願いします。
1社にかける時間を多くとれるように、なるべくエントリーする企業の数を絞ることです。私はエントリーは5社で、うち3社が本命。その3社の企業理念や事業内容が希望と合ってるか、ネットなどで入念に調べました。
ある化粧品会社のインターンシップでは、機械系以外にも、薬学の子、化学の子とかいろいろいて。私と違う視点での企業の調べ方や就活の方法も参考になったし、モチベーションも上がりました。企業の方から企業説明を受けるのも大事だけど、同じ立場の子たちから得られるものも多いと思います。
金融業界を志望したのは奨学金への感謝【みずほフィナンシャルグループ内定】
経済学部 経済学科 経済学コース 4年(22歳)
部活・サークル:所属なし
就職先(内定)の企業:株式会社みずほフィナンシャルグループ
エントリーした数と結果:内定4社、二次面接落ち1社、書類落ち2社
母子家庭に育ち、大学進学時も金銭的に不安でしたが、奨学金のおかげで進学できたという阿部くん。柔和な笑顔と部屋の雰囲気からもいい人っぽさが伝わってきます! 初志貫徹の金融業界に就職できた秘訣は?
奨学金に感謝してるんです
ーー金融業界を選んだ理由は?奨学金をもらえて進学できたことが、自分のなかですごく大きかったんです。好きな経済の勉強をしたりバイトしたり、STOCKリーグっていう仮想投資イベントに参加したり……大学でいろいろな経験をして成長できました。今度は自分がいろんな人を金融面から支えたくて、金融業界を志望しました。就活をはじめたのは3年生の6月頃からですね。
秋までは不動産、IT、食品など、いろんな業界のインターンシップに参加したけど、やっぱり金融業界だと決め、3月からの本選考では銀行に照準を絞りました。
ーー銀行のなかでも、なぜみずほを?
銀行だけじゃなくて、証券や信託の知識も欲しかったからです。みずほってまずグループに採用されて、後から銀行、証券、信託などに配属が決まるんですよ。僕は銀行配属なんですけど、銀行から信託に相続の勉強にいったり、証券でマーケットの知識を身につけたりっていうのが、他の銀行よりやりやすいんです。幅広い知識があれば、どこ勤務でも、いろんな要求に即対応できますよね。金融のプロとしてお客さんを支えたいんです。
金融のプロになるために入ったゼミで使っていた教材。
とにかく早めに行動を!
ーーコロナ禍の就活で苦労したことは?就活の途中から急にウェブ面接とかになったので、友だちとZoomで面接練習したりしました。それでわかったのは、肩から上の画角内で、手も使って大げさに身振り手振りをしないと、熱意が伝わらないこと。でも僕、オーバーアクションが苦手で……。集団面接で隣の人がやってるの見ても笑っちゃうんですよ。でも僕が受けたウェブ面接は、たまたますべて1対1方式だったので、誰にも見られないや~って開き直って、恥を捨てて挑めました。
ーーウェブ面接ならではのトラブルは?
ネットが切れて面接が強制終了しちゃった時はめちゃくちゃ焦りました。人事部に電話したら、人事部からシステムに、システムから面接官に……と、20分の面接のうち10分潰れちゃって。でも電話をかけたり適切に対応できたので、それ自体はマイナスじゃなかったみたいです。
面接中にインターホンが鳴った時も焦りましたね。ひたすら居留守を使いました。ごめんなさい……。僕はちゃんと上下スーツで面接を受けたけど、「俺、下、パンイチでいったで」みたいな友だちもいました(笑)。
逆に、企業説明会や面接がオンラインになったので、交通費と時間の節約になって、和歌山在住の僕には助かりました。
ーー最後に、これから就活をする人へのアドバイスをお願いします。
とにかく「早めに行動する」ということですね。僕が第一志望から内定をいただけたのも、すべて早めに行動し準備をしたおかげだと思います。まわりの就活に苦労した人は口を揃えて「もっと早く行動しておけば……」と言ってます。それでかならずうまくいくとは限らないけど、少なくとも可能性は上げられるし、失敗してもやり直せますからね。
コミュニケーションが得意なシステムエンジニアに【アクセンチュア内定】
理工学部 理学科 数学コース 4年
部活・サークル:所属なし
就職先(内定)の企業:アクセンチュア株式会社
エントリーした数と結果:内定1社、二次面接落ち1社、書類落ち1社
もともと数学の教員志望でしたが、採用状況の厳しさにSE(システムエンジニア)の道を選んだという鎌倉さん。うなずき方や表情が大きくて、オンラインでも元気さがすごく伝わってきます。偏見ですが、パソコン好きのSE志望には見えない……。文系学生にはトップクラスの人気企業アクセンチュアに、理系から内定した経緯は?
参考にしたのはニュースキャスター
ーーアクセンチュアを志望した理由は?就職では後悔したくなかったので、2年生になってすぐに「ONE CAREER」など就活アプリで企業調べをはじめました。就活スタートはかなり早かったです。
3年生から本格的に企業を探して、最初はソフトウェア開発とかIT系の業界を希望していました。でも、ずっとパソコンにかじりついて誰とも話さない……っていう仕事はイヤだったので、コンサルティング業界も視野に入れてたんです。アクセンチュアは、3年生の夏に経済学部の子に勧められてインターンにいった時、コンサルだけじゃなくSEの部門も強いと知って志望しました。
ーー就活で苦労したことは?
私は文章をまとめるのが得意じゃなくて、ESを書くのにすごく苦労しました。話す内容ははっきりしてるんですけど、ひとつひとつの内容をどうつなげたらいいかわからなくて……。キャリアセンターの方に添削してもらって「何をいちばん伝えたいのか」を軸に何度も書き直しました。
敬語や正しい言葉遣いも苦手だったので、ニュース番組をよく見て、ニュースキャスターの丁寧なしゃべり方を参考にしました。ニュース番組は専門家のお話も聞けるし、トピックのまとめ方も勉強になります。
パソコンと向き合うだけではなく人と話すことも好き
ゼミ室で友達と面接の練習をする鎌倉さん。
ーー内定の決め手は何だったと思いますか?
自分が何が好きか、明確にわかっていたことだと思います。私はパソコンも好きだけど、人と話すことも好きだし、コミュニケーションを大切にしています。
その裏付けとして、アルバイトの経験も話しました。居酒屋でバイトリーダーを任されていたんですが、急に店の売り上げが落ちた時があったんです。そこで、現場のスタッフ同志で「どこに原因があるのか?」「お客さんとの会話にヒントがあるんじゃないか?」と意見を出し合って、社員さんに相談しながら、接客を改善して、売り上げを回復させることができました。自主的に行動したことも含め、コミュニケーション能力や問題解決に対する意識なども評価されたのかもしれません。
システムもプログラムもひとりで作るものじゃないし、どれだけ周りの人と協力できるかで製品のよさはぜんぜん違ってくると考えています。
ーー最後に、これから就活をする人へのアドバイスをお願いします。
3年生までにいろんな体験をして、自分を知っておくことです。何が好きで何が嫌いか、嫌いならどう克服するのか説明できるようになっていれば、企業選びも面接もスムーズです。そこがブレてると、受け答えに一貫性がなくて、矛盾したことを言っちゃうんですよね。「その会社にしかない特徴」を探してノートにまとめたり、面接でどんな方向から質問されても答えられるように、何パターンもシチュエーションを考えておくことも大事だと思います。
OB100人斬りで得た「面接官を気持ちよくさせる」会話術【豊田通商内定】
国際学部 国際学科 グローバル専攻 4年(21歳)
部活・サークル:所属なし
就職先(内定)の企業:豊田通商株式会社
エントリーした数と結果:内定3社、最終面接落ち1社、最終面接辞退6社
両親が中国人で留学経験もあり、日本語・中国語・英語とトリリンガルの孫くん。とにかく、体当たりの行動力がすごい。しかし、話を聞くと、就活のはじめの頃はボロボロ。じつは並々ならぬ努力の人だったことがわかりました。
3年生の夏からひたすらOB訪問
ーー豊田通商を志望した理由は?僕が就活で第一に考えた条件が、いっしょに働きたい「人」がいる企業か、事業内容や商材に興味があるかです。そこで3年生の7月からOB訪問をはじめ、約100人の社会人の方にお会いしました。
OBのつながりがない企業に関しては、企業説明会でつながりができた方に連絡したり、直接会社に「大学にOBがいないんですが、御社について知りたいんです」とメールしたり。
そのなかで、豊田通商の社員さんの話がいちばん胸に響いたんです。めちゃくちゃかっこいいな……と。自分の夢をもっていて、それをかなえるために豊田通商というステージを選んだんだと。僕もここなら夢を実現できると思って。
ーー孫くんの夢とは?
僕の夢は、仕事を通じて、新興国や途上国の発展に貢献することです。僕、小さい頃中国の貧しい地域に住んでたんですが、数年で劇的に発展したのを目の当たりにしたんです。それにはじつは日本の商社が関わってた。それが強烈に心に残っていて。
たとえば、アフリカは交通整備が非常に遅れてるんですが、安心して乗れるバスや電車の仕組みを整えることで、社会の発展に貢献できる。そういう仕事が豊田通商ならできると感じたんです。
発言時間を計算して面接官に気持ちよくしゃべってもらう
ーーOB訪問のおかげで内定も獲得したのでしょうか?じつは、夏から本選考までの期間(3年生の7月から4年生の5月くらいまで)はボロボロでした。エントリーしたインターンはほぼすべて落選。SPIテストも何周やってもずっとできなくて、3月にやっと受かった感じなんです。TOEICの勉強も毎日大学に居残りして、必死でした……。
そんな僕でも何とか本選考がうまくいったのは、ウェブ面接の練習をしまくったからです。社会人の方や友だちと毎日1時間、長いときは3時間くらい練習して、とことんセオリーを磨きました。
孫くんの名刺と、OB訪問で学んだことをまとめたノート。
ーーどんなセオリー?
目線をカメラに向けること、画角内で手振りを見えるようにすることはもちろん、大事なのは、自分の発言時間を15秒から長くて30秒までで区切ることです。そうすると、相手が気になったことを質問する隙が生まれる。そうやって、面接官の方がストレスなく気持ちよく会話できているか配慮していました。先手を読んで、どう次の質問を誘導するかとか、こういうセリフの後は嬉しい表情をした方がいいな……とか(笑)。こういった所作は、OB訪問のおかげで自然に身についたところもあると思います。
ーー最後に、これから就活をする人へのアドバイスをお願いします。
とにかく行動量です! つながりがなくても、気になる企業のことを「もっと知りたい」という気持ちで動いてきました。「行動量=企業に対する熱意の表現方法の1つ」だと思うんです。名刺を作るのもおすすめです。関東の学生の間ではポピュラーみたいですが、関西で名刺を配る学生って少ないですね。でも僕は積極的に自分の名刺を活用して、OB訪問のときにもとても役に立ちました。
ありのままで挑んだ面接で「人柄」を見てもらえた【村田製作所内定】
総合社会学部 総合社会学科 心理系専攻 4年(23歳)
部活・サークル:大阪大学の吹奏楽団
就職先(内定)の企業:株式会社村田製作所
エントリーした数と結果:内定1社、面接辞退1社、書類選考辞退2社
浪人を機に自分のやりたい学問を見つけ、いまゼミでは犯罪心理学を研究しているという建部さん。が、好きな学問と就職は別。就職に有利とかいう観点で大学を選んだわけじゃないし……と、あくまでマイペースに就活に取り組んでいました。
何ができるかなんてわからない
ーーコロナ禍でどんな就活でしたか?就職活動は3年の9月頃から。はじめは総合職志望で、業界も幅広く見てました。でも緊急事態宣言が出て、ESの提出が1か月延びたり、就活が半ばストップしたんです。
でも、せっかく時間ができたので、SPIの勉強をしたり、キャリアセンターの方に見てもらってESを書き直したりしてました。
はじめはバイトのことでも、自分の仕事ぶりのことばかり書いてたんです。でも会社って、人と人が関わって仕事が進んでいく場所だなと考え直して。他の従業員とどう協力するかとか、後輩が失敗したときどう指導するかとかに視点を変えて書き換えました。その上で、一般職の職種に絞って積極的にエントリーしていきました。
ーー村田製作所を志望した理由は?
面接ではだいたいガクチカ(学生時代力をいれたこと)、志望動機、自己PRは聞かれますよね。ESでも「入ってから何をしたいですか?」とか。でも正直、職歴もないのに、何ができるかなんてわからないって思うんです。
でも、村田製作所さんの最終面接ではそういうことを聞かれなくて。友だちやバイト先の方たちとどういうふうに関わっているのか?コロナで状況が変わって何を感じたのか? などの質問がメインでした。私の人柄の部分を評価してくれたと感じます。
ぬいぐるみとか見えてました
ーーオンライン面接で気をつけたことや工夫したことは?面接はほとんどオンラインだったんですが、デスクトップのパソコンでやっていたので、場所を移動できないのは困りました。夕方の面接だと西日が逆光で入って、顔が真っ暗になっちゃうんです。それでパソコンの横にライトを置いて、厚紙を貼って調節したりしました。でも、背景とかはとくに気にしなかったですね。そのままというか……ポムポムプリンのぬいぐるみとか見えてたと思います。洗濯物とかはさすがに気にするけど、そのくらいならいいんじゃないかなあ。
時間によって逆光になってしまうため、ライトに厚紙を貼って自然な明るさになるよう調整していたという。
ーー最後に、これから就活をする人へのアドバイスをお願いします。
まずは受ける企業について深く知ることですね。コロナ禍で、社員の方に直接会うことは難しくなりました。でも、企業のホームページで社員の方のインタビューを読むだけでも、会社の雰囲気はある程度掴めます。
自己分析は、ひとりで考えるより、家族や友だちとの会話を通して「自分って、こういうとこあるな」と客観視するといいと思います。
まとめ
ふたたび大都市を中心に、新型コロナウィルスの感染が拡大しています。人々の考え方や働き方は、もちろん就活の仕方も含めて、この先さらに変化していくことでしょう。
今回、お話ししてくれたみなさんに共通していたのは、新しい就活スタイルに振り回されるのではなく「時間とお金の余裕ができた」とポジティブにとらえていたこと。そして、だれかの助けを借りつつ、自分なりの最適解を見出して実践していったということです。
どんな時代でも、自分らしく生きることと、働くことは両立できます。つねに自分の頭で考えることをやめず、行動に移していってください!
取材・文:有北雅彦
編集:人間編集部
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