2020.12.03
N0密で楽しめるレジャー「釣り」。近大OGの釣りガール・高本采実さんにその魅力をみっちり教わってみた
- Kindai Picks編集部
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3密を避け自然を満喫できるレジャーとして最近注目を集めているのが「釣り」。やってみたいけど、なにから始めていいのかわからないという人も多いのでは? そんな初心者を代表してインドア派のライターが、近畿大学OGで「釣りガール」として大活躍中の高本采実さんに釣りの魅力と実践方法を教わりました。デビュー戦にぴったりな磯の釣り堀で、憧れの爆釣体験も!?
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※新型コロナウイルス感染予防のため、撮影時以外はマスクを着用しています。
こんにちは。グルメライターの泡☆盛子(あわもりこ)と申します。
ライター歴20年以上の中で今回がほぼ初めての野外取材。アウトドアといえば、椅子を持ち歩いて酒を飲む「チェアリング」しか知らない純度高めのインドア派でございます。
しかし、最近気になるのが海や川での「釣り」。コロナ禍でも「密を避けられるレジャー」として最近始めた知人も多く、SNSで見かける機会がグッと増加。しかも、釣りは今、女子にも人気があるレジャーとして話題になっているそう。
そんな中注目を集めているのが、近大OGの高本采実さん。
近畿大学農学部水産学科卒(平成30年)。釣りガールとして、釣り番組『ルアルアチャンネル』のリポーターや「つり具のブンブン」のイメージガールを務めるほか、アパレルなどの撮影モデルとしても活躍。テレビやイベント、講演で、海や魚、釣りについてのレクチャーも行う。SNSで連載中の「4コマ水産学」が面白くてわかりやすいと評判。
近大の農学部水産学部卒で、現在は「釣りガール」として釣り番組のリポーターを務めていたり……
「4コマ水産学」と称したイラストで、SNSで話題になったり……と、ご活躍されています。
4コマ水産学「メバル」 pic.twitter.com/VTbiYGhD2A
— 高本 采実 (@ayamisummer) May 22, 2020
今回は、そんな高本さんに魚や釣りについて手取り足取り指導していただきます!
というわけで、やってきたのは大阪と和歌山の境目近くにある海洋釣り堀「小島養漁場」。紀淡海峡を望む入江を網で区切っただけなので、これはもう海釣りですね。雄大な自然の中で釣りが体験できるというだけでテンションが上がります。1日2回、ハマチやヒラマサ、マダイなどを放流しているそうです。
釣りってなにをどうすればいいんですか?
今日は、よろしくお願いいたします。一から教えていただくつもりであえて予習せずに来ました!
おまかせください。まず、大まかに二分すると、「ルアー」という疑似エサを使う方法と、本物のエサをまいて釣る方法があります。今日はルアーの方に挑戦してみましょう。
アクセサリーにしたくなるほどカラフルでかわいいルアー。その種類は星の数ほどあるのだそう。
なぜルアーなんですか?
私が好きだからです! 水中や海底でルアーを動かして魚と駆け引きをするというゲーム性が楽しいし、自分で采配できるのがいいんですよ。
今回は高本さんが持参してくださった道具一式をお借りする形なのですが、初心者はまず、なにをどう準備すればいいんでしょうか。
初めての釣りなら、まず経験者と一緒に行くようにしてください。慣れている人に教わりながら体験するのが一番です。周りにそんな人がいなければ、遊漁船に乗るのもいいですよ。プロが丁寧に教えてくれるし、安全に楽しめます。
なるほど。そんな方法もあるのですね。
魚のいる場所などに合わせて道具を選ぶのも釣りの醍醐味のひとつなんですよ。あ、そうだ。釣りをするなら必ず買うべきなのは「ライフジャケット」です。命の安全を確保するのが大前提ですから。
ライフジャケットは、ウエストバッグのようなスタイルのほか、ベスト状のものもある。
わかりました! 自分の安全は自分で守るということですね。
では実際に釣っていきましょう。釣り竿を投げるときは、必ず後ろに人がいないかを確認してくださいね。
はいっ! 投げる瞬間に右手で抑えていた糸を離して、ルアーが海底についたら釣り糸を巻き上げる……糸を離して……。あー、緊張します。
ルアーが海底に着いた瞬間に糸を巻き上げるというタイミングがなかなかつかめませんでした。
このあたり、アジやイワシみたいな小魚がいるので、ルアーじゃなくて「ワーム」の方が釣りやすいかも。こっちに変えてみましょう。
尻尾の部分がふらふらと動くようになっていて、水中では本物の虫に見えるのだそう。
おおお、本物の虫みたい……。
ルアーよりだいぶ軽いですね。ふわーっと投げられる感じ。
釣りガールが釣りに目覚めたきっかけとは?
現在は「釣りガール」として活躍されている高本さんですが、もともとはなぜ近畿大学を選んだんですか?
子どもの頃からとにかく海が好きだったんです。ただボーッと眺めているだけでも幸せで。大学進学時に、食品や医学などの選択肢はあったのですが、一番海に行けるのはここだ!と思って、近畿大学農学部の水産学科を選びました。
意外! さかなクンのように魚ラブが過ぎて、とかではないんですね〜。
そうなんです。初めて釣りをしたのも大学に入ってからでした。友達に誘われて淀川の汽水エリアでチヌ(クロダイ)釣りをしたんですけど、みんなが釣れない中、私だけ40cmくらいのを釣り上げたんですよ。それでめちゃくちゃ感動して。そこからゆるやかにハマっていきました。
素晴らしいビギナーズラックだったんですね。大学時代は釣り三昧?
「やりたいことは全部やる」というタイプなので、「KINDAI GIRLS」の2期生として活動したり、ミス近畿大学に推薦されて準グランプリに選んでいただいたり、国内外を旅行したり……といろいろしてましたね。その間も釣りはずっと続けていて。
高本さんがKINDAI GIRLSに在籍していた時代の名曲『青春×青春』
すごい、めちゃくちゃいろんなことに挑戦されている〜!
1年近くひとりでみっちりバス釣りに通いましたし、大阪湾に飽き足らず九州や静岡まで車を走らせて釣ることもありました。九州では現地の漁師さんのお手伝いをして、おいしい食べ方を教えてもらったりして楽しかったなぁ。
酒場とラーメン屋ときどき大学、という感じだった私とは世界が違いすぎる。
釣りの楽しさってどういうところ?
高本さんのプロフィールを拝見すると、趣味は釣りのほかに旅、筋トレ、バイク、水族館巡り。2級小型船舶操縦士・特定操縦免許や潜水士の資格も持ってるし、英語や台湾語、中国語も話せると。こんなに多才で多趣味な高本さんが、公私ともに没頭している「釣り」の魅力はどこにあるんでしょうか。
まずは、「釣って食べる」ことができるのが最高。自分で釣った魚は本当においしい! 一番好きなのはタチウオで、刺身に炙り、塩焼き、香草焼き、骨せんべい……と、全身堪能できます。もちろん自分で捌きますよ。あとは、73キロのキハダマグロだったり、大物との戦いもすごく楽しいんです。
食べたい!そして73キロのマグロ!すごすぎる……。
それから、大学の授業で学んだことと、実体験で得た知識がリンクして釣れたときは「よっしゃー!」って感じです。
ちょっと想像がつかないんですけど、どういうことですか?
例えばマダイなんですが。授業で習った基礎生態情報のひとつは、「甲殻類が大好物」ということ。それから、魚には「側線」という水圧や水の振動、音などを感じ取る特殊な感覚器官があって、視力よりもこれを頼りに行動していることが多いんだそうです。
ほうほう。そくせん。
で、自分で論文などを読んで推測したのが、「マダイの目の構造的にエサを探すときは海底がメイン」ということ。さらに、マダイを釣るときに使う「タイラバ」という疑似エサのような道具がマダイの好物である甲殻類と似たような動きをすることにも気づきました。
それらの情報を合わせて釣るということですね。
甲殻類の色を真似した「タイラバ」。高本さんの顔を模した「ヘッド」付き。
ですです! 「タイラバ」の色をエビやカニなどに近い赤にして、マダイの視界に入りやすい海底でゆらゆら動かしたりして「側線」にアピールを続けたところ、見事ヒット! ほかのメンバーに当たりが来ない中、私だけマダイを釣り上げることができたんです。マダイの生態と釣り方が繋がったのを実感できて感無量でした〜。
すごい! そんな経験してみたすぎる。
高本さんの「読み」が見事当たって釣り上げられたマダイ。これは旨そう!
気になっていたんですけど、普段はどんな生活パターンなんですか?
サンテレビの釣り番組『ルアルアチャンネル』など、釣り関係のお仕事をまず優先しています。で、その合間にプライベートな釣りの予定を入れると(笑)。来週はトカラ列島にGT(ロウニンアジという人気の釣魚)を狙いに行くんです。楽しみ〜。
釣りキチにもほどがある〜。そして、筋トレも趣味なんですよね。そんな細腕で……。
GT釣りになると一日に何百投は当たり前、それを3日間続けたりするので体力は大切なんです。船上での揺れに対応できるように体幹を鍛えたり、背筋をつけたりも。幸い私は船酔いしない体質なので、その分恵まれているなと思います。
私は思いっきり船酔い体質なので、釣りデビューが船上ではなく釣り堀で安心しています。
人生初ヒット! 大物もヒットし始める!
体幹を鍛えている高本さんは姿勢が美しい。
泡さん、今釣れていますよ! ゆっくり、ゆっくり引き上げてください。
ひゃー、なんか釣れてる!
魚が釣れることが、こんなにも嬉しい体験だとは……!釣りってすごい!
カサゴですね。カサゴの子どもだ。
初釣果はカサゴ。おいしそ〜〜〜。これは唐揚げか〜。えっと、外し方がわからないのでお願いします!
はい、どうぞ。口の下を持つようにしてくださいね。
はいっ、こうですか。っあーーーー! 落ちたぁぁぁ!
小さくてもちゃんとカサゴの形をしてたでしょう。かわいかったですね。
はい! 一生忘れません。ちびっこだったけど、釣れたときの感触はたまらんかったとです! これが釣りというものか〜。ちなみに、日差しが強くて水中がうまく見えません〜。高本さんは慣れているからよく見えるんですか?
「偏光サングラス」のおかげです。これがあると水中がよく見えるので、釣り人の必須アイテムですね。
ちょっとお借りしていいですか。あ、ほんとだ! くっきり見えます。
あっ、きました! これはけっこう大きいかも?
竿のしなり具合からして、大物が釣れている感満載。腰を落として対峙する姿勢がさすがプロ。
めちゃ大きい!
なかなか網に入ってくれないハマチ(たぶん)。バッチバチに暴れています。
あーーーーーーー!!!!!
ルアーが外れているのが見えますでしょうか。
残念! リリースしちゃいました。次いきましょう!
切り替え早いのかっこいいな〜。それにしても、今のは大きかったですね。40cmくらいあったのでは?
ここで放流されている「オリーブハマチ」だったかもしれません。おいしいやつなんですよねぇ。
今日、たくさん釣れたら宴会になるかと思って、カップ酒人数分もってきました♡
まじですか(笑)。
それなのに……お互い逃してからなかなかヒットしませんね。
一か所に留まらず、あちこち移動してみるといいですよ。あ、ほらこの辺にアジの群れが。それに、少し先の方に海鳥が集まっているでしょう。あのあたりには魚がいるんですよ。鳥はよく知ってますから。もう少し粘ってみましょう。
了解です!
岩やテトラポットにつくコケを食べるので、その周辺には小魚が集まるとのこと。
ラストで一気に爆釣モード発動!
黄金の光に包まれながら投げ続ける高本さん。ここはルアー専用の桟橋で、沖に見えるのがエサ釣りエリア。
もうすぐ日が暮れそうですがなかなか釣れませんね。
そうですね。今日は風が強すぎたのでちょっと条件悪かったかも。ルアー釣りは諦めて、エサ釣りエリアに行ってみましょう。
リアルなエサで釣るんですね。両方体験できるの嬉しいな。
お店で用意されているバケツ入りのマキエサ(エビなど)をまくので、そこに針を落として釣りましょう。ほら、もうアジが集まってきてますよ。
本当だ! あ、糸がぴくぴくしていますね。
はい! まず1匹釣れました! あ、またきた!
移動してすぐに釣り上げる高本先生。お見事です! 立て続けに数匹ヒット。
早っ。さすがです。私もやってみていいですか?
少し移動しながら釣りましょう。手応えを感じたら焦らずに上げてくださいね。
あ、もう釣れてる感じ。釣れてます!
今度は無事に確保できましたね。この調子でいきましょう。
続けて釣れるとこんなに嬉しいものなんですね。っていうてる端からまた!
ふたりで11匹釣りましたよ。30分足らずでこれだから、いい感じじゃないですか。日も暮れてきたし、今日はこれまでとしましょう。
はい! 最後に爆釣(当社比)となってよかったです! ありがとうございました!
こんなに小さいのにちゃんと「ぜいご」(とげ状のうろこ)があります。グローブも必須ですね。
自分で釣った魚はめちゃくちゃ旨い。
本日の釣果。13cmほどのアジが11匹です。黄金色に輝いて……尊い……。
おつかれさまでした〜。釣りたては格別なので、早速捌いていただきましょうか!
魚の捌き方は、調査船の補助アルバイト時代にみっちりと教わったのだそう。
お話ししながら手は高速で三枚におろして皮むいてる! ほんでもうできた! おいしそう!!!
ネコちゃんが狙ってますね……。
かなり本気で狙って来たネコちゃん。このあと、アジのアラにありついていました。
美しい三枚おろしになった我らがアジ。腹骨もきれいにすき取ってくれています。
釣りたてアジ! これまでで一番新鮮なアジだ。
いただきまーす。
うわ、こんな小さい身なのにしっかり旨い。脂もちゃんとのってますね。いや、おいしっ。
紙皿や調味料は釣り堀では販売していないので、すぐに食べたい場合は持参してください。
ふふ、本当だ。定番のワサビ醤油も、泡さんがもってきたライム塩ふって炙ったのもおいしいですね〜。
キャンプ好きなカメラマンさんの車にたまたま積んであったガスバーナーのおかげで炙りアジに変身!
自分で釣った魚を食べる日がくるとは、夢にも思いませんでした。涙でそうや。
素人でも楽しめる。心を無にできて、没頭できる釣りは最高だった!
今日一日、いかがでしたか?
最初はなかなか釣れないし、お酒も飲まずに長時間海にいるというのが耐えられないかもと思っていたんですけど、途中からなんというか「無」な状態になったんですよ。
あら!
雑念が消えて感覚がクリアになるというか、純粋に「魚釣れへんかな〜〜〜」とだけ考えている。ただただそれだけ。それが気持ちよかったです。
そうなんです! それが、海や釣りのいいところなんですよ! 私、常々思っているのが「悩みがある人は海に来たらいいのに」。海に来てぼーっと釣りしていたら、大抵のことはスッキリとリフレッシュできますよ。
一投ごとにストレスがスカッと抜けていったような気がします。
私はこの通りの肥満体なので普段はすぐ膝が痛くなって辛いんですけど、今日は全然そんなこと気にならなかった。6時間くらい立ちっぱなしだったのに。
それだけ釣りを楽しんでもらえたなら、私も嬉しいです。私の夢は、世界中の人にもっと釣りの魅力やいろんな魚を知ってもらうこと。これからもいろんなイベントを企画したり参加したりしていくので、釣りデビューをしてみたいという方はぜひ遊びに来てくださいね。
高本さんの元で釣りデビューするって、本当に最高の体験ですよ。私、かなり本気でまた釣りに来たいと思ってますから。今日は本当にありがとうございました。
「限られた人のレジャー」というイメージもあった釣りでしたが、体験してみたら決してそんなことはありませんでした。
釣り竿がなければレンタルすればいいし、知らないことは頼れる先達に聞けば教えてくれる。垣根、低かったです。
そして、海に向かって釣り竿を投げる瞬間の爽快さ、当たりを引いたときの達成感は、街なかでは感じることのできないものでした。
なにかと制限の多いこのご時世、自然の中に身をおいてのんびり数時間を過ごすだけでも、心の持ちようがグッと楽になる気がします。釣れたらさらにおいしさ倍増。こんな素敵な趣味、試さずにいる手はありませんよ!
この記事を書いた人
泡☆盛子
石垣島出身・京都在住のフリーライター。雑誌やwebで主に酒食関係の記事を書いています。京都暮らしの20数年で体重が倍になったのが自慢。趣味は河原や土手、ベランダで酒を飲むこと。石垣島の実家に帰省するときは海がマイ酒場に。好きな魚はサバとイワシ。
Instagram
取材協力:小島養魚場
撮影:山元裕人
企画・編集:人間編集部
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