2020.08.11
マンモス展を通じて知る“生命の不思議”!恐竜おねえさん「生田晴香」が迫る「マンモス復活プロジェクト」の全貌
- Kindai Picks編集部
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―「生命」っていったい何なのだろう?―
これは、2020年7月31日から9月22日まで大阪南港ATCギャラリーで開催中の「マンモス展~その「生命」は蘇るのか~」の出口付近に添えられた言葉。
本展はマンモスを通して「生命の不思議や尊さ」をわかりやすく紹介する、ユニークな構成が魅力の展示会です。
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2万8千年前のマンモスの細胞核が動いた! 世界に衝撃をもたらした近大の「マンモス復活プロジェクト」遺伝子研究の最前線に迫る
―生命倫理・動物愛護・環境保全等に配慮しながら、先端的生命科学技術でマンモスを現代に蘇らせる可能性に挑戦するー
というこのプロジェクトの研究成果によって、「マンモス×生命」の展示構成が実現しました。
今回は、「マンモス復活プロジェクト」の研究メンバーで、近畿大学先端技術総合研究所所長の松本和也教授と展示を回りながら、マンモス展の楽しみ方やマンモス復活プロジェクトの研究内容についてインタビューします。
聞き手は、元あやまんJAPANで福井恐竜博物館の公認恐竜博士、現在は恐竜タレントとして活動する「恐竜おねえさん」こと生田 晴香(@kyoryu_haruru)さん。
▲出口付近には近大マグロとマンモスの背比べフォトスポットが。
昨年、東京で開催された同展示会にも参加しているという生田さんに、マンモス復活プロジェクトの全貌やこの展示を通して観覧者に伝えたいことなどについて深堀りしてもらいました。
「過去・現在・未来」3つの視点で迫るマンモスの実像
▲マンモス展の入り口にあるギャートルズ
松本教授はじめまして。今日はよろしくお願いします!まずはじめに、今回の展示の概要について簡単にお聞きできますか?
こちらこそよろしくお願いします。今回の展示会ではマンモスの実像に「過去・現在・未来」という3つの視点で迫る構成になっています。展示構成は、小説家・作詞家・ラッパーなど、さまざまな肩書を持つクリエイターの「いとうせいこう」さんが担当してくれました。
▲入口からすぐの場所に、展示構成を務めた「いとうせいこう」さんからのメッセージが
「マンモス×生命」の切り口も興味をそそりますが、その構成を担当されたのが「いとうせいこう」さんというのも魅力的ですね!ちなみに、3つの視点というお話がありましたが、それぞれどのような展示になっているのでしょうか?
3つの視点に合わせてブースもそれぞれ分かれています。“過去”にあたるのがTales of Mammoth 1「マンモス、太古の記憶」 “現在”にあたるのがTales of Mammoth 2「永久凍土で待つもの」そして“未来”にあたるのが、Tales of Mammoth 3「その「生命」は蘇るのか」です。
- Tales of Mammoth 1「マンモス、太古の記憶」
マンモスが生きた時代や絶滅した理由などについての展示 - Tales of Mammoth 2「永久凍土で待つもの」
ロシア連邦サハ共和国の永久凍土で行われた発掘調査の現場を紹介
「ケナガマンモスの皮膚」や「仔ウマ」、「仔イヌ」など、世界初公開を含む数々の冷凍標本を展示 - Tales of Mammoth 3「その「生命」は蘇るのか」
「マンモス復活プロジェクト」についての展示。マンモスのゲノムやタンパク質を解析して、マンモスの細胞核が生命活動の兆候をみせたという世界初の発見を中心に、未来では人工的に細胞をつくり出す「合成生物学」の紹介など最新の生命科学の研究成果に迫る展示
ありがとうございます!時系列に沿ってマンモスという生物に迫る構成になっているのですね。未来のブースにたどり着いたときにどんな感情が湧いてくるのか今から楽しみです!
▲入口前に置かれたご来場者へのお願い。万全の感染対策のうえで展示会を実施
▲ソーシャルディスタンスのための印がマンモスの足跡に
時系列で“生命の絶滅と蘇生”を追う。世界で唯一の展示会
▲【Tales of Mammoth 1「マンモス、太古の記憶」】の入口
松本教授、“未来”の展示の前に、過去と現在の展示に関しても可能な範囲でご紹介いただけますか?
わかりました。それでは、まず“過去”のブースから見ていきましょうか。この展示は、野尻湖ナウマンゾウ博物館長の近藤洋一博士が監修された、マンモスが生きた時代を体感できる内容になっています。
最初は、マンモスの進化過程からなのですね。マンモスってゾウとそっくりですが、大きな違いは体毛ですよね。どこで変化したのでしょうか?
マンモスが生きていたのは今から約3万年前の世界です。当時は氷河期で、地球全体が今よりもずっと寒かった時代です。姿形はゾウと似ているのですが、長い体毛が密に生えているのが大きな違いで、寒さから身体を守るために長い毛に覆われていたと考えられていますね。
▲マンモスの進化の過程を聞く生田さん
ケナガマンモスと呼ばれる所以ですね。それだけ寒いと食べるものも少ないのでは?と心配になるのですが、どんなものを食べていたのでしょう?
当時は氷河期の時代でしたが、マンモスが生息していた地域は乾燥していたためあまり雪がふらず、イネ科の植物が大量に生い茂っていたと言われています。冬の間にも雪に覆われなかったために、マンモスは食べるものを確保できていたと考えられています。
たくさん食べ物があるということは、絶滅した原因は、古代の人間による狩りが原因なのでしょうか?
それも原因のひとつという説がありますが、気候変動による影響で絶滅したという説が有力です。氷河期が終わって温度が上昇すると、乾燥していた地域が湿潤になり、大量の雪が降るようになってしまったんですね。その影響で冬には草原が雪で覆われてしまった結果、マンモスが食べるものがなくなってしまいました。一方で、湿潤になったために、草ではなく木が生えるようになって森林化が起こり、草原がなくなってマンモスが食べるものが減少すると同時にマンモスは活動できなくなっていき、絶滅したと考えられます。
寒冷地で生きるために進化したのに、温度が上昇したことで絶滅してしまったということですね。なんとも皮肉な結末……。ところで、こちらのブースにはマンモスの他にもたくさんの古代生物が展示されていますね。
▲「マンモス、太古の記憶」で展示されている標本
ケナガマンモスの骨格標本、頭骨・歯・牙・糞といった部分的な化石の他、ホラアナライオンなど同時代を生きた動物たちの標本も展示されています。マンモスだけでなく、同時代を生きた動物たちと合わせて観覧することで、マンモスが生きた時代の環境を体感できると思います。
▲【Tales of Mammoth 2「永久凍土で待つもの」】の入口
松本教授、続いて“現在”の展示の解説もお願いします!「永久凍土で待つもの」というタイトルになっていますが、どのような展示になっているのでしょうか?
現在の展示は、「マンモス復活プロジェクト」のメンバーである近畿大学先端技術総合研究所教授の加藤博己先生が担当しています。ロシア連邦サハ共和国の永久凍土で行われた発掘調査の紹介と、そこで発掘された世界初公開を含む冷凍標本の展示です。本展示会のメインのひとつですね。
▲加藤博己教授のパネル
冷凍標本楽しみにしております!序盤は発掘調査の紹介ということですが、なぜ発掘場所としてサハ共和国という場所が選ばれたのでしょうか?
世界で発掘されるマンモスのうち約8割は、サハ共和国で見つかっているんです。さらにサハ共和国で発見された冷凍標本は特に保存状態が良く、「マンモス復活プロジェクト」の研究を進めるのに必要な細胞が発見される可能性があったんですよ。そこで、現地で発掘調査を実施したのです。
8割というのはすごいですね……!サハ共和国にそこまで集中するのはなぜですか?
サハ共和国は、もともと冬になると-60℃まで温度が下がる極寒の地で、地下に永久凍土が広く分布しており、その中にマンモスのような古代の生物の亡骸が保存されいます。しかしながら、地球温暖化の影響で近年温度が上昇しています。最近では夏に30℃を観測するなど、急激な温度上昇で永久凍土が解け始めました。そして、解けた永久凍土の中から、太古の動物たちの亡骸が次々に発見されているのです。
気候変動によって絶滅したり発見されたり、マンモスって温度に翻弄されていますね……。このブースでは、そんな永久凍土で眠っていたマンモスたちを展示しているということなのですね。
そのとおりです。世界初公開となる「ケナガマンモスの鼻と皮膚」の他、仔ウマ・仔犬・ライチョウ・ユカギルバイソンなど、数千から数万年前に息絶えた動物の姿をじっくり観察することができます。
▲ケナガマンモスの鼻
▲まるで眠っているかのような【仔ウマ「フジ」】の冷凍標本
ちなみに、冷凍されていたものを常温で展示することって可能なのですか??
常温に戻すとすさまじい腐敗臭で、展示はできないですね(笑)溶けださないようにガラスケースで展示されていて、内部は-25℃以下に保たれています。
やはり……(笑)ちょっと話がズレるのですが、結露ってしないのですか?
結露でガラスが曇るのを防ぐために、特殊なガラスを利用しています。これは日本独自の最先端技術で、このガラスがなければ今回の展示は叶いませんでした。そのため、今回の展示会を実現できるのは結露しないガラスを作れる日本だけなんですよ。
本当ですね!まったく曇っていない。温暖化の影響だったり、日本の技術だったり、奇跡のようなタイミングで実現した展示会なのですね。
▲ガラスケース越しに冷凍標本を眺める生田さん
そう言ってもらえるととても光栄です。サハ共和国から冷凍標本を届けるのも非常に大変なので、次にいつ実現できるかはわかりません。一生に一度の機会なので、興味のある方にはぜひ訪れてほしいですね。
▲【Tales of Mammoth 3「その「生命」は蘇るのか」】の入口
松本教授、ついに教授の担当である“未来”のブースにたどり着きましたね!まずは、どんな内容が展示されているのか、簡単にご説明いただけますか?
この展示は、近畿大学の「マンモス復活プロジェクト」の研究成果を通じて、最先端生命科学の魅力や今後のヴィジョンなどをご紹介しています。メインとなるのが、このプロジェクトの最新の成果である「冷凍標本のマンモスの化石から取り出した細胞核が、現代に再び動き始めた」という実験についての解説です。
恐竜を蘇らせてテーマパークを作る“某恐竜映画”のようなお話ですね……!詳しくは後ほどお伺いするとして、展示構成についてもう少し教えていただけますか?
▲「その「生命」は蘇るのか」の入り口でかわいい古代動物のイラストがお出迎え
マンモス化石の冷凍標本から細胞核を取り出し、それが再び動き始めたという研究結果をネイチャー・リサーチ社の学術雑誌Scientific Reportsに論文発表したのは、2019年の3月11日です。この展示では、この論文内容を中心に、Yukaマンモスの化石の発見から、どのような実験を経て研究成果に至ったのかというプロセスを紹介しています。
プロジェクトチームをサッカーチームに見立てて、わかりやすく仕上げられていますね!パネルがコミック調のポップなタッチで、子どもでも十分に理解できそう!
この成果を説明するには、遺伝子工学・分子生物学・生化学・ゲノム科学・細胞生物学・発生生物学・生殖生物学などの、たくさんの専門用語が必要です……。そのままでは、この研究の魅力や成果を、一番伝えたい子どもたちに伝えることができないので、このようなポップな仕上がりになっているのです。
2万8千年前の細胞から生命の鼓動!「マンモス復活プロジェクト」の全貌
概要の説明ありがとうございました!それでは、「マンモス復活プロジェクト」について詳しく聞かせてください。いつ、どのように始まったのでしょうか?
1996年に、近畿大学名誉教授の入谷明教授がこのプロジェクトを立ち上げたのがはじまりでした。「クローン技術で、絶滅した生物を蘇らせることができるのか?」という実証実験だったのですが、一旦は失敗に終わったんですね。それから時が流れ、2010年に“現在”の展示でご紹介したサハ共和国で状態のよいマンモス化石の冷凍標本が見つかったことにより、プロジェクトが再始動します。
ユカギルで発見されたマンモスのメス「Yuka(※)」ちゃんですね。昨年の東京の展示会で拝見しました。
「Yuka」が発見されて、ロシアの研究者から近畿大学に「Yukaの化石の調査をするから来ないか」という連絡が入りまして。2012年にプロジェクトメンバーの加藤博己教授が現地に飛び、「Yuka」からサンプルを採取してきたんです。
▲発掘されたユカギルマンモス
▲採取されたサンプル
なるほど、サンプルというのは「Yuka」ちゃんのお肉ということですよね?
そうです。肉がピンクに色づいていて、「食べられるのでは?」と感じてしまうほど新鮮な状態でした。射性炭素年代測定の結果から、2万8千年前のマンモスであることがわかり、本当に驚きましたね。
▲当時の状況をコミックタッチで表現。左端が松本教授
2万8千年前のお肉ですもんね……。それほどの鮮度で保存されていたというのは衝撃です。そのお肉を使って実験を行ったということなのですが、どのような実験だったのでしょうか?
「体細胞核移植技術(※)」と呼ばれるクローン技術を使って、マンモス細胞核の生命現象の可能性を調べました。端的に説明すると、Yukaマンモスの筋肉組織の細胞から生命の設計図であるDNAを含む細胞核を取り出し、それをマウスの卵子に核移植するというものです。以前の実験では、取り出した細胞核のDNAが損傷(断片化)していて、卵子に移植しても生命現象が起こることはありませんでした。そのため、今回の実験では、はじめに細胞核はあるのか、さらに細胞分裂などの生命現象に必要なタンパク質が細胞内に残っているかをチェックするところからはじめました。
核を除いた卵(除核卵子)に体細胞(ドナー細胞)を移植することで、ドナー細胞と同じ遺伝情報を持つ個体を作出す生み出す技術。一般に、マウスなどの卵子の細胞質には、断片化したDNAを修復する機能があり、Yukaマンモスの細胞核を移植することで、断片化した細胞核DNAを修復し、生命現象の再現につながることが期待された。
結果は……?
調べたところYukaマンモスの骨髄組織や筋肉組織の細胞から合計869種類のタンパク質が見つかりました。これまではマンモスの細胞に残るタンパク質は126種類しか見つかっていなかったのですが、それを大きく上回る数字です。これだけたくさんのタンパク質が同定されたことは、Yukaマンモスの組織の保存状態の良さを示すとともに、生命現象の再現に必要な細胞内構成要素が壊れずに残っている可能性が高いと判断しました。
おお!それで実際に細胞をマウスの卵子に移植してみたのですね。
はい。Yukaの細胞から43個の細胞核を取り出し、マウスの卵子に注入しました。そして、どのような変化が起こるかを、特別な顕微鏡で詳細に調べるライブセルイメージング解析によって観察しました。すると、43個のうち5個の細胞核において生命現象を示す動きが確認できたのです。
2万8千年前の細胞から生命現象……。ちなみに、生命現象とは具体的にどのようなものなのでしょうか?
細胞分裂が起こる直前、細胞核内のDNAは凝集して染色体になり、次に染色体を分裂した娘細胞に分離する構造体である紡錘体が形成されます。マウスの卵子に移植したマンモスの細胞核のDNAの周辺に紡錘体に形成されているのを世界で初めて発見しました。この展示の映像を見てみてください。
すごい!いきいき動いていますね!ちょっと信じられないですね……。ただ、これ以上は進まなかったということなのでしょうか?
一例だけマンモスの染色体の断片がマウスの細胞核に取り込まれた現象を確認しましたが、細胞分裂を観察することはできませんでした。もし細胞分裂まで進んでいたら、マンモスの遺伝情報を持ったマウスが生まれていたかもしれません。
なるほど……。某恐竜映画のようにならず少し安心しました。すごさを感じると同時に、少し恐ろしさも感じます。
細胞分裂を進めるまでは、断片化したマンモスDNAの修復ができなかったのが原因だと推測しています。今回発表した論文には、現在の体細胞核移植技術では、マンモス復活は不可能であることを述べております。
ご説明ありがとうございました……!それにしても、実験の内容を聞いていると、タンパク質を分析したり、その中から細胞核を取り出したり、さらにそれを移植して確認したり、いろいろな分野の技術が使われているように感じました。展示を眺めていても「チームで成し遂げたこと」という印象があります。
まさにその通りです。それぞれは異なる生命科学分野の研究者ですが、同じゴールに向かって一丸となってプロジェクトを進めることで、世界初となる成果を残すことができました。一人ひとりの専門能力が高く、かつスムーズに他分野と連携できるのは、近畿大学だからこそ実現できた成果だと断言できます。
▲プロジェクトメンバーの全員のイラスト
▲ブースの後半にはマンモスと写真が取れるフォトスポットも
「ネオ・マンモス細胞」による再アプローチ。生命を生み出すことへの“畏怖の念”を
「マンモスの細胞から生命現象を起こす」という、世界初の成果を出したわけですが、今後の「マンモス復活プロジェクト」はどうなるのでしょうか?
先ほど述べたように、今回用いた現在の「体細胞核移植技術」の適用だけでは、永久凍土にあるマンモス化石を用いて、これ以上この研究は進めないということがわかりました。今後は合成生物学という考え方を用いて、大きな可能性に向かって挑戦していくことになります。
具体的にはどのような方法なのでしょうか?
保存状態の良かったYukaマンモスのDNAに含まれる情報をすべて読み解いて、それをもとに細胞を構築していく方法です。DNAに含まれる遺伝情報を読み込んで、パーツごとに新しく作る、そして、それを再度組み立てれば理論上はマンモスの生命の設計図に基づくネオ・マンモス細胞を人工的に再生できるということです。
まだそんなアプローチが残っているのですね……。これまた途方ない時間がかかるような気がします。
その通りです。動物細胞の合成生物学の知識の蓄積や技術開発に関する研究は、新しい最先端の研究分野です。まずは、YukaマンモスのDNAの情報を完全解読する必要があります。その情報を基にした「ネオマンモス細胞の再構築」は、かなりの時間がかかりますね(笑)50年後とか100年後でもまだ終わっていないかもしれません。しかしながら、その過程で得られた知識や技術は、将来の地球環境や人類を含むすべての生命に役立つと確信しています。また、人類が宇宙空間にその生活圏を広げていくときにも、「ネオマンモス細胞の再構築」に関する研究成果はその重要性を提示するものと期待しています。
恐ろしい執念(笑)ちなみに、マンモス復活プロジェクトが実現したら、社会や暮らしにも何かしらのインパクトがあるものなのでしょうか?
展示でも紹介していますが、「ムーンショット研究(※)」という概念があります。「マンモス復活プロジェクト」は、この「ムーンショット研究」に該当する研究で、非常に困難な目的を成し遂げる過程でさまざまな技術が生まれ、将来的に私たちの生活を豊かにすることが期待されています。
アメリカが月に向かってロケットを打ち上げたアポロ計画に由来。研究開発の過程でさまざまな技術開発が進み、結果的に生活に役立つ技術開発につながること。アポロ計画の場合は、進行過程で生まれたインターネットやGPSという技術が日常的に利用されている。
今はわからないけど、将来的に私たちの生活を豊かにするイノベーションにつながる可能性が高いということでしょうか?
そうですね。現時点では、健康問題・食糧問題・医療問題などへの貢献が期待されていますね。例えば、生殖生物学の進歩が、体外受精・生殖補助医療(ART)といった分野を生み、ヒトの不妊という問題を解決する糸口となりました。どのような形になるかはわかりませんが、生命科学の進歩によって、地球社会に良い影響を与えられると信じています。
今後は、どのようなことを意識して研究を進めますか?
今日のインタビューで、生田さんも「恐ろしい」という感情を抱いていましたが、私たち研究者も必ずその感覚を身につけておく必要があると判断しております。特に、絶滅種の復活は、生命倫理・動物福祉・生態系への影響などに大きく影響する研究です。もし、復活できる技術を生み出せたとしても、すぐに実行するのではなく、常に一般社会に情報開示し、一度立ち止まって倫理的な問題や環境的な問題について討議して、一般社会とともに地球の生態系や人類にとって最良の選択をすべきだと考えています。もし、その理解が得られない場合は、その実行は止めなければなりません。
マンモスを通して、生命の不思議、または人工的に生命を生み出すということはどういうことなのかについて考えさせられました。最後に何か伝えたいことがあればお願いします。
今後の研究のところで、マンモス復活に至るまでには100年以上かかるかも、という話をしましたが、この研究を進めるには次世代の人材が不可欠です。今回の展示会は、生命科学という学問の魅力を味わうのにうってつけの機会です。将来の研究者につなげるためにも、多くの子ども達に来場していただき、関心を持つことで生命科学の研究者を目指してほしいと思います。
▲お土産コーナーには近大とマンモス展のコラボグッズが販売中
松本教授、本日はありがとうございました!
▲展示の観覧が終わったら、ぜひマンモスとの記念撮影を
インタビューした人
生田 晴香(@kyoryu_haruru)
恐竜タレント。TV,CMのほかモデルのお仕事してます。福井恐竜博物館の公認恐竜博士、恐竜検定すべて所持。恐竜トークショー&クイズ&鳴き声コンテスト審査員。恐竜の楽曲「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。YouTube→恐竜わっしょい!で恐竜コラム連載スタート!
この記事を書いた人
児島 宏明
ライター・編集者に憧れ、広告代理店に入社。SEOライターを経験した後、オウンドメディア担当に。WEBコンテンツの企画・取材・編集・撮影を担当。飲食店などの個人事業主から会社経営者まで、さまざまな方にインタビューをして記事執筆を行う。
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