2018.02.08
ロシアに行ったら足ガクガク体験が待ってた!ウラジオストクで日露の未来を考える
- Kindai Picks編集部
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普通の大学生である私、近畿大学国際学部2年の尾﨑が、2017年9月にロシア・ウラジオストクで開かれた「日露学生フォーラム」に参加した際の超貴重な体験や、そのとき感じたことを、皆さんにお伝えします!
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日露学生フォーラムのハッシュタグと日本とロシアの国旗
日露学生フォーラムとは?
私が「日露学生フォーラム」に参加しようと思ったのは、基礎ゼミの先生がこのフォーラムの存在を教えてくださったのがきっかけでした。
「なにそれ?初めて聞いた!」という方も多いかもしれません。
「日露学生フォーラム」は、2017年9月にロシア・ウラジオストクにある極東連邦大学で開催された「第3回東方経済フォーラム」に並行して、東北大学・北海道大学・モスクワ国立大学・極東連邦大学の日露4大学の主催により行われたものです。
ウラジオストクってどこにあるの?
ウラジオストクは、ロシアの極東(中国と北朝鮮との国境近く)に位置し、成田空港から直行便で約90分で行ける、日本から一番近いヨーロッパ都市です。私は成田空港から韓国の仁川空港を経由したのでもっと時間がかかりましたが、意外と近いことに驚きました。
ロシアというだけで「極寒の地」を想像する人も多いと思いますが、気温も場所によって様々。ウラジオストクは沿岸部に位置するため、内陸部のモスクワなどに比べて寒暖の差も激しくありません。最も気温が低くなる1月は約−16℃まで下がりますが、夏は8月でも平均気温は約23度と過ごしやすい地域です。
また、ウラジオストクはグルメの町とも言えるほど様々な飲食店があります。ボルシチなどの伝統的なロシア料理はもちろん、アジア系の飲食店も多く、多種多様な食文化が混在しています。港町ということもあり、海鮮料理も豊富。ピロシキなど、屋台の食べ歩きも楽しいです。
「日露交流の未来について」のディスカッション
「日露の交流推進」について議論するために行われたこのフォーラムは、ディスカッションの部と、文化プログラムの部の二部構成になっていました。
フォーラムの1日目は、医療、経済、農業、教育、文化、環境、言語という専門的なサブテーマを設定し、さらに「社会・文化」、「科学技術」という2つの分野に分かれ、日本とロシアの学生同士で英語で議論しました。
日本の学生とロシアの学生が分野に分かれてディスカッション。
互いの主張を認めたり、自分の思ったことを意見したりを繰り返す中で、議論は予想以上にどんどんヒートアップしていきました。みんなが熱くなりすぎて、時間内にはスッキリできなかった(!)ので、議論終了後も、みんなで夕飯を食べながらディスカッションを続けました。
参加者の1人である私ですが、「日本の学生も、ロシアの学生も、しっかり自分の考えを持っているんだなぁ…」と思わず感心してしまいました。
私は、教育・文化協力分野での日露発展を考える「分科会」に所属していたのですが、そこでは、私を含む多くの日本人がロシアに対して「危なそう、怖そうな国」、「少し閉鎖的な国」、などといった既成概念、固定観念を持っていました。
しかし、固定観念にとらわれてしまうと、実際に文化に触れることができたとしても、新しい情報が自分の中に入ってこないこともあったり、理解を深めることってなかなかできないと思うんです。
そこで私たち分科会は、「そのような既成概念を持っていたり、ビザなどの手続きの制度が複雑であるために、国家間の交流が妨げられているのではないか?」という仮説を立て、「どうすれば日露関係を促進できるのか?」を思案しました。
1日目終了後、先生方からのアドバイスを聞く参加者たち。
その結果、日本とロシアの学生の交流の手助けをする「日露学生協会」や、文化についての理解を促す「ロシア文化センターの設立」をすればいいのではないか、という答えにたどり着きました。
学生がロシアを訪問する手助けをしたり、若いうちからロシアの文化に触れて、ロシアをより身近に感じてもらうことによって、日本に根付いている「ステレオタイプのロシア像」を解消できると考えています。
「東方経済フォーラム」を傍聴
そして迎えた2日目には、同大学で開催されていた「東方経済フォーラム2017」や「APEC」を傍聴でき、生まれて初めて同時翻訳機というものを体験しました!こんな貴重な経験ができるなんて…感動です(もちろん、会議もちゃんと聞いていましたよ!)。
これもまた、なかなか経験できるものではなく、このような機会に出会えた私は本当にラッキーだったと思います。普段の生活では絶対に味わうことのないピリッとした緊張感もあり、身が引き締まる思いで傍聴させていただきました。
日本からは安倍首相の他、韓国やモンゴルの大統領も参加した東方経済フォーラム2017を傍聴。
そんな緊張感を味わったあとのお昼には、ロシア側からの出し物があったのですが、そのパフォーマンスの中で、「多民族国家としてのロシア」を感じることができました。
ロシアの音楽に合わせて旗を振る参加者たち。
というのも、私も今回のプログラムで初めて知ったことなのですが、一概に「ロシア人」とは言っても、その人種は1つではないそうなのです。広大な領土を持つロシアには、モンゴルに近いところもあれば、ヨーロッパに近いところもあります。
にも関わらず、ロシアの様々な人種全員が、同じ1つの言語を話すのだといいます。これについては、ロシアならではの魅力の1つではないか、と私は考えています。
写真のように、ロシアのみなさんが、民族衣装やダンスを披露してくれました。こういう機会って、普段生活している中では絶対に出会えませんよね。実際に、彼らの素晴らしいパフォーマンスを見て、「あぁ、こういう国家間の交流ってとてもいいなぁ」としみじみ思いました。
120以上の民族がいると言われているロシア、それぞれの民族衣装を着てのパフォーマンス。
互いにおもてなしの心や、好意をもって接してくれるのを肌で、目で、耳で感じることができるというか、ニュースなどで政治的な部分だけを見ていたら、絶対にわからないことってまだまだあるんじゃないかって。
ロシアによるパフォーマンスのあと、日露学生フォーラムについての全体会議が行われました。 これがまた、緊張感たっぷりな会議だったんです。
「日露学生フォーラム提言」を発表する代表学生。
文部科学省の、小松親次郎文部科学審議官や、主催大学、並びに筑波大学、東海大学、近畿大学などの学長・副学長等が出席する中、私たちが前日に各分科会で議論した「日露関係の未来に向けての提案」をまとめた「日露学生フォーラム提言」を、代表の学生が報告しました。
自分たちが考えたものが目に見える形で作り出され、代表学生によって格好よく報告されているのを見ると、思わず鳥肌が立ってしまいました。
#ИдемнаВосток (私たちは東へ行く)など、様々なキーワードのハッシュタグを持って集合写真撮影。
これで、ディスカッションの部は無事に終了しました。最後は、参加者全員で写真撮影をしましたよ!カメラがありえないくらいたくさんあり、どこを見ていいのかわからず、緊張してしまいました(笑)
安倍首相を表敬
フォーラム3日目には、なんと安倍首相にお会いし、前日にまとめた私たちの提言を手渡す、大変貴重な機会を頂きました。「こんな私でも、周りと協力することで実際に行動でき、世界を少しだけでも動かすことができるのだ」と、実感した特別な瞬間でした。
ちなみに、私は安倍首相の前の席に座らせていただいたのですが、緊張で足がガクガク震えてしまって、隣に座っていたロシア人の学生にクスクス笑われてしまいました。だって、日本の内閣総理大臣ですよ!?緊張しないわけがない!!(笑)
安倍首相の目の前に座って緊張MAXの私。
ロシアの文化に触れてみる
フォーラムにて行われた「文化プログラム」では、ウラジオストク市内の博物館や水族館を訪問し、計5日間のプログラムで、日本とロシアの学生が相互理解と、親睦を深めました。
OKEANでの集合写真。
ウラジオストクの街での観光や博物館、OKEAN という子供のための教育兼宿泊施設 、水族館への訪問などの様々な貴重な体験をさせていただきました。
博物館で標本を見ているところ。
水族館では簡単なロシア語の講座が開かれ、私も挑戦してみましたが、アルファベットと同じ形の文字なのに読み方が違うものがあったりして、大変苦戦しました…。ロシア語って難しい。
水族館でのロシア語講座。「Озеро」は「湖」の意味。
ウラジオストクは中国や北朝鮮に近い街ですが、街並みはヨーロッパのような雰囲気で、「ロシアのサンフランシスコ」とも言われています。サンフランシスコにある「ゴールデンゲート・ブリッジ」を彷彿とさせるような、市街と極東連邦大学を繋ぐ橋もあります。また、おしゃれなカフェやレストランもあり、綺麗な海とそこに浮かぶ軍艦が印象的で、日本では見たことのないような街並みでした。
ウラジオストクの街並。
街では、日本の車ばかりが走り(しかもナビは日本語で日本国内の設定のまま!私はナビ上で千葉県あたりを走っている車に乗りました。絶対嘘じゃん…)、日本の製品も多く売られていました。
また、第二次世界大戦を経験した世代から聞いていたイメージとは大きく違って、現在のロシア人は、日本に対してマイナスのイメージはほとんどないように見え、 どちらかというと、かなり親日的であるように感じました。
みんなが親切にしてくれて、ロシアの人たちの温かさを感じました。こういうのって、実際に行ってみないとわからないことだったんでしょうね、きっと。
とうとうお別れ
約1週間のプログラムを終えて、いよいよお別れのときです。最終日には、先生方の粋な計らいでウラジオストク市内の美味しいレストランに連れていってもらいました!
夢中で食べてしまったので、ごはんの写真撮影を忘れていました…
そのあと、それぞれが日本から持ってきたお土産をロシア人学生に手渡し、別れを惜しみました。私は手作りの折り鶴のピアスを、まるでお姉ちゃんのように一番仲良くしてくれたロシアの学生さんにプレゼントしました。
プレゼントした折り鶴のピアスをつけてくれた極東連邦大学の学生。
感極まって、最後の最後で号泣した私。ロシアの人々の暖かさに触れ、たったの1週間で、ウラジオストクが、ロシアが大好きになってしまいました。
自撮りで記念撮影。
日露学生フォーラムを終えて…
「国境を越えて人々と繋がる大切さ」は、例え英語圏でなくとも通じるものがありました。新しい人と出会い、同じ目標に向かって一緒に考えたり実行したりすることは、私に大きな充実感、刺激を与えてくれました。
いよいよお別れ。
国際交流だけにとどまらず、自らが周囲と協力して働きかけることの大切さを学んだことはもちろん、尊敬できる先輩方や友達と出会えたことは、私にとって大きな収穫となりました。
また、私が所属する国際学部の授業でも度々テーマになる「固定観念」というものの恐ろしさ、そして、「世界にはまだまだ私の知らないことがある」、ということを知ることができました。
これらは、今後も私の人生において、絶対に忘れることができない経験になったと思います。
世の中には、こういった「自分にとってプラスにできる機会」がたくさんあります。社会に出てからはなかなか経験できないような、大変貴重なものも多くあるので、一度どういうフォーラムや参加イベントがあるのかを調べてみて、もし興味があるものがあれば、ぜひ思い切って飛び込んでみてほしいと思います。
「日露学生フォーラム」が私にとって大きな第一歩となったように、みなさんにも、何か新しい気づきや、出会いをもたらしてくれるかもしれませんよ。
あなたも、「自分の世界」を広げてみませんか?
(終わり)
ライタープロフィール
尾﨑史歩(おざきしほ)
近畿大学 国際学部 国際学科グローバル専攻 2年
高校、大学とで2回長期留学を経験。最近スキューバダイビングの免許を取得。地上と同時進行で今年からは海中も攻めます。
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