2016.07.21
カキ氷やアイスを食べた時の不快な”アレ”を科学する。
- Kindai Picks編集部
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“アイスクリーム頭痛”という言葉をご存知でしょうか?その名のとおり、アイスクリームなどの冷たいものを食べた時に起きる頭痛のことです。今回は痛みが起こる仕組みと対処法について西郷和真先生(近畿大学医学部臨床教授 ※2023年現在)に聞いてみました。
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――なぜカキ氷やアイスクリームなどの冷たいものを食べると頭痛がするのでしょうか?
みなさんも、カキ氷やアイスクリームを食べた時に頭痛を感じたことがあると思います。これは国際頭痛学会(International Headache Society)の分類でも報告されている頭痛の一つで、冷たい固形物、液体、気体が口腔や咽頭(のど)を通過することによって急速に誘発されると定義されています。この寒冷刺激が三叉神経、自律神経を刺激して反射性に痛みを起こしているのではないかと考えられています。
――これは誰にでも起こる現象なのでしょうか?
身近な方が経験していることからもわかるように、大多数の方に起こると考えられています。閾値や感受性の違いがあるため諸説ありますが、2~6割の人で感じるとされています。最近の報告では、若年者は6割程度が起こすという報告もあります。閾値とは、どの程度アイスクリームを食べると頭痛が起こるのかということで、この場合はカキ氷・アイスクリームの量、温度などにもよりますが、その人の感受性・体質によって異なると考えられています。
――頭痛が起こりやすい体質や条件、環境はあるのでしょうか?
口腔・咽頭(特に口蓋や咽頭後壁)の温度が低下する速さと、血管の収縮する速さが関連していると考えられています。片頭痛と言われる頭痛持ちの人には、起こる率が高いと考えられています。最近の論文では、氷の塊(アイスキューブ)より氷水(アイスウォーター)の方が起こし易いとの論文報告もあります。
アイスクリーム頭痛を防ぐには
――痛くならない予防方法はありますか?
みなさんも経験的にご存知かとおもいますが、早く食べないで、ゆっくり食べると痛みは起こりにくくなります。
お茶やコーヒーなど暖かいものといっしょに食べると、口腔、咽頭の温度が急速に下がらないので、頭痛を起こすことが少ないと考えられています。
――痛くなってからでも効く方法はありますか?
痛くなっても、かき氷やアイスクリームを食べることを中止することで、数分で自然に軽快します。
――天然氷では頭が痛くならないと聞いたことがあります。本当なのでしょうか?
あまり関係がないように思います。あくまで口腔・咽頭の温度の急速な低下が関係していると考えられます。
(番外編)人間以外の生物でもアイスクリーム頭痛は起こる?
YouTubeで話題のアイスクリーム頭痛を起こしている!?ラッコやネコの動画
――冷たいものを食べて頭痛を起こしている、ラッコやネコの動画を見たことがあります。 これは本当なのでしょうか?
この映像だけでは、何とも言えません。同じ哺乳類ですからアイスクリーム頭痛が起こらない、とは言えませんが、映像にあるような一口程度の氷やアイスクリームでは起こらないように思います。
想像ですが、初めて口にした冷たいものだったので、ビックリした、あるいは氷を噛んだ時に口腔内をケガをした、などではないでしょうか。
【PROFILE】
西郷 和真 (サイゴウ カズマサ)准教授
所属:近畿大学医学部臨床教授 ※2023年現在
専門:生命科学(頭痛、片頭痛、痛み、てんかん、認知症、アルツハイマー型認知症、遺伝子診断、遺伝カウンセリング)
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