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就活のカリスマ海老原嗣生の「学校では教えてくれない就活論」

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Kindai Picks編集部

2016.03.04

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就活
オリジナル記事

2016年3月に卒業を予定している大学生/大学院生の求人倍率は1.73倍で、前年よりも0.12ポイント上昇した。就職状況は良くなっているが、誰もが大企業を狙える時代なのか? 就活のカリスマ海老原氏が、誰も教えてくれなかった就職活動の現実と、入社後に後悔しない企業の見極め方を語ってくれた。

<近畿大学就職活動決起大会より>

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【PROFILE】
海老原嗣生(えびはらつぐお)

株式会社ニッチモ 代表取締役
株式会社リクルートエージェント ソーシャルエグゼクティブ
株式会社リクルートワークス研究所 特別編集委員

1964年生まれ。上智大学経済学部卒業。リコー、リクルートエージェントを経て、リクルートワークス研究所の「Works」編集長に就任。2008年にリクルートを退職し、HRコンサルティング企業の株式会社ニッチモを設立。一方、リクルートエージェントのフェローとして、人事・経営誌「HRmics」の編集長に。著書に『雇用の常識「本当に見えるウソ」』『学歴の耐えられない軽さ』『「若者はかわいそう」論のウソ』『就職、絶望期』『就職に強い大学・学部』など。「週刊モーニング」(講談社)の転職エージェント漫画『エンゼルバンク』のカリスマ転職代理人 海老沢康生のモデルにもなっている。







アイドルやプロ野球選手は無理でも、人気企業には入れる!?


就職人気ランキング100位以内の企業が採用する人数は、今みたいな好景気でも合計3万人以下、平均するとおよそ1.9万人くらいです。これに対して、東大・京大の就活生が6,000人、旧帝大が1万5,000人、早稲田と早慶で1万8,000人、さらに一橋や東工大といった大学も合わせると、ハイレベルな大学の卒業生だけでも5万人くらいはいるわけです。人気企業というのは、実は難関大学よりもよっぽど狭き門なんです。

私立大学の就職データを見てみると、就職人気企業ランキング100位以内に入社している学生の割合は、慶応大学22.0%、早稲田15.1%、同志社13.5%、青山9.9%、明治8.4%、関西学院7.5%です。上位校でこの数字ですから、多くの大学では、9割以上の学生は人気企業には入れないということ。この現実感を覚えておいて欲しいですね。

アイドルやプロ野球選手になる、もしくは東京大学に入学するのは、自分には無理だと思っている人が多い。なのに、就活ではみんな人気企業をガンガン受けます。それは就職の「相場観」を持っていないからです。多くの人は、アイドルやプロ野球にはなれなさそうという相場観を持っていますし、東京大学に入る難しさも知っています。でも、就職に関しては相場観がないんです。人気企業に入るのがどれくらい難しいことなのかという、正しい認識を持つようにしましょう。


海老原直伝。これが他の就活生を出し抜く方法。


内々定解禁日は6月1日。超大手企業は、6月の下旬くらいまでに内々定を出し終えます。そして、学生は次に「トヨタ」や「三菱」といった冠のつく企業を受け、さらに次はリクナビやマイナビを使ってまだ残っている大手企業、特にBtoB企業に注目するようになります。従業員も何千人・何万人という規模で、一部上場している無名の大手企業ですね。

こういった流れの中で、学生はまず、超大手が終わった時に1回目のショックを受けます。周りには1割くらいの学生が受かっていて、自分は落ちたのか…と落ち込むんです。そして、冠企業やBtoBの大手企業も終わった後に2回目のショックを受けます。

半分以上の学生にとっては、ここからが本番。中堅企業や中小企業を受けようとするのですが、8月頃には大手企業が欠員補充のために追加で募集したりして、後ろ髪を引かれてまた大手の方に行ってしまう学生がたくさんいます。そして結局、8月終盤に「どうしよう…」となる。これがいわゆる一番疲れる就活のパターンです。最初から説明会にすら呼ばれなければ良いのですが、説明会に参加できるからそっちに乗っておかないと、という気持ちになる。これに乗らないようにすることが大事なんです。



それと、受ける企業の順番を変えてみてください。「超大手→冠企業→大手BtoB」という、みんなと同じ順番で受けるから落ちまくるんです。例えば、車の中のハーネスや海底ケーブルや光通信ケーブルを作っていて、世界に5万人もの社員がいる一部上場企業があります。ほとんどの学生は名前も聞いたことがない企業ですが、安定していて世界で活躍してる。こういう企業は、7月8月になるとものすごい数の学生が来ますが、3月はそうでもありません。みんなと同じ流れに乗るのではなく、早い時期から無名だけど優良な企業のことを調べて受ければ、「君、なかなかすごいね」「わかってるね」ということになるんですよ。


面接は、最低10回受けろ!


面接というのは、5回くらい受けてから段々緊張が取れていくものです。最初の5回は全然上手くいかないんですよ。就活の必勝法は、まず面接を5回受けちゃうこと。そして6回目から10回目は学生も勉強するようになる。企業の人がどのような質問をしてくるのか、こういう時はこう答えればいい、というのがわかってくる。面接は10回受けてやっと一人前なんです。

3月に就活解禁、6月に内々定解禁と言っているのは、経団連に入っている大手企業だけです。ベンチャー企業や外資系企業はルール関係なく採用活動をしていますから、企業の方には少し申し訳ありませんが、学生のみなさんは練習だと思ってガンガン受けちゃってください。


三次産業は、精神的ストレスが溜まりやすい。


最近の学生はすぐに辞めてしまうと言われていますが、今と昔では働く環境が全然違います。昔は一次産業や二次産業がほとんどでした。例えば漁船で働いていると、雨の日に突っ立っていたら「突っ立っていたら危ないんだよ、この野郎!」と先輩に言われて蹴られるなんてことがあります。でも、蹴られて船の上に倒れたおかげで海に落ちずに済んだのなら、こういう漁船をブラックだと言う人はいません。

一方で、第三次産業の会社ではどうか。例えば営業で、お客さんに電話でアポイントを取れと言われた時に、相手の会社のことを知らないと失礼だと思い、HPやパンフレットを調べていたら、先輩社員から「何やってるんだよ!とにかく電話すればいいんだよバカヤロー!」なんて言われる。先輩は行動重視で「いいから、とにかく動け!」と言っているが、自分は思考重視でじっくり考えたい。これはどちらが正しいというわけではなく、考え方の違いなんですけど、思考重視の人が行動重視の会社に入っちゃうと、すごく違和感を持つようになります。「なんでこの人、こんなこと言うんだろう?」と。その通りにやらなかったら海に落ちて死ぬわけではないし、言われた通りにやったら売上が伸びるわけでもないのに。そして無視すれば嫌われるし、我慢していれば仕事がどんどんつまらなくなるのです。

また、二次産業では、例えば工場で働いていて、普段は1日2,000個作るけどお歳暮の時期なので今日は2,400個作らないといけない、そのために残業してくれる人が6名必要、といった状況があります。これは、何人が何時間働けば何個できるのかが明確にわかっているということです。道路工事も同じで、一人あたり何平方メートル埋められるから、この区画を終わらせるためには何人必要というのがわかる。二次産業では「何をすべきか」「どこまでやるべきか」「いつまでにやるべきか」が明確なのです。

ところが、三次産業ではこういったことが全くわかりません。あるのは「今月いくら売ってくれ」という目標だけ。そのために何時間・何日かかるのかわかららない。やり方も人それぞれ。何をどこまでやったらいいのかわからないので、非常にストレスになる。それに営業や販売では、一番下っ端の新人が最前線に立ってお客さんと対面し、クレームを受けることになります。工場で不良品が出てしまった時や道路工事で不具合があった時に、現場で働いている一番下っ端の人が直接クレームを言われることはありませんよね。でも、営業や販売ではそういう状況が起きます。二次産業は肉体的ストレスが問題になりますが、三次産業では精神的ストレスが溜まりやすいのです。


大切なのは、企業との相性。5つの軸で分析せよ!


とにかく体を動かせばいいんだという風土の会社に、「じっくり考えたい」というタイプの人が入れば、会社の言っていることは理不尽だと思う。でも、その会社に「私も体を動かすことが好きです!考えることは嫌いです!」という人が入れば、快活になっていく。一方は言われた通りに渋々やって、いつも提出が遅れて、見捨てられたりして窮地に陥る。もう一方は先輩の言うことを守って、可愛がられて、かばってもらえる。そして本人も、そんな先輩に恩義を感じるようになっていく。

同じ会社でも、タイプが同じかどうかだけでこれだけの差が生まれます。合っているか合っていないか、ただそれだけで。この会社はブラック企業なのではなく、相対的にブラックなだけなのです。ですから、給与や休みやブランドのことを考えるのもいいけど、学生のみなさんには、企業との相性を一番大切にして欲しいと思います。

リクルートが実施した調査によりますと、入社3年以内に会社を辞めた人たちは5つの軸が合っていなかったからだということがわかっています。1つ目は「周囲との関係」です。一番になれという競争重視の会社もあれば、みんなで仲良くやれという協調性重視の会社もあり、自分のタイプとは違う方に入ってしまうと、疎外感を受けます。同じように「発想の方向」として、とにかく新しいことをやれ、昨日と同じじゃダメだという会社もあれば、伝統を守って地道にという会社もある。「判断の基準」は合理的かどうかで、可哀想などと言っている場合じゃないという企業と、もっと優しくしてあげなよという企業。「評価する点」は元気があって行動しているかという企業と、もっとしっかり考えろという企業。そして「スピード感」について、多少間違っててもいいから素早くというところもあれば、遅くてもいいから緻密にというところもある。これら5つの軸に注目すれば、自分に合っている企業なのかどうかを分析することができます。



近大はどんどん偏差値が高くなっていますし、ブランド力も向上しています。これは、経営戦略が上手く、マグロやナマズのように、みんながハッとする素晴らしいことをしているから。そして、つんく♂さんや赤井英和さんのように、有名になって活躍している方がいるからです。

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