2016.01.31
元気に長生き!親子で知っておきたい 「ごえん」の予防方法
- Kindai Picks編集部
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食べ物などが間違って気管や肺に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と言い、肺炎の原因になることもあります。
誤嚥を予防し「超高齢社会の中で『元気に』生きる」ための方法を紹介します。
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監修
近畿大学医学部附属病院・栄養部 管理栄養士 渡辺紗弥佳 他
まずは、自分に必要な栄養と水分を摂取量を知りましょう
元気に過ごすためには、必要な栄養量を摂取することが欠かせません。「必要な栄養量」の大まかな目安としてはカロリー(熱量)で摂取量を考えるのが良いかと思います。基準は、体重1kgあたり1日25〜30kcalです。例えば、体重が60kgの人なら、1日1,500〜1,800kcalとなります。ただしこれはあくまで一つの基準ですので、実際には消費エネルギーとのバランスで調整することが必要です。年齢と伴に体重が減っている人は、消費エネルギーに比べて摂取エネルギーが不足している可能性があります。
また、水分摂取量にも目安があります。こちらは、体重1kgあたり1日30〜40ml、つまり体重が60kgの人なら1日1,800〜2,400ml(1.8L〜2.4L)ですね。ただし、水分は飲み物だけでなく食事からも体内に取り込まれていますので、毎日3食召し上がっている方は、食事だけで約1L程度水分を摂取していることになります。よって、残りの約1L分を、水をはじめとする飲み物から摂取すれば良いことになります。もちろん、ゼリーやシャーベットなども水分補給になります。
誤嚥を防ぐための3つのポイント
ここまでは、元気に暮らしていくために必要なカロリー摂取量や水分摂取量について述べましたが、ここからはいよいよ「誤嚥を予防する食べ物の工夫」についてお伝えします。
誤嚥しやすい食べ物には特徴があり、ます。例えば、むせやすいもの・噛みにくいもの・パサつくものなどが該当しますが、具体的には以下の3つを避けるようにしましょう。まずは「固体と液体が混ざっているもの」です。例えば、水分の多いおじやは、米とだし汁が分離していますので、誤嚥する可能性が高いと言えます。米と水分が一体化してボテッとしたおじやを選択するようにしましょう。続いては「加熱しても柔らかくならないもの」で、例えば、かまぼこ・こんにゃく・きのこ・いか・貝類などが該当します。はんぺんやカニの身であれば問題ありません。最後に、「口の中や喉に貼りつくもの」も誤嚥の可能性が高いですね。焼き海苔でなく海苔の佃煮、皮付きのトマトではなく湯剥きしたトマトを選ぶことで、誤嚥の可能性を減らせます。また、鰹節やわかめも口の中や喉に貼りつく可能性があるので避けましょう。
以上のポイントを踏まえて、調理をしたりメニューを選んだりする際の留意点とお勧めの食べ方を、以下にまとめました。
ごはん
留意点
固いごはんは、パラパラしていて、口の中でまとまりにくい。
食べ方
全粥、軟飯(米の重量の2〜3倍の水で焚いたごはん)、おじや、リゾット
麺類
留意点
すすって食べると、むせる原因になる。
食べ方
麺を2〜3cm長さに切る、汁にとろみをつける
パン
留意点
水分が少ないため、パサつきやすい。
食べ方
フレンチトースト、牛乳やスープに浸しながら食べる
魚
留意点
脂肪分の少ない魚はパサつきやすい。小骨に注意。
食べ方
煮 魚…汁を多めにしてとろみをつける
焼き魚…大根おろしを添えたりあんをかける
刺し身…マグロ・鰹・ウニ・甘エビなどやわらかいものを選ぶ
肉
留意点
塊の肉は噛みにくい。ミンチ肉はむせやすい。
食べ方
塊の肉…圧力鍋を使用するか長時間煮込む
ミンチ肉…ハンバーグや肉団子にする
卵
留意点
加熱し過ぎるとパサついて誤嚥の原因になりやすい
食べ方
だし巻き卵、オムレツ、卵豆腐、固めであんをかけた茶碗蒸し
芋・カボチャ
留意点
ぼそぼそして誤嚥の原因になりやすい。
食べ方
カボチャ…皮をむいて柔らかく煮る
里芋やじゃがいも…適度な大きさに切って柔らかく煮る。ポタージュにする。マヨネーズや生クリームで和える
葉物(ほうれん草・チンゲンサイ・小松菜・白菜・キャベツなど)
留意点
芯や茎は繊維が多いので噛み切りにくい。
食べ方
よく煮る、豆腐を使って白和え、練りごまを使って和える
大根・なす・トマト
留意点
繊維の多い食材や皮は避ける。
食べ方
大 根…うすくず煮にする
な す…皮をむいて柔らかく煮る
トマト…湯剥きして種を取る
汁物
留意点
汁物は誤嚥の原因になりやすい。
食べ方
味噌汁…具を柔らかく煮てとろみをつける
スープ…じゃがいもやカボチャを使ってポタージュにする
果物
留意点
種があるものや繊維が多いものはなるべく避ける。果汁の多い物は誤嚥しやすい。
食べ方
一口大に切るか少し潰してヨーグルトと和える。リンゴの皮をむいてコンポートにする。缶詰の果物を一口大に切る
菓子類
留意点
パサパサしたものは避ける。
食べ方
寒天ではなくゼラチンで作ったゼリー、アイスクリーム、プリン、ミックスジュース
以上のように、誤嚥の可能性が高い食べ物を加工したり他の食材に置き換えたりすることで、安全に食べられるように工夫したものを嚥下食(えんげしょく)と言います。また、液体そのものも誤嚥しやすいものの1つとされています。流れる速度の速い液体は誤嚥の原因となりますので、トロミをつけるなどの工夫が必要となります。
外食でもできる!誤嚥を防ぐ方法とは?
外食ではなかなか誤嚥を防ぐための工夫はしづらいとお考えの方が多いかと思いますが、実はメニューの選び方によって誤嚥を減らすことはできます。例えば、あんかけ料理を選ぶ、カレーとライスをよく混ぜながら食べる、パンよりもごはんにする、といったことが考えられます。
そして、ぜひお勧めしたいのが「とろみ剤」の使用です。これは自分で持ち歩いて食事の際に汁物や飲み物にとろみをつけることができる粉で、片栗粉と違って常温や冷たい液体にもとろみをつけることができる点が大きな特徴です。ドラッグストアなどに売っていて、個包装されているものもありますので、持ち歩いて食事の際にはご自分の嚥下能力に合わせてとろみをつけるようにしてください。
100歳になっても元気でいるため、自分で食べる喜びを味わい続けていくため、誤嚥を防ぐ方法について、きちんと知っておくようにしましょう。
ドラッグストアなどで手に入る「とろみ剤」は外出先での誤嚥予防に役立ちます。
●近畿大学公開講座とは
近畿大学では、一般の方を対象にした公開講座を実施しています。主に大学で取り組んでいる教育や研究成果に基づいたプログラムが開催されており、生涯教育の場を提供することを目的として、リアルな参加型の講座とインターネット上でどこからでもご覧いただけるWeb講座をご用意しています。詳細は、近畿大学公開講座のホームページをご覧ください。
体操で"誤嚥予防"-3分でできる嚥下体操講座 |世の中の役に立つ近大公開講座 vol.1
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