2026.06.08
ADHDは要注意!無限に時間を溶かす「ショート動画」の中毒性…インスタやTikTokに依存する若者の現状と脳科学者が教える対策

- Kindai Picks編集部
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軽い気持ちで見始めたショート動画。「あと1本だけ」のつもりが、気づけば思いのほか時間が経っていた——そんな経験はありませんか? やめられない背景には、私たちの行動を自然と引き込む“仕組み”があるからなんです。動画クリエイターのあふろちゃんが学生の視聴実態を調査し、ショート動画が脳に与える影響や今日からできる対策について、脳科学の専門家に話を聞きました。
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どうも! 動画クリエイターの「あふろちゃん」です!
普段はTikTokやInstagramのリールなど、ショート動画を「作る側」として活動している私。どうすれば手を止めてもらえるか、1秒でも長く見てもらえるか。そんなことを考えながら、日々動画編集に向き合っています。
……が、ある日ふと自分の「スクリーンタイム」を見て、愕然としました。
1日のスマホ平均利用時間がなんと「9時間」。
その内訳はInstagramが3時間、YouTubeが2時間、TikTokが1時間、その他ゲームなどで3時間。
「これは仕事のリサーチだ」と自分に言い聞かせてきましたが、正直に言います。半分以上は、ただぼんやりと画面をスワイプしていただけでした。

これって、いわゆる「ショート動画中毒」ってやつでは?
作り手であるはずの私が、誰よりもこの沼にハマり、脳が溶けかかっているのでは!
このままでは、集中力が金魚以下になってしまうかもしれない……。
そんな危機感に震えた私は、スマホを握りしめ(持ってくるんかい)、近畿大学東大阪キャンパスの学生の実態を調査。さらにその足で薬学部の先生のもとへ向かい、この「スマホ沼」の正体を解き明かしてもらうことにしました!
学生はどのくらいショート動画を見ているの?

というわけで、昼休みのキャンパスへ。ゴールデンウィーク前の4月末ということもあってか、あたりは新入生らしき学生でにぎわっています。偶然、シンパシーを感じるパーマヘアの子を発見したので、思い切って声をかけてみることにしました。
ケース①:意外と見てない? 1年生のリアルな視聴時間

国際学部1年生の2人
あふろちゃん:すみません! 今、学生がショート動画をどれくらい見ているのか調査しているんですが、スマホの「スクリーンタイム」見せてもらってもいいですか?
Aさん:えっ、恥ずかしい……(笑)。 今週は34時間21分で、一番見てるのはTikTokで12時間以上、Instagramも6時間以上見てますね。
あふろちゃん:今は金曜日の昼だからスマホ使ってるのは1日平均6時間くらいで、そのうち3時間半くらいショート動画見てるってことですよね。
Bさん:私は意外と少ないですよ。週で見てもInstagramが5時間、TikTokが4時間くらい。
あふろちゃん:1日2時間以内なら健康的ですね……と思いきや、写真フォルダを週に5時間も見てる!?
Bさん:あ、私ダンスをしてるんで、自分の練習動画を見返したりしてるんです。
あふろちゃん:なるほど。でも、夜寝る前にショート動画を見始めたら止まらなくなること、ありません?
Bさん:あります! 夜中に「あと1本」が無限に続いて、結局寝るのが2時くらいになっちゃうことも。中毒っていうほどじゃないけど、スマホを持つと無意識にアプリを開いちゃってる自分はいますね。
続いて、別の学生にも話を聞いてみました。

高校からの友達だという総合社会学部1年生の2人組
Cさん:Instagramが一番多くて、1日1時間半、TikTokが1日1時間くらい、Netflixも1日1時間くらいですね。ほとんどメイクの準備をしながら見てます。
あふろちゃん:メイク準備しながら! どんな動画を見てるんですか?
Cさん:服のコーディネート、メイク、食べ物系かな。お店の紹介とか実用的なものを見て参考にすることが多くて。でも寝る前にも「とりあえず」開いちゃって、寝不足になることもあります。
Dさん:私はTikTok派です。行きたい場所を調べることが多いので、旅行プランがいつも流れてくるんです。保存したリストだけが増えていく「保存魔」です(笑)

あふろちゃん:服のコーデとかお店探しとか、めっちゃ実用的ですね。なんかもう普通にリア充って感じがしました(笑)
ケース②:勉強中の「覚醒」としての動画!?

続いて話を聞いたのは、薬学部の学生。
Eさん:僕のスクリーンタイムですか? 一番はYouTubeで、今週7時間。水曜日に4時間以上見てますね。
あふろちゃん:いつ見てるんですか?
Eさん:……テスト前とか、勉強中に寝ないように、机の片隅で音を消して見てます。
あふろちゃん:えっ!? 勉強に集中するためじゃなくて、動画で「覚醒」してるってこと?
Eさん:そうです。勉強に飽きて脳が寝そうになるのを、ショート動画の刺激で無理やり起こしてる感じ。暇つぶしというより、もはや脳を動かし続けるための燃料になってますね。
あふろちゃん:そんな動画の使い方があったとは……!
ケース③:猿のパンチくんから戦争まで。タイムラインの中身バラバラ説

続いて調査するのは、オープンキャンパスの準備をしていた総合社会学部のFさん、経営学部のGさん、法学部のHさんの3人です。
Fさん:私はTikTokをよく見てます。通学時間が長いから、電車の中で見るのが一番多いかな。
あふろちゃん:電車で見るときって、面白い動画が流れてきて「ニヤッ」としちゃうの耐えるの辛くない?
Fさん:わかります! 笑いが出そうになったら、即座にスワイプして違う動画に変えますもん。「危ない、今の耐えた!」みたいな(笑)
Gさん:僕は寝る前に結構見ちゃいますね。でも寝不足になるほどではないかも。
Hさん:僕も寝る前にYouTubeショートで野球とかのハイライトを見て、気分を良くしてます(笑)
あふろちゃん:ちなみに、友達同士で「あれ見た?」みたいな話題になることってありますか?
Fさん:私YouTube見ないからユーチューバーとか知らないけど、TikTokでもYouTubeの切り抜きが流れてくるので「それTikTokで見た!」みたいな感じにはなります。
あふろちゃん:タイムラインにどんな動画流れてきます? 最近だと「猿のパンチくん※」とかが人気ですよね。
※猿のパンチくん:千葉県市川市動植物園のニホンザル。母ザルの育児放棄により人工哺育で育ち、母親代わりのオランウータンのぬいぐるみを抱きしめて歩く姿が今年SNSで話題に。
【公式】がんばれパンチと市川市動植物園〜小さな動植物園が大切にしていること〜
Fさん:パンチくん、めっちゃ流れてきます!
Hさん:僕は知らないです。

あふろちゃん:えっ、猿のパンチくん流れてこないですか? この境界線は一体……。
Hさん:僕のタイムラインは戦争関連のニュースとかが多いですね。
Fさん:たしかに、ニュースはショート動画で知ることが多いなあ。家でテレビあんまり見ないので、ニュースは基本TikTokで知りますね。コメント欄でみんなの反応も見れるけど、テレビだとそれはないじゃないですか。
あふろちゃん:ちなみに、お風呂とかトイレにまで携帯を持ち込んだりします?
Hさん:トイレは持っていかないっすね。でもお風呂は持っていきます。
Fさん:私もお風呂は専用のケースに入れて見ちゃう。
Gさん:トイレも持っていきますね。なんなら歯磨き中もドライヤー中もイヤホンして見てます。でも寝不足になるほど見たりはしないですね。
Fさん:寝る前に見てそのまま寝落ちすると、次の日の寝起きが最悪なんですよね。だから「寝る前は見ないようにしたい」とは思いつつ、一度開くと止まらなくなっちゃう。

あふろちゃん:みんな意外と自制心あるやん! ……あれ、なんか私の方が中毒っぽい!?
ケース④:洗濯物を干すときも手放せない……1日14時間の猛者!

最後は、広報室のインターン生2名。ここにとんでもない強者がいました。
あふろちゃん:ちょっと待って、月曜のスクリーンタイム……14時間11分って!? 一体何があったん!?

なんと前日の日曜も12時間でした
Iくん:いや……ベッドに横になったまま、YouTube8時間、Instagram1時間半、X1時間、TikTok50分。気づいたら普通に1日終わってました。
あふろちゃん:もはやスマホと合体してるやん!

Iくん:お風呂とかトイレはもちろんなんですけど、洗濯物干すときとかも普通に置いて見てます。最初は10分くらいのつもりなんですよ。でも気づいたら1時間とか経ってて……。だから、自分ではそこまで見てるつもりはないんですよね。
Jさん:自覚ないんだ(笑)
あふろちゃん:ちなみに、何をそんなに見てるんですか?
Iくん:一番はスポーツ系。あとは「大学生の1日Vlog」とか同世代の生活を延々と見てます。
Jさん:私は汚い絨毯が綺麗になっていく動画とか、馬のひづめを整える動画とか見ちゃいますね。汚いものが綺麗になっていくのを見ると、なんか脳がスッキリするんですよ。
あふろちゃん:わかる! 「本来あるべき姿」に戻っていく快感ね。
Jさん:あと、男子2人が溝に落ちるやつとかもよく見ます。
Iくん:あー! わかる!
ばーじぼぶ (@ba_jibob) • Instagram photos and videos
「ばーじぼぶ」は日本の 動画クリエイターグループ。短くて面白い動画が若者に人気。
あふろちゃん:見たいものがあるときもあると思うんですけど、特に目的なく開いちゃうことって多くないですか?
Jさん:そうですね。特に「これを見たい」っていうより、何も考えずに見られるから開いちゃうというか。何かで時間を埋めたいけど、あんまりエネルギーは使いたくない、みたいな感覚に近いかも。だからショート動画は「暇を埋めるためにとりあえず開く」みたいな感じですね。
これまでさまざまな学生に話を聞いてきましたが、やっぱり気になるのは、なぜこんなにも多くの学生が「ショート動画を何時間も見てしまうのか?」ということ。この謎を探るべく、薬学部の先生のもとへ。
脳の専門家に直撃! 先生たちもショート動画の「沼」にハマっていた?

薬学部医療薬学科で神経生理学を専門とする竹内雄一先生と、行動神経生理学を専門とするチャン・ミシェル先生のもとを訪ねました。

専門:神経生理学
学位取得後、生後発達期や神経障害時における体性感覚経路が変容する機構を電気生理学的に解析。その後留学し、時間標的脳刺激によりてんかん発作やうつ病様症状を制御する手法を開発しました。現在は、「オシレーション障害」という観点から、脳疾患の理解とその医工学的制御を目指しています。
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専門:神経科学
行動選択の神経基盤に関する研究を行っています。最近は、葛藤が生じた際の行動選択の神経基盤、および報酬の価値と罰の厳しさのバランスが行動選択に及ぼす影響について注目しています。
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※ Vine:2013年〜2017年にTwitter(現X)が運営した、6秒ループ動画共有アプリ
止まらないのは意志のせいじゃない。ショート動画にハマる脳の仕組み



前頭前野は「①浅く考える機能(ワーキングメモリ)」「②深く考える機能」「③ぼんやりと考える機能」という3つの思考モードを切り替えている。スマホの過剰使用は①機能を酷使し、②や③の機能が使われず、記憶力や注意力が低下してしまう。
なぜ私たちは気持ちいい動画にハマるの? 快感の正体



ADHDはハマりやすい!? 今日からできる「脱・ショート動画沼」

① 毎日スクリーンタイムを確認する
②「終わり」を決めてから見る
③ 物理的な距離を置く(特に寝室!)
ショート動画は「悪」じゃない。大切なのは沼の仕組みを理解し、コントロールすること


オフラインの時間も楽しんでみよう

取材を終えた私は、研究室を出てすぐにスマホを開き……
……そっと、Instagramの通知をオフにしました。
「退屈は虐待」。先生のその言葉を聞いて、少し救われた気がします。動画を作って、誰かを一瞬でも楽しませているなら、それはきっと悪いことじゃない。
でも、脳を「オーバーヒート」させていた毎日は、今日でいったん終わりにします。これからは「質の高い退屈」を楽しめる、脂の乗った(?)クリエイターを目指したいと思います!
とりあえず、今夜はスマホをリビングに置いて寝ます! お休みなさい!

文:よしのまい
取材・撮影:トミモトリエ
企画・編集:人間編集舎
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