2026.05.01
過去最高ペースで感染拡大中のはしか(麻疹)は今や「大人の病気」。2026年、日本で何が起きている?

- Kindai Picks編集部
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2026年に入り、全国的に過去最高ペースではしか感染者が急増。厚生労働省や日本感染症学会からも注意喚起がされ、日本医師会では急遽、はしか(麻しん)の感染拡大防止への協力を求める動画が公開されています。インフルエンザの約10倍、新型コロナの約6倍にあたる感染力をもつとされるはしか。今、日本でなにが起きているのか。流行の理由や症状、医療機関受診の目安について、近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授の大塚篤司が解説します。
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専門:アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎を含む皮膚アレルギーの診断、病態機序、治療法、皮膚悪性腫瘍、とくに悪性黒色腫に関すること、免疫チェックポイント阻害剤を専門にしています。
教員情報詳細
2026年大流行の「はしか」とは
――今年「はしか」感染者が急増しています。いま日本で何が起きているのでしょうか?
①コロナ禍で世界的にワクチン接種率が下がったこと
②国際往来が完全に戻り海外からの持ち込みが増えていること
③MRワクチン・MMRワクチンの供給が一時逼迫したこと
④SNSで誤情報が拡散しワクチン忌避が広がっていること
アメリカは2025年に排除宣言(※)以降で最多、カナダは27年維持してきた排除認定を2025年に喪失しており、日本も「対岸の火事」ではない状況です。
※世界保健機関(WHO)が定める麻しんの排除確認の国際的判断基準をクリアすることで、土着株が存在しない「排除状態」にあると認定される。
――2026年の増え方は、過去数年と比べてどのくらい深刻なのでしょうか?
日本は「排除認定国」ですが、これは国内に土着株が3年以上見つかっていない状態を指すもので、海外株が持ち込まれた後の二次・三次感染が広がれば、この認定そのものを失うリスクが現実的に出てきます。
――首都圏を中心に流行しているようですが、関西では現時点でどの程度注意が必要でしょうか?
関西で警戒すべき理由は大きく三つあります。一つ目は関西国際空港という国際的な玄関口を抱えていることで、過去にも空港関連の集団感染が起きています。二つ目は、大阪府のMRワクチン第2期接種率が91.4%(2024年度)と、集団免疫の目安である95%を下回っていること。三つ目は、これからのGWで首都圏からの観光客や帰省者の流入が一気に増えることです。一週間後の数字がどうなっているかは、今の私たちの行動次第と言えます。
――ニュースでは感染者がどの店に立ち寄ったかまで報道されていますが、それはなぜでしょうか?
もう一つ重要なのが、ウイルスに触れてから3日以内であれば緊急のワクチン接種、4〜6日以内なら免疫グロブリン製剤の投与で発症や重症化を防げる可能性があるという点です。時間との勝負なので、立ち寄り先が具体的に公表されるのは、二次感染を一例でも減らすための公衆衛生上の合理的な判断と理解していただければと思います。
――「大人はしか」という言葉を聞きますが、子供のはしかとは違うのでしょうか?
そもそも、麻疹(はしか)とは
――はしかとはどのような病気ですか?
――発症するとどの部位に、どのような症状が出やすいですか?
まず「カタル期(2〜4日)」では38℃前後の発熱と咳・鼻水・結膜充血が出て、いわゆる風邪と区別がつきにくい状態が続きます。この時期に頬の内側の粘膜に直径1mm前後の白い斑点(コプリック斑)が現れることがあり、診断の決め手になる重要な所見です。
いったん熱が下がりかけたタイミングで「発疹期」に入り、再び39.5℃以上の高熱とともに、耳の後ろや首から赤い発疹が出始め、24〜48時間で顔・体幹・四肢へと一気に広がります。発疹は融合する傾向があり、見た目はインパクトが強いものの、強いかゆみは目立ちません。
「回復期」には発疹が褐色の色素沈着に変わってしばらく残り、これも麻疹を後から推定するうえで参考になります。
――重症化するとどうなりますか?最悪の場合どうなりますか?
さらに見落とせないのが、感染してから数年〜十数年経って発症する「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」という進行性の脳疾患で、有効な治療法がなく致死的です。
もう一つ近年注目されているのが「免疫健忘」で、はしかにかかると過去のワクチンや感染で得てきた他の感染症への免疫記憶までが部分的に消去されてしまい、その後しばらく他の感染症にかかりやすい状態が続きます。妊婦さんが感染すると流産・早産のリスクも高まります。
――この病気は人にうつりますか?
やっかいなのは、発疹が出る前のカタル期(風邪のような症状の時期)にすでに最も強い感染力を持つことで、本人も周囲も「ただの風邪」と思っているうちに通勤電車や職場で広げてしまう構造的な問題があります。感染力のある期間は、おおむね発疹出現の4日前から、出現後4〜5日間程度です。
――予防接種を小さい時に受けていれば抗体を持っているので大丈夫でしょうか?
――代表的な感染原因を教えてください。
――年齢や性別、体質など、発症しやすい人の特徴はありますか?
①ワクチンを2回打っていない方
②接種記録が残っておらず接種歴が不明な方
③1歳未満でまだ定期接種を受けていない乳児
です。先述の「空白世代(1972年10月〜1990年4月頃の生まれ)」は接種が1回だけだった可能性が高く、現在の流行の中心年齢層と完全に重なります。また、がん治療中・ステロイドや生物学的製剤を使っている方など免疫が抑えられている方も重症化リスクが高く、ご自身の判断ではなく主治医に相談していただきたい層です。実際、2026年第12週までの全国報告152例のうち、未接種・1回のみ・接種歴不明を合わせると半数以上を占めています。
――はしかは子供がかかるものと思っていましたが、大人でも感染するのでしょうか?
発症したらまずは医療機関に「電話」
――発症したときは、まず何をすべきですか?
自宅では
①外出を控える
②同居家族とできるだけ別の部屋で過ごす
③タオル・食器を分ける
④部屋の換気をこまめに行う
⑤家族の母子手帳でワクチン歴を確認しておく
を心がけてください。
受診の目安は、「39℃以上の高熱が2日以上続く」「全身に発疹が広がる」「咳・鼻水・結膜充血が目立つ」「身近にはしか患者がいた/流行地から帰国したばかり」のいずれかが当てはまる場合です。
――医療機関ではどのような治療が行われますか?
感染を広げないために
――自分が感染した場合、感染を広げないために注意すべきことは?
①個室で過ごし、家族との接触をできるだけ少なくする
②通院は事前連絡のうえマスク着用で(マスクは万能ではありませんが飛沫を抑える意味は残ります)
③公共交通機関・商業施設の利用は避ける
④保健所からの行動歴の聞き取りに正直に協力する
⑤同居家族や濃厚接触者にワクチン歴の確認を促す
ことが重要です。
行動歴は記憶があいまいになるので、症状が出る数日前からどこに行ったか、誰と会ったかをメモしておいていただけると、その後の接触者対応が一気にスムーズになります。
――家族が感染した場合、自宅で気をつけるべきことはありますか?
まず患者さんは個室で過ごし、ドアを閉めたうえで時間を決めて頻回に換気をしてください。タオル・食器・寝具は分け、共有スペースの利用時はマスクをつけていただきます。
次に、家族全員のワクチン歴を母子手帳でチェックし、不明な方や1回のみの方は接触から3日以内のワクチン接種について医療機関に相談してください。特に注意していただきたいのが、まだワクチンが打てない0歳児、妊娠中の方、免疫が下がっている方(治療中の方など)が同居している場合で、この方々への二次感染は重症化リスクが高く、保健所と連携した特別な対応が必要です。保健所による健康観察は接触から21日間続きますので、その間の体調変化(発熱・発疹)には敏感でいてください。
――感染しない為に気をつけた方が良いこと、対策はありますか?
――GW中の過ごし方など注意喚起があればお願いします。
▼日本医師会公式動画
https://www.youtube.com/watch?v=y0HvUn1wwmU
取材・執筆:Kindai Picks編集部
企画・編集:Kindai Picks編集部
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