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2026.02.20

2026年、今年も花粉症がつらいあなたへ。 最新の治療法や対策、心がけを近畿大学病院長が伝授!

Kindai Picks編集部

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大阪メディカルキャンパス
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近畿大学病院

2月20日はアレルギーの日。まだまだ寒い日が続いていますが、花粉症で苦しむ人の中には、くしゃみや鼻水など、症状が出はじめている人もいるかもしれません。そこで、アレルギーや呼吸器疾患を専門にする近畿大学病院長の東田有智に、2026年の最新情報や対処法などを聞きました。

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東田有智先生
東田 有智 (とうだ ゆうぢ)

近畿大学病院病院長(近畿大学病院統括)・特任教授
専門:アレルギー内科・呼吸器内科

喘息、アレルギー性呼吸器疾患、ハチアレルギー等のアレルギー疾患および慢性閉塞性肺疾患、肺炎および間質性肺炎ならびに肺癌の診断・治療を行っている。

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近年の猛暑で花粉症に悩む人が増加


アレルギー内科医・東田

――2026年の花粉情報を教えてください。

アレルギー内科医・東田
アレルギー内科医・東田
2026年は昨夏の猛暑の影響で、全国的に花粉の飛散は平年よりも多くなる見込みです。東日本と北日本では例年より多く、西日本は例年並みとされています。気温が高いと花粉の元となる「雄花」がよく育ち、花粉の飛散量が増えます。
九州北部や静岡、関東南部ではすでに2月上旬から、中旬には関西や東海エリアにスギ花粉が飛び始め、3月中旬あたりにピークを迎えます。その後ヒノキ花粉が飛散し、4月上旬あたりに再度ピークが来ると見込まれています。5月のゴールデンウィークあたりまでは症状に悩む人が多いと思うので、いまからしっかり対策をしてほしいと思います。




――花粉症に悩む患者さんは増えているのでしょうか?

アレルギー内科医・東田
アレルギー内科医・東田
年々夏の暑さが厳しくなるにつれて、花粉の飛散量も、症状を訴える患者さんも増え、低年齢化していると感じています。10年ほど前は小学生のうち約30%の児童が花粉症になっているといわれていましたが、今や半数近くになっているんじゃないかと思いますね。まだハイハイするくらいの赤ちゃんが発症してしまった事例もあります。 また、猛暑の影響だけでなく、高気密・高断熱の住宅が増えていることも関係していると考えられます。そうした密室構造の家は、壁や窓、床、天井部分に隙間が少なく、外気が入りにくいため自然な換気ができません。大人が外から持ち帰った花粉が床に落ち、目線の低い赤ちゃんや小さい子どもが床で過ごすことで、幼い頃から花粉を体内に留めてしまいやすい状況にあると考えます。


アレルギー内科医・東田

――最近よく見られる症状はありますか?

アレルギー内科医・東田
アレルギー内科医・東田
花粉症の典型的な症状は、鼻水・鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどですが、特に目のかゆみなど目の症状を訴える患者さんが増えている感覚があります。口や鼻はマスクをすることで花粉の吸いこみを多少減らすことができるものの、目はめがねやサングラスをかけたところで、飛散量を十分にカバーすることは難しいですからね。
また、口腔アレルギー症候群とも呼ばれる「PFAS(Pollen-Food Allergy Syndrome):花粉・食物アレルギー症候群」も増えています。
花粉症の人が、花粉と似た構造を持つたんぱく質が含まれた生の果物や野菜、ナッツなどを食べたときに、口の中や喉にかゆみやイガイガ、腫れを発症する場合があります。
たとえば、スギやヒノキ花粉に反応する人の原因食物はトマトやキュウリ、イネ花粉はじゃがいもやメロン、ピーナッツなどです。
軽症で済む場合が多いですが、まれに重症化するとアナフィラキシーを起こすおそれもあるので、食べて何かしらの症状を感じたときは、医療機関をすぐに受診してください。
PFASは最近出てきた症状ではなく、昔から症状を訴える人は一定数いましたが、花粉症患者が増えることに比例して増加しています。


ツライ症状に耐えるより、医療機関を受診&投薬が一番の近道


アレルギー内科医・東田

――最新の治療法についても教えてください。

アレルギー内科医・東田
アレルギー内科医・東田
治療法の一つとして、「舌下免疫療法」。これはスギ花粉やダニアレルギーの症状を持つ患者さんが、原因物質であるアレルゲン(スギやダニ)の成分を含んだ薬を毎日少しずつ舌の下に入れて飲み込み、徐々に症状の緩和や、長期的な体質改善をめざす治療法です。5歳以上から使用可能で、副作用は少なく保険適用ですが、数年かけての継続治療が推奨されています。また、効果があらわれるまでに3カ月程度はかかるので、「いま、ツライ!」という症状には使用しません。
他にも、「生物学的製剤」という方法もあります。これは、2月~5月の期間内にスギ花粉の重症患者さんに抗体薬​​​​​​「抗IgE抗体オマリズマブ(商品名ゾレア®)」を皮下注射するもの。12歳以上であることや、既存の治療で効果が得られなかったなど、治療対象となる条件がいくつかあります。保険適用ではありますが、1回あたり数千円~数万円ほどはかかります。また、注射を打った瞬間に効くものではなく、おおむね数週間後から効果が出はじめ、1カ月に1〜2回くらいの頻度で投薬する必要があります。何をやっても一向に症状の改善がみられないスギ花粉をお持ちの方は、医療機関に相談してみるとよいでしょう。


――日常生活の中でできる対策はありますか?

アレルギー内科医・東田
アレルギー内科医・東田
当然のことながら、マスクは必須です。花粉症対策用のめがねやゴーグルもあるといいですね。あとは、規則正しい生活を送ることです。花粉症に限らずですが、早寝早起き、十分な睡眠、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、ストレスを貯めないことなど、生活習慣を整えることで免疫力を高めることができますので、花粉症のツライ症状にも軽減が望めます。
また、花粉シーズンは洗濯物や布団を外に干すことも避けましょう。そして、帰宅したら家の中に入る前に、玄関外で上着や髪の毛についた花粉を振り払いましょう。古典的な対策のように思えるかもしれませんが、家の中に花粉を持ち込まないことは花粉症対策の基本中の基本です。お金も時間もかからないことですので、しっかり実践してみてください。


マスク・ゴーグル、規則正しい生活、洗濯物は室内干し、玄関前で洋服をはらう

――病院を受診する場合、どのタイミングが良いでしょうか。

アレルギー内科医・東田
アレルギー内科医・東田
花粉症に毎年悩まされている人は、症状がまだ出ていなくても1月には受診して、薬を飲み始めましょう。ピーク時につらさを抑えることができますし、症状がひどくなってから飲んでも、効果が出ない場合もありますので、早めに受診することをオススメします。
また、これまで発症していなかったけれど、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみの症状を感じたら、医療機関でアレルギー検査を受けてみてもいいでしょう。アレルギー科でなくとも、内科や外科、小児科などでも検査は可能です。血液検査をするだけで、自分がどういったアレルギーを持っているかがわかります。
なお、「一般社団法人日本アレルギー学会」のHPに、全国の専門医を検索できるようになっていますので、かかりつけ医を探すときの参考にしてください。


【日本アレルギー学会専門医・指導医一覧】
https://www.jsaweb.jp/modules/ninteilist_general/


早めの治療が生活の質の向上に


アレルギー内科医・東田

――最後に、花粉症に悩む人へメッセージをお願いします。

アレルギー内科医・東田
アレルギー内科医・東田
「いのちにかかわる病気ではないから…」とか「病院に行く時間がないから…」などと、症状を我慢している人がいるかもしれません。しかし、くしゃみ、鼻水・鼻づまり、目のかゆみは、日常生活を送るうえでとてもつらく、ストレスも多いと思います。重症化すると仕事や勉強に集中できず、十分なパフォーマンスを発揮できないこともあります。ちまたには「〇〇を飲んだら治った!」とか「〇〇を食べれば症状が軽くなる」などのウソかまことか真偽の怪しい情報があふれていますが、そういったことにお金や時間をかけるのではなく、きちんと医療機関を受診しましょう。適切に処方された薬を正しく服用した方が、結果的に早く、楽に、症状の改善につながります。まずは、通いやすく、自分に合う専門医を見つけましょう。​​適切な治療と生活習慣の見直しで、花粉症は改善が期待できます。


取材を終えて

つらい花粉の症状には、早めの対策と日常の過ごし方の工夫が必要とのこと。自分が何の花粉に反応しているのかを知ることで、より適した策が打てるので、まずアレルギー検査を受けてみるのも一手かもしれません。今後も花粉の飛散は増えることを想定し、今から対策を練っておきたいですね。


新病院「おおさかメディカルキャンパス」にて取材

今回インタビューを行ったのは、昨年11月に大阪狭山市から移転オープンした、堺市・泉ヶ丘の「おおさかメディカルキャンパス」。南海泉ヶ丘駅から続くデッキを歩くとすぐに、新病院と医学部・看護学部(26年4月開学)が一体化した施設群が目に飛び込んできます。

おおさかメディカルキャンパス入口
新病院と医学部があるおおさかメディカルキャンパス。駅から続くデッキはひさしがあり、雨でも濡れることなく到着できる。

施設内にはカフェやコンビニなどがあり、誰でも利用できます。敷地内の緑道は周辺の道路とつながっていて境界線がなく、開かれた空気感が印象的でした。
最新の設備を備えた新病院の受付では、AIスタッフがお出迎え。音声にも対応していて、訪問者の質問に答えます。画面を通じて病院職員にもつながり、気軽に問い合わせが可能です。
明るい受付フロアには、患者さんやご家族など大勢の人が訪れていました。

新病院受付のAIスタッフ
受付ではAIスタッフが対応。必要に応じて職員へつながる


アレルギーについてもっと知ろう!

第32回「アレルギー週間」市民公開講座in大阪

日本アレルギー協会 関西支部等が共催する市民公開講座に、近畿大学病院長の東田有智、呼吸器・アレルギー内科教授の佐野博幸らが登壇して、みなさんからの質問にお答えします。

■日時:令和8年2月28日(土)14:00~16:10
■テーマ:「アレルギー疾患の克服を目指す」
■会 場:大阪府立男女共同参画・青少年センター 5階 特別会議室
〒540-0008 大阪市中央区大手前1丁目3番49号 ドーンセンター

下記URLから事前にお申込みください。<2月26日(木)締め切り>
■申込サイトURL: こちら



この記事を書いた人
笠原 美律(かさはら みのり)
まち情報や時事問題、子育て・教育、専門家取材の機会を多く持つ。特に得意な分野は、食と農。書籍や雑誌、カタログ、冊子など紙媒体の企画編集、インテリアや食の撮影ディレクションも行う。カラダにいいコトや食が大好き。


取材・執筆 笠原 美律
編集 アール・プランニング


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