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2020.05.15

<新型コロナ>正しい消毒の仕方は?マスクの使い回しはアリ? 気になる疑問を免疫学の先生にぶつけてみた

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
コロナウイルス
医学部
医療
宮澤正顯
医学
免疫学

アルコールの代わりに次亜塩素酸水がいい!?マスクは煮沸すれば安心!?これを食べたら免疫力が上がる!?新型コロナウイルスに関する多くの情報が飛び交い、正しい情報なのかガセネタなのか、その判断もつかずに不安な日々を過ごしている人も多いでしょう。「これってどうなんですか?」という、多くの人が抱える様々な疑問を、免疫学の教授・宮澤先生にお聞きしました。

「アルコールの代わりに次亜塩素酸水がいい!」
「マスクは煮沸すれば安心!」
「これを食べたら免疫力が上がる!」……


新型コロナウイルスに関する数多くの情報がテレビやインターネット上で飛び交い、正しい情報なのか、はたまたガセネタなのか、その判断もつかずに不安な日々を過ごしている人も少なくないはず。

そこで今回は、Kindai Picksはもちろん、TVや新聞など多くのメディアで新型コロナウイルスに関する情報を発信し続けている医学部免疫学教室教授の宮澤先生に、きになる疑問をぶつけてきました。

宮澤 正顯(みやざわ まさあき)

医師/医学博士/近畿大学医学部免疫学教室教授/近畿大学大学院医学研究科長

1982年東北大学医学部を卒業。東北大学助手、アメリカ合衆国国立保健研究所(NIH)客員共同研究員、三重大学医学部助教授(生体防御医学講座)を経て、1996年より近畿大学医学部免疫学教室教授。現在、近畿大学遺伝子組換え実験安全主任者、バイオセーフティー委員長、医学部共同研究施設長、大学院医学研究科長などを兼務。死体解剖資格(厚生労働省)を持つ元・病理医で、厚生労働科学研究費エイズ対策研究事業の研究代表者なども務め、2002年にはノバルティス・リウマチ医学賞受賞している。専門はウイルス感染免疫学。

近畿大学医学部免疫学教室
近畿大学病院




飲食店やスーパーなど、店舗内の消毒が気になる……!




ーーテイクアウト営業などを行っている飲食店などで「当店は1時間に1回消毒をしています」など、注意書きがされているお店を見たことがあります。実際のところどれくらいの頻度で消毒するのがいいのでしょうか?

単純に時間で区切るよりも、人の出入りで区切った方がいいでしょうね。ウイルスは何もないところから発生するわけではないということを、いま一度思い出してください。ウイルスは、感染した人の体の中からしか出てこないのです。飲食店ですと、お客さんが来て、マスクを外して食事をした際や、会話などのコミュニケーションの際に、お客さんの口や鼻から飛んだ飛沫がテーブルやカウンターに付着し、あるいはお客さんが手で箸ケースやお醤油のビンなどに触った際にそれらにウイルスが付着して、そこから感染が広がる可能性があります。

ですから、訪れたお客さんが帰ったタイミングで、すぐにアルコールなどで拭き掃除をするといいでしょう。また、箸ケースを使わずに一人一人に箸を渡す、お醤油やソースは個別に小皿などで出すなど、複数のお客さんが共通に触るものを極力減らす工夫も必要です。

ーーお客さんが来ていないのに、慌てて消毒をする必要はないということですね。「なんとなく、そろそろ消毒しておいた方がいい気がする」と、不安から消毒をしてしまいがちな人も多そうなので、これを見た方は安心すると思います!

それと、感染者のいる病院でウイルスの検出率が一番高いのが、トイレのドアノブだと報告されています。新型コロナウイルスは、実は感染者の糞便中にも検出されています。飲食店ではトイレを使う人が多いので、トイレで流す時は便が飛沫となって舞い上がらないよう、便器の蓋をしてからにするよう張り紙をし、用を済ませて個室を出る前に手をアルコール消毒できるようにすること、ドアノブは頻繁に消毒することをおすすめします。

「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸水」って?殺菌効果は?




ーー全国の酒造メーカーが消毒用に高濃度アルコールを製造しはじめましたが、すでにそのアルコールを転売する人が現れたり……結局のところ、まだ全ての人に行き渡らないかもしれません。アルコールの代わりに「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素酸水」がいいと聞いたこともあります。それらって結局何なんでしょう?

 「次亜塩素酸ナトリウム」は、いわゆる塩素系漂白剤の主成分ですね。一般の方に馴染みのある具体的な商品名でいうと、「ハイター」や「キッチンハイター」などの消毒・殺菌成分がそれにあたります。キッチンハイターでは、次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸のナトリウム塩)に加えて、洗剤成分(界面活性剤)も含まれています。

「次亜塩素酸水」は、薄い食塩水を電気分解して作られる水溶液で、次亜塩素酸を含みます。次亜塩素酸にはタンパク質などの生体成分を酸化し、変性させる働きがあり、それによってウイルスのタンパク質を壊してくれます。

ーーでは、どちらも殺菌効果があるということですか?

そうです。しかし、使い方にそれぞれ注意点があります。「次亜塩素酸ナトリウム」は強いアルカリ性で、次亜塩素酸によるタンパク質変性作用に加え、アルカリによる分解作用もあります。薄めたキッチンハイターなどを間違って皮膚につけてしまうと、ヌルヌルしますよね(危険なので、すぐに洗って下さい)。それは、皮膚の表面にある油やタンパク質が、アルカリで溶けているのです。漂白剤に使われる次亜塩素酸ナトリウムはかなり濃度が高く、温度が上がったり酸性に傾いたりすると急激に塩素ガスを発生するので、吸い込むと危険です。「混ぜるな、危険」などと表示されているのはそのためです。

使用するときは手袋とマスクを装着して、使用法の表示の通り、50倍程に薄めた水溶液を使用し、その後は必ずしっかりと水拭きをしましょう。ステンレスを含め、金属を腐蝕させる作用が強いので、ドアノブなどに使った場合はその後水拭きをして下さい。

ーーなるほど。

「次亜塩素酸水」に含まれる次亜塩素酸は、「次亜塩素酸ナトリウム」の水溶液に含まれる次亜塩素酸イオンに比べて殺菌効果が高いと言われます。しかし、次亜塩素酸水中の次亜塩素酸は濃度が低いため、タンパク質などの生体成分と触れるとすぐに活性が失われてしまいます。そのため、次亜塩素酸ナトリウム液が雑巾などを浸して手摺りやドアノブを消毒するのに適しているのに対し、次亜塩素酸水の場合は、新しい液をスプレーして拭くとか、次亜塩素酸水自体を流して、じゃぶじゃぶ洗うような形での消毒に向いています。

子どもが口に入れやすいおもちゃなどは、次亜塩素酸水で洗い流して拭くといいでしょう。直接手の消毒に使えるものもありますが、強酸性のものは人体には使えないので、表示をよく確かめて下さい。

ーー「次亜塩素酸ナトリウム」や「次亜塩素水」どちらも殺菌効果があり、使用に適したシーンが違うということですね。

あと、どちらもアルコールと併用してはいけません。アルコールと混ざると、人体に非常に有毒な塩素ガスが発生して危険です。


洗剤や石鹸を水で薄めて消毒液にするのはアリ?




ーー台所用洗剤や石鹸を水で薄めて消毒用アルコールの代わりにするのは大丈夫ですか?

もちろん台所用洗剤や石鹸にも界面活性剤は含まれているので被膜を持つウイルスには有効です。しかし、水で薄めたものを作り置きして使用するのはNGです。ウイルスは不活化できても、作り置きしたボトルなどの中で、雑菌が繁殖するおそれがあります。

ーーウイルスは消せても菌が増えてしまう……!?

ウイルスと細菌の違いを説明しますと、新型コロナウイルスをはじめとするウイルス全般は自分自身で分裂・増殖することができません。生きた細胞に侵入して、細胞が分裂・増殖する能力を乗っ取ってはじめて増えることができるのです。しかし、細菌は自分で栄養を取り込んでエネルギーを作り、DNAやタンパク質を合成し増えることができる「生き物」です。ちなみに、人間の皮膚の表面や腸内には人間の細胞の数をもしのぐ、おびただしい数の細菌が住んでいます。細菌たちは、汗や皮脂、あらゆるものを餌にして増殖します。

ーー細菌にとっては洗剤を薄めた水すらも餌場になりえるということなんですね。

そうなんです。作り置きされた石鹸水は、細菌にとってはごちそうみたいなものなんですね。ウイルスを取り払えても細菌が増えていては清潔とは言えません。台所用洗剤や石鹸を薄めて使う場合は、その都度作って使用するのがいいでしょう。


感染を防ぐマスク・手袋の使い方は?


ーーマスクの正しい使用方法がわからないという方も多いと聞きます。

一般の方であればそうでしょうね。医療現場で使用される「N95マスク」などの特殊なマスクを除いて、マスクは他人へウイルスを含んだ飛沫を飛ばさない、感染の拡がりを防ぐためのアイテムだと考えてください。勿論、飛沫が直接口や鼻にくっつくのをある程度防ぐ効果はありますが、マスクで覆われていない顔面や手の皮膚にも飛沫は飛びますから、マスクだけで外部からのウイルスを完全にシャットアウトできるわけではないのです。手洗いをしっかりすることがより重要です。ですが、仮に自分が新型コロナウイルスに感染していた場合は、他の誰かに対する飛沫感染を予防できるツールでもあるわけです。なので、正しい使用方法をお教えしましょう。

ーーありがとうございます……!



まず、マスクですが、「ノーズフィッター」というマスクの上部にある針金をぐっと鼻から頬にかけての顔の凹凸のラインに合わせます。マスクは鼻と口を覆い隠すことに意味があるので、隙間が開いていては意味がありません。そこから空気が漏れるわけですからね。マスクをしていながら、メガネが曇っている方を見かけることも少なくないと思いますが、それでは、きちんと装着できていません。勿論、鼻の頭が出ているのは論外です。上部をぴったり装着したら、顎を覆うようにプリーツを伸ばします。

ーーゴム紐の接着面がある方が表だと聞いたことがあるのですが。

じつはメーカーによって様々なんです。必ずしもゴム紐の接着面がある方が表だとは限りません。マスクに裏表が印字されている商品もありますし、ノーズフィッターに加えて、内側の上端に密着性を保つ薄いフィルムが付いているものもあります。使用前に商品の外箱をよく確認しましょう。


ーー正しい外し方もあるのでしょうか

ウイルスが付着している可能性のある不織布の表面には触らないようにしてください。使い捨てマスクの表面は、水を弾く加工がしてあり、そこに付着したウイルスは数日間も感染力を保ちます。耳に引っ掛けていたゴム紐の両端を持って、マスクが顔にあたらないよう広げながら外します。外したマスクはビニール袋などに入れ、しっかり袋の口を縛り、蓋つきのゴミ箱へ廃棄するのがベターですね。

次は手袋です。外す際は汚染されている可能性があるゴム手袋の表面に素手が触れないように抜き取らないといけません。まずは、片側の手袋の手首のゴム部分を表面からつまんで、先に向かって裏返すように抜き取ります。手首を触ってしまうと、汚染された手袋で皮膚を汚してしまうことになりますので気をつけてください。



そしてもう片方。手袋を外した手の指先を、残った手袋の手首の内側に引っ掛けて、少しずらして手袋の内側を掴み、手袋ごと裏返すように抜き取ります。



こうすると、汚れた部分に触れることなく外せますよね。脱いだ手袋はマスクと同様に袋に入れ、しっかり袋の口を縛り、蓋つきのゴミ箱へ廃棄です。勿論、その後石鹸を使ってよく手洗いをします。

ーーわかりやすかったです!


煮沸したりアルコール消毒したりしてマスクを使い回すのは?




一般の方が使用するマスクの、最も重要な役割とは「周りに感染を広げないため」です。 先ほども説明しましたが、マスクをすることだけで感染を防げるわけではありません。そもそもウイルスは、唾液などの粘液からなる、ウイルス粒子よりももっと大きな飛沫の中に混ざって空気中を漂います。その飛沫が広がらないようにするため、マスクは上等な咳エチケットの道具なんですね。

ーーなるほど。

では咳エチケットのためなら、煮沸消毒やアルコール消毒をしてまた使えばいいかと言われると、そうではないんです。不織布の使い捨てマスクの再利用はおすすめしません。マスクの再利用は布製のものに限定してください。

ーーそれはなぜでしょう?

使い捨てマスクはただの不織布に見えて、実は最低でも3層構造になっているんです。表面と内側の不織布の間に、細い繊維を織ったフィルター構造の布が挟まっていて、これが飛沫の拡散を防いでくれるのですが、煮沸するとフィルターの繊維がくずれてしまうんです。

ーーそうなんですか!知りませんでした。

また、表面の不織布には飛沫が染み込まないように撥水加工がしてあるんですが、アルコールを吹き付けるとその加工が溶けてしまう。使い捨てマスクを再生しようと保管したり、アルコールを吹き付けようと操作する過程で、マスクの表面の飛沫を周りに拡げてしまう可能性もあります。マスクを使い回すことを前提とするなら、外してすぐ洗濯用洗剤で洗える布マスクの方がかえっていいでしょうね。ただ、先ほども言いましたが雑菌の繁殖リスクもあります。洗剤中の界面活性剤に強い菌もいます。洗濯用洗剤で洗い終わったあとは、必ず次亜塩素酸ナトリウムで消毒を行ってください。


屋外は「三密」にあたらないから感染リスクは少ないってホント?




ーーいま公園を覗くと多くの親子連れで賑わっています。公園を走る人も増えているらしいですし、先日は神奈川県の江ノ島に人がたくさん来ていたという報道がされました。屋外は「三密」にあたらないといえばそうですが……どうなのでしょう?

もちろん密閉空間より、換気がいきとどいた場所の方がいいのは事実です。しかし、いくら屋外にいたからといって、人が密集して会話をしていたら、感染のリスクは上がります。3月の3連休で多くの人がお花見に出かけていましたね。あれが感染者増の原因となった部分もあるでしょう。

ーーたしかに。立ち止まらずに散策していたとしても、つい「新緑がきれいだね」など、会話をしてしまいますしね。屋外であることに油断してマスクを外してしまう人もいたと思います。ランニングやジョギングはどうでしょうか?

運動をすることは問題ありません。しかし、運動をして、息が上がっている状態ですと、呼吸が荒くなりますよね。そうすると、より強い力で飛沫が飛びます。新型コロナウイルスは、感染初期から肺のかなり深いところでウイルスが増える特徴があるのです。それなのに無症状という人も少なくありません。仮にジョギング中に誰かとばったり会って、息が上がっている状態で話すと、元気に見えていてもウイルスを飛ばし合っているということも考えられるわけです。人のいないところで一人だけで走るなら話は別ですが……。ゴルフなども同様です。仮に打つときは一人でも、コース移動の合間に会話が発生しやすいところに問題があるのです。

ーー親子連れで賑わう公園はどうでしょうか?

10歳未満の子どもの罹患率は低いとはいえ、感染はもちろんありますし、子どもが高リスク者への感染の媒介になる危険性があります。子どもは遊具であったり友達の体であったりいろんなものに触れた手で無意識に顔を触ったり、手を舐めたりしてしまいますから、飛沫を浴びなくても間接接触による感染の危険性が高いのです。もしも子どもを公園につれていったら、遊具などに触ったあと、アルコール入りのウェットティシューなどで手を消毒しましょう。そして、家に帰ったらすぐに手洗いと洗顔をさせて下さい。また、子どもにもしっかりとマスクを着用させた方がいいですね。顔に手をつけるのを防ぐ物理的な壁として役立ちます。

ーーひらけた場所でも飛沫を吸い込む距離に人が複数人いては意味がないということですね。


妊婦さんは大丈夫!?




ーー妊娠されている方の心配事かと思うのですが、母子感染というのはあるのでしょうか??

当たり前ですが、妊婦さんの感染に関しては全ての医療機関がしっかりと気を配っています。科学的なデータとしては、母子感染はほとんど心配しなくていいという結果が出ています。

ーーほとんど……?

新生児が新型コロナウイルスに感染していた例はもちろんあります。その大部分は、罹患しているお母さんの息を吸い込んだとか、皮膚に触ったのではないかという見解です。ただ、世界中の新生児感染例の中で、ごく少数だけ子宮の中で感染したのではないかと思われる事例がありました。しかし、その赤ちゃんもいまは回復していますし、重篤な合併症や障害が生じたケースはありません。ケースが少ないためまだ確証はありませんが、ほとんど心配しなくていいと言えるでしょう。しかし、お母さんが罹患して重症化しては大変ですから、感染予防はきちんと努めてください。


重篤化してしまうのは強いウイルスに進化している!?




ーー若くて健康な人でも重症化したり亡くなってしまうのは、ウイルスが感染を通じてより強いウイルスに変異しているからだと聞いたことがあります。

これは声を大にして言います、 大袈裟な報道に惑わされて心配する必要はありません。

ーーそうなんですか!

「どんどん変異してワクチンができても効かなくなる」という話しは、毎年のように流行する型が変わるインフルエンザウイルスのイメージに引っ張られているのでしょう。インフルエンザウイルスというのは、遺伝子をコピーするしくみがけっこういい加減で、変異が起こりやすいのです。感染した人の身体の中でウイルスが増える時、周りの人により感染しやすくなるような突然変異も起こりますが、細胞内で全く増殖できなくなるとか、病原性が弱まると言うような変異も頻繁に起こっているのです。変異したウイルスがたくさん作られた中で、体内で増えやすかったり、周囲の人に拡がりやすかったりするものが、ゆっくりと選択されて出て来ます。

ーー新型コロナウイルスはそれとは違う?

遺伝子として一本鎖のRNAを持っているという点においてはインフルエンザウイルスと同じですが、コロナウイルスの場合、その大部分がコピー&ペーストを正確に行うためだけの遺伝子なんです。コロナウイルスの持つ遺伝情報の2/3が、「きちんとコピーをするための道具を作る遺伝子」で、ウイルス粒子を構成するタンパク質の遺伝子は、残りの1/3しかありません。さらに「コピーにエラーが起きたら、そこを消して修正するためのタンパク質の遺伝子」までも存在しています。記事を書いたら校閲までする機能が備わっているといいましょうか。コピーの仕方がいい加減でないぶん、劇的な変異というのは非常にゆっくりとしか起こりえません。

ーーそうなんですか……!

もちろん、新型コロナウイルスでも全く変異が起こらない訳ではないのですが、そのスピードはインフルエンザウイルスなどに較べたらゆっくりで、これまでに起こっている変異はインフルエンザウイルスの流行型の入れ替わりに較べたら、ごくごく僅かなのです。インフルエンザウイルスでも、ワクチンに使う型を変えなければいけないような変異は、3〜4年に1回しか起こりません。新型コロナウイルスについて、「どんどん変異してワクチンが出来ても効かなくなる」というような噂は、信じる必要はありません。


免疫力を上げる食べ物って何?




ーー新型コロナウイルスに感染しないために、免疫力を上げたいのですが、免疫力が上がる食べ物ってあるんでしょうか?

これも声を大にして言いますが、「免疫力が上がる」という触れ込みは、全て眉唾だと思ってください。

ーー一刀両断……。

断言しますが、新型コロナウイルスに対して感染防御が出来るくらい免疫反応が高められるものがあるとすれば、ワクチン以外にありえません。普段の生活で大事なのは、タンパク質・糖質・脂質・ビタミン類など、バランスのいい食事を心掛けること。ウイルスが体内に侵入したとき、人体は免疫細胞を一気に増殖させて闘います。細胞が増えるときにはタンパク質を合成しなければいけませんし、エネルギーとビタミンをすごく消費するんです。意識して、タンパク質とビタミン、そして水分を摂取してください。

ーー過去には「コロナ対策に納豆がいい!」なんて噂もありましたが、コロナウイルス云々の前に納豆は健康にいい食べ物ですもんね……。よく覚えておきます!

あとはよく眠ること!睡眠が足りていないと免疫反応に影響が出ることは証明されています。睡眠時間が短かったり、夜勤の人など、本来眠るはずの時間に起きていたりする人はウイルスを排除する力が落ちる可能性があるので、意識して睡眠の質を上げるよう心掛けてください。

ーー不健康な食事でさらに寝不足だと、新型コロナに限らず、病気にかかってしまいますもんね。


「思ったよりずっと多くの感染者が無症状かも」どんな風に社会を回復させればいいか




もっとも怖いのは、感染に怯えるあまり「感染恐怖症」になってしまうことです。あらゆるものを消毒しなければ気が済まないとか、「コロナに効く」と言われたものを手当たり次第入手してしまうとか。

ーー精神衛生上よくないですよね。

それにですね、じつは新型コロナウイルスは思っている以上にみんな気づかず罹って治ってしまっている病気である可能性が高いんです。

ーーどういうことでしょうか?

 中国での感染の拡がりを解析した結果では、検査によって把握された感染者の背景に、把握されていない感染者が6〜7倍いないと、実際に起こった感染拡大のスピードを説明できないと言われています。

また、アメリカのカリフォルニア州やニューヨーク州で、多数の住民を無作為に選んで抗体検査を行ったところ、すでに新型コロナウイルスに感染し抗体を持っている可能性のある人が、かなりの数見つかったのです。その数値を基にすると、公式に確認されている感染者数の、最大で数十倍も、実際の感染者がいたかも知れないと言う計算になるのです。同じようなことは、日本でも報告されています。勿論、日本で病院の外来患者さんについて行われた抗体検査では、元々感染機会の多い人が対象になっている可能性があります。また、用いられた検査試薬が、本当に新型コロナウイルスに対する抗体だけを検出しているかどうか、疑う意見もあります。

コロナウイルスの中には、普通の鼻風邪を起こすものもあり、誰もが毎年何回か罹る風邪のうち15%くらいは、鼻風邪コロナウイルスが原因なのです。抗体検査は、そういうウイルスを引っかけている可能性もあります。それでも、毎日報告されている以上に実際の感染者が多いのは間違いありません。そうでないと、この感染の広がりは説明がつかないのです。

ーーごく一部の人が発症して、さらにそのごく一部が重症化するが、大部分は感染しても発症せずに治ってしまっているということですか。

そうなんです。だから私は世界規模でなるべくはやく大規模な抗体検査を行うべきだと考えています。精度の高い抗体検査によって、もしも実際に感染歴のある人が、これまで把握されていた感染者数よりもずっと多いということがわかれば、重症化率はいままで考えられていたよりもずっと低いことになります。本当に大部分は無症状なのだと、一般の方々が安心できれば、重症の方の治療に政策の重点を絞ることができます。仮に、医療従事者に抗体検査を行えば、抗体を持っている人が治療の前線に立つということも可能になります。

ーー希望が少し見えてきました……!

きちんとした抗体検査をした場合、抗体ができている人はウイルスの感染を防ぐ「中和抗体」を持っていることが報告されていますから、原則として感染抵抗性になっていると考えられ、安心して社会生活に戻ることができます。抗体ができている人から外に出て、未感染の人や重症化のリスクがある人は、ワクチンができるまではテレワーク中心で続ける……。そんな風に経済を回すサイクルができあがれば、社会の回復もはやくなるでしょう。繰り返しますが、それは抗体検査の信頼度が確認されたあとの話ですけれどね。

ーーそれははやく知りたいですね!過剰におそれたり何か一つの情報を盲信したりすることなく、よく食べよく眠り、健康的な生活を意識しながら過ごしたいと思います。今日はありがとうございました!


(おわり)


取材・文:平山靖子(おかん)
企画・編集:人間編集部

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