2025.09.22
日本はトイレットペーパー薄すぎ!? オールジェンダーってどう?「世界のトイレ事情」を万博会場で調査【海外の反応】
- Kindai Picks編集部
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大阪・関西万博で、各国のトイレ事情について世界の人々を対象に調査を実施! 音姫やウォシュレットに対する驚きや、宗教や文化によるオールジェンダートイレへの印象の違いが明らかに。身近なトイレを通じて、文化や価値観を尊重することの大切さが見えてきました。
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私は国際学部の留学プログラムでアメリカに留学したり、韓国やドイツを旅行したり、これまで数カ国への渡航経験があります。そこでさまざまな文化の違いを体験したのですが、その中で印象的だったものの一つが「トイレ」です。

韓国のカフェのトイレは、使用するのにパスワードが必要だったり、ドイツは管理者がトイレに常駐していたり、バリ島ではトイレットペーパーが流せなかったり、生活の中で必ず使用するトイレの使い方が日本とは違い、困惑することもありました。
自分が行ったことのない地域のトイレはどんなものなんだろう? 日本に来た外国人は日本のトイレをどう思っているんだろう? そんな疑問を解決するべく、今日本で最も外国人が集まっているであろう「大阪・関西万博」へ調査に行ってきました!
多様な人々が利用できる万博の「デザイナーズトイレ」

夢洲にある万博会場にやってきました! 可愛らしいミャクミャクの前でパシャリ。
世界各国の人々に話を聞く前に、開催前からデザインや構造が話題になっていた万博内のトイレを調査することに。広い会場内には、なんと45箇所ものトイレが設置されているんです!
会場内中央にある森林エリア「静けさの森」を歩いていると、大量の女子トイレを発見! 世界中から老若男女が集まるからでしょうか。大きなピクトグラムでわかりやすく表記されています。

そのすぐそばに現れたのは男児用トイレと男女兼用トイレ。ストレートな絵の表記に思わず笑ってしまいますが、誰が対象なのか一目でわかるデザインですね。

続いてやってきたのは、こちらも開催前から話題になっていた、カラフルなデザイナーズトイレ。大きな積み木のようなデザインが特徴的です。

このデザイナーズトイレの注目ポイントは、性別を問わず誰でも利用できる「オールジェンダートイレ」ということ。LGBTQ+の人々や、介護や育児で異性の付き添いが必要な場合など、幅広い人が安心して使えるように配慮されています。

一つの大きな建物にまとまっているのではなく、小さなトイレが独立して設置されているので、誰でも気軽に利用しやすいように感じました。

日本でも一部の企業・学校、新しい商業施設など、オールジェンダートイレを取り入れるところも増えてきていますが、まだまだ一般的とは言えません。利用することに戸惑いがある人も少なからずいると思います。
世界の人々はどう感じているのでしょうか? オールジェンダートイレへの反応に限らず、各国のトイレ事情や、日本のトイレを使用して感じたことなどを調査していきます!
世界のトイレ事情を調査! 「音姫」や「ウォシュレット」に感動
万博会場内で働く、各国のパビリオンスタッフに聞き込みを実施! 韓国、チェコ、インドネシア、ラトビア、バーレーン、台湾の6つの国と地域の方がインタビューに答えてくださいました。韓国:スルさん

りり:韓国のトイレはどんなトイレですか?
スルさん:日本と大きな違いはありません。しいて言うなら、日本には音姫があることですかね。用を足す音を隠す装置が設置されているのは画期的だと思います。

りり:たしかに。韓国ではトイレにトイレットペーパーは流せますか?
スルさん:古いトイレではまだゴミ箱に捨てるところもありますが、最近では流せるトイレが増えています。
りり:以前、私が韓国旅行に行った際、カフェのトイレを使用するにはパスワードが必要でした。商業施設はどこもそんな感じなんでしょうか?
スルさん:特定のカフェやレストランだけだと思うので、心配しなくて大丈夫ですよ。緊急のときはみんな親切にトイレを貸してくれます!
りり:それなら安心しました!(笑)。パウダールームは充実していますか?
スルさん:日本と同じように、鏡やライトのあるパウダールームはよく設置されていますよ。だから日本人が韓国に行っても、韓国人が日本に来ても、使い勝手は同じだと思います。
りり:韓国旅行時も安心してお化粧が直せますね!
チェコ共和国:ヤンさん

りり:出身はどちらですか?
ヤンさん:チェコです。今年の3月にワーキングホリデービザで来日し、万博会場で働いています。
りり:では日本での生活もすっかり長くなりましたね。日本のトイレを初めて見た時、どう思いましたか?
ヤンさん:来日前から日本のトイレは清潔で機能性が高いと有名だったので、想像通りでした。
りり:チェコのトイレはどんな感じですか?
ヤンさん:作りも使い方も日本と一緒ですが、ウォシュレットなどのハイテクな機能はありません。トイレットペーパーを使って流すだけです。
りり:シンプルな作りなんですね。日本では家のトイレで漫画や本を読む人もいますが、チェコの方はどうですか?
ヤンさん:それは面白いね(笑)。僕はちょっとスマホを触るぐらいかな!
りり:そんなに長時間はいないということですね!(笑)
水で流すほうがスッキリ? 日本のトイレットペーパーは薄すぎる?
インドネシア共和国:ルクマーヌさん

りり:インドネシアのトイレはどんなスタイルですか?
ルクマーヌさん:インドネシアには、日本で言う洋式トイレと和式トイレがあります。
りり:トイレットペーパーは使いますか?
ルクマーヌさん:インドネシアではトイレットペーパーは使いません。和式トイレの場合、トイレ横に水の入った桶と手桶があり、それでお尻を洗い流します。洋式トイレの場合は、蛇口やシャワーを使って洗浄するのが一般的です。

りり:お水を使うんですね! 日本に来てからトイレットペーパーを使う文化をどう感じましたか?
ルクマーヌさん:正直なところ、あまりスッキリしません……(笑)。水で洗ったほうが清潔になった感じがしますね。
りり:日本のトイレでほかに驚いたことはありますか?
ルクマーヌさん:機能がたくさんあること。温水洗浄便座には驚きました。なぜならインドネシアには雨季と乾季の二つしか季節がなく、年間を通して暑いから。
りり:気候の違いもトイレに影響しているということですね。 新たな発見です!
ラトビア共和国:アルトゥルさん

りり:ラトビアのトイレは、日本と違うところがありますか?
アルトゥルさん:ラトビアのトイレは日本とほとんど同じで、洋式でトイレットペーパーも流せます。トイレというより、トイレットペーパーが違うんです。
りり:どう違うんですか?
アルトゥルさん:日本のトイレットペーパーはとても薄い……! 三重か四重にして使わないとすぐ破れちゃいます。
りり:ラトビアのものは、もっと厚いんですか?
アルトゥルさん:1枚で十分な厚さです。それに慣れていたから、いまだに違和感がありますね。ラトビアの友人に現地の手土産を頼むならトイレットペーパーをお願いしたいですが、重いし場所を取るので我慢しています(笑)

りり:トイレットペーパーに違いがあるのは盲点でした……! そういえば以前SNSで、ヨーロッパのトイレットペーパーは「5枚重ね」がある、という投稿を目にしました! トイレットペーパーの厚さは人それぞれ好みもありますが、関西圏はお得な「シングル」を選ぶ人が多いという情報も……(笑)。 ほかに日本のトイレで驚いたことはありますか?
アルトゥルさん:トイレタンクに手洗い場がついてるタイプもありますよね。そのアイデアには驚きましたし、とてもエコで素敵だと思います。

りり:たしかに海外では見かけない作りですよね。
アルトゥルさん:あと、和式トイレを初めて見た時は、使い方がわからず困惑しました。
りり:洋式トイレしかないんですね! ちなみに、ラトビアの公衆トイレは無料で使用できますか?
アルトゥルさん:公衆トイレは、基本的にお金を払わないと使用できません。ショッピングモールの中だと20セントぐらいで、首都圏だと2ユーロかかるところもあります。
りり:2ユーロは高い……! 我慢しちゃいそう。
アルトゥルさん:だから、どうせ2ユーロ払うならってことで、マクドナルドでハンバーガーを食べたついでにトイレを借りる、なんてことも多いですよ(笑)
りり:そのほうが一石二鳥ですね!(笑)
宗教や文化によって異なるオールジェンダートイレへの印象
バーレーン王国:ファーティマさん

りり:バーレーンのトイレについて教えてください。
ファーティマさん:バーレーンのトイレは洋式のものが一般的で、トイレットペーパーとシャワーの両方があります。どちらを使うかは人によります。
りり:トイレットペーパーは流せますか?
ファーティマさん:基本はゴミ箱に捨てます。最近は流せるトイレもありますが。

りり:日本のトイレについてどう思いますか?
ファーティマさん:とても気に入っています。バーレーンのものよりずっと先進的で、機能性に優れていると思います。
りり:オールジェンダートイレについてはどう感じますか?
ファーティマさん:バーレーンでは、トイレのスペースが非常に狭い場合を除き、両性用のトイレはほとんどありません。私は男女別々が良いと思います。それには宗教も関係していますね。
りり:宗教的な背景も含めて、性別ごとに分かれているほうが望ましいということですね。
台湾:エリックさん

りり:台湾のトイレはどんな感じですか?
エリックさん:形は日本のトイレと一緒だけど、トイレットペーパーが用意されていないことが多いです。
りり:台湾ではトイレットペーパーをゴミ箱に捨てると聞きました。
エリックさん:台湾では、自分でトイレットペーパーやティッシュを用意する必要があります。それが水に流せるものかわからないので、ゴミ箱に捨てるんです。
りり:流せないわけじゃなくて、流せるものかわからないからなんですね!
エリックさん:そうなんです。でも最近はどんなトイレットペーパーでも流せるトイレが増えていますよ。あと、僕は日本のウォシュレット大好き!
りり:オールジェンダートイレについてはどう思いますか?
エリックさん:どんどん増えていったら良いなと思います。台湾はアジアの中でもLGBTQ+に関する意識が高いんです。個人が使いやすい形でトイレを自由に使用できるのは、ポジティブな印象です!
りり:台湾はアジアで初めて同性婚を合法化したことでも知られていますもんね。ありがとうございました!
身近なトイレから、各国の文化を尊重できるように

今回、さまざまな国や地域の方々にお話を伺う中で、身近なトイレを通じて宗教や文化、生活習慣の違いを知ることができました。
仕事で日本に滞在している人も、観光で訪れている人も、異なる文化に戸惑うのは自然なこと。それは、日本人が海外に行ったときも同じだと思います。
だからこそ、もし誰かが使い方に迷ったり困ったりしていたら、そっと教えたり譲ったりする優しさが大切なのだと感じました。そうした小さな思いやりが積み重なってこそ、お互いを理解し合う第一歩につながるのだと思います。
トイレという生活の中に当たり前にあるものから、文化の多様性や互いを尊重することの大切さを、改めて実感する機会になりました!
この記事を書いた人

日野莉里(ひの りり)
近畿大学 国際学部 国際学科 グローバル専攻 4年生。
3年時に、近畿大学広報室でインターンを経験しました。ハリーポッターが大好きで、イギリス旅行を計画中。最近は牡蠣にハマっています! ダンス好きでTWICEのツウィちゃん推し。手のひらサイズのフクロウ福ちゃんを飼っています。
取材・執筆:オカジマアヤノ
企画・編集:人間編集舎
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