2023.10.11
位置情報共有アプリ使ってる?一番人気の「whoo」って?大学生の実情を調査!
- Kindai Picks編集部
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Z世代を中心に人気だった位置情報共有アプリ「Zenly」がサービス終了し、後継アプリが続々とリリースされています。コロナ禍が明け、外出する機会も増えた現在、大学生の位置情報共有アプリ事情はどうなっているのでしょうか? 近大キャンパスでの聞き込みとWebアンケート調査を行いました。
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位置情報共有、みんなどうしてる?
スマホのホーム画面の中心に、常に彼氏の位置情報を表示しているライターのらんらんです。私のスマホのホーム画面です
友達同士で気軽に位置情報を共有をするという文化を作り、全世界で4,000万人以上が利用していたアプリ「Zenly」のサービス終了(2023年2月3日)から、もう半年以上が経ちます。
私は彼氏を束縛したいという理由で株式会社メンヘラテクノロジーという会社を作ってしまい、度々メディアに出て束縛の仕方について解説したりすることがあります。そんな私自身もZenlyを愛用していたユーザーであり、サービス終了のニュースを聞いた時は非常にショックを受けました。
「税理士と打ち合わせがある」といってなかなか帰宅しない彼氏を怪しみ、Zenlyを頼りに新宿を探し回ると、雀荘で遊んでいるところを発見し見事嘘を見破ることに成功したことを始め、Zenlyとの思い出は数えきれないくらいあります。
そんなZenlyに代表される位置情報共有アプリですが、使いたくない方は試しにダウンロードすることにも抵抗があると思うので、簡単に解説すると以下のようなサービスです。
- 位置情報共有アプリとは、スマホのGPS機能を使ってリアルタイムで位置情報を家族や友達、恋人などと共有することができるアプリのことで、「Zenly」のサービス終了後は後継アプリが次々とリリースされている
- 単純な位置情報の共有だけでなく、アプリで繋がっている相手とメッセージやスタンプでコミュニケーションがとれる機能や、相手のいる場所までの経路を表示してくれる待ち合わせに便利な機能などがある
- アプリにもよるが、相手のスマホのバッテリー残量や現在地での滞在時間、移動速度など「そこまで共有されるの?!」と人によっては躊躇してしまう情報も共有される点から、導入については賛否が分かれがち
そんな位置情報共有アプリですが、現在私はiPhone「探す」app、「Jagat」、「whoo」の3つを併用していますが、Zenlyが盛り上がっていた時期と比べ、まわりではあまり位置情報共有アプリが使われなくなっている印象があります。私もZenlyほどみんなが使っているアプリがないため、完全に彼氏の監視ユースのみになっています。
参考までに、3つの位置情報共有アプリの使用感を私視点でまとめると、以下のような感じです。
iPhone「探す」app | なんといってもiPhone標準搭載のアプリなので、導入したい側の人間からすると、相手もiPhoneユーザーであればアプリをダウンロードするというハードルを無条件でクリアできる。機能面はシンプルなので友達同士で使う場合は少し面白みに欠けますが、家族や恋人間で位置情報共有機能のみを重視する場合はおすすめ。 |
Jagat | シンガポールのチームが開発したアプリ。Zenlyと機能や使い勝手が似ているので、Zenlyユーザーだった私としてはとても使いやすい。私の体感でしかないが、他の位置情報共有アプリと比べても挙動が安定していて、位置情報のズレも少ない気がする。 |
whoo | 日本の株式会社LinQが開発。機能はJagatと比べるとややシンプルめだが、ポップで可愛いデザインがZenlyに近い印象。日本国内だと、Zenlyからの乗り換え先として、1番ユーザーが多い様子※。私自身もまわりの様子を見ながらwhooをダウンロードした。 |
そこで、今回調査してみたいのが「Zenlyが終了した今、みんなはどれくらい位置情報を共有しあっているのか?」です。
さらに、以前よりも恋人を束縛・監視したい位置情報共有ガチ勢の比率が高くなっているのではないか? という私の偏見強めな仮説も検証できればと思っています。
近大のキャンパスで聞き込み調査!
早速、今どき大学生に聞き込み調査すべく近大のキャンパスに向かいます。調査では、2つのシールアンケートを使用して、位置情報共有アプリ事情を聞き出していきます。
縦軸では使っている/使っていないの事実を、横軸では使いたい/使いたくないの本音を探ります。
②"誰と"位置情報共有してる?
位置情報共有アプリを使っている人に、主に誰と共有しているかを回答してもらいます。
早速、国際学部棟の1階スペースで作業をしていた2人に「突然すみません、今位置情報共有アプリについてアンケートをしていて……おふたりは位置情報共有アプリとか使ってますか?」と話しかけてみました。
男子学生の方は「位置情報……? いや、ないっすね」とのことでしたが、女子学生の方は「スナチャ(Snapchat)は一応使ってますね」だそう。さらに詳しく女子学生に聞いてみると、高校生の時からZenlyは使っていて、Snapchatは友達と韓国旅行に行った時に使い始めたそうです。旅行中に何人かずつに分かれて別行動をするときにとても便利だったとのことでした。
ちなみに、Snapchatは友達同士で写真や動画を共有しあうことができるアプリ。実は運営会社のSnap社が2017年にZenly社を買収しており、その後「Snap Map」という位置情報共有機能がSnapchat内で利用できるようになりました。
次に声をかけたのは楽しげに昼食を食べていた5人組。
位置情報共有アプリについて聞いたところ、5人中2人が「使っている」と回答。1人は「仲のいい友達数人と共有している」とのこと。
もう1人はみんなに茶化されながら「1週間前から彼女にいれよう!って言われていれました。やましいことはないから全然大丈夫です!」と嬉し恥ずかしそうに回答してくれました。そんなふうに言ってくれる彼氏羨ましすぎる……と心の声が漏れそうになりました。
どんどん聞いていきます。昼食をとりながら真面目な話をしていたおふたり。
Zenlyは使っていたけど、今は使っていないとのこと。「常に自分のいる場所を知られるのは嫌だなあ。それに大事な友達とか親とか恋人とか、信頼している人には位置情報共有アプリを使わなくても、ちゃんと連絡するよね」という言葉がとても胸に刺さりました。
続いて、こちらの3人組。
「追加リクエストがくると断りにくいんですよね……」と、現在20人くらいの友達と位置情報を共有しているという押しに弱い使っている派。
Zenly時代は使っていたけど、今は使っていない派からは「女の子と遊びに行った時に、別の友達に位置情報のスクショをとられて、友達に広められた……」という悲しいエピソードも聞けました。
図書館で勉強中だった3人にもお話を聞いてみました。
こちらの3人組は2人が位置情報共有アプリを使っているそう。「友達と待ち合わせをするときに、相手の位置情報を確認して遅刻しそうだったら、寄り道とかして集合場所に向かったりできるし、時間を無駄にせずに済む」という賢い活用方法はとても参考になりました。
もう1人の方からは「もはやSNSをみてるのと同じような感覚ですね」という私にはない感覚の意見も聞くことができました。どういうことなのか詳しく教えてもらうと、「インスタのストーリーズに上がっている写真をきっかけに友達とのメッセージのやり取りが始まったりするのと一緒ですね。友達の位置情報を見て、すごいおしゃれな店にいたりしたら、女の子と遊んでるの? って連絡してみたりとか」と楽しそうな様子が伝わってきました。「でも、ほんとになんとなくで、学校行くときに電車の中で、みんなどのへんにいるのかなー?ってアプリを開くことも多いですよ」とInstagramと同等レベルで1つのSNSとして利用しているコミュニティもあることがわかりました。
最後に、陽のオーラ強めの男子11人グループにも恐る恐る聞いてみました。
このグループでは位置情報共有アプリを使っている人が多数派。「主に誰と共有してるんですか?」と聞いてみると、「身内の仲いい奴らだけやな〜。恋人だけはいれへんよな」という声があがり、みんなが賛同。
さらに、グループ内では少数派の使っていない人に理由を聞いてみると、「もともと、ここにいるメンツで位置情報共有アプリを使っていたんですけど、彼女から位置情報を共有しようって言われたんすよ。その瞬間に位置情報共有アプリを消しましたね。重いのは嫌ですね」とのこと。もし、私がその彼女の立場だったら心が折れてしまいそう……と思っていると、「むしろ位置情報共有アプリが原因で彼女と別れましたよ」という人が現れました。
詳しく話を聞いてみると、「Zenlyって自分のプロフィールが他の人から何回見られたかがわかる機能があったじゃないですか?それが当時の彼女と位置情報を共有した直後に300回くらい増えたんですよ」だそう。たしかに私も彼氏と位置情報を共有し始めた頃、暇さえあれば彼氏が今どこにいるのかZenlyを眺めていたなあ〜懐かしい〜と記憶が蘇ります。
しかし、彼は監視されているようで怖くなったらしく、彼女にさりげなく「最近めっちゃ俺の位置情報見られんねんな〜」と牽制を試みたんだとか。すると、彼女は彼女で堂々と「それ全部私やから気にしやんといて!」と反応し、それを聞いた彼は「それはさすがに無理無理無理!」と言って破局してしまったそうです。元彼女さんに感情移入しすぎて、心が痛くなりました。
近大生69人に聞き込み調査した結果
使いたくないけど使っている
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使いたくて使っている
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使いたくないし使ってない
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使いたいのに使えていない
|
そして、聞き込み調査で行なったシールアンケートの結果です。
集計してみると以下のような割合になりました。
※本記事に掲出しているグラフは小数点第二位で四捨五入しています。
位置情報共有アプリ使ってる?
"誰と"位置情報共有してる?
こうして結果を眺めてみると、現在も位置情報共有アプリを使っている人の割合は47.8%で半数弱と思っていたよりも多く、若者のカルチャーとして根付いている様子がうかがえます。しかし、気になったのは私の仮説に反して恋人間での利用がほとんどない点。
いや、もしかしたら友達がまわりにいる中、恋人のことを話すのは恥ずかしかったのかもしれない。友達に回答結果が見られない状況でアンケートを取れば、違う結果が得られる可能性もある……ということで、Webでのアンケート調査も実施してみることにしました。さらに、Webのアンケートでは恋人と位置情報を共有しているかどうかを聞いてみることにしました。
近大生86人にWebアンケート調査した結果
近大生を対象にWebアンケート調査を実施しました。回答者数は86人(男性33人・女性51人・性別未回答2人)でした。位置情報共有アプリ使ってる?
まず、位置情報共有アプリの利用状況について男女別に集計した結果がこちらです。定量調査としてはサンプル数が少ないので、偏りはあるかもしれませんが、男性は「使っている」と回答した人の方が多く、逆に女性は「使っていない」と回答した人の方が多いという結果になりました。
続いて、シールアンケートと同じ質問の結果です。
位置情報共有アプリの使用状況については、聞き込み調査で行なったシールアンケートと概ね変わらない結果となりました。
さらに、Webアンケートでは使っているアプリについても聞いてみました。名前が挙がったアプリ9つのうち、最も使用している人数が多かったのは「whoo」でした。ついでGoogleマップ、iPhoneの「探す」という結果になりました。これだけアプリ数が多いと、コミュニティによって使っているアプリが違ったりして分散してしまうのでは? と思いましたが、位置情報共有アプリを「使っている」と回答した人の約30%が複数アプリを併用しており、みんなうまく使いこなしているようです。
誰と位置情報共有してる?
さらに、聞き込み調査と同様に誰と位置情報共有をしているかを回答してもらいました。シールアンケートではメインの共有先として1つしか選択できない形式になっていたため、Webアンケートでは共有している相手すべてを選択してもらう形式にしました。その結果、1番多かった項目は聞き込み調査と同じく「友達・先輩・後輩」でしたが、家族・親戚と同じ割合で恋人とも位置情報を共有していることがわかりました!聞き込み調査では炙り出すことのできなかった結果が徐々に見え始めました。
そして、気になる恋人との位置情報共有についてです。位置情報共有アプリを使っている40人のうち、現在恋人がいる人は26人でした。その26人に恋人と位置情報を共有しているかどうかを聞いた結果は以下のようになりました。
予想通り、聞き込み調査時よりは恋人との位置情報共有事情がわかってきました。Webアンケートでも位置情報共有アプリを使っている理由を併せて回答してもらいました。しかし、恋人間での利用に関するもので挙げられたのは以下くらいでわずかでした。
- お互いの不安を減らすため、連絡がつかなくても無事に家に帰ったかどうかがわかる
- 遠距離の恋人が不安がるから
- 怪しい行動を行う相手がいるから
逆に、以下のように過去に恋人間での利用における失敗があり、現在は利用していないという回答もいくつか見受けられました。
- 元彼と位置情報を共有していて、ピンポイントの住所はわからないはずで、彼は土地勘もないはずなのに、夜中にいきなり家の前にいるよって言われて本当に家の前にいたこと
- 付き合いたての頃、家族と親戚の家に行く時にフリーズにしていて、誤解を生み喧嘩になった
- 恋人と位置情報を共有した時は気になって四六時中見てしまっていた
恋人とも位置情報を共有しているものの、友達きっかけでアプリを使い始めていたり、友達と待ち合わせをしたり、遊ぶきっかけ作りに活用している人が多いようです。
Zenlyサービス終了後も、引き続き位置情報共有アプリを使っている大学生は多い
今回の聞き込み調査&Webアンケート調査の結果をみると、約半数の大学生が現在も位置情報共有アプリを使っていることがわかりました。2023年1月に行われた13〜22歳を対象としたアンケート調査※では、46%がZenlyを利用していると回答しています。この結果と比較しても、Zenlyサービス終了後も大幅に位置情報共有アプリの利用は減らず、引き続き別のサービスを利用している大学生が多いと考えられます。
したがって、私の偏見混じりの仮説も支持はされず、恋人を束縛・監視するような使い方はどちらかというとマイノリティー。仲のいい友達同士で位置情報を共有しあうことは日常の一部となっているようです。
私自身、陰キャ×コミュ障ゆえに友達をなかなか遊びに誘うことができない性質なのですが……Zenlyを使っていた時は「今から合流しようよ!」とまでは言えなくても、知り合いが近くにいると「え! めっちゃ近くにいる! なにしてるの?」とコミュニケーションのきっかけになった経験があります。
最近はコロナ禍明けで今まで以上に出かける機会も増えてきたので、SNS世代にとってのオフラインコミュニケーションツールとして、位置情報共有アプリは今後も広がっていく気配がします。
6割のティーンがZenly利用経験者!なぜ位置情報共有するのか、JKのリアルなコメントをご紹介
イラスト:にしむらみう
企画・編集:人間編集部
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