2022.11.07
【夫婦で近大卒業生】母校の活躍・喜びを2人で分かち合えるのは、近畿大学の卒業生同士だからこそ
- Kindai Picks編集部
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「相撲も恋愛も勝負事はスピードが命です」
そう語るのは、近畿大学相撲部OBで元大相撲力士の上林義之さん。妻・裕子さんも同じく近畿大学OGです。今回は、夫婦揃って近畿大学出身の上林さんご夫婦に出会いのきっかけや理想の夫婦像などについてお話を伺いました。
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平成16年 近畿大学商経学部(現・経営学部)商学科卒業。
卒業後は八角部屋に入門し、大岩戸という四股名で活躍していた元大相撲力士。近畿大学4年次には、第81回全国学生相撲選手権大会において個人・団体の二冠を達成。2018年に現役を引退、その後Office Oōiwato (オフィス オオイワト)を設立。現在は、相撲の指導をはじめ、健康に役立つ相撲動作の講習、大相撲界とのマッチングなど相撲を通じた社会貢献活動に全力を注いでいる。【Office Oōiwato】
上林 裕子(かんばやし ひろこ)
平成14年 近畿大学商経学部(現・経営学部)商学科卒業。
卒業後は株式会社住友金属システムソリューションズ(現:キヤノンITソリューションズ株式会社)に入社。2015年には大規模プロジェクトを率いて成果を上げ、「キヤノンMJグループExcellent Award『No.1プロフェッショナル賞』」を受賞。2018年日経xTECH「チアリーダー出身プロマネの苦悩、頑張りすぎなくても続けられるように」が掲載される。同年10月にはPMI Japan Festa2018に講師として登壇。現在は、仕事と両立しながら、一般社団法人JFD食医学協会のフードドクターを取得し、料理を楽しみながら体を整えられるよう情報発信を行っている。関東地区リーダーズ会員。
出会いのきっかけは引退後の断髪式
断髪式の日に撮影したお写真
――まずは、お二人の馴れ初めを教えてください。
裕子さん
出会いのきっかけは、元力士である彼の現役引退時に行われた断髪式(力士のシンボルである髷を切る儀式)に出席したことからでした。近畿大学在学時は、チアリーダー部に所属していて学校行事に参加する機会も多かったので、校友会関係者から「国技館で行われる力士の断髪式に出てほしい」と声を掛けていただいたのです。
最初は興味本位で「行きます!」と答えましたが、今考えると断髪式という人生の節目に立ち会えるってそうそう経験できるものではありませんよね。とても貴重な経験をさせてもらったなと思います。
義之さん
断髪式の出席者名簿に知らない女性の名前があったので、「どんな人だろう」と気になっていました。
裕子さん
在学時、相撲部とチアリーダー部はクラブセンターが一緒でしたが、洗濯中の廻し(まわし)を見たことがあるくらいで、接する機会はほとんどなかったよね。
義之さん
彼女が仲良くしているチアの2つ下の後輩と私が知り合いだったので、聞いてみると年齢が近いということもあり、断髪式の前に1回会いましょうということで食事をセッティングさせてもらいました。
学生時代の写真(左:義之さん、右:裕子さん)
相撲も恋愛も勝負事はスピードが命
――実際に会ってみて、お互いの第一印象はいかがでしたか?
裕子さん
断髪式前だったのでまだ髷があって背丈も大きく、とにかく圧倒されたのを覚えています。相手は力士ですが、2個下の後輩ということもあり初対面でも話しやすかったですね。
義之さん
金星※!!一瞬で恋に落ちました(笑)
※金星:相撲界の隠語で美人を指す。
裕子さん
彼は交友関係がとても広く、普通は簡単に会えないような方々との食事にたくさん誘ってもらいました。最初の頃は大勢で食事をすることが多かったですね。
私が首を痛めた時には、とても親身になって話を聞いてくれて自宅で簡単にできるケア方法まで教えてくれました。
義之さん
そうそう、片道2時間かけて電車で行きました。
裕子さん
それから2人で食事に行くようになりましたね。
義之さん
初デートはめちゃくちゃ緊張しました。車で家まで迎えに行くと言ったものの、運転なんて10年ぶりだったから怖くて。しかも、体大きいから車に収まりきらなくて窮屈でしたよ(笑)
プロポーズ前にディズニーランドでデートした時の写真
裕子さん
家まで迎えに行くよって言ってくれたから、てっきり運転に慣れているのかなと思うじゃないですか(笑)
お二人の原点、近畿大学へも凱旋デート
――プロポーズはどちらからだったのですか?
義之さん
私からプロポーズしました。それも彼女が風邪を引いて寝込んでいたときに。
裕子さん
そうそう。熱で体もしんどいし気遣いできる余裕もないから大丈夫って言ったのですが、どうしてもお見舞いに行きたいって言われて。
義之さん
私と同じ近大相撲部出身の宝富士関が、披露宴で奥さんにレミオロメンの『3月9日』を熱唱していたのが印象に残っていて、もし自分がプロポーズするなら3月9日と決めていました。
裕子さん
多分、その日にプロポーズするって決めていたのでしょうね。すごいかしこまってるから何事かと思いました。
義之さん
正座してたもんね。
裕子さん
こっちは熱で頭がボーッとしてたので、「ちょっともう1回言ってくれるかな?」みたいな感じでしたね。
――出会ってからどれくらいでプロポーズされたのですか?
義之さん
たしか付き合って5ヶ月経った頃だったと思います。周りからは早いねと言われますが、やっぱり相撲も恋愛も勝負事はスピードが命ですからね。
生きてきた世界が違うからこそ、助け合いが大切。足りない物を互いに補い合って生きていきたい
――夫婦円満の秘訣があれば教えてください。
義之さん
助け合いだと思います。節約が得意でも計算が不得意だったり料理は好きだけど洗い物が苦手だったり、お互い得意不得意は絶対にあるもの。不得意な部分を助け合うことで、良い関係性を築けると思っています。
裕子さん
そうですね。大事なことはきちんと言葉にすることを心がけています。生きてきた世界が違うので「当たり前」が通用しない。言葉で隙間を埋めることが私たちには合っています。おいしいご飯を一緒に食べたり、のんびり映画を観たりドライブしたり、楽しい時間を共有しながらいろいろな会話をして、互いの人生をより豊かにできたらいいなと思います。
――食事を一緒にすることで自然と会話も増えますもんね。普段、お料理はどちらがされるのですか?
義之さん
妻も私もお互い料理はしますね。自分が作るのは、ちゃんこ鍋やカレーなど相撲部屋のような料理が多いです。
裕子さん
元力士なので、一度に作る料理の品数・ボリュームがとにかく多くて毎回食べきれないくらい。味はとてもおいしいですよ。
ひき肉は肉のうちに入らない!って言われたのはびっくりしました(笑) 結婚するまではロールキャベツはメイン料理だと思っていましたが、彼の料理を見ていたら副菜に見えてきましたね。
出稽古での力士集合写真(義之さん:前列中央)
義之さん
現役引退後は自然と食べる量も減ったので、今はロールキャベツをメイン料理だと思っていますよ(笑)
裕子さん
結婚してしばらくしてから、食医学を学べる料理教室に通って、フードドクターの資格を取得しました。相撲部屋の時と同じとまではいかなくても、自宅でも栄養価の高い食事を摂ってもらいたいと思ったのです。
体調に合わせた食材を使ったり栄養バランスのとれた野菜を組み合わせたり、食事を工夫できるようになり、以前よりも正しい食生活を続けられるようになったと思います。昨年から、家庭菜園もはじめました。手間暇かけて自分たちで育てた野菜は格別ですし、採れたてを新鮮なうちに食べられるので今は家庭菜園にハマっています。
義之さん
お互い「食」へのこだわりが強すぎて、最初はご飯のことでよく喧嘩してた気がする……。
食にこだわりのある義之さんも近大マグロのお味にはご満悦。
裕子さん
彼は20年以上もの間、勝負の世界で戦ってきた人。生きてきた環境がまったく違う2人が一緒に暮らすのは、簡単なことではないですよね。だからこそ、お互いの足りないところを補い合うことが夫婦関係をより良くするうえでとても大切なことかなと思います。
母校の活躍を2人で喜べるのは卒業生同士だからこそ
披露宴の時のお写真
――お二人が出会うきっかけでもあったように、母校が同じで良かったと思う瞬間はありますか?
裕子さん
私たちの結婚披露宴で近畿大学応援部OBに校歌や近大節を演舞してもらえたことです。披露宴には多くの学校関係者の方々が出席してくださいました。
義之さん
同窓会のようなアットホームな雰囲気で式を挙げられたのも、私たちが近畿大学卒業生だったことが大きいのかなと思います。
裕子さん
八角理事長(元横綱・北勝海)や高砂親方(当時)、赤井英和先輩をはじめ、相撲部OB、応援部OGOB、校友会関係者の皆さま、現役力士の皆さまなどたくさんの方々が結婚披露宴に駆けつけてくださいました。現役関取が歌も披露してくださり、私の人生において大切な思い出のひとつです。
義之さん
「どのあたりで勉強した?」「大学近くのお店でどこのご飯がおいしかった?」とか、出身大学が同じだと話題が尽きないのも良いですよね。
――母校の活躍を2人で喜べるのは嬉しいですね。それでは最後に近畿大学を卒業して良かったことを教えてください。
裕子さん
社会に出てどこにいても頼れる人がいると思えるのは、近畿大学を卒業したからこその自分の強みだと思います。卒業してからも強く繋がっている応援部の存在も大きいです。
義之さん
私が在学していた当時はあまり知名度が高くなかったですが、今は「相撲の名門=近畿大学」として全国的にも知られ多くの相撲部出身者が現役力士として活躍しています。私も近畿大学の卒業生であることを誇りに思っています。
取材・文:笑屋株式会社
写真:鈴木智博
企画・編集:近畿大学校友会
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