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2022.03.07

3回目接種しないと入店不可!?感染爆発中の「韓国コロナ事情」を留学生に聞いた

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
コロナウイルス
留学
国際学部
韓国

新型コロナウイルス感染症の影響により一時は中断していたものの、2021年1月より順次再開した、近畿大学国際学部の留学プログラム。東アジア専攻・韓国語コースの学生たちは、昨年8月から韓国のソウル・釜山(プサン)の留学先へ旅立ちました。オミクロン株が猛威を振るう中、学生たちはどんな日々を送っているのでしょう? 現地の感染対策や、留学生活での目標など、2人の学生に話を伺いました。

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取材は2022年2月15日におこないました。


新型コロナウイルスの感染拡大状況を注視しながら、2021年より順次再開した近畿大学国際学部の留学プログラム。

昨年10月には、韓国・釜山(プサン)で留学生活を送っている学生たちに、現地の感染対策や街の様子、寮での暮らしなどについて、詳しくお話を伺いました。

【韓国編】コロナ禍の留学ってどんな感じ!?海外の現状と感染対策の違い

2021年10月当時、韓国では飲食店や商業施設を利用する際には、連絡先が参照できるQRコードの提示が必須だったそう。ほかにも、マスクを着用していないと地下鉄に乗車できなかったり、入国時には2週間の隔離生活が義務付けられていたりと、韓国の感染対策が日本以上にしっかりしていることがわかりました。

お2人の通う釜山外国語大学校でも、校内に入る前に、その日の体調を記録する「体調カード」の提出や、手指消毒の義務化などの感染対策が取られていました。釜山外国語大学校の学生寮で暮らすお2人も、食堂の利用中は会話をしない、検温と手指消毒は必ずおこなうなど、感染に気をつけながら、留学生活を過ごしていました。

あれから約5ヶ月が経つ今、学生たちの生活はどのように変化したのでしょうか。日本と同じくオミクロン株が猛威を振るう現地の様子や、長期休暇の過ごし方などについて、釜山の大学で引き続き留学生活を送る学生にお話いただきました。


ワクチン3回目接種は当たり前? 韓国・釜山(プサン)で休暇を楽しむ近大生にインタビュー

昨年8月に韓国・釜山に到着した国際学部 国際学科 東アジア専攻・韓国語コース現1年生の小延 美緒さんと塩田 百花さん。お2人は、釜山外国語大学で、2022年7月ごろまで語学留学中です。現在は大学の寮で生活をしながら、さまざまな国から来た留学生たちと一緒に勉強しています。



小延 美緒(左)/ 塩田 百花(右)
国際学部 国際学科 東アジア専攻・韓国語コース 1年生
2021年8月13日から釜山外国語大学に語学留学中


韓国政府から推奨されている、3回目のワクチン接種。留学生への対応は?


ーー前回の取材から4ヶ月経ち、現在は韓国でも新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が流行していますが、お2人は体調に変化などありませんか?

小延:私たちは今日までとくに体調を崩すこともなく、元気に過ごしています。ただ、私たちが暮らしている寮で、11月に何人か陽性者が出たんです。寮生は全員PCR検査を受けたんですが、私も塩田さんも陰性でした。

ーーそれは大変でしたね。日本ではワクチンの3回目接種が推奨されており、高齢者や医療従事者から順に接種が開始されていますが、韓国ではどうでしょうか?

塩田:韓国では「ワクチンの効果は接種後4ヶ月ごろから減少する」とされているので、前回のワクチン接種から4ヶ月経つと、政府から「ワクチンを再度接種してください」という通知がくるんです。なので、私たちも通知を受け取った1月に、3回目のワクチン接種を終えました。


政府からSMSで届いた3回目接種の通知。2回目接種後、6ヶ月以内の3回目接種を期間内に行うように通知されている。

ーー留学生でも、政府から連絡がくるんですね。1、2回目のワクチン接種は日本でされていましたよね。今回は現地の接種会場を自分で探されたんですか?

小延:私たちはSMSで通知を受け取ったんですが、そこにワクチン接種できる機関がリストアップされていたんです。なので、リストにあった近所の病院に連絡して、モデルナ製のワクチンを接種しました。


大学の近くにある保健所。混雑している様子がわかる。

ーーちなみに、モデルナ製のワクチンは、接種後に高熱などの副反応が出やすいことが報告されていますが、お2人はどうでしたか?

小延:3回目の接種でも、やっぱり副反応は出ましたね。でも、発熱するだろうとは思っていたし、接種前に食料や飲料などはしっかり準備しておいたので、なんとかなりました。

塩田:少し接種する時期をずらせば、友達同士で看病し合うこともできたのかもしれないんですが、小延さんや、同じ寮にいる近大生の友達2人も同じタイミングで接種してしまったので、よく話す友達はみんな同じタイミングで寝込んでしまいました(笑)

※現在釜山外国語大学の寮には、近大生12名が留学中。


外出にはワクチンパスポートがないと不便なところも!! 感染対策のしっかりとした釜山・ソウル


ーー日本では、まだ若い世代は3回目の接種を受けられていない状況ですが、韓国ではスムーズに受けられるんですね。すでに多くの人が3回目の接種を終えているのでしょうか?

小延:そうだと思います。日本ではまだワクチンパスポート(新型コロナワクチン予防接種証明書)があまり活用されてないと思いますが、韓国では飲食店の入店時などに提示しなくてはならないことが多いので、自由に行動するためにほとんどの人がワクチンを接種しています。

ーー前回お話を伺ったときには、入店時に身元情報が読み込めるQRコードの提示が必要だとおっしゃっていましたよね。それだけでなく、現在はワクチンパスポートの提示も必要になったということでしょうか?

小延:そうなんです。紙の証明書ももらうことができますが、私も含め、ほとんどの人は、ワクチンパスポートもQRコードで提示していますね。


政府から届いたワクチンパスポートと、身分証明のためのQRコード画面

塩田政府から「3回目の接種をしてください」という通知が届いてからもワクチンを打たずにいると、2回目接種後に発行されたワクチンパスポートは使えなくなってしまうんです。なので、ワクチンについて「ちょっと怖いな」と感じている人でも、「制限なく外出するため」と、ある程度受け入れて接種していると思います。

ーーワクチンパスポートを提示しなくても利用できるお店や施設は少ないのでしょうか?

小延:少ないですね。ほとんどの場所で「必須」と言っていいほどかと……。とはいえ、QRコードのみ提示が必要で、ワクチンパスポートは必要ないところも、わずかですがあります。

※取材後に規範が変わり、3/1以降から、医療体系や保健所負担の軽減を目的に、遊興施設やイベントなどの場でも、身分証明のQRコードやワクチンパスポートの提示が一時中断されています。

ーーたとえばどんな場所ですか?

小延:1月末に、塩田さんも含め同じ寮の近大生4人でソウルを訪れたんですが、宿泊したホテルでは必要だったものの、ソウルの有名な遊園地「ロッテワールド」は、身元情報のQRコードのみで、ワクチンパスポートの提示は求められませんでした。


ロッテワールドの様子

ーー日本ではまだ旅行も自粛ムードですが、韓国ではどうでしょうか?

塩田:それほど「旅行を控えよう」という雰囲気ではないかと思います。ただ、ロッテワールドもソウルの街もそれほど混雑してなかったので、自粛している人はいるかもしれません。

小延:ロッテワールドもそうでしたし、時短営業に変更しているお店は多いですが、アルコール提供時間の制限もとくにないですし、それほど街の雰囲気も変わっていません。


ソウルの街の様子。随分と賑わいを見せている。

ーーそうなんですね。ワクチン接種が進んでいるからかもしれませんね。

小延:韓国は数え年で、年が明けた瞬間にみんな一斉に歳を取るので、お酒が解禁になる20歳を迎えるタイミングでクラブなどを利用する人が多く、大晦日は深夜まで営業しているクラブも多かったみたいです。ちなみに、私たちも数え年だともう成人していることになりますが、日本の法律に法ってお酒は飲んでいませんし、クラブも行っていません(笑)


2月は旧正月による長期休暇。どんなふうに過ごしてる?



釜山の街の様子

ーー学校生活では、何か変化はありましたか? 前回は「対面授業を受けている」とおっしゃっていましたが、今も続いているのでしょうか。

小延:今も対面授業は続いています。といっても、1月29日から3月1日は正月休みと春休みを合わせた大型休暇で、今はお休み中なんですが。

ーー韓国は旧正月である2月1日を中心に休暇があるんですね。ということは、日本でいう三が日には、通常通り授業があったということですか?

塩田:はい、いつも通り授業を受けていました。なので正月も、一時帰国はしていません。これから夏ごろに帰国するまでは春休みなどもとくにないので、これが最初で最後の大型休暇ですね。先ほどお話したソウル旅行も、この長期休暇を利用しました。今だけは課題もないので、貴重な休みを堪能しています(笑)

ーー休暇に入る前、大学はどんな雰囲気でしたか? 前回取材させていただいたときから、変化などはありましたか?

小延:とくに変化はないと思います。語学力の級が上がったので、私も塩田さんもクラス替えはありましたが……。今まで通り、学校に入る前に「体調管理カード」を提出すること、教室に入る前には検温と手指の消毒をすること、そして授業中はマスクを着用することが義務付けられています。


大学で配布されている「体調管理カード」は、発熱や呼吸困難、味覚の消失などの各症状の有無、家族を含めて隔離中や検査結果待ちでないか、などを書く必要がある。校舎に入る際には、体調管理カードを記入してチェックをもらうことが必須になっている。

※取材後に規範が変わり、3/2以降から、体調管理カードの提出も不要になったそう。

塩田:そういえば、ソウル旅行の際にソウルに留学中の近大生と会ったんですが、その子たちの通っている学校では、「KF94」(韓国発の高性能不織布マスク)以外のマスクは着用禁止になっていると聞きました。もともと韓国では布マスクやウレタンマスクを着けている人はほとんど見かけないのですが、より感染率を低くするための対策だと思います。


ソウルに留学している近大生が提供してくれた大学からの通知。「KF94」(韓国発の高性能不織布マスク)のマスクを着用するよう言われているそう。

ーー休暇中は、どんなふうに過ごされていますか? 食事は今も寮の食堂を利用しているのでしょうか。

小延:前回、寮の食堂の利用には、「ミールクーポン」という食券を使っているとお話したと思うんですが、最初にまとめて買ったミールクーポンの期限がもう切れちゃって……。同じメニューでも、ミールクーポンなしだと100円くらい高くなっちゃうので、もったいないなあと思って、コンビニで買ってすませています。

塩田:小延さんとは、休暇中はほぼ毎日会っています。同じ寮の近大生2人ともよく会っていて、頻繁に4人で集まっていますね。あとは、家族とビデオ通話もよくしています。

ーーご家族とはどんな話をされていますか? 遠く離れている状況で、心配などはされていないでしょうか。

塩田:お互いの近況を話したり、それぞれの街の様子を報告したりしています。とくに心配はされてないです。韓国で3回目のワクチン接種を終えたことも話していますし、感染対策がしっかりしていることも知っているので、安心してくれていると思います。


韓国留学も折り返し。残りの留学生活での目標は?



小延さんが授業中に使っている授業のノート

ーーお2人の韓国留学も、もうすぐ折り返しという感じですね。前回は留学中の目標として「クラスメイトたちと友達になりたい」とおっしゃっていましたが、クラスメイトたちとの距離感は、少し縮まりましたか?

小延:それが、ようやく打ち解けてきたかなと思うタイミングで、相手が帰国してしまったり、級が上がってクラスが替わってしまったりして、なかなか難しくて……。帰国してしまった子たちとは、別れる前にSNSを教え合ってつながったりはしているんですけど、韓国にいるうちに一緒に遊びに行ったりしてみたかったです。

ーーそれは残念ですね。塩田さんは「もっと韓国語で交流できるようになりたい」ともおっしゃっていましたが、やはり現地の方と交流する機会も少ないのでしょうか?

塩田:そうですね……。コロナ禍での留学しか知らないのでなんとも言えませんが、談話できる休憩室も引き続き利用禁止なので、機会はどうしても減っているかもしれません。現地の方と交流するのは、飲食店などを利用したときくらいです。

小延:でも昨年の11月に、留学担当の先生が、釜山外国語大学の日本語学科に通う韓国人の学生たちとの交流会を開いてくれたんです。

塩田:そのときに会った子たちとはその後も食事に行きましたし、校内で会ったときには挨拶し合ったりします。ただ、みんな日本語がとてもうまくて、交流するときには日本語を使ってしまうんです(笑)せっかく留学に来ているので、韓国語で交流できるようにもなりたいですね。

ーー先ほど、級が上がったというお話がありましたが、韓国語が上達したと感じられることはありますか?

小延:読み書きや聞き取りはできるようになってきたんですが、まだ自分の思っていることを韓国語で伝えるのが難しいです。クラスメイトと韓国語で会話する授業もあるのですが、もっと話せるようになりたいなと思っています。

塩田:時々小延さんとも「今から韓国語だけで会話しよう!」って練習したりするんですけど、つい日本語を使っちゃったりして、難しいですね。休暇が明けたら、もっと積極的に韓国語を話していけるよう頑張りたいです。

ーーお2人とも、ありがとうございました!


コロナ禍でも、安全に楽しく。有意義な留学生活を!

ワクチンの3回目接種を終え、大型休暇をのびのびと楽しんでいたお2人。万が一感染が疑われる際には、最寄りの保健所でいつでもPCR検査が無料で受けられるほか、近大と留学先が提携して感染後のサポートもおこなっているので、安心して留学生活を送っているようでした。

残りの留学生活で、少しでも韓国語を上達させたいと話してくれたお2人。引き続き感染予防を意識しながら、実りのある留学生活を送ってほしいと思います。


取材・文:藤間紗花
編集:人間編集部

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