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2021.11.16

「私が以前からやっていることはSDGsと同じだった」モアコスメティックス亀田社長が語る製品開発秘話

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
OB・OG

2015年に国連で開かれたサミットの中で、世界のリーダーによって決められた国際社会共通の目標であるSDGs(持続可能な開発目標)。今ではテレビの報道番組や新聞・ネットニュース記事でよく見聞きする言葉となりました。社会課題に対する危機意識が高まっていることから近年注目されており、企業においても取り組むメリットが高いことから、多くの企業がSDGsに取り組み始めています。最近話題のSDGsですが、注目される前から取り組んでいた企業があります。今回はモアコスメティックス株式会社 代表取締役の亀田さんに、事業のことから自身が支部長を務める香粧品支部など、多岐にわたってお話を伺いました。

モアコスメティックス株式会社 代表取締役
亀田 宗一(かめだ むねかず) 昭和56年 理工学部応用化学科卒業


自身がアレルギーを克服した経験を消費者に




――モアコスメティックス株式会社の事業内容を教えてください。

会社設立当初より、肌に刺激のないシャンプートリートメントや化粧品づくりを行ってきました。一般にある化粧品、医薬部外品の製造・販売という形でくくるとそうなるのですが、我々はアレルギーを持つ人用、アトピー肌用と区切って製品を作っています。なぜ区切るかと言いますと、化粧品の裏表示には必ず、「お肌に異常がある時、異常があらわれた時は使用をお止めください」と書いてあります。それは消費者の責任によることになるからなのですが、我々の製品は「お肌に異常がある時に使ってください。全部会社が保証します」というシステムでやっております。それは異常がある時こそ使ってもらわないと意味がないのでそうしています。

当社のシャンプー、トリートメントは24時間肌につけたままでのパッチテストや細胞テストをしており、高い安全性が証明されています。アレルギーをお持ちの人も、健康な肌の人も不平等さを感じずに、一緒の生活を送ることができる製品だと思っています。


肌と髪への優しさを最優先に開発したシャンプー。9種類の香りがある。

――貴社のSDGsの取り組みと、取り組み始めたきっかけを教えてください。

SDGsという言葉もない時代に、琵琶湖の水を守る取り組みに参加したのがきっかけです。今から45年ほど前は、下水道普及率が30%程度(今は98%程度)で、琵琶湖に大量の汚水が流れていました。その原因の一つが、界面活性剤の中に含まれるリンだということがわかったのです。

家庭園芸をしていたらご存じかと思いますが、肥料には窒素、リン、カリウムが必ず入っています。当時は農家が肥料をまき、その水が下水道に流れ、琵琶湖を汚していたのです。日本は農業国ですから、生産に影響が出る可能性があるため肥料に含まれるリンで水が汚れるということを認めず、洗剤に入っているリンが悪いとしたのですね。調べたら洗剤で使うリンの割合と、農業で使うリンの割合は全く比較にならないほど農業の方が多いのですが、洗剤だけが悪いように捉えられて、無リン洗剤というものが販売されるようになったのです。ところが、下水道が整備された後も依然として無リン洗剤が使われ続けました。無リン洗剤には、リンの代わりにゼオライト(アルミノケイ酸塩)が入っています。アルミノケイ酸塩に含まれるアルミニウムはアルツハイマー病の原因物質説があり、下水道が普及した現在では天然物質で人体に悪影響を及ぼさないリンの使用是非について見直す時期かもしれません。



このような経験を通じて環境と人体を一緒に守ることを真剣に考え、環境も人も守られた世界でみんなが同じ生活ができたらいいなと思いました。以前、洗浄剤アレルギーになった時に、自分を実験台に肌にやさしい洗浄剤を開発し、それをいかに消費者に提供できるかを考え続けてきました。その後、SDGsが世界の目標とされた時、私がやってきたことはSDGs目標3・6・10・17と同じだったということに気づいたのです。

アレルギーアトピー肌専用商品が売れて美容室サロンの売上が上がると美容室の従業員たちの給料もしっかり支給され、福利厚生も完備できたら働きがいあります。経済成長も(SDGs目標8)できるのです。100%反射剤で作った日焼け止めクリームの成分、チタンと亜鉛は元々自然界に存在する物質だから海を汚さず、3日で80%分解します。これも海の豊かさを守ろう(SDGs目標14)に繋がっています。

化学者としての仕事を志した学生時代




――どのような学生時代を過ごしていましたか?

昔の近大通りは雀荘ばかりで、麻雀をずっとしていました。レジャーではスキー、サーフィンにはまっていました。語学研修でアメリカに40日間ほど行ったのですが、その時、先に進んでいるアメリカの産業を見て日本は遅れているなと思ったし、もっと先のことを見ないといけないと感じました。

――学生時代の経験が今でも活きていることはありますか?

大学では化学の実験をたくさんしました。自分で勉強もたくさんしたし、大学に泊まり込みもしてずっと研究していました。卒業の時に研究の成果を出すことができたのですが、甘い匂いを出すはずが無臭という結果でした。化学成分は間違いなかったのですが……。しかし一生懸命やれば必ずできるということを先生に教えてもらいました。色々な就職先を考えましたが、やはり化学でやってきたから化学者として仕事をしていきたいと思い、進路を決めました。今も化学でやっていこうという気持ちは変わっていません。



――大学卒業から独立しようと思ったきっかけを教えてください。

界面活性剤は1970年代の後半頃には様々な研究成果が発表されていましたが、私は洗浄剤製造会社に就職し研究を続ける中で、高濃度の洗浄剤と接触し私自身が洗浄剤アレルギーになってしまいました。今まで健康だったのに肌が悪くなり、自分の肌を改善する必要性から試行錯誤を繰り返した結果、新シャンプー剤を開発してベビー用として発売することができました。当時の会社は、肌荒れを起こす洗浄剤を作ることから安全性を追求することへのかじ取りができなかったのですが、肌荒れを起こす可能性のある洗浄剤を作り続けることへの怖さから私はアレルギーを持つ人が安心して使用できる洗浄剤や化粧品作りをしたいと考えるようになり、独立することにしました。

役に立つをモットーに、母校に頼りになる存在になりたい。


――卒業生としての近畿大学の魅力、近大を卒業してよかったと思うことは何でしょうか。

大学卒業後も大学の先生の支援があり、自分が仕事をしていく上ですごく役に立ちました。卒業した後も学校に足を運ぶことできたのが自分の中で大きかったです。



――香粧品支部の活動内容について教えてください。

理工学部応用化学科出身者の多くが香粧品関係に就職していて、第一線で活躍している人も多くいます。ところが、香粧品研究者は一人前といわれるまでに約3年もかかるため、実践に役立つ基礎知識を1から教えてくれる学科を近畿大学に作ってもらえるようにと行動したのが、香粧品支部発足の始まりです。はじめは人数もあまり集まらなかったのですが、今では70~80人ぐらい集まる支部になりました。それだけ皆さん香粧品に興味があるということなのです。活動としては、就職のお世話をしたり、リエゾンセンターを紹介したり、香粧品支部会員が近大と連携して商品開発をしたりなど、専門職支部にしかできないことをしています。


2018年度 香粧品支部総会の写真

――亀田様の今後の目標を教えてください。

私は、ただ近畿大学を応援したい、校友会を支援したい、それだけです。校友の人たちが持っている夢を実現するアドバイスができると思いますから、遠慮なくなんでも聞いてください。現在、校友会グッズ等を作成する事業準備委員会の委員長もさせていただいていますので、役に立つ頼りになる先輩と思っていただければうれしいですね。


取材・文:笑屋株式会社
企画・編集:近畿大学校友会

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