2021.04.07
マスク会食にも最適。開発者に聞く「近大マスク」にかける思い。
- Kindai Picks編集部
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今、注目が高まる「マスク会食」。
近畿大学理工学部教授の西籔和明らが、「''オール近大''新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」として開発したプラスチック製のマウスシールド「近大マスク」。
表情が見えることなどで注目が高まり、3月の一般販売開始後は即完売となった「近大マスク」について、開発者にその思いを聞きました。
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西籔和明(にしやぶかずあき)
近畿大学 理工学部 機械工学科 教授
専門は、創製加工学(材料と加工の高機能複合化)。
自動車や航空機の軽量化の切り札として注目の高いCFRPの量産と再利用を目指す東大阪市内企業と「e-コンポジット研究会」設立。また、大阪東部地域連携「金型プロジェクト」で地域活性化を目指す。
本プロジェクトをどんな思いで始められたのか、きっかけをお教えください。
これまで様々なものづくりに取り組んできた「近大ものづくり工房」で、コロナ禍で何か世の中の役に立つことはできないかと考え、文芸学部でデザインを専門とされる先生や、東大阪のモノづくり企業の協力を得て、 近未来を感じるデザインのマスクを開発しました。
数々の困難もありましたが、“誰もやらないから私がやる”という、強い気持ちで取り組んだ結果、笑顔が見えてコミュニケーションしやすく、息苦しさもない、とても掛け心地の良い近大マスクが完成しました。
これまで、必要とする多くの方々に使って頂くために、無償配布を行ってきました。
開発にあたり苦労されたことをお教えください。
人々のマスクというアイテムへの関心は非常に高く、意見も様々。考え方も思いも百人百様でした。
その要望に応えるデザイン、コスト。様々な制約の中で、世の中にないものを作り出すのには大変苦労しました。昨年の春先には、『マスクと日本人』という本を図書館で借りて勉強もしましたね。
デザインについては、着用時の快適さをとことん追求し、口元や鼻を覆う部分や、耳にかける眼鏡のつるの部分は柔らかく、装着位置の調整を可能にしました。
これまでに、大阪・ミナミの飲食店などに3000個を贈られたのをはじめに、マスクの着用で唇の動きや表情が読めず、意思の疎通が困難になっている聴覚障がいがある子どもたちのために、大阪府下の支援学校に1,200個、その他地方自治体などにも寄贈されました。
今後はどのような展開を考えていますか?
まず、最も困っておられる方々に使用いただきたいと思っています。聴覚障害の方やコミュニケーションが難しい方々を含め、体の不自由な方々には口元や顔が見えるためとても好評です。「手話通訳など口元が見える重要な現場で使いたい。」などの声も多く届いています。
また、 顔の大部分を隠すマスクに困難を抱える方々はたくさんいらっしゃいます。我々教員も学生さんからは表情が見えず、コミュニケーションの取り辛さを感じることがあります。会議でも顔の多くを隠して分かり合うことはやはり難しいですし、次世代は顔を隠すようなマスクでは通用しないでしょう。
さらに、通常のマスクができない場面で、このマスクを活用いただきたい。その1つが日々の飲食です。他にも、アスリートのトレーニング時や、屋外で働く農業や林業、漁業に従事されている方々、工場で作業される方々などにも、とても快適に利用いただけるのではないでしょうか。また、近大マスクは国内にとどまらず、近大と関係するアジア、ロシア、欧米諸国にぜひ無償配布して、近大マスクを知ってもらいたい。これがニューノーマルの時代に対応したマスクになればうれしいですね。
今後の目標を教えてください。
コロナ感染拡大が世界中で収束の目処がたたない中、近大マスクの果たす役割は多大です。たかがマスク、されどマスク。ワクチンのような特効薬ではありませんが、人々の話題になり、生活する上での安心感を少しでも提供できればと思っています。第1弾の製品化に到達した今、次はグローバル化、そして第2弾の量産化を進めることが今後の目標の1つです。
そしてマスクにとどまらず、近大のものづくり力と地域のものづくり企業が連携し、次世代公衆衛生商品を学部を横断して開発していけたらと、オール近大コロナプロジェクトの未来を見据えています。
“必要は発明の母”。 ピンチはいくらでもチャンスに変えられます。これからも益々、世の中の役に立つものづくりに邁進したいと思います。
今後の展開も楽しみですね。ありがとうございました!
近大マスク販売サイト
Amazon
楽天市場
スケーター公式オンラインショップ
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