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雑学・コラム

2019.12.20

人はなぜ騙される!?不器用でもできる心理操作術「ミスディレクション」とは

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
タカ・タカアキ
クラブ活動
奇術部
マジック

テーブルで繰り広げられる華麗なカードマジック、大掛かりなイリュージョン。テレビの画面越しでも視聴者を欺き続けるマジック。いつも見破ろうと必死になるけど、マジックには人の視線を誘導することでタネをうまく隠しているなんてお話も……。ん、待てよ……! 視線を集めることができるということは、ステージやSNSで注目を集めることも可能なのでは!? というわけで、大阪を拠点に活動するバンド・赤犬のボーカル、タカ・タカアキが、その技術を伝授してもらうために近大奇術部を訪問。果たして、マジックで使われるテクニックで、人の注目を集めることはできるのでしょうか?



みなさん、こんにちは。バンド・赤犬でメインボーカルをつとめているタカ・タカアキと申します。バンド結成から早や26年、僕がボーカルとして参加するようになってから来年で丸10年を迎えようという今日このごろ。

スターとして活動することに慣れてきましたが、「エンターテインメントの卸問屋」という看板を掲げている以上、お客様を飽きさせないための精進は必須。

gazou(撮影:古賀亮平)

そのために日々、ステージで披露する小ネタなんかを探していますが、これまでファラオになったり、グラディエーターとして怪物と戦ったり、散々いろんなことやってきたからな~。そんな都合良くおいしいネタは見つからないんですよね……。

ということで、人が注目するものを考えた時にふと思いついたのが……

マジックです。

笑いや楽曲ではなく、ステージで驚きを与えて人の注目をかっさらうのがマジック。

「種も仕掛けもございません」なんて定番のセリフがありますが、いやはやそんなことはなく、マジシャンたちはどんな技術を使って人々の目を欺いているのか……。
気になったので調べてみたところ、どうやらマジックには「ミスディレクション」なる技術が使われている、ということがわかりました。


例えば、こちらのマジックでは、コインを移動させるという事柄に意識を向け、手につけている腕時計を奪ってしまいます!つまり、ミスディレクションというのは、お客さんの視線や意識を仕掛けと違った方向に誘導してトリックを成立させる技術。凄過ぎる!

世の中にあるマジックのほとんどが、このミスディレクションを応用して作られているそうな……! ミスディレクションってスゴイ!

つまり、マジックを体得するためには、ミスディレクションを勉強しなければいけないということ。


マジシャン&ジャグラーたちの虎の穴、近大奇術部とは?




そんなわけでタカ・タカアキ、近大へとやってまいりました!

何やら近大の奇術部は創立60年近い歴史があるらしい。60年て、引田天功もユリ・ゲラーもMr.マリックも全部通ってるやん! ここなら何かしらマジックのヒントを教えてくれるかも! 

コチラは『近大新入生歓迎ちゃんねる』にて2019年の優秀賞と広報室賞の2冠を獲得した、奇術部のパフォーマンス動画。

思い立ったが吉日。矢も盾もたまらず、近鉄長瀬駅で下車した私はヤングたちに混じって大学を目指します。



すっかりキャンパスに溶け込んでいる私。決して怪しいものではございません。マジックの真髄を学ぶため、奇術部が練習しているというクラブセンターを目指して歩を進めます。

ちなみに私、高校生の時に大阪城ホールでデビッド・カッパーフィールドのイリュージョンを見たことがあるので、マジック経験値は一応あると言っておこう!

※デビッド・カッパーフィールド:アメリカを代表するマジシャン、イリュージョニスト。トラックや飛行機を一瞬で消し去るマジックが話題を呼び、日本でも一世を風靡した。現在もラスベガスを拠点に活動している。



近年、建て替えが進み、新しい教育施設がどんどん完成している近大ですが、サークルの部室などが入居しているクラブセンターは、“これぞ大学”というべき年季の入った佇まい。思わず学生時代に戻った気持ちにさせる、懐かしい雰囲気を漂わせています。



一歩ずつ階段を登り、たどり着いたのは音楽練習室。重い扉を開けるとそこに奇術部が……。



いたー!

みなさん自分の道具で思い思いに練習されています。おぉ、なんだか青春って感じ……と、親戚のおじさんのような目で若者たちを見る中年タカアキ。いやいや、しみじみしてないで仕事しろ、ということでマジックを教えていただけるマジシャンで薬学部2年の河村友一さん(ステージネーム:u1)にお話を伺います。


教えて!神秘の技、ミスディレクション






今日はよろしくお願いします! まず、河村さんが奇術部に入部した経緯を教えてください。






2年前にふと「マジックできたらカッコ良くね?」と、思ったのがきっかけでした。最初はごく簡単なものから始めたんですけど、友人が驚いてくれるのが楽しくなって。徐々にトランプやコインを買ってのめり込んでいきました。昔から手先が器用と言われていたので、マジックに向いていたのかもしれません。






なるほど~。今日はミスディレクションを使ったマジックを教えていただきたいのですが、まずはミスディレクションの定義を教えていただけますか?






マジックをしている間、何か別の動作をすることで観客の注意を逸らし、トリックを完成させる技術を総じてミスディレクションと言います。ミスディレクションを成立させるには音・思考の慣性・タイミングの3つが重要な要素なのですが、動作や色、形などで注意を逸らす「フィジカル・ミスディレクション」。常識や思い込みを利用して思考を誘導する「サイコロジカル・ミスディレクション」。その2種類にカテゴライズされるんです。






お~、言葉だけで聞くと正直ワケがわかりません。論より証拠ということで、ミスディレクションを応用したマジックを何か一つ実践していただけますか?






はい! では、カードを使ったマジックを。タカさん、この中から一枚、お好きなカードを選んもらえますか? それを僕が当ててみせますので。






河村さんのカードから一枚選びまして~……。

続きは動画で!





うそ、すげぇ! なんでわかったの! これが、いわゆるミスディレクションってやつ!?






そうです。トークの内容やちょっとした動作、視線の誘導などのミスディレクションによって成立するマジックですね。






河村さん、私、ミスディレクションを身につけたいです! ただ、生来の不器用&ドジっ子で、これまでの人生でミスディレクションならぬ、普通にいろいろミスをやらかしてますが大丈夫でしょうか?






大丈夫です! 実はマジックって不器用でも、練習さえ重ねれば、だいたいの技はできるようになるので!






良かった! ちなみに、どれぐらい不器用かというと、仲間内で野球やると「お前は特別に四振までしていい」と言われるぐらいでして……。






四振……。いや、大丈夫です! 頑張りましょう!




かくして河村さんから指導を受け、ミスディレクション道の入り口に立った私。今回は特別にみなさんにもトリックのヒントをご紹介。その巧妙な内容に思わず目からウロコがこぼれ落ちる思いでございました。

では、特訓の成果をご覧あれ!



スペード・クラブ・ハート・ダイヤ4つの図柄のエースを使って相手が選んだ図柄を当てるというこちらのマジック。こちらのマジックではスペード・クラブ・ハートのカードは方向が上下することで図柄の向きが変わります。そして、ダイヤの場合は上下させても図柄が変わないというトランプの性質を利用して相手が選んだカードを見抜いていくという内容です。

そしてこのマジックでは、相手の注意をそらすフィジカルミスディレクション、自分の動きとトークを生かしたサイコロジカルミスディレクションを用いているのです。

では、一体どのようなアクションで相手を欺いているのか解説してまいりたいと思います!



まずは、カードの図柄の向きを揃えて手に持ち、相手にカードを選ばせます。ここで「自分はカードを見ていない!」と大きくアクションをすることで、相手の意識は僕の顔へ向くのです!



その隙に、手元に持っているカードの上下を入れ替え、相手にカードを戻してもらいます。



さらにそこから大事なのが、カードをシャッフルするターン。ここでグッチャグチャにシャッフルされてしまったら、相手が選んだカードを見抜けなくなります。そこで活躍するのが、相手の心理を誘導するサイコロジカルミスディレクション。

上下が変わらない形でカードをシャッフルする姿を相手に見せた上で「同じようにシャッフルしてください」と、言葉をかけます。するとどうでしょう!相手は心理的に僕と同じやり方でシャッフルをしてくれるのです!



ここまでができれば、マジックの成功は目前!「あなたの香水の匂いがしますね」とか「昼間に食べたものの匂いがします」とか「指紋がついていますねぇ」なんて文句を相手に聞かせて、図柄の上下が変わっているものをチョイスすればいいのです!



「あなたが選んだのは、このダイヤの1ですね?」

「はい、そうです」

ということでマジック大成功! 写真だと淡々とやっているように見えますが、しくじったらどうしよう……という思いで内心ヒヤヒヤ、心拍数爆上がりで初めてのミスディレクションに臨んでおりました。





河村さん、僕にも……僕にもミスディレクションできました!!! ありがとうございます!!!






おめでとうございます! バッチリでしたよ!






しかし、初めてやってみましたが、めちゃくちゃ緊張しますね!






それをしれっとやってみせるのがマジシャンの腕の見せ所ですね。僕の好きなマジシャンにレナート・グリーンという人がいて、彼はわざと「僕はマジックが下手くそで…」みたいな演技をするんですよ。それでさらっと凄い技をやってギャップで驚かせるという。ミスディレクションにおいてはトークの内容や言葉選びが重要という最たる例ですね。






なるほど~。ぜひ、自分のステージングにも生かしたいと思います! ところで、これができたとなると、次あたり大脱出系いけそうですかね?






いや、それは僕、専門外なのでよくわからないです……。




なんとか無事にミスディレクションの基礎を学ぶことができた私。話を聞き、実践してわかりましたが、この技術ってライブ中のMCだったり、次の曲に移る時の進行なんかでめちゃくちゃ役立ちます! これは、さらに深く学んでしっかり体得したいな~。よし、今から近大、入学するか! 43歳だけど……。


まだまだいるよ! 近大奇術部のマジシャン&ジャグラー




ミスディレクションの勉強についてはなんとか達成できましたが、せっかく奇術部におじゃましたので他の方の技も見てみたい! ということでわがまま言ってお願いしちゃいました。



取材当時、奇術部の代表をつとめている文芸学部の3年生・上月梓矢さん(ステージネーム:あずさ)は、中学〜高校とジャグリングに打ち込み、奇術部があると聞いて近大に入学。まさに奇術に身も心も捧げてしまったジャグリングバカ一代なのです。

そんな上月さんの得意技、5ボールカスケード&5ボールシャワーを動画でどうぞ。


おみごと! これだけ複雑なボールの動きをクールに決めるのは、さすが代表経験者の貫禄。ちなみに上月さんが代表になった当時、奇術部は先輩部員が2人いたのみ。まさに風前の灯のような状態だったところから上月さんが積極的に活動することで現在、部員が30人にまで増えたそうです。男前!



せっかくなので派手なステージマジックも見てみたいですよね。ということで、最後は経済学部の2年生・本田一博さん(ステージネーム:デテキチ)にハトを使ったマジックを披露してもらいました。

こちらもあざやかな技を動画でどうぞ!


ちなみに本田さん、入学当初は奇術部の存在すら知らなかったそう。縁あって入部したところ先輩のハトマジックに感動し、現在では奇術部唯一のハトマジシャンとして活躍されています。



なお、写真に写っているハトは7年前から奇術部で飼育されているとのこと。どの部員よりも奇術部を知るハト先輩!


奇術部WANT YOU!!! 俺たちと不思議なことやらないか?




3人の華麗な技を見せていただき、取材もいよいよ佳境。今回の記事を読んで奇術部に興味を持った人、そして来年春に入学してくる新入生に向けて、改めて奇術部の魅力とメッセージを語っていただきました。



マジックとひとくちに言ってもデテキチがやっているようなステージマジックから、僕がやっているトランプやコインを使ったクロースアップマジックまで、さまざまな種類があります。バリエーションが豊富なので最初は何をしたら良いのか迷うと思いますが、きっと自分にフィットするマジックが見つかると思います。ぜひ一度、練習に遊びに来てマジックを体験してください。






では、僕はハトの魅力を。ハトのマジックって見た目が華やかなのでお客様から結構好評なんです。でも、やりたい人がいるかというと「臭い、こわい、キモい」など、残念な理由でその数は年々減っていまして……。ここでハッキリお伝えしたいのは、ハトはとても清潔な生き物でフンも臭くないし、飼いやすくてかわいいということ! なので来年は、ぜひハトマジシャンに入部してもらいたいですね。






中高生に比べ、大学に入学すると自由な時間も増えてくるので、何か没頭できるものが欲しい、そんな人にとって奇術部はうってつけだと思います。部員の8割は初心者なので、マジックもジャグリングもやったことがないという人も安心してください。1から丁寧に教えます。人前に出る事に慣れたり、特技を身につけたい人にもおすすめです。






長い時間お付き合いいただいた部員のみなさん、本当にありがとうございました! 最後に、今回、技を披露してくださった3人+ハト先輩で記念写真をパチリ。なんか新しいユニット結成した風の画だな…この4人+1羽で営業回れないかしら。



マジック、そしてミスディレクションの奥深い世界に触れて、また一つ芸の道を駆け上がったような気がしている私。
今後、ステージでミスディレクションを生かしたパフォーマンスを見ることができるのか、その答えは赤犬のライブに来て、お確かめください!


(終わり)


この記事を書いた人



タカ・タカアキ(赤犬)

エンターテインメントの卸問屋こと「赤犬」のメインボーカルで、「男の墓場プロ 大阪支部」チーム演歌主任。


写真:納谷ロマン憲幸
企画・編集:人間編集部

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