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手品で誰でも人気者になれる? 地下アイドルが奇術部に潜入してみた

マジック

Kindai Picks編集部

2018.12.18

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コラム
文化・芸能

業界では7年ごとにやってくると言われているマジックブーム。その説が本当だとすると2019年はマジックブームがやってくる!? 今回、何がなんでも人気が欲しい地下アイドルが、近大奇術部を訪問してマジックやジャグリングにチャレンジ。ライブに取り入れたり、SNSでのいいねアップを画策しました。果たして人気アップには繋がるのか?



みなさんこんにちは、地下アイドル兼ライターのふくもりみほです。

突然ですが、マジックブーム7年周期説というのをご存じでしょうか?

スターマジシャンが現れたり、テレビのマジック番組が高視聴率をマークしたり、世間のマジックブームというのは7年ごとにやってくるのが業界の定説と言われています。
その計算によると、2019年はマジックブームが到来! するかもしれないのです!

それを知ってしまったらじっとしてはいられません。
何故なら私は売れない地下アイドル。日の目を見るため、人気を得るためならどんな可能性にもすがりつきたいのです。



だってね、私、自撮りとか載せても「いいね」9とかしかつかないんですよ……他のメンバーが20、30とついてるなか、9て!


つまり、マジックブームを見越して今のうちにマジックを習得すれば人気者になれるのでは!?

そんな目論みで近大にやってまいりました。
というのも、近大の奇術部を訪問するため!

この動画をご覧ください。



何も無いところからパッとボールが現れたり、まるで体の一部のように道具をくるくる投げたり回したり……こんなの出来るようになったら注目度ナンバーワン! 視線釘付けではありませんか!

奇術部の方から技を伝授してもらえば、ライブで披露して新規ファンを獲得したり、SNSに動画を載せて「いいね」アップにも繋がるはずです。
よっしゃ! 頑張って習得するぞー!


奇術部ってこんなところ! マジックを体験


早速、奇術部の部室にお邪魔しました!



そもそも『奇術』とは人間の思い込みを逆手にとって、観客に不思議な現象を見せる芸のこと……つまり、手品のことを指します。近大奇術部では、手品に加えジャグリングなど、見る人をワッと惹きつけるパフォーマンスを日々練習されています。

とりあえず実際にパフォーマンスを見せて頂きましょう!

まず、倉庫から登場したのはこちら。



「人体切断イリュージョン」というマジックに使う道具だそうです。

マジシャンがアシスタントの女性を箱に入れて、胴や腰の部分に刃を指し込んでズラしてみると体がジグザグになっちゃう! というマジックですね。お~! これは見たことあるぞ!

「やってみますか?」と箱の中に入れてもらいます。



すこ~~~~しだけレクチャーを受けて、刃を指し込んだ真ん中の箱を動かしてもらうと……



ジャーン!!! 出来たー!!!

こちら、タネは教えられないのですが(簡単にバラさないのが奇術師としてのたしなみ)中に入ってる側としては「え、これ本当に出来てる!? どうなってる!?」という気持ちでした。出てきてから撮ってもらった写真を見て感動! 本当にジグザグになってる~!!

ひとつ言えるのは、これまで見たあのアシスタントのお姉さんたちはスゲェってことです。
ちなみにこの道具はOBさんたちの手作り。それもスゲェ。


次に登場したのは「ギロチン」


物騒なマジックを披露してくれるのは石外光太さん(経済学部4年)。ステージネームは『いっしー』。

下の小さい穴にお菓子を入れて、上から刃を下ろすと、



シャリッとお菓子が粉砕されてしまいました。


さてここからが本番。大きい方の穴に腕を通すように促され、ギロチンがセットされます。
同じように振り下ろされるギロチン……私の腕がぶった切られる……!?何も悪いことしてないのに……!

3、2、1……バンッ!



あら、不思議!私の腕は無事でお菓子だけが粉砕されました。

ナチュラルにびっくりしすぎて、素のリアクションをとってしまいました。人って本当に驚いた時はこんな顔するんだなぁ。


この後もカードマジックを見せてもらったり、


シャッフルしたカードを4つの山に配り、指を鳴らして一番上をめくると、すべてがA(エース)になっている

マジックといえばシルクハットから飛び出す鳩! 奇術部の鳩ちゃんたちを見せてもらったり……


全部で6羽。部室で飼われているとは驚き。


一通りマジックを体験したところで、本題へ。


技を伝授してもらおう! ジャグリングにチャレンジ


さて、私の最終目的は「ライブで披露する」「SNSにアップしていいねゲット」なわけですが、どうもマジックは道具の準備が大変そうだということがわかりました。
ステージにでかい道具は持っていけないし、鳩は飼えない。

「できるだけ短時間で習得できて、ライブ&SNS映えしそうなものを教えてくれ~!」という、私の浅ましい考えを伝えると「それじゃあ、こちらはどうでしょう?」と屋外へ……


奇術部の代表である上月梓矢さん(文芸学部文学科2年)

ボールジャグリングです」

ジャグリングっていうと、あのボーリングのピンみたいなのとかボールをいくつもポイポイ投げて操るやつですよね。
なるほど、マジックブームに乗ることからは逸れちゃうけど、もう人気さえゲット出来そうならなんでもやりますよ!


ジャグリング歴7年という上月さんにお手本を披露していただくと……



かっこいいー!!

「じゃあ、まずは3つからやってみますか? 10分くらいで出来る人もいますよ!」とレクチャーを受けました。

しばらく練習しましたが……





上月さん「すみません、10分ていうのは盛りました」



おい!!



このあともボールをこぼしまくる私に、上月さんから次のパフォーマンスが提案されました。

ライブで披露したりSNSでアップするなら『ポイ』が華やかで映えると思いますよ

ポイ……?


ポイってなんだ? やってみよう!


ポイとは、紐の先にボールがついている道具を両手に持ってくるくる回すジャグリングの一種だそうです。ボールにひらひらとした布がついた「テールポイ」や、最近ではLEDで光るポイもあり、野外イベントやクラブなどで披露されているパフォーマンスとのこと。

実際に見せてもらうと……



これ、SNSでバズッてるの見たことある!!

ステージ映えしそうだし、紐がついているから危なくなさそうだし、さっきのジャグリングよりはなんか……出来そうな気がする!

よっしゃ、今度こそ習得して披露できるようになってやるー!!

早速、ポイをメインのパフォーマンスとしている1年生の久保宏斗さん(総合社会学部総合社会学科)に教わってポイを触ってみることに。



「まずは縄跳びをするように前に回してみてください。次は8の字に回して……右手からやってみましょう」と、段階を踏んでレクチャーしてくれる久保さん。

2ビートウィーブという初級の回し方

久保さんに比べるとかなり不格好ですが、まずは一歩進めました。

さぁ、続いて最初の難関とも言える「3ビートウィーブ」という回し方へ。



見てくれ。この上達。

「すごい!早いですよ~!僕は3日かかりました!」

さっきもそうでしたが、奇術部の人たちって基本褒めて伸ばしてくるタイプなんですね!
よっしゃやるぞ~!!



しかし、調子に乗った瞬間、ボコッドスッと容赦なく体にぶつかってくるポイ。


見た目はゴムボールのようですが、実はこれ結構重みがあって当たると痛いんですよ……! 何回も当たるとくじけそうになる。

「体がもう一回り小さければっ……!」と騒ぐ私に対して、「体の大きさは関係ないです」と冷静に答える久保さん。ううっ……!


私が頭や顔面にポイをくらっている中、奇術部の皆さんは……



なんとボールやシガーボックスなど、各々のジャグリング道具を持ちながら『だるまさんが転んだ』をしているではないですか。

道具を手元で操りながら進んで、鬼が振り返ったらピタリとストップするという、めちゃくちゃ高度な遊びに興じています。



そんな中もくもくと練習して、あとは自主練習ということに。


果たして人前で披露できるまで上達するのでしょうか。


なぜ奇術部に? 周り方の反応は? 部員の皆さんにインタビュー




(手前から)
上野裕也さん(前代表)
理工学部機械工学科4年
ステージネーム パンダ

上月梓矢さん(代表)
文芸学部文学科2年
ステージネーム あずさ

久保宏斗
総合社会学部総合社会学科1年
ステージネーム めいり~

近大奇術部
部員は現在12名。活動は週2回。
学祭などの学内行事でパフォーマンスをする他、地域のイベントや施設のパーティーなどに呼ばれてマジックやジャグリングを披露することも。ちなみにステージネームは1年生の時に全員付けて、他大学の奇術部と交流する時などは、このネームで呼び合うことが多いそうです。


みなさんなぜ奇術部に?



中高と運動部でしたが、大学では文化系に入ってみようと思って。入学前の説明会の時に奇術部を見て、動きの綺麗さに惹かれて入りました。

僕は中学1年生の時に大道芸人さんに憧れてジャグリングを始めたんですけど、高校もジャグリング部のある学校に進んで、大学でも続けたかったので入部しましたね。


紐の上で特殊な形のコマを回転させたり、高く飛ばす中国ゴマもジャグリングのひとつ

僕は学部説明会での先輩たちのパフォーマンスを見て、かっこいいと思って入りました。


あずささんとめいり~さんはジャグリングをするジャグラーで、パンダさんはマジシャンと聞いているのですが……


はい、マジシャンの中でも鳩を扱う『鳩演者』でもあります。



さっき見た鳩ですね! パンダさんがお世話してるんですか?



はい、僕がほぼ毎日世話しています。もう4年の付き合いになりますね。



すごい! 飼っているようなもんじゃないですか。かわいいですか?



かぁわいいです! ほんまにかわいいです。だってそうじゃないと毎日世話できないです(笑)鳩によってはマジック中に他の鳩に喧嘩をしかける子もいて大変ですけどね。演技中は鳩トラブルまで対応出来ないので困ります。



鳩トラブル! パンダさんが一番得意なマジックはやはり鳩ですか?



いや、傘を使うマジックです。鳩はウケは良いんですけど、施設的に鳩NG案件が結構多いんです。屋外は屋外で、野生に帰る可能性が充分あるから連れて行けないですし。

充分あるの!? 毎日お世話してるのにつらすぎる!



飲み会とかで奇術って披露するんですか?



奇術部のメンバー以外との飲み会ではネタ振りされますね。「ジャグラーならこれ投げれるでしょ」みたいな。



ジャグハラですね(笑)。



ジャグラーあるある!? ジャグリング出来たら出来たでそんな苦労が……



マジシャンも、何かしら急に渡されて「これ消して」みたいな。一応、僕は常にトランプとリングを鞄に入れてますね。

※リング:金属製のリング同士が繋がるマジック道具。

ひぇー! 偉すぎる!……私なら「アイドルやってんでしょ、ここで歌って踊ってよ」とか雑なフリされたらブチギレてしまう。パーティーなどで出し物頼まれたりもしますか?

はい。おじいちゃんの米寿のお祝いにやってくれって言われたことがあります。入部して3ヶ月くらいの時だったので大変でしたがめちゃくちゃ盛り上がってくれましたね。


実は理由がある衣装、気になる道具のお値段



パフォーマンスごとにマッチした服装とかあるんですか?



ジャグリングは衣装を選ばないけど、マジックは種を隠すためにスーツが好まれます。



例えば、燕尾服って見た目が良いだけじゃなくてマジックをする上で都合の良い形をしらているんですよ。詳しくは言えないんですけど、あの形のおかげで出来る技があったりとか。


燕尾服で鳩を操るパンダさん

衣装は自前なんですか?



そうですね。私は一式4万円で買いました。



まじか! 私の衣装なんて手縫いですよ。



ジャグリングの道具でも、LEDのボールは1個1万円。それを5個用意したりするので……。奇術をやっていると、金銭感覚がバグります。


中国ゴマはコマとスティック合わせて9.500円

持っている道具で一番高いのは?



僕はLEDのポイで、1万3000円くらいです。



自分で買ったものではないけど、使っている道具で一番高いのは12万円です。タネがわかってしまうので、どの道具かは言えないですが、卒業公演で使うので予想してみてください。

ひぇー! 12万の道具は扱うのも怖いです。




奇術はモテる? パフォーマンスのやりがいとは


ところで、奇術が出来たらモテますよね? 人気者になれますよね? 私の計画ではスゴイ技を習得して、みんなにキャーキャー言われる人気者になる予定なんですけど。

人によります。



ジャグリングしてモテる人はジャグリングしなくてもモテるって言われてますね。



そんなぁ! いや、でもモテる下地はあると思うんで頑張ります。爆発的にモテに繋がらなくても、奇術を始めて良かったことってきっとありますよね?



人前に出ることに対して抵抗がなくなりましたね。



笑顔がうまくなったって言われますね。マジシャンはマジックが成功したら、「ここが見せ場ですよ」というのを笑顔で示さないといけません。だから1年生の時に笑顔の練習をするんですよ。

色々と良い効果が……。それにしても皆さん本当に真面目に奇術に打ち込んでいるんですね。私も動機は不純だけど、頑張って練習します!


あとはひたすら練習! 人前で出来るようになるのか?


さて、ライブで披露するためにあとは自主練習です。

これがなかなか大変で……公園で練習していると子供たちが寄ってきて「何それ」「貸して貸して」攻撃。そして貸してあげたら貸してあげたで、すぐ無残に投げ捨てられるポイ……。

部屋の中でやろうとすれば天井にぶつかるわ、ハンガー引っかけて飛んでいくわの大惨事。



ということで夜の公園でひたすら練習しました。



さぁいよいよライブ当日!



披露するのはラストの曲! メンバーにもポイを少し持ってもらって、お客さんに紹介しました。


そして……いざ披露!



『ファウンテン』という体の周りを一周させる技なのですが、見栄えはちょっと悪いけどなんとか形になったんじゃないでしょうか!?

練習動画の残念っぷりを見て「本番笑ってしまうかもしれない」と言っていた撮影スタッフも、ファンの方も「思ったより出来ていた!」と言っていました。


そしてライブの様子をSNSに投稿したところ……



公開から3日間で38いいね……! び、びみょ~に増えました!!

うーん、そんな簡単に人気者にはなれないんですね……!
目に見えての爆発的増加はありませんでしたが、ジャグラーっぽい方にフォローされたり、滅多にコメントをくれないファンの方がツイッターで褒めてくれたり、確実に良い効果はありました。

やっぱり動画をアップした時に得られる「いいね」や「すごいー!」というコメントが気持ちよくて気持ちよくて……!


インスタグラムにもアップしたのですが、友達に会った時に「インスタにあげてたあのスゴイの何!?」「あんな特技があったとは!」と直接声をかけてもらうこともあったし、今まで一度も「いいね」をくれなかった母から、初めての「いいね」をもらいました。

結論! 奇術で急に人気者にはなれないけど、「いいね」はちょっと増えるし、褒めてもらえる。




予想以上に素敵な世界




インタビューや練習風景から、奇術部の方々がとにかく楽しんで活動されているのが伝わってきました。

そんな奇術部の皆さんの次の舞台は?!

『卒業公演』
1月13日(日)17時30分~ 
場所:近畿大学東大阪キャンパス 11月ホール


マジックやジャグリングを是非間近で見てきてください!

いや~「ポイ」は簡単なように見えて難しい。
でも、公園で練習していると外国人観光客の方に写真を求められたり、他のジャグラーの方に話しかけられたりして輪が広がっていく感じがしてとても面白かったです。
あと、実はライブでの披露が終わってからも再生回数が伸びそうな動画研究を続けております。SNSから人気者になることは諦めていないぞ!

皆さんもこれからのシーズン、クリスマスパーティーや忘年会でひとつ奇術を身につけて注目を浴びるのはどうでしょうか?
予想以上に素敵な世界が広がるかもしれませんよ!


取材・文:ふくもりみほ
写真:黒川 直樹
編集:人間編集部



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