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2019.08.28

即興ダンスバトルの魅力に迫る!世界最大級の大会で決勝敗退した近大チームの熱い想い

Kindai Picks編集部

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サークル
ストリートダンス
ダンスバトル
学生ライター
オリジナル記事

今年で14回目を迎えた世界最大級のストリートダンスイベント「マイナビ DANCE ALIVE HERO'S」。大学生・大学院生・専門学生部門のダンスバトル「RIZE」で準優勝に輝いた近畿大学のダンスチーム「KINDAI MAGU LOCKERS」とは!? メンバーの2人にインタビューしました。

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マイナビ DANCE ALIVE HERO'S(マイナビダンス アライブ ヒーローズ)」は、2005年にスタートし今年で14回目を迎えた日本発のダンスバトルイベント。HOUSE、BREAK、HIPHOP、ALL STYLES、RIZE、KIDS全6カテゴリーのダンスバトルの他、高校ダンス部の頂点を決めるダンスコンテストなどが同時開催され、毎年12,000人以上の動員を記録する世界最大規模のストリートダンスのビッグフェスとして親しまれています。

※2005年に「DANCE@LIVE(ダンスアライブ)」として日本で誕生し、2018年より「DANCE ALIVE HERO'S」として名称を新たに再始動した。

RIZE QUARTER FINALで明治大学のWasted youthとの対決

2019年4月21日に東京の両国国技館で行われた決勝大会「マイナビDANCE ALIVE HERO'S 2019 FINAL」で、近畿大学のダンスチーム「KINDAI MAGU LOCKERS」が大学生・大学院生・専門学生部門の「RIZE」に出場。日本経済大学の「九州男児」チームと戦い、準優勝に輝きました!


左から、楠本達也(理工学部 応用化学科 3年)、原萌加(通信教育部 法学部 法律学科 4年)、土屋湧太郎 、枝川大輝(理工学部 理学科 化学コース 2018年度卒業)、林大貴(文芸学部 芸術学科 舞台芸術選考 4年)

ダンスバトルは、対峙するダンサーがDJの選曲に合わせて即興で交互に踊り、そのパフォーマンスを競う競技。世界最大規模の大会で、どうやって決勝戦まで登りつめたの!?メンバーの楠本達也くん(理工学部 応用化学科 3年)と林大貴くん(文芸学部 芸術学科 舞台芸術専攻4年)に、大会の様子やダンスへの熱い思いを伺ってきました!


どんな曲が流れるかわからない!即興ダンスバトル




ーー準優勝おめでとうございます!まず始めに、チーム結成のきっかけを教えてください。

楠本くん:僕と林くん、リーダーの土屋くん、今年卒業した枝川くんの4人は「EPOK」という同じダンスサークルに所属していて。紅一点の原さんは、サークルのメンバーではないんですが、ダンスが上手だと大学内で有名で交流があったんです。この大会に出るために、近畿大学の学生5人でチームを作ることになった時、リーダーがメンバーにそれぞれ声をかけてくれました。

ーーみなさん元々この大会に興味があったんですか?

楠本くん:僕と原さんはこの大会に対してすごく熱い思いがありました。僕も原さんも、去年は別のチームで出場していて、原さんはベスト8まで進出したんです。他の3人は今回が初出場でした。

林くん:楠本くんはアメリカ旅行の予定が入っていたのにキャンセルしたんですよね。

楠本くん:そうなんです。夏休み中にあった1回目の予選が僕のアメリカ旅行の日程と被ってしまって……。旅行のキャンセル料6万円を払って予選に出ました。

ーー6万円!!

楠本くん:はい(笑)。リーダーに誘ってもらったことが嬉しくて、6万円を捨ててでも絶対にこの大会に出たかったので……。予選が終わってから、別の日にちゃんとアメリカ旅行は行ったんですけどね。



ーーチーム名はどうやって決めたんですか?

楠本くん:僕以外のメンバー4人は、ロックダンスという、ロボットダンスに近い……カチッと静止する動作を入れながら踊るダンスを専門にやっているんですよ。

※ロックダンス:1970年代に誕生したストリートダンスで、名前のロック (Lock) とは錠を意味し、激しい動きから突然静止しポーズを取る(ロックする)スタイルが特徴。

林くん:その、ロックダンスの創始者のドン・キャンベルという人が組んでいたダンスチームが「The Lockers(ザ・ロッカーズ)」という名前で。彼らへのリスペクトの意味も込めて、「ロッカーズ」と「近大マグロ」を合わせた「KINDAI MAGU LOCKERS」になりました。

楠本くん:僕は「近大マグロ」って意味に気づかずに、「MAGU」って言葉に何か意味があるんかな〜?と思いながら「いいんじゃないですかね!」って言っちゃって(笑)。そのまま1回目の予選で優勝してしまったので、後に引けなくなりました……。

ーーでも、大学としては嬉しいんじゃないですか?近大マグロを推してくれてるって(笑)

楠本くん:そんな意図はなかったんですけど、結果的にそう思ってくれたら嬉しいですね(笑)

ーー大会までにどれくらい練習しましたか?

楠本くん:ダンススタジオに集まって練習してたんですけど、かなり不定期で……。即興ダンスバトルなので、練習といっても、することは基本的に個々のダンススキルをあげることと、みんなで揃えるルーティーンを決めて合わせることくらいなんですよね。

林くん:対戦するチームと5対5でソロとルーティーンを交えたダンスで戦うんですけど、どんなの曲が流れるか本番にならないとわからないんです。ルーティーンはその場の空気感とノリでタイミングを合わせていました。

楠本くん:全員揃う練習は各予選の前に1〜2回ぐらいでしたね。4月に社会人になったメンバーが研修で東京に行ってしまったので、決勝の大会前も5人揃って練習できたのは1回だけでした。でも、みんなダンスバトルを経験してきたメンバーなので、アドリブに関しては全然問題なかったです。



ーーチームの個性や魅力ってどんなところなんでしょうか?

楠本くん:僕以外の4人がロックダンス専門で、僕はポップダンス専門なんですけど、ロックダンスの経験もあったので、ルーティーンが作りやすかったです。5人とも違うジャンルを踊っているチームも多い中、ロックダンスにジャンルを絞って大会に出場したことは僕たちの強みでした。

※ポップダンス:ストリートダンスの一つで名称の由来は筋肉を弾くこと。主に体の各部位が別々の動きを取るような踊り方をする。

林くん:一人ひとりが色んなところからダンスを吸収しているので、ジャンルは同じでもそれぞれ個性があって。みんな「やる時はやる!」というスイッチを切り替えられるところも強みでした。あとは、いい意味でみんな「適当」なところとか……。

楠本くん:いや、僕は違うから!僕以外みんな適当だから、練習の集合時間に全然集まらなかったりして。一番ひどかったのが、林くんは終電を逃して練習に来れなくなって、原さんは必要な書類を別の場所に置いたまま練習場所に来た日ですね(笑)。僕だけずっと練習場所で待ってたんですけど、残りの2人もなかなか来なくて……。何してんねんやろ?と思ったら「早く着きすぎたからちょっとお酒飲んでたわ!」って(笑)

林くん:そのゆるいところがいいんですよ(笑)


緊張に勝る高揚感!オーディエンス票は4対0で勝っていた!?




ーー1万人以上の観客の前で踊るというのは、やはり緊張しますか?

林くん:緊張に勝る感情がありましたね。「自分は今、四方八方から1万人もの観客に見られてるんや!」と思うと、スターになったような高揚感があって。めちゃくちゃテンション上がりました。「もうどうなってもいいや」という気持ちで踊っていました。

楠本くん:とにかく、照明がすごいんですよ。ステージの上だけをカッと照らしてくれていたので、対戦チームと僕ら「10人だけの空間」という感じで。あと、音響設備もすごいし、プロのDJが曲をかけてくれるので、音がめちゃくちゃ気持ちいいんです。僕が得意なポップダンスは、音の強いタイミングに合わせて力を入れる「ヒット」という動きがあるんですけど、音が身体中に響いて勝手に身体が動いていました!

ーー本当に、緊張よりも楽しさが伝わってきます!みなさんすごく仲がよさそうですよね。

楠本くん:今まで喋ったことのないメンバーもいたんですけど、この大会をきっかけに思いっきり距離が縮まりました。

林くん:メンバー全員を信頼しているから、不安が一切なかったです。

楠本くん:基本的に僕が1発目に出て行くんですけど、僕が何をしても「先輩がそれ以上にすごいことをやってくれる!」っていう確信があって。

林くん:同じチームの仲間だけど、各々のソロパートでは「スゲー!」って、観客みたいに感動してましたね。即興だから何が起きるかわからないので。



ーー優勝できなかったのはやっぱり悔しいですか?

楠本くん:優勝したのは、日本経済大学の「九州男児」というチームなんですけど、彼らは、小学生の時から注目されていて、テレビなどのメディアで取り上げられていた有名なチームなんです。

林くん:今回の大会に出るために彼ら5人で同じ大学に進学したくらい……この大会にかける熱意が全然違っていました。

楠本くん:だから、「負けて悔しい」というよりは、そのチームと決勝で一緒に踊れて、感情をシェアできたことが嬉しくて。彼らがいたからこそ、僕たちも本気を出せたんだと思います。

林くん:もう、中身むき出しで「越えてやろう!」「食らいついてやろう!」って全力で踊りました。その必死さが観客に伝わったのか、観客は僕らをめっちゃ応援してくれて。

楠本くん:審査員票以外に、観客によるオーディエンス票があるんですけど、実はオーディエンス票では4対0で僕たちが勝ってたんですよ。一瞬「もしかして優勝できるんじゃないか?」って思ったんですけど……プロのジャッジは厳しくて、0対7で全部相手チームに持っていかれました(笑)。悔しかったですけど、やるだけやったので満足です!

林くん:あの興奮は忘れられないですね。審査員も、ダンスといえばこの人!という世界的に有名な人たちが集まっていたので、そんな人たちに審査してもらうという貴重な経験ができてよかったです。



ーー今回の大会を通して得たものは何ですか?

楠本くん:僕はダンスを始めて最初に見たのがこの大会の動画で、大学生とは思えないハイレベルなダンスに衝撃を受けて、ずっとこの大会に出るのが夢でした。決勝大会にまで進めて、12,000人の観客の前で踊れたことが本当に嬉しかったです。先輩が引っ張ってくれたということも嬉しくて、これからは自分がそんな先輩になりたいと思いました。

林くん:僕は視野が広がりました。他の出場者のレベルもすごく高くて、そういう人たちと同じ舞台で踊れたことは次へのモチベーションが上がりました。他部門も含め優勝した人たちにもっと近づけるんじゃないかという希望も持てましたし、これからの活力にもつながりました。


格好よく踊ることだけがダンスじゃない!




ーー大学ではどんな勉強をしていますか?

林くん:僕は、文芸学部の舞台芸術学科で、コンテンポラリーダンスや演劇を通じて表現技法について学んでいます。大学で学んでることが直接ダンスに結びついていますね。

※コンテンポラリーダンス:現代舞踊の中でも既成のジャンルに属さないものを指す。

楠本くん:僕は理工学部の応用化学科で、ダンスと全く関係ない勉強をしています(笑)

林くん:僕は、最近ダンスのインストラクターや作品依頼を受けたりするようになって。卒業後も企業に就職するのではなく、ダンスの道に進んでいこうと思っています!

楠本くん:僕はこの大会が大学生活での目標だったので、もう悔いはないです。親がせっかく大学に通わせてくれているので、大学での勉強を将来に活かしたいです。ダンスは趣味として続けて、将来的には食品系の会社に就職したいと思っています。

ーー2人にとってダンスとは?

林くん:ダンスは、格好よく踊らないといけないわけではなくて。日常生活では絶対に味わうことのできない感覚だったり、自分のマインドやパッションを外に出せる手段なんです。

楠本くん:僕はとにかくダンスバトルが好きで、ダンスを通して相手と対話できるのがめちゃくちゃ楽しいんです!音楽のある空間で体を動かせる感覚も楽しいです。アメリカに行ってダンスバトルをした時に、英語が話せなくて言葉が通じなくても、ダンスを通して仲よくなれました。

林くん:スポーツでもアートでもない、「ダンス」っていう身体言語なんですよね。ダンスを通して色んな感情を仲間とシェアできる。人とつながるためのコミュニケーションツールでもあると思います。

ーーちなみに、ダンスやってるとモテますか?

楠本くん:全く……。

林くん:モテないです(笑)

ーーそうなんですか?!

林くん:ダンスやってる人って、ちょっと変な人が多いんですよ。自分の世界に入り込んでしまうというか……。やるなら格好よくありたいですけどね。僕はダンスがなかったら何も残らないかもしれない(笑)

楠本くん:モテたくてやっているわけではないし、気にしたことないですね。普段は真面目に実験ばかりしてるので、同じ学科の友達からは「踊っている姿が想像つかない」って言われます。



ーー最後に、これからダンスを始めたいという人にメッセージをお願いします。

楠本くん:音楽に合わせて体を動かせるって、本当に幸せなことだと思うんです。上手い下手は関係なく、ダンスを通して感情をさらけだすことで、言葉を超えたコミュニケーションがあるんです。ダンスを始めようか悩んでいる人はぜひ一歩踏み出してみてください!

林くん:ダンスはいつからでも始められると思います。一緒に踊ればすぐに仲間になれるので、近大生でダンスをやってみたい人は是非僕たちの所属するサークル「EPOK」に入ってみてください。誰でもウェルカムです!


(終わり)


ライタープロフィール
岡島 彩乃(おかじま あやの)
近畿大学 総合社会学部 社会マスメディア系専攻 2年
どこまでも会いに行く女性地下アイドルオタク。フライドポテト愛は誰にも負けない。趣味は音楽制作、特技は即興ラップ。株式会社人間でインターン中。
Instagram:ayano__0ver SoundCloud:


企画・編集:人間編集部

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