2019.02.25
空気中のウイルスを吸うだけでうつる。増えるはしか(麻疹)の感染力とその症状。
- Kindai Picks編集部
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大阪府、三重県内ではしか(麻疹)患者が増加しています。
はしかかな?と思ったら、疑いのあることを事前に医療機関に電話で伝え、速やかに受診しましょう。
記事監修:近畿大学メディカルサポートセンター
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はしか(麻疹)はどんな病気ですか?
はしか(麻疹)は感染力が非常に強く、まん延を防止することが極めて困難なことから、集団生活の中において感染には十分な注意を払う必要があります。
流行の原因は何でしょうか?かかりやすい年齢層はありますか?
はしか(麻疹)は過去には10代~20代を中心に大流行しました。その原因として考えられるのは、まず当該年齢層の人がはしか(麻疹)の予防接種を全く受けていなかった、もしくは1回は受けたけれども免疫が獲得できなかった(数%存在するようです)、あるいは、一度は免疫を獲得したが近年のはしか(麻疹)患者の減少によって、自然感染による免疫増強効果が得られず、十分な免疫を保有していなかったことなどが考えられています。 そこで、平成20年から5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目のワクチン接種の機会を設けたことなどにより、10代~20代の罹患は激減しました。
今年は特にニュースで目にする気がしますが・・・
そうですね、2019年2月に大阪府、三重県などで集団発生が認められ、厚生労働省や大阪府がその感染力の強さと重篤な合併症を引き起こすこともあるため注意喚起をしています。
はしか(麻疹)はどのように感染するのでしょうか?
はしか(麻疹)の感染経路は空気・飛沫感染で、主に感染者の咳やくしゃみなどを吸うことにより感染します。
空気・飛沫感染とはどのようなものでしょうか?
空気感染は、空気中を漂う病原体を呼吸により吸い込み、鼻、のど、気管、肺などの粘膜に直接付着して発病の原因となるものです。飛沫感染とは、感染している人のくしゃみや咳で出るしぶきを吸い込むことによる感染で、くしゃみや咳を浴びる距離(2メートル程度)にいる人は感染の危険性が高いと言われています。(厚生労働省サイト参照)
インフルエンザよりはしか(麻疹)の方が感染力が高いと聞きました。本当でしょうか?
そうですね、飛沫感染だけでなく空気感染するため、はしか(麻疹)の感染力はインフルエンザの10倍以上で、感染した方の約90%が発症すると言われています。
はしか(麻疹)になるとどのような症状がでますか?初期症状はどのようなものでしょうか?
感染後は10~12日の潜伏期間を経過したのち、38.0℃前後の発熱や咳・鼻水など風邪と同様の症状で発症します。この時期をカタル期と呼びます。
その後一旦熱はさがりますが再び高熱となり、それとほぼ同時に身体に発疹が出現します。発疹がでる前後にははしか(麻疹)患者特有の症状であるコプリック斑(頬の内側の粘膜に出現する白い斑点)がみられます。
症状は何日くらい続きますか?
発疹は4~5日続いたのち徐々に退色して色素沈着後に消失し、合併症がなければ発症後10日前後で回復します。
麻疹の合併症として注意を要するものに肺炎と脳炎があります。
人に感染しない、外出できる目安はありますか?
感染力は、カタル期~発疹出現期をピークに次第に低下していきます。
基本的に熱が下がってから3日間を過ぎれば外出可能となりますが、主治医の指示を仰いでください。
はしか(麻疹)になったら?
もし、はしか(麻疹)にかかったらどうすればよいですか?
はしか(麻疹)患者と接触後に、37.5℃以上の発熱や咳・発疹が出現した場合は、すぐに医療機関を受診してください。
受診の際にあらかじめ電話で、はしか(麻疹)への感染のおそれがあることについて伝えておくようにしましょう。他の患者さんへの二次感染の防止にもつながります。
はしか(麻疹)の予防方法は?
はしか(麻疹)にならないように、未然に予防はできるのでしょうか?
はしか(麻疹)は、空気感染、飛沫感染し非常に感染力が強く、マスク着用等によっての予防はできません。予防接種を受けることが、最も効果的な予防策です。
予防接種はしたほうがいいのでしょうか?
今までに、はしか(麻疹)にかかったことがなく、予防接種も受けたことがない場合、あるいは1回だけの接種であるという場合には、予防接種を受けることをお勧めします。
予防接種を受けたかどうか記憶がないのですが・・・
接種の有無が不明である場合については、各自治体、保健所でも検査ができる場合があるため問い合わせをしてください。はしか(麻疹)の抗体検査を受け、免疫がなければ予防接種など医師の判断を仰ぐことをおすすめします。
定期予防接種の期間以外は任意接種(有料)になりますので、最寄りの医療機関にお問い合わせください。
ほかに何か日常的に気を付けたほうがいいことはありますか?
帰宅後は手洗い・うがいを行い、十分な睡眠を心がけましょう。体を休めることは免疫力を向上させることにつながり、病気にかかりにくくします。
また、日頃からバランスのよい食生活をおくり、免疫力を高めておきましょう。カップラーメンだけですませたり、偏った食事は免疫力の低下につながります。
野菜、魚や肉類、豆類、海藻類、キノコ類、イモ類、ゴマやナッツなどの種子類を、バランスよく摂りましょう。その時期にとれる旬の野菜は栄養価が高いので、積極的に食べることをおすすめします。
<関連リンク>
・麻しん発生報告数の増加に伴う注意喚起について(厚生労働省)
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