2017.12.15
【閲覧注意?】近大奈良キャンパスにいるイケメンの虫愛がハンパない!
- Kindai Picks編集部
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農学部のある近畿大学奈良キャンパスには、虫マニアの学生がたくさん集まり、日常的に昆虫採集をしているらしい。レアな虫ばかりを狙うガチ勢もいるとか。
虫マニアが多いキャンパスとはどんな場所なのか?虫の接写撮影が大好きなビデオブロガー、ジェットダイスケがレポートします。
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こんにちは、ビデオブロガーのジェットダイスケです。
YouTubeで主にカメラ機材のレビュー動画などを配信しています。また、そういったカメラを駆使して様々な写真を撮影していますが、なかでも虫の接写撮影が大好き。
今年5月には蝉の羽化シーンを題材にした写真展を開催して好評を博しました。
▽写真展:ジェットダイスケさん初の個展 宝石のような「セミの美」 - 毎日新聞
Kindai Picksの編集さんにその作品を見せたところ、「近畿大学に虫マニアの学生がいるので、学生の案内で虫の写真を撮ってきてほしい」…と。
というわけで、虫マニアの学生がいるという近畿大学奈良キャンパスにお邪魔しました!
必然的にこの記事の写真は虫成分が多めなので、虫嫌いの方はくれぐれもご用心ください。
農学部の虫マニアイケメンとご対面!
奈良県の山間に居を構える、近畿大学奈良キャンパス。
ここは農学部のキャンパスで、生き物や食物に関わることを学ぶ学科の特性からか、野生動物や昆虫が数多く生息する里山や調整池など大自然に囲まれています。野菜やハーブなどを育てている畑もあるそうです。
笑顔が素敵な好青年が登場。
そして、待ち合わせ場所にやってきたのは農学部 環境管理学科の石原 竜くん。
長大なたも網を手にしている以外は、どう見てもイケメンで好青年。
こんな子が本当に虫マニアの学生なの!?
しかし、出会って10秒足らずの彼は自己紹介もそこそこに、「さっきそこでアオダイショウ捕まえたんですよ」と、いきなりの先制パンチ。
小瓶からアオダイショウの幼蛇をとりだし嬉しそうに見せてくれました。
えっ!?虫好きだって聞いてたけど、もっと広義の「蟲(爬虫類の意味も含む)」のほうも範疇なの!?
アオダイショウがその辺にいるなんて、奈良キャンパスがいかに自然に恵まれた場所か一発で理解できますよね。虫好きの一人として期待に胸躍らせずにはいられません!
てな訳で、早速キャンパス内での昆虫採集に出かけました。
自然豊かな里山で、昆虫採集スタート!
とても、大学の中とは思えない”ぼくのなつやすみ”感満載の里山。
里山へ向かう最中、桜並木を歩いていると石原くんが目ざとく草むらに何かを発見。あれよあれよという間に捕獲してきたのは極めて小さな昆虫、ツマグロオオヨコバイ。
「羽を持てば逃げないんですよ〜」と、冷静に語る石原くん。
細長い体型に黄緑色の体色と黒い斑点から、別名をバナナ虫とも呼ぶそう。よく見かける昆虫ですが、そうした俗称を聞くとなんだかユーモラスにも思えて愛おしいですよね。
確かに、鮮やかな黄色がバナナ感を醸し出してる!
その手に捕まえた写真を撮影するやいなや、すぐさま「太陽が出てきた!」と石原くん。
道の傍に立つ一本の木を見上げながら、7メートルまで柄が伸びるというたも網をかかげます。
「いきなりのビッグチャンスですね」と、大はしゃぎな石原くん。
どうやら、日が射すとエノキの樹のまわりをタマムシが飛ぶのだと。かの国宝・玉虫厨子ではその上翅が宝飾として扱われているあの美しい昆虫、ヤマトタマムシです。
小柄な体格ながらも最長7メートルのたも網を駆使する男前っぷり!
本当にいるんだろうか?そう思ってるそばから「いた」と石原くん。すぐさま、たも網を振り回します。樹上に向けてシャッターを切ると、青空をバックにタマムシが飛翔する姿が写っていました。
青空の中を空飛ぶタマムシ!さすが、石原くん無事捕獲にも成功。
早速、捕獲したタマムシを石原くんの手の上で撮影してみることに。
本当に日照があるとよく飛び回る昆虫なので、この写真を撮影した1秒後にはもうてのひらから飛び立っていきました。
気を取り直してもう一度別個体を捕獲してもらったのがこちら。今度は日陰に持っていき撮影しました。
日なたで撮影したタマムシの輝き
日陰で撮影したタマムシの輝き
しかし、日なたで見る時とは輝きが違ってしまうので、ライティングには非常に苦労させられました。
それを見て「構造色ですからね〜」と石原くん。さすがの解説!
そう、実に美しいこの輝きはCDの盤面などと同じ「構造色※」という仕組みで輝いているのです。
※構造色…光の波長あるいはそれ以下の微細構造による発色現象を指す。身近な構造色にはコンパクトディスクやシャボン玉などが挙げられる。それ自身には色がついていないが、その微細な構造によって光が干渉するため、色づいて見える。構造色の特徴として、見る角度に応じて、様々な色彩が見られることが挙げられる。(Wikipedia)
昆虫採集へ出かけてすぐに美しい昆虫たちに巡り合うことができるとは、近畿大学奈良キャンパス恐るべし……!
我々はこのあと意気揚々と調整池の周辺や裏山を駆け回り、およそ2時間にわたり昆虫採集&撮影を楽しみました。
里山周辺で出会った、数多くの虫たち!
少々足場の悪いところでも虫のためなら臆せず分け入っていく。スズメバチがいても御構い無し…!
花に網をかけてこそぎとるように動かす「スウィープ」という採取法。
スウィープによってコアオハナムグリが捕獲できた。
里山に入ってすぐに発見した絡新婦(じょろうぐも)。
ポピュラーな蛾の一種ギンツバは地味やけど、模様が美しい。
小ささが愛くるしい、ナガニジゴミムシダマシ。
鮮やかなオレンジが目を惹く、アカサシガメにも遭遇。
里山の入り口付近の木にびっちり張り付いていた毛虫。
季節柄、キャンパス内ではさまざまな種類のカマキリの姿が見られた。
採集した虫たちを撮影しているあいだにも、石原くんは新たにナガコガネグモを捕獲。
とにかく虫を見るとじっとしていられない様子で、本当に好きなことが伝わってくる。
バスロータリーのガラスにとまったシロヒトリという蛾を裏側から撮影。
道端にいたジャコウアゲハの幼虫を「かわいい」と手にとる石原くん。
まさに虫天国な里山に興奮して、僕も一心不乱にシャッターを切り続けました!
イケメンが虫好きになった理由とは!?
およそ、2時間半の昆虫採集は大収穫!
昆虫採集に夢中になりすぎたせいで、石原くんとは「あそこに虫が!」「どこ!」的な会話しか出来ずじまい(笑)。
気を取り直してベンチに座り、石原くんにインタビューしてみました。
キャンパスではどんな事を学んでるの?
環境管理学科は、農学部のなかでも一番何をやってるかわからないってよく言われる学科なんですけど、生態系とか生物循環の勉強がメインで、少しだけ農業のことも勉強します。地球規模の海流のことや、もっと小規模だと里山の環境問題とか…。
入学したきっかけは?
オープンキャンパスで、きのこやヒキガエルを展示している先生がいて「これはヤバい!ここしかない!」と思いました(笑)。その先生が環境管理学科での今の担任です。入学すると虫好きの仲間もたくさん見つかって「ここに骨埋めたんねん!」て言ってますね。
なるほど、ちなみに授業でも虫のことを学んでるの?
残念ながら、昆虫についての授業はないです。農業生産科学科では農業害虫などについて教わるそうですよ。ただ、学内の昆虫マニアが集まってキャンパスで昆虫採集をやっています。
売買する"標本商"は嫌われる!?
捕獲した虫の種類を判別しにくいときはガイドブックを参考に同定する。
じゃあ、授業やサークルとかじゃなくて、自然発生的に虫好きの学生が集まるようになったってこと?
ざっくり言うと、そんな感じですね。僕は入ってないですが、生物研究会というクラブには「虫班」というグループもあるみたいです。虫が好きで勉強したいという方もいれば、もっとレアな虫を獲りたいというガチ勢もいるとか…。
石原くんが言うガチ勢が昆虫採集する目的は飼育?それとも標本や売買?
捕獲自体は、自己満足の極みでしょうね(笑)。もちろん飼育している人もいます。標本はみんなやりますが、それを売る人達は「標本商」って呼ばれていて、昆虫好きたちからは忌み嫌われています。
学内で売買してる人もいるの?
身内ではいませんね。そういう人がいたらdisられると思います。
例えば、インドネシアでは、標本のための昆虫採集が現地での手っ取り早い収入源になり、売買が活発になるほど現地の採集圧がかかります。それを僕たちが気にしたところで何も変えられないかもしれませんが、農学部には環境意識が高い学生が多いですから。
環境愛ゆえに売買に反対するとは……まさに虫好きの鏡!
ということは、標本づくりのために昆虫採集をするってこと?
標本には学術的な意味もあるので、それを目的とする人は多いですね。採集場所があとで宅地開発されたとしても、標本で残すことで、そのときその場所にいたという記録になります。アマチュアの会社員などが土日にがんばって採集したものによって、研究が進むなんてこともよくあります。つまり、僕らマニアの自己満足が研究を成立させている訳ですよ。標高の高いところにしかいない希少な昆虫など、レア物ばかりを狙う人も多いですから。
冷凍庫の中はアイスクリームとチョコレートと虫、虫、虫!?
昆虫採集で使用する道具一式。昆虫のサイズや形状によって様々な容器を使う。
なんだか、壮大で面白そう!ちなみに、石原くんは主にどんな昆虫を狙っているの?
僕は、そのへんの虫ばっかりですよ(笑)。ただ、先輩が他県に遠征するときなどは、勉強のためにに着いていくこともあります。こないだはノリウツギが咲いてる時期の御嶽山へ、ハナカミキリを採りに行きました。まだ標本にしてないですけど冷凍庫で保存しています。冷凍庫の中はアイスクリームとチョコレート、あとは虫、虫、虫みたいなカオス空間になっています(笑)。標本も含めたら、1000頭はあるんじゃないですかね。
そんな冷凍庫だと、虫好き以外が開けたらヤバそうですね……。彼女とかにびっくりされた経験とかもあるんじゃない?
残念ながら彼女がいないんですよ……。もし、そんなシチュエーションになったら「冷凍庫開けんといてー!」ってなると思います(笑)。まあ、虫好きはモテませんからそんな心配することもないですけどね(笑)
たしかに冷凍庫やから「この虫食べるのかな?」って勘違いされたりしちゃいそうだね(笑)
実は虫を食べたこともあるんです。生物研究会がわりと悪ノリでやるんで。セミとかバッタとか、油で揚げたら美味くなりますね。スズメバチも油に放り込んで食べたりとか。高校生のときも、近所のお宅から駆除したスズメバチの巣をもらってきて「お母さん、これ佃煮にすんねん!」って(笑)
昆虫食もイケるとは、さすがの虫愛ですね!昆虫好きなのは、わかったんやけど、小さい頃からそんな感じだったの?
物心ついたときから虫は獲ってました。昆虫好きが急速に加速したのはコクワガタを初めて見た5歳くらいのとき。それから夏休みはほぼ毎日、父親にねだってクワガタ獲りに連れて行ってもらってました。飼育もしていましたが、父親の勧めもあり甲虫の標本作りを始めて、今年に入って、蝶や蛾をも集め始めるようになりました。原付があるので、毎晩獲りに行けますしね。奈良キャンパス・バスロータリーの外灯にも蛾が寄ってくるんですけど、バスの待合所がガラス張りなので、蛾がとまると裏側から観察できますよ。
何回でもカブトムシに興奮したい!
ちなみに、子ども時代はどこで過ごしたんですか?
実家は滋賀県の北の方にある湖北町(現在は長浜市に編入)です。山もあるし琵琶湖もある。だから虫だけじゃなくて魚釣りもよくしました。また湖北町にはオオワシやコハクチョウが飛来する場所もあります。小学校では野鳥に関する授業もあり、必然的に鳥も好きになりました。あとは高校の図書室で読んだ漫画「もやしもん」の影響で、菌類も好きに。納豆やヨーグルトを自作したこともあります。
昆虫の姿を見つけるたび、子どものように瞳を輝かせるのが印象的だったのにも納得!
生き物全般が好きなんですね!
そうなんです。だから僕は虫屋というよりは生き物屋のつもりなんですよね。ここにいると、本当に詳しい人が多いですから、僕自身は「にわか」の域を出ていないと思います。ただ、虫を獲るとか触るのが好きという気持ちは、そういう人たちに負けたくないです。ガチ勢のなかにはレア物以外はバカにする人もいるんです。そういう人間にはなりたくない、何回でもカブトムシに興奮したいし、何回でもアゲハチョウにテンション上がりたいです。知識では勝てなくても、虫愛では負けないよう心がけています。
ええハナシ!!石原くんの昆虫に対する愛がひしひしと伝わってきたよ!!
撮影しろと言わんばかりに蝶がとまった!
取材を終えると、蝶がプリントされたTシャツを着ている石原くんの胸に、本物の蝶が飛んできてとまるという奇跡が。
取材中は蝶だけでなくカメムシが胸に飛来して焦った事件も(笑)
彼のように本当に虫を愛していると、虫からも愛されるんやなと妙に関心。そして、奈良キャンパスはほんまに虫の宝庫!来年の夏あたりに本腰入れて、また虫撮りに来たい!
取材・文:ジェットダイスケ
写真:ジェットダイスケ ロマン
編集・構成:ロマン
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(おわり)
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