2017.03.02
人生最大級の激痛、結石。医師が教える3つの予防法
- Kindai Picks編集部
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夜中に我慢できない程の激痛。救急車で病院に運ばれたところ、尿道に石が見つかった……。みなさんもご存知の「尿路結石」だ。実はこの病気、ごく一部の人だけに起きるというわけではない。痛みで苦しまないために、今からできる予防策を知っておこう。
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●監修
吉村一宏/近畿大学 医学部 医学科 教授
専門は泌尿器科、内視鏡外科。特に泌尿器内視鏡手術や泌尿器腫瘍に関する臨床研究に注力している。
●尿路結石のメカニズム
尿はまず腎臓で作られ、それが尿管を通って膀胱に運ばれ、膀胱で溜められた後は尿道を通って排出される。そのどこかで石ができる病気が「尿路結石」だ。石ができる場所によって「腎結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」と呼ぶこともある。特に石ができやすいのは腎臓と尿管で、すべての尿路結石のうち90%占める。
石の成分は、80%以上がカルシウム。ただし、なぜそういった石ができるのかはわからないということが多い。これを「特発性尿路結石症」と呼ぶ。また、場合によっては、内科系の疾患が原因で石ができることもある。
腎臓に石がある時はそれほど大きな痛みはないが、尿管に落ちてくると痛みが発生する。痛む場所は、背中や脇腹、下腹部など。
そして気になる痛みの程度だが、医学的には「疝痛(せんつう)」という言葉で表現される。これは発作的に起きる激しい痛みという意味で、ほとんどの人にとっては耐え難いものだ。あまりの痛さで吐き気まで催す人もいる。
●尿路結石になりやすい生活習慣とは?
実は尿路結石になるのは、珍しいことではなく、なんと男性の7人に1人、女性の15人に1人が、生涯に一度は尿路結石ができると言われている。この数字を見ていただければわかる通り、男性の方が2倍以上かかりやすい。また、全患者数はここ50年間でおよそ3倍にも増えている。特に40歳〜50歳くらいの方は発病しやすいため、注意が必要だ。
具体的には、ライフスタイルの見直しが大切で、実際、発病する人は以下に当てはまっていることが多い。
・朝ごはんを食べない
・夜ごはんを食べる時間が遅い
・夜ごはんを食べて2時間以内に寝る
・脂っこいものをよく食べる
・食事をしながらお酒を飲む
こういった食生活の乱れを改善することをお勧めしたい。
●尿路結石の治療法
尿路結石の治療は、石がどこにあるのか、またどれくらいの大きさなのかによって変わる。
石が尿と一緒に出てきそうな場合は、「石がそれ以上大きくならないようにする薬」「炎症を抑える薬」「利尿を促す薬」「尿管を広げる薬」「痛みを軽減する薬」などを使用しながら、石が排出されるのを待つ。しかし、石がある程度大きい時や排出されにくい位置にある時は、衝撃波やレーザーを使って石を粉砕する治療を行う。
尿路結石は比較的再発率の高い疾患で、石が排出されたからといって油断はできない。何より生活習慣の改善が欠かせない。また、治療後の定期受診をすることで再発率が下がったというデータもある。そのため一度でも尿路結石になったことのある人は、半年から1年ごとに泌尿器科を受診することが望ましい。
生活習慣が乱れている方は、今すぐ改善するようにしよう。
●激痛で苦しまないための3つの生活習慣改善ポイント
尿路結石を予防するために必要な生活習慣は、主に3つある。
1、毎日2リットル以上の水分を摂取する。
2、食生活を改善する。
積極的に摂取したいもの
・野菜
・海草類
・大豆製品
・魚、小魚
・乳製品
摂り過ぎないよう注意が必要なもの
・肉類
・プリン体(エビ、レバー、ビールなど)
・アルコール
・脂肪、油、糖分、塩分
・シュウ酸(ほうれん草、チョコレート、たけのこ、紅茶、緑茶など)
3、メタボリック症候群にならないようにする。
尿路結石はメタボリック症候群との関連性が指摘されているため、以上の食生活改善に加えて、適度な運動を継続的に行うことも必要だ。また、夕食後は4時間あけてから就寝するのが望ましい。
なお、結石がカルシウムでできているからといって、カルシウムの摂取を抑える必要はない。日本人は元々カルシウム摂取量が少ないため、さらに制限すると骨粗相症などの他の疾患リスクとなる可能性がある。
尿路結石は誰もがなり得る病気だ。激痛で苦しむ可能性を少しでも減らすために、今からできる予防を始めよう。
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