2017.03.10
重大な病気の可能性も。あなたの腰痛、こんな特徴はありませんか?
- Kindai Picks編集部
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多くの人が経験している身近な症状「腰痛」。しばらく安静にしておけば治る、あるいは体質だから仕方がないと放置している方が多いと思いますが、実は重大な疾患が隠れている可能性があります。背骨の病気の専門家(医師)が、腰痛の原因や気をつけるべき点について解説します。
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【監修】宮本裕史
・近畿大学医学部医学科 准教授
・医学博士
・日本整形外科学会 専門医
・日本脊椎脊髄病学会 脊椎脊髄外科指導医
・日本整形外科学会 脊椎内視鏡下手術・技術認定医(2種・後方手技)
1991年神戸大学卒業。背骨の病気全般に精通。患者さんの状況に応じて、臨機応変に高度医療を提供する手術を実施。
●腰痛の原因はさまざま
腰痛は、日本人の多くが経験する症状で特に珍しいものではありません。しかし腰痛にはさまざまな原因があり、実は重大な病気が隠れていることもあります。まずはその原因を知るところから始めましょう。
まずは腰痛の原因が、腰にある場合。例えば「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」「腰椎分離すべり症」などがあります。私たちの背骨は腰椎というブロック状の骨が連なってできており、その間には椎間板というクッションが挟まっています。そのクッションがはみ出して神経を圧迫するのが「椎間板ヘルニア」、神経が通っている管が狭くなり神経を圧迫するのが「脊柱管狭窄症」、そして骨のブロックがすべって骨と骨を繋いでいる部分が外れてしまうのが「腰椎分離すべり症」です。
これらを防ぐためには、適度な運動をして肥満にならないようにすること、長時間立ちっぱなしの姿勢や座りっぱなしの姿勢にならないこと、柔らかすぎる布団を使用しないことが挙げられます。
●スポーツも腰痛の原因に?
スポーツの動きが腰痛を引き起こすこともあります。特に気をつけなければならないのが野球やテニスなど、腰を過度にひねるスポーツ。あとは器械体操のように腰を過度にそらす種目も注意が必要です。
若い時にこういったスポーツをしていた方で、大人になってから腰痛を発症することもあります。
前かがみの姿勢や長時間座っている時に腰痛がでる方は「腰椎椎間板ヘルニア」の、あるいは腰をそらした状態で痛みが出る方は、「腰椎分離症」や「腰部脊柱管狭窄症」の可能性があるため、近くの整形外科で検査を受けるようにしましょう。
●がんで腰痛になることも
実は「腰以外のところに原因がある腰痛」もあります。特に気をつけなければならないのが「がん」、そして「感染」です。
がんと腰痛に関係が…?と思われた方も多いと思いますが、実は他の臓器でできたがんが背骨に転移することがあり、「転移性骨腫瘍」と呼ばれています。背骨は身体の中心にあるので、比較的転移されやすいのです。この場合は一刻も早く治療を受ける必要があります。
そしてもうひとつの大きな原因が細菌の感染。黄色ブドウ球菌などが背骨に住み着くと、骨の中で膿ができ、痛みを引き起こします。特に抵抗力が落ちているお年寄りや病人は、身体の中にいた細菌が背骨の中で繁殖して炎症を引き起こすことがまれにあります。
また、それ以外にも尿管結石や膵炎、胆石、女性であれば子宮筋腫によって腰痛が起こることもあります。こういった「腰以外のところに原因がある腰痛」の場合は、湿布を貼っても意味がありません。原因を早く突き止めて、適切な治療を受けるようにしましょう。
●がんや感染による腰痛の見極め方
では、原因が腰にある腰痛と、そうでない腰痛は、どのように見極めればいいのでしょうか。ポイントは3つあります。
1、痛みがかなり激しい。
2、安静にしても痛みが治まらない。
3、風邪のような発熱がある。
これらに当てはまる時は、がんや感染による腰痛の可能性があります。
「腰痛」という症状はあまりに身近なため、つい軽視してしまいがちですが、実はとても怖い病気の可能性もあります。腰痛をお持ちの方は、まずはお近くの医療機関で検査を受けるようにしましょう。また、ご家族やご友人、職場仲間で腰痛に苦しんでいる方がいたら、受診することを勧めてください。
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