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雑学・コラム

2025.09.01

BBQ火起こし対決!身近なアイテムで炭に火をつけられるのは誰だ!?

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事

夏といえばバーベキュー! 会場を押さえて準備をし、みんなで集まって「さて今から♪」というとき、肝心の炭になかなか火がつかなくてバーベキューが始まらない……! どうすればうまく火が起こせるの?? そんなもどかしい経験をしたことはありませんか?
今回は、そんな疑問を徹底解決していきます! 理系チーム 大学院生、体育会系チーム ラグビー部、文系チーム 総合社会学部生の3組で、BBQ頂上決戦を開催。果たしていちばん最初に火起こしに成功するチームは? そして効率的に火起こしできるアイテムとは?

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バーベキューの際、炭や着火ライター、トングなどを用意するのは一般的ですが、忘れがちなのが着火剤。着火剤がなければ炭に火がつきにくく、うちわで扇ぎ続けたり紙を燃やし続けたりと長時間格闘するハメになりがちです。

そんな時でもご安心を。実は、身近なものが着火剤の代わりに活用できるのです! 今回はそんなお助けアイテムを使って、火起こしに挑戦します。




用意したのは、新聞やアルミホイル、ガムテープなど、普段のバーベキューの際に身近にありそうなものです。

【お助けアイテム一覧】
スチールたわし、食品用ラップ、アルミホイル、ポテトチップス、スイカ、ミカン、リップクリーム、ハンドクリーム、不織布マスク、ストロー、割り箸、麻紐、ガムテープ、スコップ、新聞紙、うちわ、虫眼鏡


対決に参加する3チームを紹介!




1チームめは、近大の中でも最先端の知識を有する頭脳派(!?)、理系チーム・大学院生(総合理工学研究科 修士課程2年生)、小野純護さん(左)、井頭咲紀さん(中)、山口岬さん(右)の3名。「どのチームにも負けないように頑張ります」と、意気込みは十分!




「普段実験で使っているキムワイプも持ってきました。高価なので火起こしには使えませんが、あると安心です!」




2チームめは体力には自信あり!の体育会系チーム、ラグビー部。キャプテンの3年生中村大飛さん(中)を中心に、2年生柴田佳祐さん(右)、1年生光安翔平さん(左)と体格も抜群の3名が集まりました。




「これが俺らの青春!」と声を掛け合いながらパス回しをする様子は頼もしい限り……!肉体を存分に使っての火起こしが期待できそうです。




最後は文系チーム、総合社会学部3年生の寺田彩夏さん(左)、中田真梨子さん(右)。「私たちだけ2人のチームで心細いのですが、村松秀先生のゼミで学んでいる“グルグル思考(何もない中からでも、ひねり出して考える思考術)”で乗り切りたいです!」と挑みます。




解説いただくのは、理工学部応用化学科教授の今井喜胤(よしたね)先生。
「正直なところ、火起こしはやってみないと分からない(笑)。ただ、火を効率よくつけるには、油と酸素が大事じゃないかと。お助けアイテムで油のあるものを選び、風通しの良い炭の組み方をすれば、効率的に火がつくのではと思います。」

今井喜胤(いまい よしたね)
理工学部応用化学科 教授 博士(工学)
専門:光化学、キラルテクノロジー、円偏光発光
円偏光発光(CPL)をいかに正確に測定・解析するか、いかに効率よく生み出すか、CPLを利用していかに我々の生活を豊かにすることができるかを、日々探求しています。
教員情報詳細


安全のために消火器を用意して、スタートです!

最初に選べるお助けアイテムは2つ




Kindai Picks編集部で3チームそれぞれに用意したのは、一般的なバーベキューセットの炭・コンロ・トング・着火ライターの4点。ここに、先ほど紹介したお助けアイテムから2点ずつ追加して挑んでもらいます。その後、いちばん早く炭に火がつき、とうもろこしを香ばしく焼き終えたチームが優勝です。





どれを選ぶべきか思案中の面々

理系チームは「日焼け止めには油脂が含まれているんじゃない?」と、さすがの視点。体育会系チームは「おなかが空いたから、とりあえずミカンかスイカは選んでおきたい。あと今唇が荒れているからリップクリームを塗りたい」と火起こしより自身のケア優先!? 文系チームは「どれがいいだろう」と熟考しています。

シンキングタイムが終了し、それぞれ選んだのは……




まずは理系チーム。新聞紙とポテトチップスを選びました。すでに着火ライターが用意されていたこともあって、「よく燃える新聞紙がいんじゃないか」と推測したもよう。「ポテトチップスは油の燃焼効果を期待しています!」とのこと。




体育会系チームは、スイカと、「燃えやすいと聞いたことがあったので」とスチールたわしをピックアップ。




文系チームは、「皮が燃えやすいんじゃないかなって」とミカンを選択。さらに「空気を送り込む必要があると思ったので」とうちわもチョイスしました。

――先生、3チームの選択はいかがでしょう?

今井先生
そうですね〜。ポテトチップスは油でよく燃えると思うけれど、新聞紙は早く燃えすぎるんじゃないかな。スイカは水分が多く消火作用の方が強いので、ちょっと疑問ですが(笑)、スチールたわしは燃えるとは思いますよ。ミカンは、皮にリモネンという精油が含まれていますし、私もこの中ならミカンの皮をピックアップすると思います

いよいよスタート!優勢なのはどのチーム……?




理系チームは、ランダムに炭を積んだ上にねじった新聞を置き、ポテトチップスに火をつける作戦。




体育会系チームも同じく下に炭、上にはスチールたわしを置いて、スチールたわしに火をつけます。




おっと! 文系チームはあくまでミカンの皮が必要なのであり、中身はいらないとのことでおいしくいただき中。「甘くておいしいミカンです♡」



燃え広がる雰囲気はなし

体育会系チーム、スチールたわしに火がつきそうで……つかない! 息を吹きかけても、そのときだけは赤くなるものの、すぐに消えてしまいます。




そんな中、いち早く炎が上がったのは理系チーム! 新聞紙が燃えやすいのは当然として、どうやらポテトチップスの油が火力の勢いに貢献しているようです。

それを横目で見ていた体育会系チーム「ポテチすごい!」と大盛り上がり。「負けてられない」とスイカを食べてパワーチャージ(?)。



スイカの早食いで右に出る者なし

まったく燃え広がらないスチールたわしに業を煮やし、炭の入っていた段ボールやとうもろこしの皮などをコンロに投入するも……結果は芳しくありません。




今井先生
とうもろこしの皮は水分があって黒く焦げるだけなので、火種にはならないんですよ。被せると、空気も遮断しますし、これはちょっと厳しい戦いかもしれません


期待していたミカンの皮が、意外にも威力を発揮しない

ミカンを食べ終えた文系チームを見てみると、先生が指摘していたとうもろこしの皮もコンロの中に入っています。
「ミカンの皮にもとうもろこしの皮にも全然火がつかないんです〜」と、着火ライターをカチカチ。

10分経過!ここで薪を1つずつ支給




理系チームが一歩抜き出たものの、まだまだ炭に火がつかない状況です。
というわけで、ここで全チームに薪が配られることに。薪に火がつけば炭にも広がりやすいため、ここで一気に抜きん出たいところ。




とりあえずなんでもやってみよう精神の体育会系チーム。薪をおもむろにコンロに突っ込み、勢いで火をつけようと試みますが……残念、まったくつく気配がありません!



一見いい感じに進んでいるようだけれど……

一方、理系チームは煙がモクモク上がっている?「新聞で扇いで空気を送っていたのを変えて、口笛を吹くように息を吹きかけてみたら、いい感じかも!」と、かなり順調……と思いきや、炭にまでは火が辿り着きません。
文系チームは、ミカンの皮にも薪にも火がつかずに引き続き苦戦中。

15分経過。お助けアイテム1つ追加でようやく!?


全チーム、にっちもさっちもいかない状態となったため、ここでさらにお助けアイテムを1つ追加することに!!それぞれ3つ目のアイテムを選択します。




文系チームは、「これなら火がつきそう」と不織布マスクを選択しました。




体育会系チームは「サバイバル系の動画でよく燃えると言っていた気がする」と、麻紐をチョイス。




一歩リードする理系チームは、薪がいい感じに燃え広がったことから、同じ木である割り箸を選択。

今井先生
割り箸をたくさん入れれば、薪よりも表面積が増えるので燃えやすいはず。これは期待できるかもしれません



焦りに焦る文系チーム。不織布マスクに火をつけようとしますが……おっと、燃えずに溶けてしまいます。




体育会系チームは「薪を燃やすのが今回の勝負の鍵」と、薪に麻紐を巻きつけていましたが、思った以上に燃えないことが判明。紐を伸ばし、そのまま着火ライターで火をつける作戦へと変更。
麻紐を切り取る道具がなかったものの、さすがラガーマン、丈夫な歯で噛み切るという荒技を披露!



強靭な歯に歓声が沸き起こっていた

噛み切った麻紐に火をつける、息を吹きかける、麻紐に火をつける、息を吹きかける……と繰り返していると、ついに炎が上がり始めました!




一方その頃理系チーム。ポテトチップスは燃やし尽くしたものの、薪にも割り箸にも燃え広がらず、炎は上がっても一瞬という、いかんともしがたい状況に陥っていました。



なかなか思うようにいかない理系チーム

そうこうしているうちに、体育会系チームの炭に火がついた様子! あとはとうもろこしを焼くだけです!






火の世話をしなくても、こんがり焼けていくとうもろこし。




さらにラガーシャツを脱いで扇ぎ、火力アップを図った結果……



これが俺たちの青春

開始から37分、体育会系チームの勝利となりました!!!
「まさか麻紐が勝利をつなぐロープになるとは! あと、麻紐を噛み切ることができた歯にも助けられました!」とラグビー部の面々。とうもろこしもプチプチと焼けていて、おいしく完食しました。

――先生、早く火がついた要因は何だったのでしょうか?

今井先生
麻紐の量が多かったので燃焼し続けられたことと、麻を撚って作られた構造であるため紐自体に空気をたっぷり含んでいたことが、よく燃えた理由ではないかと思います。アイテム投入後にすぐに火が燃え広がり始めたので、10〜15分で炭に火がついたことになりますね。これはすごい!

熾烈な2位争い!強力な助っ人も登場




スタート時には一歩リードしていた理系チームでしたが、まさか後塵を拝することになるとは……! うなだれる3人のもとに、対決を見学していたひとりの学生がやってきました。理工学部生で、キャンプ経験者とのこと!



矢も盾もたまらずアドバイスに訪れた

「炭に火をつけるときには、下から順番に燃え移りやすいものを置いて、いちばん上に炭を置くべきなんですよ! 割り箸と炭の間にも隙間を設けて空気の通り道を作ると、より火が回りやすいはず」。




なんだ早く言ってくれよ! とばかりに、さっそくいちばん下に新聞紙、次に割り箸、その上に薪、さらに炭を置いて火をつける理系チーム。炭はキャンプファイヤーのような口の字型に組んでいます。いい感じに炎が上がってきました!




一方、文系チームには1位通過した体育会系チームが合流。火起こしに入る前に「余っていたみかんもらっていいっすか?」と腹ごなしをして……




マスクのゴムの部分は燃えやすいからと、持ち前の肉体でゴムを引きちぎります。
文系チームの2人も「めちゃくちゃ頼もしい」と、期待大。
しかし、ゴムだけではやはり燃え広がりにくいところ…

お助けアイテム、4つ目を追加!




40分経過し、お助けアイテムからさらに1つ追加OKに。文系チームが選んだのはガムテープです。

今井先生
ガムテープは、粘着部分に油が含まれているので結構燃えると思いますよ。非常にいい選択ではないでしょうか



一方、理系チームはストローを追加。火の元に直接息を吹きかけて、火力をアップさせる作戦です。

今井先生
ストローは狙ったところに直接風を送れますからね。炭の組み方も工夫しているようですし、うまくいけば炭に火がつきそうです



文系チームのコンロ、盛大に炎が上がってきました!




理系チームは2人体制で、ストローで息を吹きかけ続けます!




そして……どうやら炭に火がついたようです! これはどちらのチーム!?



理系チーム、ようやく焼きとうもろこしゲット

開始から57分、理系チームが2位を奪取しました!!
「最初は順調だったのに、2位になってしまって残念です。スタートから57分と聞いて、体育会系チームとそんなに差があるんだ……と衝撃でした。火がついた要因は、下から順番に燃えやすいものを配置することと、炭の組み方、ストローで息を吹きかけることでした。でも、炭ってこんなに火がつきにくいんですね!」。



とっても頑張っていた文系チーム

そして、残念ながら火をつけることができなかったのは文系チームとなりました。
「何をやっても火がついてくれなくて焦りましたし、もっといろいろ工夫すればよかった……でも、体育会系チームが助っ人で手伝いに来てくれたのはありがたかったです! 悔しいけど、楽しい時間でした!」。



みんないい笑顔

というわけで火起こし対決の結果は、

1位:麻紐を使った体育会系チーム ラグビー部
2位:炭の組み方を攻略した頭脳派 理系チーム 大学院生
3位:文系チーム 総合社会学部生

となりました。
さすが、近大が誇るラグビー部! パワーとアイデアで勝利をもぎ取っていきました。理系チームも工夫しながらさまざまなやり方を試し、文系チームも2人だったにもかかわらず最善を尽くしてくれました。

――今井先生、今回の対決結果はいかがでしたか?

今井先生
ホームセンターにはさまざまな着火剤が並んでいます。それもそのはず、炭への着火は難易度が高いからです。今回の対決では、お助けアイテムの特性と空気の流れ(酸素供給)の両方を上手く活用することがポイントでした。
理系チームのポテトチップスの油分利用は素晴らしい着眼点だと思います。新聞紙は一気に燃え上がるものの、火力の持続が難しい点が課題です。後半にストローで空気を送った工夫も見事でした。
体育会系チームの麻紐は大変効果的でした。巻いてあったため、見た目以上に量があり、構造的に空気を含みやすいので燃焼効率が高まります。その特性を最大限に生かせていたと思います。あと、途中でスイカを食べたのが良かった(笑)。水分補給もかねて、やる気も体力も十二分に回復できたのではないでしょうか?
文系チームによるミカンの皮は、乾燥していればリモネンなどの油分でよく燃えた可能性があります。ガムテープも、粘着剤の油分のおかげで実用的なアイテムだったのではないでしょうか。

炭へ着火する際は、燃えやすいアイテム→持続力のあるアイテム→炭という順に下から積み上げ、しっかりと空気の通り道を確保することが大切です。今回は、麻紐が構造による燃えやすさとロール状の量の多さによる持続力の両方を兼ね備えていたことがポイントだと思います。
今回の企画は、『科学的な視点』と『実体験』の両方を学べるものでした。レクリエーションとしての火起こしはもちろん、災害や緊急時にも役立つ知識や経験を得られる有意義な企画だったと思います。ともあれ、失敗から学び、みんなで協力しながらワイワイ楽しむのがバーベキューの醍醐味ですね!

みなさんも、バーベキューをする際にはぜひいろいろと試してみてくださいね!


この記事を書いた人
取材・編集:木村桂子
企画・撮影:ZIZO

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