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雑学・コラム

2024.05.31

「サ飯」はどうして美味しく感じるの?専門家に聞いた、サウナの効果と味覚の意外な関係性

Kindai Picks編集部

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オリジナル記事
サウナ
経営学部

サウナ後のご飯は、いつもの数倍美味しく感じるのはなぜなのでしょう? サウナブームと同時に、サウナ後に食べる「サウナ飯」という言葉も話題になっていますが、サウナでととのった後は味覚に変化があるのでしょうか? そんな疑問について、サウナに取り憑かれた近大生が調査しました。

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こんにちは! 経営学部4年の「サウナに取り憑かれた近大生」こと谷 勇紀(たに ゆうき)です。今日もサウナをキメてからこの記事を書いています。
サウナ愛が溢れすぎて、昨年ついにテントサウナ事業を行う株式会社 Brave Valleyを起業しました!



直近の一年では、「KINDAI BUSINESS CONTEST 2023」 グランプリ部門にて優秀賞をいただいたり……



徳島県勝浦町と連携協定を結び、アウトドアサウナのまちづくり事業を行ったり、



2024年1月に発生した能登地震の被災地にて、採暖、メンタルケア、コミュニケーションスペース作りを目的としたテントサウナボランティアに行ったりと、サウナを楽しめる場所はもちろん、サウナがもっと必要とされる社会を目指して日々奮闘しております!

前回の記事では、サウナ→水風呂→外気浴のサイクルを繰り返すことにより、身体にどんな変化があるのか? どんな良い影響や悪い影響があるのか? というテーマで、医学部の先生方にインタビューさせていただきました。

サウナで「ととのう」って結局なに!?救急・心臓・皮膚・メンタルなど近大医学部の先生たちに聞いてみた

ということで、今回の記事もサウナ愛全開で暑苦しくいきたいと思います! テーマはズバリ「サウナ飯」

サウナ飯とは、サウナを楽しんだあとに食べるご飯のことで、通称「サ飯」とも呼ばれています。

サウナ施設内に食欲を掻き立てる「サ飯」のポスター。
提供:サウナ&カプセルAMZA


最近のサウナ施設では、もはや定番になっているサウナ飯には、ガッツリ肉やシビ辛系のラーメン、スパイスが効いたエスニック料理などしっかりした味つけのものが多めです。

「サウナ→水風呂→外気浴」のセットを繰り返し、十分に「ととのう」こと。そして、サウナ上がりのポカポカの身体で、山椒たっぷりのアツアツ麻婆豆腐を一口。

すると山椒のシビれと辛さによって、もう一度汗が噴き出て、爽快感が得られます。この感覚がたまりません。さらに重要なのが、シメのバニラアイス。シビ辛とは真逆の冷たさと甘さで、これ以上ない幸福感に包まれます。


フィンランドの郷土料理のサーモンスープ。酒の塩味とクリーミーなスープが身体に染みる。

……と、サウナの後のご飯は不思議なことに、味が脳にダイレクトに伝わるような気がして、通常の何倍もおいしく感じられるんですよね。

なんでサウナ後のご飯はこんなにも美味しく感じられるのか、理由が知りたくないですか……?

そういえばサウナでととのうと、五感が冴え渡るのか、景色がいつもより綺麗に見えたり、普段は気づかない小鳥のさえずりに気付けたりすることがあります。

サウナ飯が美味しく感じる秘密も、「五感が冴え渡る」効果に関係しているハズ!「サウナに取り憑かれた近大生」を名乗るなら、ぜひとも知っておかねば!

ということで僕は、またしても近畿大学の専門家の方々に熱い疑問をぶつけてみました。


サウナでととのうと、味覚が鋭くなるのか?

大沼 卓也(おおぬま たくや)

産業理工学部 経営ビジネス学科 准教授
専門:応用心理学、味、匂い、おいしさ、食嗜好

人々が食べ物の味わいとおいしさを感じるしくみや、食べ物の好き嫌いが生まれるしくみについて、心理学と脳科学の手法により研究しています。
教員情報詳細


本岡 寛子(もとおか ひろこ)

総合社会学部教授 総合社会学科 心理系専攻、総合文化研究科、心理臨床・教育相談センター所属
専門:臨床心理学

不安や気持ちの落ち込みが強い状態から克服していく問題解決プロセスを研究しています。
教員情報詳細


:今日は、食べ物の味わいとおいしさを感じる仕組みに関して研究している大沼先生と、臨床心理学を専門とする本岡先生に、サウナ飯の美味さについてお話を聞きにきました。よろしくお願いします!

本岡先生:よろしくお願いします。

大沼先生:自分もサウナが好きなので、喜んでご協力しますよ!

:サウナの後に食べるご飯って、いつも以上に美味しく感じるんです。その理由についてお二人にお聞きできたらと思っています!



大沼先生:面白いテーマですね! サウナが味覚に影響する研究はまだそこまで進んでいないのですが、まず大前提として人体には、足りない栄養素や成分を自動的に欲する機能が備わっています。

:それって例えばサウナで汗をかいて水分を失えば喉が乾くし、塩分を失えば塩辛いものを美味しく感じるっていうことでしょうか?

大沼先生:そう考えてよいです。サウナに入った後の身体は、運動の後と同じように、エネルギーを消費した状態です。エネルギーを消費すると血糖値が下がり、空腹を感じやすくなります。また、汗をかいたことでナトリウム(塩分)も失われています。なので、サウナ後に炭水化物や塩分を欲するのは自然なことで、それを満たすメニューを食べているため、サウナ飯は美味しく感じられるのでしょう。


大阪のプライベートサウナ[SAUNA Pod 槃]にて

:でも、同じように炭水化物や塩分を欲している状態でも、長時間仕事をして汗をかいた後と、サウナに入った後とでは味の感じ方が違う気がするんです。私は、サウナの効果で味覚が研ぎ澄まされることで、サウナ飯が美味しく感じられると思っているんですが……大沼先生はどうお考えでしょうか?

大沼先生:味覚が鋭くなるというよりも、脳への伝わり方が違うのだと思います。心理学の視点では、「味覚には主観的な体験が影響する」といわれています。

:主観的な体験?

大沼先生:食べたときに感じたことやイメージ、食べるまでの背景など、食事をする本人固有の経験を、主観的体験といいます。舌や喉などで感じた味の情報と、主観的体験から得た情報とが複合的に脳に伝わった結果、「味」が認識されるというのが、心理学における味覚の考え方です。



:なるほど……。

大沼先生:さらにそこに、食べたときの心理状態が加わって、最終的な味覚情報が調整されるといわれています。

:たしかに、大好きな友達や家族と一緒に食べるご飯や、景色の良い場所で食べるご飯は、家で一人で食べるときよりも美味しく感じますね。

大沼先生:「サウナに入るとリラックスする」という人は多いですよね。そのリラックスした状態が、食事を美味しく感じさせているのではないでしょうか。反対に、ストレスで緊張した状態にあると、リラックスしているときと同じものを食べていても、味を感じられないことがありますよ。


情報の解像度を高める効果が、美味しさの秘密!?



:以前の取材で、「サウナでととのうことで、幸せホルモンが分泌されることで、交感神経と副交感神経のバランスが整って精神が安定する」とお聞きしたのですが、臨床心理学の視点からサウナ飯がおいしく感じる理由についてお聞きしてもいいですか?


高温のサウナ、低音の水風呂、外気浴を繰り返すことで交感神経と副交感神経のスイッチが短時間で切り替わり、自律神経が鍛えられる。また、サウナ後には「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンやセロトニンや、唾液腺、胃腸の動きが活発になったりすることも化学的に証明されている。

本岡先生:今おっしゃった影響は、瞑想で得られる効果にも近いですね。サウナは高温下で身体への刺激を感じつつ、デジタル機器などを手放し、外部からの情報が遮断された空間で過ごすので、いつも以上に自分の呼吸を意識しやすい状態にあります。それは、「今、この瞬間」だけに集中できる「マインドフルネス」と似た状況といえるのではないでしょうか。

※近年注目されている新たなストレスケア方法の一つ。「心ここにあらず」の状態から抜けだし、今この瞬間に注意や意識を向け続けることを指す。

:マインドフルネスの状態とは、味覚も含めて、いろいろなことへの集中力が高まった状態と考えてよいですか?

本岡先生:そうですね。集中力が高まることで一つの事柄や経験から得られる情報量が普段よりも増えて、いつも以上に食事を美味しく感じられたり、満足度が高くなったりすることもあるでしょう。臨床心理学でも、味の感じ方と瞑想効果に関する同様の研究があります。「レーズンエクササイズ」というものです。

:レーズンエクササイズとは?



本岡先生:レーズン(干しブドウ)を一粒手に取って、眺め、匂いを嗅ぎ、口の中に入れてゆっくり味わい、飲み込むというものです。レーズンのように食べたことがある食べ物でも、五感をすべて使い、時間をかけて味を感じることで、普段よりも味わいを深く感じられるようになるという方法です。

:「今この瞬間」のレーズンに集中するだけでも、マインドフルネスの効果が期待できるってことですね。サウナ飯でも実践したら、何倍も美味しく感じられるかも……!

大沼先生:サウナ後は身体が欲することもあって、つい高カロリーで味の濃いものを食べてしまいがちですが、無農薬の野菜や高級なだしなどを口にすると、普段では感じ取ることができないような素材本来の味わいがわかるかもしれません。本岡先生のおっしゃる通り、料理中の音や匂い、周囲の環境も含めて、五感すべてで食事を堪能できたら、サウナ飯がもっと美味しく感じられると思いますよ。

:なるほど! 味の情報がより鮮明になるのですね!

大沼先生:サウナ飯が美味しく感じられるのは、味覚センサーが向上しているからというよりは、マインドフルネスによって、入ってきた情報の解像度が上がることが影響しているのかもしれません。

:でも、それって逆に「脂っこい」や「臭い」といったネガティブな情報や苦手な味も、いつもより感じやすくなってしまうんじゃないでしょうか?

大沼先生:たしかに、苦手な味も鮮明になりますね。ですが、美味しさを加速させる効果もあるため、ネガティブな影響があるかどうかはケースバイケースといえるでしょう。

:一か八かでサウナ後に苦手な食べ物を克服するのもアリかもしれませんね笑)。



本岡先生:ちなみに、マインドフルネスが欠落した状態のことを、「マインドレスネス」といいます。食事中にもかかわらず、食事ではなくスマホの画面に集中してしまうなど、目の前の「今この瞬間」から意識が離れている状態のことです。そういった状況に陥らないためにも、瞑想と同様の効果を得られやすいサウナは有効だと思いますよ。

:サウナ初心者の人でも、マインドフルネスの状態に入りやすいコツがあれば教えてください!

本岡先生:マインドフルネスの基本は「今ここの瞬間に意識を向けること」です。なので、サウナ室内の時計だけを意識してみたり、サウナ室の木の香りや、座面やタオルなど肌に触れるものの感覚に集中してみたりすることで、マインドフルネスの状態に入りやすくなる効果があると思います。


サウナハットを被ることで頭を高温から守り、サウナへの集中力を高めることができる

:とにかく「今、この瞬間」に集中するマインドフルネスも、サウナの環境だと普段より実践しやすいのかも! 人間の認知の視点から心理的な分野まで、サウナの効果は味の感じ方に少なからず影響を与えることがよくわかりました。先生方ありがとうございました!



お二人の先生への取材から、サウナで得られる効果についてより深く知ることができ、さらにはサウナ飯の美味しさの謎を解き明かすヒントをたくさん得ることもできました!

サウナは、自分の身体の状態に向き合いやすく、マインドフルネスの状態をつくりやすい環境。マインドフルネスの状態で目の前のことに集中すると、一つの事柄や経験から得られる情報量が普段よりも増えて、満足度が高まるという学びもありました。

学業、サークル、仕事、趣味、恋愛など、目まぐるしい日々が続く大学生活ですが、常に「今この瞬間」を大切にしていきましょう!!

それでは、私は今日もサウナに行ってきます!


この記事を書いた人

谷 勇紀(たに ゆうき)

2001年6月13日生まれ 大阪府阪南市出身
近畿大学 経営学部 在学中
サウナスパ健康アドバイザー
プロアウフギーサー(ACJ 2022 団体の部 国内8位)
NPOテントサウナ安全協会 講師
医学的観点からサウナの効果について取材した記事執筆


取材:谷 勇紀
編集:関戸ナオヒロ

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