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2022.11.07

常に新しいスイーツとの出会いを提供し続け、顧客にワクワク感を。株式会社ケントハウス代表取締役 小住 正彦さん

Kindai Picks編集部

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1977年、cafe&sweetsを楽しめるお店として大阪市中央区心斎橋にオープンした「ケントハウスプリュス(kent house Plus)」。阪急うめだ本店やあべのハルカス近鉄本店など、大阪市内に3店舗を構える人気パティスリーです。オーナーパティシエである小住正彦さんが手がけるスイーツはどれもおいしいと評判で、テレビ番組や雑誌などでも数多く取り上げられています。今回、ヨーロッパでの修行時代の苦労やお菓子作りに対する思いなどお話を伺いました。



小住 正彦(おずみ ただひこ)
株式会社ケントハウス代表取締役。
1978年近畿大学商経学部(現・経営学部)卒業。
近畿大学卒業後、有名無名複数のレストラン及び、大阪、京都の有名ホテルで修行。その後、渡仏し現在に至る。現在は大阪市内に本店を置きデパート2店舗を展開している。関西地区リーダーズクラブ会員。


母親の影響でパティシエの道へ




――小住さんが、パティシエを目指そうと思ったきっかけを教えてください。

飲食店を経営していた母親の影響が大きいですね。物心ついたときから料理に触れる機会が多く、高校入学時には料理人になろうと決めていました。近畿大学卒業後は、会員制のフレンチレストランに就職し、私はディナーコースの最後に出すデセール(デザート)を任され、少しずつデザートに興味を持つようになっていきました。デザートって、好きな食材を使って自由な発想で楽しめるんですよね。

たとえば、ステーキの場合はデミグラスソースをかけてガロニ(付け合わせの野菜)を添えて提供するのがルールです。ケーキの場合はそれがない。アシェットデセール(皿盛りのデザート)で提供するケーキのソースひとつとっても、チーズケーキにマンゴーソースを付けたりクランブルを添えたり、自分のアイデア次第でさまざまな食材・素材との組み合わせを楽しめるんです。

給料も休みもなく駆け抜けた6年間



         下積み時代の小住さん

――デセールを担当するうちにスイーツの魅力にハマっていったんですね

はい。「料理よりデザート作りの方がおもしろいかもしれない」と思うようになり、フレンチレストランに辞表を出しました。フレンチレストランを辞めた後、修行先として大阪にある有名フレンチレストランを選んだのですが、うちでは人を採ってないからダメの一点張り。営業時間前からお店の前にいて、「調理学校にも行ってないし全くの素人だけど、洗い物だけはできます。休みなし無給でもいいので働かせてください」と何度も頭を下げました。
シェフもしつこいやつやなって思ったんでしょうね。「そこまで言うんやったら」と働くことをやっと認めてもらえました。

ここで働いていた6年間は無給だったのでご飯を買うお金もなく、実家で母親の手料理をご馳走になることもありました。母親がパティシエの道へ進むことを応援してくれていることが嬉しくて、心の励みになりましたね。

人種差別や言葉の壁に苦しんだヨーロッパでの下積み時代




――6年間フレンチレストランで働いた後、ヨーロッパへパティシエの修行に行かれたのですね。

そうです。パリやイタリア、フランスなどヨーロッパ各国でお菓子作りに必要な技術と知識を学びました。

――ヨーロッパでの下積み時代、苦労したことはありますか?

もう30年以上も前の話になりますが、当時は人種差別と言葉の壁で苦労しましたね。日本人や中国人などアジア人は、ケーキを作らせてもらえなかったんです。指で目尻を引っ張ってアジア人をからかうんですよ。アジア人を見つけると、わざとつり目ポーズを作ってキッチンから追い出すんです。

ただでさえ見知らぬ土地で四苦八苦しているというのに、自分の仕事をまともにできない状況は本当に辛かった。今すぐにでも辞めたいと思いましたが、踏みとどまれたのは
フランスで製菓学校をやっている有名シェフとの出会いがあったからです。

私の片言の英語でも何とかコミュニケーションを取ることができ、いろいろと助けてくださいました。みんなが人種差別をするわけではありませんが、当時の経験を通じてメンタルがより強くなったと思います。



――ヨーロッパでの修行時代、カルチャーショックを受けたことはありましたか?

カルチャーショックというほどではないですが、労働時間の短さには驚きましたね。彼らは朝5時半に起きて、遅くても午後2時には仕事が終わるんですよ。私は午後2時を過ぎると毎日チョコレート部屋に行き、テンパリング※の練習をしたりピエモンテを作ったり技術練習をしていました。衝撃的だったのが、日本だと1kg2,500円するチョコレートが向こうでは1,000円以下で買えるんですよ。


※テンパリング:チョコレートに含まれるカカオバターの結晶を、最も安定した状態にする温度調整作業のこと。


「ケントハウスに行けば新しいものに出会える」というワクワク感




――ヨーロッパから日本に帰国後、ケントハウスをオープンしたんですね。

そうです。29歳のときです。当時大阪では珍しかったオープンテラス付きのカフェ併設店舗としてオープンしました。おかげさまでたくさんの方にお越しいただき、32歳の頃に大阪市内で3店舗を展開しました。人気歌手・浜崎あゆみさんの誕生日ケーキを作らせていただいたこともあります。


オープン当初のケントハウス

もともと私はチョコレートが大好きだったので、ヨーロッパ各国で学んだスイーツを一人でも多くの方に食べていただきたくてケントハウスをオープンしたんです。

当店のチョコレートは、ベルギーやフランスのクーベルチュールチョコレートのみを使用しています。口に入れた瞬間、カカオ独特の苦味と香ばしさが広がる上品な味わいが特徴です。クーベルチュールチョコレートならではの濃厚な味わいをみなさまにも楽しんでいただきたいですね。



――ケントハウスでは、素材一つひとつにこだわっているんですね。

使う素材は味わいを左右する重量な要素です。乳脂肪分36%の新鮮な牛乳から作った北海道産生クリームをふんだんに使用しているので、まろやかな味わいになりフルーツやスポンジ生地との相性も抜群です。

先日はパッションフルーツやマンゴー、パイナップルの買い付けで沖縄に行ってきました。現地へ行くことで生産者の顔が見えるので、安全で質の高い素材を使ったデザートを提供できますよね。



パッションフルーツと聞くと皮が紫色のものをイメージする方が多いと思いますが、うちでは皮が黄色い「ミズレモン」と呼ばれる種類を使っています。ミズレモンは糖度が19度以上あるので酸味が少なく甘味が強いんですよ。固定観念に捉われず、ケントハウスならではの商品を作り上げていきたいですね。



――ケントハウスのショーケースにはいつ行っても違う種類のケーキが並んでいて、見ているだけでワクワクします。

ありがとうございます。1週間に2つのペースで新商品を並べていて、常に新しい商品がショーケースに並んでいる状態にしていますね。やっぱり、「ケントハウスに行けば新しいものに出会える」「今日はどんなケーキがあるかな」とワクワクしていただきたいじゃないですか。

美味しいものを食べて健康になれるケーキを提供していきたい




――ひとつのことを続けるのは並大抵の努力ではないと思うのですが、モチベーションを維持する秘訣を教えていただきたいです。

私が意識しているのは、「絶対にできる!」と自分を信じること。失敗を恐れていたら何もはじまらないし、結果は後から付いてくるものです。

今は新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、20〜30年前に比べると海外に行きやすくなっているのに向こうで挑戦する方って少ないですよね。やりたいことや夢を実現するために、自分を信じて突き進んでほしいなと思います。

手前味噌になりますが、近大はやっぱりレベルが違いますね。2022年4月にはIT人材育成向けの情報学部が開設したことで、ますます注目が高まるのではないかなと思います。

――ありがとうございます。それでは最後に、今後の展望について教えてください。



最近は、糖質オフやグルテンフリーなど、健康を意識したスイーツに注目が集まっていますよね。東京ではヴィーガンスイーツ専門店が増えていますが、大阪だとまだまだ少ない。中医学と栄養学に基づいた薬膳スイーツもあるわけですから、甘いものをおいしく食べながら、病気予防や健康につながるケーキを提供できたらおもしろいなと思いますね。それこそ、近大の薬学部、医学部と産学が連携して取り組んでみたいです。

あと、ムールというケーキなどを焼く型があるのですが、特殊な型だと1個あたり何千円、何万円もしますし、日本では売っておらず海外から取り寄せています。ぜひ近大の新しい施設「THE GAREGE」にある3Dプリンターでいろいろなムールを作りたいです。安価に生産できたらすごいビジネスが生まれると思いますよ。母校と一緒に仕事をするようなことになれば、卒業生としてはすごく嬉しいですね。





取材・文:笑屋株式会社
写真:井原完祐
企画・編集:近畿大学校友会
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