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2019.04.18

「お金は汚い」という考えを捨てろ! キンコン西野のお金の話【西野亮廣×近大生トーク】(後編)

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西野亮廣

3月23日、近大卒業式の後に東大阪キャンパス・アカデミックシアター内で行われた、キングコング西野さんのトークイベント。クラウドファンディングで合計2億円を調達し、新仮想通貨サービス「レターポット」を立ち上げ、常に新しいお金の形を提唱する革命家・西野さんは学生に一体何を語ったのでしょうか。

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平成30年度近畿大学卒業式に、ゲストスピーカーとして登場したお笑いコンビ・キングコング西野亮廣(にしの あきひろ)さん。卒業式の後に、卒業生・在学生を集めた「西野亮廣氏 × 近大生 スペシャルトークイベント」が開催されました。

この記事では「お金の話」をテーマに、近大生とのトークセッションの一部をご紹介します。

西野 亮廣(にしの あきひろ)
1980年7月3日生まれ。兵庫県川西市出身。1999年から梶原雄太とお笑いコンビ・キングコングを結成。2000年にNHK上方漫才コンテスト最優秀賞、2001年に上方お笑い大賞最優秀新人賞を受賞。芸人活動と並行し、『えんとつ町のプペル』の絵本作家としても注目を集めている。さらに、国内最大2万2000人のオンラインサロンを運営し、クラウドファンディングでは合計調達額2億円を突破。また、『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』が読者が選ぶビジネス書ランキング2018第1位を獲得するなどマルチに活躍中。


学校では教えてくれない「現代のお金」の話




西野:僕たちの挑戦を阻むものは一体なんなのか? 止めてしまうものは一体なんなのか? この正体さえわかっていれば、夢がかなう確率が、挑戦が上手くいく確率が、グッと上がります。

僕たちの挑戦を阻むものは大きく2つ。

まず1つは「お金」です。

例えばケーキ屋さんを始めるとすれば、そのケーキ屋さんの家賃などを捻出出来なくなってしまった瞬間に、その人はケーキ屋さんを諦めないといけなくなる。そうやってお金の問題が必ずつきまとうんですよね。お金の問題が解けなくなった瞬間に、挑戦が止められてしまうんです。

そして、2つ目はあまりピンとこないかもしれないですけど、「広告」です。

広告が何かというと、ケーキ屋さんを出したときに、どうやって人に来てもらうんだとか、このケーキをどうやって売っていくのか、ということです。「キングコング西野」にしても、有名にならなかったら芸人活動を続けていけないのと同じです。

この広告の問題も、解けなくなってしまった瞬間に、僕たちは夢に挑戦することを強制的に終わらされてしまう。つまり夢とか挑戦とかを続けようと思ったら、お金の問題と広告の問題という、2つの問題を解き続けないといけないんですよ。

だけれど、残念ながら学校ではお金と広告の話って学ばないんですよね。つまりみなさんは幼稚園の頃から社会に出るまで、お金と広告のことをほぼ学ばずに、夢が叶う確率だとか、挑戦して成功する確率だとかをグーンと下げられた状態で社会に放り出されてしまうっていう現状なんですよ。

お金の本当の姿・形を学ばなかったら、五百円玉も千円札も一万円札も五千円札も、あのままだから、「お金が変わった」って言っても、だいたいほとんどの人はピント来ないんです。

でもお金の内容はこの2〜3年で大きく変わって、これが何からどう変わったのかっていうのをよく把握しておかないと、多分お金の面で苦労されるとおもうので「現代のお金」についてお話をしたいんですけど。


学校では教えてくれない「現代のお金」の話




学生から西野さんによる質疑応答が始まりました。多くの若者から支持を得る西野さんのトークイベントということもあり、場内の学生から続々手が挙がります。

まずは、Kindai Picksでもボランティアの記事を書いた、国際学部4年生秋内大典さんからの質問です。

秋内:僕は今、学内でボランティア団体を作って日々活動をしています。ボランティア団体といえど、結局は資金を獲得していこうとすると、他の団体と競争になるのが現代の風潮です。僕はボランティアというものを考え直す節目にきてると思うのですが、西野さんにとって、「ボランティアとは何なのか」を聞きたいです。

▼秋内さんが寄稿した、kindai picksの記事はこちら
ボランティアって無償奉仕なの?! 学生ボランティア団体の代表が、その意味と意義を見つめ直してみた

西野:僕は阪神淡路大震災の被災者で、東日本大震災の時も、気仙沼の方にボランティアに行って色々見てきました。震災から2年か3年ぐらい、ボランティア活動されてる方も見てきました。

その人たちの活動を見ていると、ボランティアはすごく正しいし尊いことだと改めて実感できたけど、結論はお金を稼がないと続けられないよね。

1年ぐらいボランティア活動をしてた人も、自分の資金が尽きた時に被災地を離れてしまうんですよ。これはもう、仕方ないことで、物理的に支援ができなくなるからです。

僕は、被災地に文字を送ると被災地にお金が入る「レターポット」っていうギャグWebサービスを作って、1文字5円で文字を売ってるんですよ。

西日本の豪雨だったり、北海道の地震であったり、僕が寄付することでレターポットの名前が広がる。だからレターポットはお金を稼げてるんです。お金が稼げているから、レターポットのチームが行う被災地への寄付だとか支援は止まることがないんです。

「被災地の人を利用してお金を稼ぐのは道徳的にどうなんだ」って言われがちだけど、それは違う。お金稼ぎしないとボランティア自体が止まってしまうってことを考えないといけない。お金を稼ぐといっても、自分の懐に入れるお金のことではないからね。

「こんな風にマネタイズしたら、ボランティア活動も続けられるよね」って、きちんとデザインして、それをチームのみんなと話し合う。そこまでやらないと、実際にボランティアが止まってきた歴史を繰り返しちゃう。被災地のボランティアの数を3.11当時と比べたらだいぶ減ってますから。

ビジネスモデルを作っちゃうと、世間からものすごくバッシングされるけど、それでも自分は続けられるかって話なんです。僕は、世間からのバッシングなんてどうだっていいと思ってますよ。

だからこそ、僕はボランティアのことを聞かれると「ちゃんとビジネスにしな」って答えます。そっちの方が助けられる人が増えますからね。


クラウドファンディングとヒューマンコマーシャル




続いては、NPO法人の営業事業をしている、休学中の4年生 豊中さんからの質問です。

豊中:私は今、NPO法人などから委託を受た、営業を1つの事業としています。例えば、街頭に立ち営業活動をする、募金活動に近いものです。そういったヒューマンコマーシャルをしているのですが、最近はマイクロファイナンスにおいてもクラウドファンディングが主流となっている中、私みたいな募金活動というのは、今の時代のニーズに合っているのかと疑問に思います。

例えば、既に何かに募金をしたいという意識のある方が行うのが、クラウドファンディング。私は逆に、ヒューマンコマーシャルを行い興味のない人たちに訴えかけて、募金を募る。西野さんに、この2つの明確な差別化が、もしあるのなら教えていただきたいです。

西野:「オンライン」と「オフライン」、「クラウドファンディング」と「募金」の大きな違いって一体なんなんだ? ってことですよね。

まずオンラインでの話をすると、例えばライブのチケットを買う時って、だいたいみんな「チケットぴあ」とかを使うんですよ。だけどEXILEのチケットが欲しい人って「EXILE」って検索してEXILEのチケット売り場にダイレクトに飛んじゃうから、検索した人が西野がライブしてるって知れないんです。

でも、テレビだと、自分が探してない情報も入ってきますよね。さんまさんの番組が見たいなと思って、ボーッとチャンネルをザッピングしてると、さんまさんの番組を探してたつもりがくりーむしちゅーさんの番組を見つけて、「これ面白そう」でついつい見ちゃったり。そこがテレビとネットの大きな違いで、僕は凄いことだと思っています。

さっき話した通り、チケットぴあでの販売の段階で、ファンが新しく増えることはないんですよ。別のアーティストのファンは、目的のアーティストしか検索しないから。これはすごく勿体無いなと思ったんです。

ある時ですね、「西野亮廣 独演会」っていうライブのチケットを、ぴあで売るのをやめて、2,000枚のチケットを手売りしたんですよ。例えば「今日西野は近大のここに、何時から何時までいますよ、チケットが欲しい人は来てください」ってツイッターに書き込むんです。

そこに来てくれるお客さんはこれから僕が2,000枚のチケットを手売りしないといけないって知ってるから「西野さん! 大変っすね。もう2〜3枚くれないですか? 友達にも売ります!」って言ってくれたりするんだよね。

この瞬間に、僕のファンになる可能性のある人が2〜3人増えるんですよ。つまり、僕がオンライン上でチケットを売った場合増えなかったファンが、オフラインの販売で増えたんですよね。

募金も同じことで、僕のクラウドファンディングに検索して飛んで来る人って「キングコング 西野」でダイレクトに検索して飛んでくる人で、あそこでお金を集めていると、自分の支援者は増えないですよ。だけれども、街中で募金をしていると興味のない人も通るから、テレビのザッピングとすごく近い状態です。差別化が出来るとしたらそこですよ。

お兄さん(豊中さん)は活動を経て感覚が麻痺ってるかもしれないけど、街中で募金してる人に対して、「お前らこんだけの人数で『募金お願いします』って言ってるなら、1人マクドでバイトした方がお金集まるくない?」って思ってる人が世間には確実にいるってことですよ。そこの違和感をちゃんとほどいてあげると、すごくいいかもしれないですね。

結論を言うと、オンラインとオフラインの大きな違いは、興味がない人の目につくかどうかってことです。

豊中:そこでいかにして興味をもっていただくかてところなんですけど。知名度がないクライアントだと、その説明から入るので……そこで興味を持たれないと、すぐにフィってなっちゃうので……

西野:使う単語をもうちょっと簡単にした方がいいかもしれないですね。

僕はいろんなことをしてるんですけど、なんばグランド花月っていう劇場で、デビュー当時から月30本漫才やってるんですよ。今でもずっとそこだけは変えない。

なんで変えないかというと、単純に梶原くんとペチャクチャお喋りするのが好きっていうのと、ネットで使ってる言葉とか、普段自分たちが使ってる言葉が「いかに通用しないか」ってことですよ。

なんばグランド花月って、おじいちゃんおばあちゃんもくるし、子供も来るし、そんな時にまず「オンラインサロン」なんて絶対に通用しないですね。なので僕はそこで喋る時にファンクラブって言い方に変えるんでけど。興味ない人に知ってもらおうと思うと、まず単語でフッとされてしまうことがあるかもしれない。

豊中:営業の時は一応「皆様の力をお借りして」って言おうとしてるんですけど、同僚の人たちもマネタイズって言い方をしてるんで、それが通じるのかは確かに疑問ではあるんですけど。

西野:あと、人間の本質的な動物的なことなんですけど、「知らない」ってことと「嫌い」ってう感情が近いってことですね。人は知らないってことを嫌うんですよ。ここはめちゃくちゃ気を使った方が良くて、よくわからない炎上をしてる案件って、「嫌い」じゃないんですよ、とにかく「知らないん」です。妖怪みたいな、お化けみたいな感じで、知らない時は怖いんですよ。

例えば金縛りとか、「そうか、金縛りって体が寝ていて脳が起きてる状態なんだ」ってロジックがわかると急に嫌いでもなんでもなくなるじゃないですか。

「次のフェーズでね」みたいな言葉を使っちゃうと嫌いになっちゃうんで、そういうところで取りこぼしてるところがあるかもしれない。

活動としては、今のままでも結構強いと思いますよ。もうネットなんてあんまり力を持ってないんで。対面の方が圧倒的に強いんで、今の活動をそのままやっていくのはいいと思うんだけど、唯一いうとすれば単語選びね、単語で取りこぼしてるものが結構でかいかもしれない。それはチームのみんなで話して「この単語もう使うのやめない?」って。

以上です。頑張ってください。

豊中:ありがとうございます。


お金は汚いものではない




西野:もう終わっちゃう? お金と広告の話をちゃんとしないまま……。すごく大事なんですよ。こんなこと言うと出版社の人に怒られるんですけど、本当に別に売れなくていいなって思っていて。売れるよりも、知ってもらうことの方がはるかに価値が上がるんで。『新世界』って本はネットでタダで公開していて、本当にタダで最後まで読めるんで。

最後に言うとすれば、「お金汚い」といった考え方は早く捨てた方がいいですね。
その意識があると一生夢は叶わないし、周りの人をすごく不幸にしちゃいます。日本の教育はずっとこのマインドだから、言ってしまえば洗脳に近いですね。この意識を解くのはだいぶ難しいですが、基本的にお金自体は汚いものではないです。これだけは押さえておいた方がいいですね。

あと、僕から皆さんに、なにかアドバイスができるのであるとすれば……人生良い時もあれば悪い時もある、辛い時も必ずある。そんな時は下をみてください。インパルスの堤下がいます(笑)

一同:(笑)

西野:皆さんよりも、もっともっと下にですね、ほんとに不幸のどん底にいる、インパルスの堤下という生き物がいるんです。彼を見ると「私はまだ大丈夫」と思えるので。辛くなったら、「インパルス堤下」で検索していただくと楽しい人生になると思います(笑)


最後に


キングコング西野亮廣さんのお話、いかがだったでしょうか?
現代のお金と広告について、詳しい内容は『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』や、『新世界』など、西野さんの書籍でご覧下さい。

トークセッションの全容は動画でご覧いただけます。

【動画】西野亮廣氏×近畿大学生 スペシャルトークセッション




▼前編はこちら
個の時代から集落の時代へ! キンコン西野の炎上・勝ち負け論【西野亮廣×近大生トーク】(前編)

▼関連記事
【近大卒業式】過去を変える「挑戦」を! キンコン西野と一ノ瀬メイのスピーチ

(終わり)

取材・文:西畑将大/トミモトリエ
写真:西畑将大
企画・編集:人間編集部

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