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個の時代から集落の時代へ! キンコン西野の炎上・勝ち負け論【西野亮廣×近大生トーク】(前編)

個の時代から集落の時代へ! キングコング西野の炎上と勝ち負け論

Kindai Picks編集部

2019.04.17

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イベント
西野亮廣
オリジナル記事

3月23日、近大卒業式の後に東大阪キャンパス・アカデミックシアター内で行われた、キングコング西野さんのトークイベント。自身の書いた著書をネットで無料公開したことや、突然の芸人引退宣言などで炎上してきた西野さんは、学生にどんなことを語ったのでしょうか?

平成30年度近畿大学卒業式に、ゲストスピーカーとして登場したお笑いコンビ・キングコング西野亮廣(にしの あきひろ)さん。卒業式の後に、卒業生・在学生を集めた「西野亮廣氏 × 近大生 スペシャルトークイベント」が開催されました。

この記事では「炎上」「勝ち・負け」をテーマに、近大生とのトークセッションのの一部をご紹介します。

西野 亮廣(にしの あきひろ)
1980年7月3日生まれ。兵庫県川西市出身。1999年から梶原雄太とお笑いコンビ・キングコングを結成。2000年にNHK上方漫才コンテスト最優秀賞、2001年に上方お笑い大賞最優秀新人賞を受賞。芸人活動と並行し、『えんとつ町のプペル』の絵本作家としても注目を集めている。さらに、国内最大2万2000人のオンラインサロンを運営し、クラウドファンディングでは合計調達額2億円を突破。また、『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』が読者が選ぶビジネス書ランキング2018第1位を獲得するなどマルチに活躍中。


「炎上商法」ではなくて、世間が付いてきていないだけ




まずは、近畿大学大学院2年生の濱崎さんからの質問です。

濱崎:濱崎と申します。僕は以前、自分で作ったミュージックビデオをネットに投稿したときに少し炎上したんですが、その時に「物足りないな」と感じてしまってて……。もっと炎上するにはどうすればいいのか教えてください。

一同:(笑)

西野:なんだろうな、炎上したいの?

濱崎:はい。

西野:悪口を言われたいの?

濱崎:そうですね……というか言われてるんで、どうせやったら有名になりつつ、認知されつつ炎上したいなって。

西野:あー、難しいな。炎上って大きく分けると2種類あるんです。1つ目はおでんツンツン男とか、コンビニのアイスクリーム売ってるところに入るみたいなタイプの「ただただ馬鹿な炎上」。2つ目は、過去に僕が炎上したときのような「世間が付いてきていない炎上」です。

僕は、6年前にクラウドファンディングを始めたことでめちゃくちゃ大炎上しました。当時、世間の多くの人はまだクラウドファンディングを知らなかったから、「なんかよくわかんねぇけど、悪いことに違いない!」ってことで、燃えたわけです。それって、時代が付いてきていないってことですよね。

僕なんかはよく「炎上商法」って言われるんだけど、世間が馬鹿すぎるってだけの話なんですよ。

2年ぐらい前に『えんとつ町のプペル』っていう絵本をネットで全ページ無料で読めるようにしたときも炎上しました。

▶︎大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野)|新R25

本屋で立ち読みしてもらうよりネットで立ち読みしてもらった方が売り上げは絶対あがるのに「クリエイターが食いっぱぐれる!」って言われて。

だけど、書籍の無料公開に関してはその数ヶ月後に、出版や広告のスタンダードになったんです。

狙うんだったら世間が付いてきていない方の炎上ですよ。ただただ馬鹿な炎上って、誰も得しないですからね。


「こいつら絶対食いついてくるから、炎上するだろうな」って思うことはあっても、僕は行動を止めることはないです。だってその炎上は、人類にとって必要だと思うから。

でも、初めから炎上を狙っちゃうと活動を応援してる人がかわいそうだよね。自分のことを応援してくれる人が少なからずいてくれて、炎上してるときも「西野そんなに悪いことしてない」って気持ちを保ってくれてるけど、もし僕がいたずらに「炎上してやれ」って動いたら、この人たちも同じように攻撃されてしまう。

だから表現活動をするんであれば、世間が付いてきていない炎上であればいいんだけど、燃やしにいくのはやめといいたほうがいいよね。


個の時代も終わって、今は集落の時代




西野:自分の活動をたくさんの人に知ってもらう、っていうことをゴールにして、議論を進めていくと、もう現代は「個の時代じゃない」ってことでしょ。

前までは、会社があって、そこで地位があって、集団の時代だったんですよね。それに対して、最近は個の時代だって言われてるけど、ネットを使って誰もが情報を発信できるようになっちゃったから、もう個の時代もとっくの昔に終わってると僕は思ってます。

今はブログのタイトルのつけ方でも、「こうしたらだいたいバズるよね」みたいなのが周知されていて、個の発信のクオリティがぐーっと上がってる。個の発信力の均一化がされてしまってるから、もう誰か一人は選ばれないんですよ。発信者にもう何の価値もない。だからこれからは間違いなく集落が強いんです。

集落ってのは個同士が横で繋がっていて、4月はカメラマンのあいつを応援しようとか、5月は編集者のあいつを応援しよう……って、昔の集落にあった「私こんなことしてもらったから、今度はこんなことしてあげよう」みたいな関係性もある。これがいわばオンラインサロン。

僕の周りでいえば堀江貴文さんとか、幻冬社の箕輪さんだとか、落合陽一さんだとか、みんなオンラインサロンを介して活動してます。

自分の活動をたくさんの人に知ってもらいたいなら、集落をつくったほうがいい。例えば、ホリエモンみたいなネームバリューがある人のオンラインサロンに入って、その中で思いっきり発信して、信用を稼いで、独立するみたいなかたちですね。

濱崎:じゃあ、コンテンツが独特になるというか、そこに価値はないんでしょうか?

西野:理想はね、クリエイターだったらコンテンツ勝負になる。けど、もうコンテンツ勝負って難しくて。

例えば、みなさんが居酒屋に行きました。そこで美味しいポテトサラダを食べました。「家であのポテトサラダ食べたいな……」と思うとするでしょ。その店のポテトサラダが美味しければ美味しいほど、レシピはだいたいネットに上がってる。

昔だったら限られた人だけのものだった、サービス、技術、あらゆるものが、インターネットによって全人類の供給財産になってしまった。だからどこの店に行っても大抵美味しいし、ハズレの店がなくなってきた。それに値段も変わらない。

これはクリエイターも一緒で、どの表現も結局レベルがぐわーっと上がってしまって、突出することはかなり難しくなってきてる。

こうなってきたら、時代は「機能検索」から「人検索」になっていて。同じようなコンテンツ、同じようなポテトサラダ屋さん、同じようなラーメン屋さんばっかりになっているから、どこに行っても一緒だし、どこでも美味いから「どうせならあいつの店にお金落とそうぜ!」って選び方になっていく。

そうすると、応援してくれる人が多い「集落を持ってる奴」が勝つ。なぜなら集落同士でお金を回すから。コンテンツのクオリティを上げるのはあたり前の話で、そこから選ばれようと思ったら、集落とか人の繋がりを作った方が前に出れるかもれない。


競争に参加した時点でもう負けている




西野:僕は、いろいろありまして、2016年に芸人やめたんです。19歳のときにこの世界に入り、20歳のときに上京して、「はねるのトびら」という番組に出演しました。そこからすごい頑張って、25歳のときには番組がゴールデンタイムになり、視聴率日本で1位をとったこともありました。

それから冠番組をいただいたり、生活も良くなったり、願ったり叶ったりの状況に一旦なったんです。けれど……スターにはなってないと思ったんです。

山を登ったら景色が変わると思ってたのに、そこから見えたものは何かというと、タモリさんや、さんまさん、ビートたけしさんとかの背中だったんです。「あと3年ぐらい芸人頑張ったらたけしさん追い抜いてたのにな」と思えていたら、まだ頑張っていましたが、その気配はありませんでした。

「エンタメで世界とる」と言っているので、彼らのことはもう少し早めに追い抜かないといけないのに「なんで僕はこんなところでこんなに手こずってるんだ」とずっと悩んでました。悩んだ結果分かったのは、そのとき自分が走ってたレールは、そういった先輩方が、何にもないところに敷いてくださったレールだったということです。そのレールのトップランナーになっても、レールを敷いた人たちの背中を押す作業になるんです。

別の例だと、僕はファミリーコンピュター世代なので、ファミコンで良いカセットを作れば作るほど、ファミリーコンピューターの本体を作ってる任天堂の評価が上がるいうわけです。でも僕は任天堂を越えようという話をしているので、「カセットを作る」と言っていてはダメなんです。ソニーのプレイステーションの様に、全然違うゲーム機を作ってハードとソフト両方作らないとダメなんだって考えたんです。

だからテレビでの競争はやめてしまおうと、25歳のときに手を引いたんです。

話をまとめると、競争に参加した時点で負けが決定しています。今後みなさんが社会に出て、さまざまな競争に参加させられますが、そこでどれだけ一番になっても、最終的には親にポイントが入るんです。そこでの一番は一番ではなく、厳密にいうとナンバー2です。

これはどのジャンルでもそうで、出版に行こうが、芸能に行こうが、ケーキ屋さんになろうが、基本的には競争に参加した時点でもう負けは始まってるんです。

これはどちらかというと広告の話ですが、ここは押さえといた方がいいですね。


最後に


キングコング西野亮廣さんの「炎上・勝ち負け論」、いかがだったでしょうか?
時代の最先端を行く西野さんだからこそ、世間にまだ受け入れられず炎上てしまうことある。でもそれは、西野さんが「エンタメで世界をとる」ために、さらには人類の進歩のために、必然的に発生した炎上だったのかもしれません。続編の「お金の話」もお楽しみに。

トークセッションの全容は動画でご覧いただけます。

【動画】西野亮廣氏×近畿大学生 スペシャルトークセッション




▼後編はこちら
「お金は汚い」という考えを捨てろ! キンコン西野のお金の話【西野亮廣×近大生トーク】(後編)

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(終わり)

取材・文:西畑将大/トミモトリエ
写真:西畑将大
企画・編集:人間編集部



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